現代の難病

現代医学では治療困難な病気

線維筋痛症

線維筋痛症とは、関節・骨・腱など体の広範囲に慢性的な痛みやこわばりを感じる病気です。しかし、病理検査をしても圧痛(押すと痛みがある)以外には、何の異常もありません。痛む部位・痛みの強は人によって異なり、中には痛む部位が移動していく方もいます。また、天候や気圧の変化で痛みの程度が変わることもあるのです。検査をしても全く異常が認められないことから、かつては「心因性リウマチ」や「非関節性リウマチ」とも称されていました。1990年にアメリカリウマチ学会が病気の概念・定義・分類基準を提案し、現在は病名も繊維筋痛症に統一されています。

主な症状や特徴

繊維筋痛症は女性患者が圧倒的に多い病気です。男女比は約1:5で、55歳~65歳が発症のピークといわれています。現在、日本では約200万人の患者がいると推測されているのです。繊維筋痛症の主な症状は全身の痛みやこわばりで、この他に、倦怠感・疲労感・睡眠障害・抑うつ・自律神経失調・頭痛・過敏性腸炎・微熱・ドライアイなどの症状を伴うこともあります。

繊維筋痛症を発症しても直接的には命に別状はありません。しかし、症状が重症化すれば寝たきりになることもあります。また、激しい痛みは睡眠の質を低下させてストレスを増幅させるため、抑うつ状態になる方も少なくありません。繊維筋痛症は通常の病気診断に使われる血液検査やレントゲン検査では異常が認められないので、診断がなかなかつかずに激しい痛みを抱えたまま周囲から孤立してしまう方もいます。

繊維筋痛症の原因

繊維筋痛症の原因は、今のところ正確には分かっていません。ただ、この病気の因子を持った人の体に強いストレスがかかり続けると痛みを脳に伝える神経に異常が発生し、脳に痛みが増幅されて伝わるのではないかという仮説が立てられています。つまり、痛みを脳に伝える神経が暴走し、正確な痛みの情報が脳に伝わらなくなっているということです。そのため、治療には痛みを伝える神経の興奮を抑える薬剤が使われることもあります。

繊維筋痛症の診断基準

全身18か所の圧痛点があり、そのうち11か所以上に強い圧痛を感じるか、広範囲の痛みが3か月以上続いた場合は線維筋痛症と診断されます。これは、1990年にアメリカリウマチ学会から発表された分類基準に基づいた診断方法です。専門医が診察した場合、この基準に満たなくても線維筋痛症と診断されることもあります。なお、他の病気があっても、線維筋痛症の診断は可能です。繊維筋痛症の認知度は以前に比べて高まってきましたが、まだまだ専門外の医師では診断ができないこともあります。

関節リウマチ

関節リウマチは、免疫の異常によって関節に腫れや痛みが生じ、症状が進むに連れて関節を形成している軟骨や骨などが破壊される病気です。関節が破壊されると再生は不可能なため、適切な治療を受けないと歩行をはじめとする日常生活の動作すべてに重大な影響が出ます。

関節リウマチは性別に関係なく発症しますが、男性に比べて女性の発症率が圧倒的に高いのが特徴です。現在、日本には60万人~70万人の患者がいるといわれています。男女の比率は約1:3で、発症のピークは30代~50代です。リウマチ熱や若年性特発性関節炎など関節リウマチによく似た病気もありますが、関節リウマチとは原因や治療方法が異なります。

主な症状や特徴

関節リウマチの症状は強さによって4段階に分かれています。

ステージ1
関節の中にある滑膜という部位が増殖している状態です。軟骨や骨の異常はありません。痛みやこわばりはあっても軽度です。この時に診断がついて治療を開始することができれば、病気の進行をかなり遅らせることができます。ただし、関節の痛みやこわばりなどは他の病気でも起こりやすい症状なため、専門医でなければ診断は難しいでしょう。

ステージ2
軟骨が薄くなって骨同士が直接ぶつかりやすくなります。痛みは強くなり、激しい運動や長時間の歩行がつらくなるでしょう。

ステージ3
軟骨や骨の破壊が起こります。痛みがさらに強くなり、関節の変形も起こるのです。このような状態になると、日常生活にも制限が出始めます。

ステージ4
関節の破壊がさらに進み、歩行が困難になり、場合によっては寝たきりになってしまいます。医学が発達した現在では、適切な治療を行えばステージ4に到達する時間をかなり延ばすことが可能です。

関節リウマチの原因

関節リウマチの原因は、現在の所はっきりとは分かっていません。免疫異常が関節破壊を引き起こすことまでは判明していますが、免疫異常が発生する原因は諸説あるのです。関節リウマチになると、血液内にサイトカインという物質が異常に増殖します。このサイトカインは炎症性サイトカインと呼ばれており、関節リウマチの診断基準の一つです。

関節リウマチの合併症

関節リウマチが進行していくと、だるさや疲労感といった全身症状や貧血・肺の炎症・目の炎症・血管の炎症が起こることも少なくありません。また、服薬している薬によっては副作用として感染症にかかりやすくなります。

関節リウマチの診断方法

関節リウマチは、2010年に発表された欧州リウマチ学会による診断基準を参考に、血液検査やレントゲン検査・関節液検査などで診断します。この欧州リウマチ学会の診断基準が発表されたことにより、より早期に診断がつきやすくなりました。

強直性脊椎炎

強直性脊椎炎とは、脊椎(背骨)や、仙骨・骨盤周辺(仙腸関節など)に痛みやこわばり・腫れを感じる病気です。重症化するにつれて、体が前屈気味になり、体を反らしたり上を見上げたりといった動作がしづらくなります。発症から10年~20年すると脊椎が動かなくなり日常生活に支障が出ることもありますが、このように重症化する患者さんは全体の1~2割ほどです。

強直性脊椎炎の特徴

強直性脊椎炎は、10代~20代にかけての発症がほとんどです。男性の患者が大多数ですが、女性でも発症します。現在の所は45歳以上の方の発症は確認されていません。発症した直後は、強直性脊椎炎特有の症状である脊椎間の強直(固まってつながること)がほとんど見られず、痛む箇所が日によって異なることもあります。また、運動をしているときよりも安静にしているときの方が痛みが強く出たりするのも特徴です。発症したばかりの頃は症状が安定せず、強い痛みを訴えて寝込んだ翌日に痛みが全くなくなっていることもあり、診断がなかなかつかないことも珍しくありません。

強直性脊椎炎の原因

この病気の原因は未だ分かっていません。しかし、白血球抗原の一つであるHLA-B27が発症に深くかかわっていることが分かっています。HLA-B27を持つ人数の割合は人種によって異なり、白人に比べると黄色人種は10分の1以下です。そのため、日本人の強直性脊椎炎患者は少なく、現在のところ診断を受けた人数は、数百名ほどにとどまっています。

強直性脊椎炎HLA-B27を持っている方が細菌感染などで免疫異常が起きた結果、発症するのではないかという説が考えられていますが、まだ立証はされていません。ですから、予防方法なども分かっていないのが現状です。遺伝性は今のところほぼないのではないかと考えられていますので、親や兄弟が強直性脊椎炎を発症しても心配することはありません。

強直性脊椎炎の診断方法

強直性脊椎炎は、若年者に原因不明な手足の関節炎や腰痛・全身のこわばりなどが続いた際に疑われ、血液検査やレントゲン検査で判明することが多い病気です。ただし、腰痛は椎間板ヘルニアなどに誤診されることが多く、厚生労働省によると強直性脊椎炎と診断されるまでに要する年月は平均9年といわれています。

強直性脊椎炎が合併症として現れる病気

強直性脊椎炎は、虹彩炎(目の病気)・クローン病や潰瘍性大腸炎(腸の病気)・乾癬や掌蹠膿疱症(皮膚の病気)、を発症していると合併症として発症することがあります。これらの病気にかかっている45歳以下の方で、がんこな腰痛や全身のこわばり、関節痛などがある方は、強直性脊椎炎を発症しているかもしれません。

胸郭出口症候群

胸郭出口症候群は、つり革をつかまるような感じで腕を上げたり、首を後ろに反らすように動かしたりすると肩や腕・肩甲骨周辺に痛みやしびれ・だるさを感じる病気です。心臓から首や腕方面に伸びる血管や神経が胸郭の出口付近で圧迫されることからこの病名がつきました。年齢、性別にかかわらず発症する病気であり、特に、なで肩の女性に発症しやすいのが特徴です。発症のピークが20代と若いため、脳の異常を疑って病院を受診される方もいます。

胸郭の出口で血管や神経を圧迫しているのは、前斜角筋(ぜんしゃかくきん)・小胸筋(しょうきょうきん)といった筋肉です。なで肩の人は、肩幅が狭いので、手の重みで首から肩にかけての筋肉が引っ張られ続けてこわばりやすくなります。このこわばりが長期間続くと、神経や血管を筋肉が圧迫しやすくなるのです。

胸郭出口症候群の症状

胸郭出口症候群を発症すると、手や指のしびれや脱力感などが現れます。症状が進むにつれて、肩や肩甲骨・首などに痛みを感じるようになるでしょう。また、鎖骨や首にも変化が現れます。正常な場合、鎖骨はゆるやかなV字を描いていますが、胸郭出口症候群を発症すると、筋肉が緊張して肩が下がることで、鎖骨がまっすぐになるのです。肩が下がるため首は長く見え、バランスを取るためにあごをつき出すような姿勢をとりがちになります。

胸郭出口症候群が重症化すると、腕を上げたり肩を上げて後ろへ反らしたりといった動作をするたびに激しい痛みを感じるようになり、ついにはまったくそのような動作ができなくなるのです。その上、血管が圧迫されているので痛みが出る動作をすると手指が蒼白になったり、赤紫色になったりします。

胸郭出口症候群が重症化すると、耳鳴りやふらつき感などが出ることもあるでしょう。また、肘をまげて腕を上げる動作ができなくなると日常生活にも支障が出ます。

胸郭出口症候群の特徴

肩こりしやすい方や猫背の方は、首から肩・胸にかけての筋肉がこわばりやすく、胸郭出口症候群を発症やすい傾向にあります。なお、男性の場合に多いのは、腕を上げ下げする動作をたくさんすることで発症するパターンです。これを緊張型胸郭出口症候群と呼びます。

胸郭出口症候群の患者数は、正確な人数が分かっていません。しかし、長時間同じ姿勢で過ごしたり運動不足になったりすることが多い現在、患者数は増え続けていると推測されています。

胸郭出口症候群の診断方法

胸郭出口症候群は、レントゲンや触診・テスト動作で診断します。腕のしびれや痛みがある側に顔を向け、そのまま首を反らせて深呼吸をさせた時、脈が止まったり弱まったりするような場合は、胸郭出口症候群の可能性が高いでしょう。また、肘を肩くらいまであげてつり革をつかまるように腕を直角にあげた時、手のひらや指先白くなるような場合も、胸郭出口症候群の可能性があります。

複合性局所疼痛症候群

複合性局所疼痛症候群(CRPS)は、骨折やねんざ・打撲などで末梢神経が傷ついたことによって発症する神経痛の一種です。以前は、反射性交感神経性委縮症やカウザルギーなどとも称されていました。性別や年齢に関係なく発症し、激しい痛みから抑うつ状態になってしまう方も珍しくありません。

複合性局所疼痛症候群の症状

複合政局所疼痛症候群を発症すると、患部周辺にむくみが起こり局所が熱を持ち激しい痛みが起こります。こうなると、多くの方がけがが悪化したと考えて病院を受診したり、より安静にしようと努力したりするでしょう。しかし、すると、今度は患部周辺の皮膚や筋肉の委縮・体温の低下が起こり、再び激しい痛みが起こるのです。重症化すれば、風に当たっただけで激しい痛みが起こり、日常生活に支障をきたすこともあります。

複合性局所疼痛症候群の原因

複合性局所疼痛症候群は、けがをしたことによって知覚神経が損傷し、誤作動を起こすことが原因です。けがをすると知覚神経の他、運動神経は興奮し筋肉が収縮します。すると、血流が減少してけがをした一帯が酸素不足になり、発痛物質が製作が促進されるのです。そこに新たに刺激が加わると、発痛物質が一気に知覚神経を刺激し、神経はこれを痛みとして脳に伝えます。けがをしたからといって、いつまでも患部を動かさずにかばっていると、血流が悪いままとなり、複合性局所疼痛症候群を発症しやすくなるのです。

複合性局所疼痛症候群の診断方法

複合性局所疼痛症候群は、浮腫や骨や爪の萎縮・けがに不釣り合いな痛み・関節の動きが制限されるなどの症状から診断をつけます。複合政局所疼痛症候群は早期治療早期発見が大切です。けがをしてから日数がたっているのに痛みが全くひかない、むしろ強くなっているという場合は、複合性局所疼痛症候群の可能性があります。

慢性疲労症候群

慢性疲労症候群は、強い疲労感が6か月以上続き日常生活にも支障が出る病気です。英語の病名にちなみCFSとも呼ばれています。慢性疲労症候群は、1988年にはじめて国際診断基準が定められました。それまでは、血液検査やレントゲン検査などをしても何も異常が出ないことから、精神的な病気と診断されたり仮病と誤診されたりすることも多く、病気とは認められずに苦しんできた方もたくさんいます。日本では1990年代に国際診断基準に基づいて診療が開始されるようになって以来、患者数が増加の一途をたどっている病気です。現在の患者数は正確には把握されていませんが、1,000人のうち3人が発症する病気と推測されています。

慢性疲労症候群の症状・診断基準

慢性疲労症候群の代表的な症状は、原因不明の激しい疲労感や微熱・関節痛・睡眠障害・記憶力の低下などが上げられます。中でも激しい疲労感はこの病気の特徴的な症状です。通常の疲労ならば原因がはっきりしており、1日~2日ゆっくりと休んだら抜けます。しかし、慢性疲労症候群を発症すると、1日眠っていても疲労感は全く抜けません。また、入浴や食事・着替えなど生きるのに最低限なことをしただけでも立ち上がれないくらいの疲労を覚えることもあるでしょう。このような症状が半年以上続いた場合は、慢性疲労症候群と診断されます。慢性疲労症候群を発症しても放置しておいた場合は、寝たきりになってしまうケースもあるでしょう。

慢性疲労症候群の特徴

慢性疲労症候群は性別や年代に関係なく発症する病気です。患者の割合を見ると、30代以降の女性が発症する例が多く、風邪や肺炎などをきっかけに発症する例もあります。また、ある日突然発症することもあり、昨日まで元気でいた方が突然寝たきりになってしまうケースもあるのです。

慢性疲労症候群の原因

慢性疲労症候群の原因は、現在のところはっきりとしていません。神経・免疫・ホルモンのバランスが強いストレスなどによって崩れ、体内に潜伏していたウィルスや細菌が活性化した結果、免疫物質が過剰に作られて脳に機能異常を起こさせるのではないかといわれています。

副腎疲労症候群

副腎疲労症候群とは、腎臓の上部についている副腎という臓器が疲弊し、正常な働きができなくなって発症する病気です。腎臓は体内の血液をろ過して老廃物や毒素を体外へ排出する役割を担っています。その上部についている副腎は、肝臓から栄養をもらって体を動かしたりストレスを打ち消したりするホルモンを分泌しているのです。副腎がホルモンを作りだせなくなるとさまざまな悪影響が起こります。中でも、コルチゾールの分泌が低下して起こるのが副腎疲労症候群です。

副腎疲労症候群の症状

副腎疲労症候群を発症すると、

  • 気分の落ち込み
  • イライラ
  • 強い疲労感
  • 睡眠障害(寝つきが悪い・眠れない・早朝覚醒)
  • 嗜好の変化

などの症状が見られます。

副腎疲労症候群の特徴

正確な患者数は把握されていませんが、アメリカでは人口の15%がこの病気を発症しているのではないかと推測されています。また、副腎疲労症候群を放置していると、ガンをはじめとする悪性腫瘍や関節リウマチ等の自己免疫性疾患を発症する恐れもあるのです。

副腎疲労症候群は命に別状がある病気ではありませんが、薬を飲んだり注射をしたりしてすぐに治る病気でもありません。長ければ1年以上、短くても3~6か月の治療期間がかかります。また、治療と一緒に食生活や生活習慣の見直しも大切です。人によっては大幅な生活の変更が必要となります。

副腎疲労症候群の原因

副腎疲労症候群は、精神的なストレスや肉体的なストレスに生活習慣の乱れが主な原因です。たとえば、仕事が忙しく食生活や睡眠時間が乱れがちという方は多いでしょう。仕事の忙しさはそれだけで大きなストレスです。これに食生活や生活習慣の乱れが加われば、副腎疲労症候群を発症する確率は格段に高まります。また、育児や介護などもストレスがたまる要因です。つまり、誰もが副腎疲労症候群を発症する危険性を秘めています。

副腎疲労症候群の診断方法

副腎疲労症候群は唾液の検査で診断を行うことが一般的です。唾液にはコルチゾールが含まれているため、1日4回唾液を摂取してその中に含まれているコルチゾールの変化を観察します。健康な方の場合は、朝に分泌量が最も多く、夜になるにつれて緩やかに低下しますが、副腎疲労症候群の場合は1日を通してコルチゾールの分泌量が低くなり、夕方になるとさらに低下してしまうのです。逆に、昼間は分泌量が低いのに、夜になるとコルチゾールの量が急増するケースもあります。どちらも副腎疲労症候群の症状であり、治療が必要です。

全身性エリテマトーデス

全身性エリテマトーデスは、英語の頭文字を取ってともSLE呼ばれる病気です。本来は体を守ってくれるはずの免疫が自分自身の体を攻撃してしまい、その結果、内蔵・皮膚・関節・血液などさまざまな場所に病変が現れます。中でも、蝶の羽のように両頬に広がる蝶形紅斑(ちょうけいこうはん)は、この病気特有の症状です。

全身性エリテマトーデスの主な症状

全身性エリテマトーデスは、発熱や倦怠感といった風邪と似たような症状や、日光に当たったところが水ぶくれができたり発信ができたりする日光過敏症から始まることが多いのが特徴です。重症化するにしたがって皮膚症状(蝶形紅斑)や関節炎・脱毛・臓器障害などが発症します。特に、腎臓の障害(ループス腎炎)や心病変・肺病変・消化器病変を発症すると命にかかわることもあるので、正確な診断が大切です。

全身性エリテマトーデスは、多様な症状がある分、一人一人にでる症状は異なります。命の危険があるような症状が出る人がいる一方で、日常生活にも影響が出ないくらいの症状しか出ない方もいるのです。しかし、軽い症状の方も何かのきっかけで症状が悪化することもあります。

また、妊娠や出産などで全身性エリテマトーデスが発症する方も決して珍しくありません。この場合、産後の体調不良や疲れなどと思ってしまう方も多く、病院に行く時間も取れずに悪化してしまうケースもあります。

全身性エリテマトーデスの特徴

全身性エリテマトーデスは、現在全国に6万人~10万人の患者さんがおり、そのほとんどが生理がある20代~40代にかけての女性です。そのため、発症には女性ホルモンがかかわっているのではないかという説もあります。子どもや老人も発症しますが、この場合は男性と女性の差はあまりありません。全身性エリテマトーデスは、現在厚生労働省指定の難病に指定されています。

全身性エリテマトーデスの原因

全身性エリテマトーデスの原因は、現在のところはっきりと分かっていません。何らかの影響で抗体を作るbリンパ球という物質が異常を起こし、それに伴って生産された自己抗体が病変の原因となっていると考えられています。また、複数の遺伝的要因が絡まって発症することはほぼ確実です。ただし、遺伝子を持っているから必ず発症するというわけではありません。遺伝的要因に細菌感染や紫外線などが加わって発症すると考えられています。

全身性エリテマトーデスの診断方法

全身性エリテマトーデスは、赤血球沈降速度(赤沈検査)・尿・末梢血液検査・胸部X線などの検査を総合して診断が下されます。免疫グロブリン・抗核抗体・抗DNA抗体・抗Sm抗体・抗リン脂質抗体の結果も重要な判断材料です。

シェーグレン症候群

シェーングレン症候群は、自己免疫性疾患の一種で涙が出ない・口の中が渇くといった症状が主に現れる病気です。1933年にスウェーデンの眼科医、ヘンリック・シェーグレンが発表した論文にちなんでこの名前が付けられました。日本では、1977年に厚生労働省研究班の研究によって、医師たちの間に広く認識されるようになった病気です。

シェーグレン症候群の症状

シェーングレン症候群には関節性リウマチや全身性エリテマトーデス、皮膚筋炎の合併症として現れる二次性シェーングレン症候群と、この病気単独で発症する原発性グレーン症候群があります。どちらも、涙が少なくなり目が渇くドライアイや口の中が渇きやすくなるといった症状が現れるのが特徴です。この他にも、疲れやすくなったり関節痛が現れたりするケースもあり、人によっては日光に過敏になったりすることもあります。

全身性エリテマトーデスは、多様な症状がある分、一人一人にでる症状は異なります。命の危険があるような症状が出る人がいる一方で、日常生活にも影響が出ないくらいの症状しか出ない方もいるのです。しかし、軽い症状の方も何かのきっかけで症状が悪化することもあります。

また、妊娠や出産などで全身性エリテマトーデスが発症する方も決して珍しくありません。この場合、産後の体調不良や疲れなどと思ってしまう方も多く、病院に行く時間も取れずに悪化してしまうケースもあります。

シェーグレン症候群の特徴

シェーングレン症候群は性別に関係なく発症しますが、女性の方が男性より14倍の発症率が高い病気です。30代~50代に発症のピークを迎え、関節リウマチを発症している患者のうち、2割がシェーングレン症候群を発症するという報告もあります。

シェーングレン症候群の患者は現在1万5千人~2万人と推測されていますが、これは病院を受診して診断を受けた人数です。病院を受診していない患者さんやまだ診断が下っていない患者さんの数を合計すると10万人~30万人程度になると推測されています。

シェーングレン症候群の合併症

シェーングレン症候群を発症すると、まれにですが萎縮性胃炎になることがあります。また、うつ症状・記憶力の低下・気分の変調といった精神面の不調が強く出ることもあるのです。

シェーングレン症候群の診断

  • ガムテスト・サクソンテスト・唾液腺造影などで唾液量の低下が証明される。
  • シャーマーテスト・ローズベンガル試験・蛍光色素試験で涙の分泌低下が証明される。
  • 口唇小唾液腺の生検組織でリンパ球浸潤がある。
  • 抗SS‐A抗体か抗SS‐B抗体が陽性である。

この4つの内2つ以上当てはまると、シェーングレン症候群と判断されます。

シェーングレン症候群の現状

シェーングレン症候群を発症しても命に別状はありません。しかし、ドライアイやドライマウスはそれだけでもつらい症状です。現在、シェーングレン症候群は厚生労働省指定の難病に指定されています。また、全国に友の会(患者会)があり、病気の情報交換なども盛んです。

多発性硬化症

多発性硬化症は、脳や脊髄に手で触って硬く感じられる病巣があちこちに見られるようになる病気です。英語名の頭文字をとってMSと呼ばれることもあります。特に、欧米の白人に多い病気です。日本人の発症率は10万人に7~8人で、全国に約1万2千人の患者がいると考えられています。

多発性硬化症の症状

多発性硬化症を発症すると、まず神経線維(しんけいせんい)を覆っている髄鞘(ずいしょう)という部分の破壊が起こります。髄鞘は時間がたてば再生しますが、再生するまで間、視力の低下・ものが二重に見える・しびれ・歩行障害・認知障害・排尿障害などさまざまな症状が出るのです。症状が回復したり再び悪化したりをくり返すのもこの病気の大きな特徴で、時間をかけてゆっくりと悪くなる方もいます。

多発性硬化症の特徴

多発性硬化症は、30歳前後の若い年代の方が発症することが多く、男女比は1:2で、女性に多いのが特徴です。5歳以前と60歳以降の方の発症はまれですが、若いときに発症し、年を取って再発することはあります。

多発性硬化症の原因

多発性硬化症の原因は、現在のところははっきりと分かっていません。自己免疫が異常を起こして髄鞘を攻撃し、破壊が起こるのではという説が有力です。また、黄色人種や黒人が欧米で生活をすると多発性硬化症の発症率が上がることから、環境因子の関与も大きいのではと考えられてます。

多発性硬化症の診断方法

多発性硬化症は、核磁気共鳴画像(MRI)検査や脳脊髄液検査を行った上、「中枢神経系に2カ所以上の病巣を示す所見があり、それらの症状には再発と寛解がみられること」という厚生労働省の診断基準に基づいて診断が行われます。

多発性硬化症は、中枢神経であればどこでも症状が現れる上、症状の出方や強さも人によってすべて異なるのが特徴です。そのため、眼科・内科・整形外科などを受診しても原因不明という診断が下されることが少なくありません。

当クリニックの治療について