卵巣がんの自覚症状はどんなもの? 早期に発見するポイント

アタナハクリニック 院長 矢崎智子

記事監修
アタナハクリニック 院長 矢崎智子
免責事項について

卵巣は女性ホルモンを分泌する大切な臓器ですが、症状が出にくいために気付かないうちに進行する「卵巣がん」に悩まされている女性が増えています。婦人科系のがんでは乳がんに次いで多いと言われている卵巣がん。発症率の高さから考えると女性なら決して他人事とは思えません。卵巣がんとは一体どのような病気なのでしょうか?

卵巣がんという病気について、自覚症状や早期に発見するための方法・治療方法などをまとめました。

  1. 卵巣がんという病気について知る
  2. 卵巣がんの自覚症状は?
  3. 早期発見のために大切なこと

1.卵巣がんという病気について知る

1-1.50代前半が発症ピーク

卵巣がんは女性ならどの年齢にもみられる病気ですが、最も多いのが40~50代前半だと言われています。卵巣がんにはいくつかの種類がありますが、その中でも約半分を占める「表層上皮性がん」が、閉経前後に発症しやすいためだと考えられます。10~20代の若い年齢層では卵巣がんの中でも「卵巣胚細胞腫瘍」が多く、「表層上皮性がん」は50代前半でピークを迎えた後、70代後半からまた増加する傾向にあります。

1-2.卵巣がんの85%が良性

卵巣に腫瘍ができることを卵巣がんと言いますが、卵巣がんには良性のものと悪性のものがあります。他の組織に転移せず、細胞の集合体がゆっくり成長するものが良性、他の組織への転移が見られ、細胞の集合体が著しく成長するものが悪性です。特に卵巣胚細胞腫瘍の場合は良性であることが多く、卵巣がん全体でも85%が良性と言われています。良性腫瘍の中でも最も多いのが「卵巣のう腫」で、放っておくと不妊症の原因にもなります。

1-3.進行状況によって治療法が変わる

一般的に卵巣がんの治療として行われるものは、外科療法・放射線療法・化学療法の3つ種類です。どの治療法を選択するかはがんの進行状況によります。外科療法とは開腹手術によって腫瘍を取り除く方法で、直接目で見てがんの進行の度合いや転移の有無を確認します。放射線療法は患部に放射線を当てることでがんの進行を遅らせたり腫瘍を小さくする目的で行われます。

現在主流となっている治療法が化学療法で、内服や静脈注射によってがんの治療を進めるものです。開腹手術で取り除ききれなかったがんの治療に化学療法が行われる場合が多いようです。

発症は50歳代がピークなんですね。
はい。ただし、月経が始まったらすべての年代で発症リスクがあると考えてください。

2.卵巣がんの自覚症状は?

卵巣は「沈黙の臓器」と呼ばれており、がんになっても無症状のまま進行するのが特徴です。
そのため、自覚症状が全くないまま他の組織に転移して症状が現れることで病気が見つかったという人も少なくありません。しかし、卵巣がんは発症率の高い病気です。少しでもおかしいと思ったら、すぐに医療機関を受診しましょう。分かりにくいのが特徴ですが、卵巣がんの自覚症状にはどのようなものがあるかご紹介します。

2-1.腹部の膨満感

卵巣がんの自覚症状が分かりにくいのは、卵巣が親指大くらいの小さな臓器であるため、腫れていても周囲に影響を与えにくいためです。卵巣がんの自覚症状のひとつに「腹部の膨満感」がありますが、「なんとなくお腹が張っている気がする」「最近お腹周りが太った」という程度のものなので、まさかそれががんの症状であるとは気づきません。

しかし、これが卵巣がんの初期症状である可能性が非常に高くなっています。腹部の膨満感は卵巣の腫れだけが原因ではなく、腹腔内にがん細胞が転移した結果、腹膜の機能が低下し、多量の腹水が溜まっている可能性も考えられます。あおむけで眠れないほど腹部の膨満感が悪化した場合は、すでに卵巣がんがかなり進行している恐れがあります。

2-2.腹部や骨盤の痛み

卵巣の腫れがひどくなるとお腹を触るだけでしこりがあるのを感じるようになりますが、前述した通り卵巣は非常に小さな臓器であるため、しこりがあっても気付かれないことが多く、「しこりがある」という症状で受診する人はほとんどいないでしょう。下腹部だけでなく骨盤に痛みを感じる場合もありますが、これは卵巣が骨盤内に存在するため、圧迫されて痛みを感じることになります。

大抵の場合は鈍い痛みなので何か他の原因があると思われてしまうことが多いようです。まれに急激な下腹部痛に襲われることがあり、これは腫瘍がねじれを起こしていることが原因になっている可能性があります。

2-3.すぐに満腹になる

卵巣の腫れや腹水によって腹部が圧迫されているため、「食欲は落ちていないのに食べるとすぐに満腹になる」という症状として現れる場合もあります。「特にダイエットをしているわけでもないのに急激に体重が減少した」という時は、卵巣がんの兆候である可能性を考えてみてください。

2-4.トイレが近い

腫れている卵巣が膀胱を圧迫することになるので、「トイレが近くなる」「頻尿になる」という自覚症状が出る場合もあります。他の自覚症状がないと膀胱炎と勘違いしてしまう人も多いようなので、あまりにもトイレの近さが気になるようなら一度受診してみましょう。

重症化しないと自覚症状が出ないことが多いんですね。
はい。少しでもおかしいなと感じたら病院を受診しましょう。

3.早期発見のために大切なこと

卵巣がんは初期症状や自覚症状が分かりにくいため、何らかの症状が現れた時にはすでにがんが進行している可能性があります。しかし、ステージⅠ期の早期の段階で発見できれば5年生存率はかなり高いと言えます。残念ながら現状としては卵巣がん患者の9割以上がステージⅡ期以降の状態で発見されています。少しでも早期発見が出来るように、気を付けなければならないことにはどのようなものがあるのでしょうか。

3-1.定期的に婦人科検診を受ける

妊娠や出産を機に子宮がん検診を受ける人も多いようですが、その経験がない人はなかなか婦人科に足を運ぶことはありません。気になる自覚症状がないならなおさらでしょう。しかし、卵巣がんは女性ならいつ誰が発症してもおかしくないもの。

出血などの明らかな自覚症状が現れるケースが少ないため、定期健診で異常がないか確認しておくしかありません。特に子宮頸がんを発症する女性が急増していることから、子宮がん検診を受ける人は多いようです。検査方法としては子宮の入り口の組織をこすり取る検査と、経膣超音波検査があり、その際に卵巣が腫れていないかチェックしてもらうことが出来ますので、忘れずに確認しましょう。

3-2.気になる症状が3週間以上続いたら受診を

婦人科検診は1年に1回のペースで受けることをお勧めしますが、その際の検査で異常が確認されなくても、「なんとなくお腹が張る」「頻尿になった」等の気になる症状が3週間以上、毎日のように続くようであれば早期に受診してください。

3-3.自分は卵巣がんになりやすいかどうか知っておく

卵巣がんにはなりやすい人となりにくい人がいます。遺伝的な可能性も考えられますので、母親や姉妹が卵巣がんである場合、自分も発症する確率が高いということを覚えておいてください。

また、排卵の回数が多いと卵巣がんになる可能性も高くなると言われています。妊娠や出産を経験していない女性や、初潮が早かった女性、閉経が遅かった女性はそうでない女性に比べて卵巣がんのリスクが高まりますので、自分が当てはまるかどうか確認しておいてください。

やはり定期検診は大切なんですね。
はい。特に、血縁者に卵巣がん患者がいる場合は、若い年代のうちから定期検診を受けることがおすすめです。

まとめ

  • 卵巣がんという病気について
  • 自覚症状はほとんどない
  • 早期発見のために大切なこと

以上3点をまとめました。卵巣がんによる死亡率を下げるためにも、ひとりひとりが卵巣がんについて理解し、がんを進行させない努力をしていくことが必要です。ぜひこの記事を参考にして、卵巣がんという病気について知ってください。

アタナハクリニック院長 矢崎 智子

監修者

矢崎 智子
アタナハクリニック院長
日本産科婦人科学会認定医/高濃度ビタミンC点滴療法学会理事/世界アンチエイジング学会認定医/日本内分泌学会・国際オーソモレキュラー医学会・病巣疾患研究会会員/日本線維筋痛症学会会員

1969年長野県生まれ。平成6年杏林大学医学部卒。産婦人科医としての経験を積んだあと、2005年11月、分子整合栄養医学に基づく栄養療法と東洋医学を中心とした統合医療をおこなうクリニックハイジーアを開設。関節リウマチや線維筋痛症、慢性疲労症候群、摂食障害など、通常治療困難とされる疾患や、不妊症などの婦人科疾患の治療において豊富な臨床経験を持つ。日本では数少ない機能性医療の専門家であり、最も経験豊富な一人。

平成24年、医療とヒーリングの統合を目指し、アタナハクリニックを開設。現在はキネシオロジー(筋肉反射テストを使ったセラピー)の一種であるインテグレートヒーリング(IH)を中心とした統合医療を行なっている。

著書
なぜあなたは食べすぎてしまうのか 低血糖症という病

雑誌掲載歴
2014年:『ゆほびか(6月号)』『スターピープル(vol49)』『スターピープル(Vol.48)』
2013年:『トリニティ(Vol.48)』
2011年:『日経ヘルス(1月号)』
2010年:『VoCE(12月号)』『AERA with BABY』『anan(1月20日号)』
2009年:『クロワッサン(6月10日号)』『クロワッサン(1月25日号)』