卵巣がんに不安を持っている方へ ! 早期発見の大切さと予防法

アタナハクリニック 院長 矢崎智子

記事監修
アタナハクリニック 院長 矢崎智子
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女性特有の病気である「卵巣がん」。昔は卵巣がんの発生率や死亡率はそれほど高くはなかったのですが、近年はどちらも上昇しています。手遅れ状態の卵巣がんだと、薬では改善できず、子宮をすべて摘出しなければならないでしょう。すでに生理が終わった人であれば全摘出も苦ではありませんが、まだ妊娠できる20代や30代だと赤ちゃんが産めなくなるというショック極まりない状態になってしまいます。

そうならないためにも、早期発見がとても大切です。卵巣がんの症状や初期症状、検査方法についてみていきましょう。

  1. 卵巣がんとは?
  2. 卵巣がんの原因
  3. 卵巣がんの早期発見や予防法

1.卵巣がんとは?

女性であれば、妊娠に大きく関わることになる「卵巣がん」の不安を持っている人も多いでしょう。卵巣がんに対する不安を消すためには、卵巣がんについて知識を身につけることが1番です。では、どのような病気なのか一緒にみていきましょう。

1-1.腫瘍ができやすい卵巣

卵巣は女性の生殖器であり、卵子をつくりだす大切な役割を持っています。卵巣の中には卵子を生み出すための細胞、卵細胞がたくさんあります。この卵細胞を包んでいるものを卵胞(らんほう)と言い、卵胞が卵細胞を活性化させ、卵巣から卵子を排出させるのです。そして、排出された卵子は精子と受精し、着床、妊娠へとつながります。

卵巣は腫瘍ができやすい器官で、その腫瘍は良性と悪性に分けられます。卵巣にできる腫瘍のほとんどは良性です。良性の腫瘍はほかの組織に転移しないですし、ゆっくりと成長するためがんの進行も遅いです。しかし、悪性の腫瘍は逆に成長が早く、ほかの組織にも転移する恐れもあります。そのため、できるだけ早めに摘出しておかなければなりません。

1-2.発症率は年齢によって変わる

女性ホルモンとの関わりが強い卵巣がんの発症率は、40代後半~50代前半が多いと言われています。発症率は年齢によって変わることが証明されており、20代での発症率はとても低いもの。しかし、20代で発症する人もいるので注意してください。

比較的若い世代で発症する卵巣がんのことを“卵巣胚細胞腫瘍”と言い、中高年世代で発症する卵巣がんのことは“上皮性卵巣がん”と呼ぶことで卵巣がんを分けています。卵巣胚細胞腫瘍はなかなか発症することはありませんが、上皮性卵巣がんは発症率が非常に高いので中高年の方は要注意。なんと、上皮性卵巣がんは卵巣がん全体のおよそ90%をしめているほど。女性ホルモンバランスが乱れやすい中高年世代は気をつけておかなければなりません。

卵巣がんは、40~50代になると発症率が上がるんですね。
はい。ただし、20代だからといって発症しないとは限りません。月経に異常などがあったらすぐに病院を受診しましょう。

2.卵巣がんの原因

2-1.生活習慣の乱れ

なぜ卵巣がんになってしまうのか、原因はいまだはっきりと分かっていません。おそらく、これが原因ではないだろうかと考えられているものはたくさんあるのでチェックしていきたいと思います。

1番に挙げられる原因は、「生活習慣の乱れ」。女性ホルモンであるエストロゲンとプロゲステロンの2種類のバランスが崩れてしまうほど卵巣がんの腫瘍ができやすいと言いますが、女性ホルモンの乱れは生活習慣の乱れと密接に関係しています。食生活が年々欧米化していることで、肥満や糖尿病、高血圧などの生活習慣病になってしまう人が増えているのです。

生活習慣の乱れによって腫瘍が発生するリスクも高まるということを知っておきましょう。日ごろの生活を気をつけることも立派な予防対策になります。

2-2.卵巣機能の異常や重度の月経前症候群

基本的に月経はホルモンサイクルである28日周期でやってくると言われていますが、中には月経が不定期にやってくるという人も多いでしょう。月経不順、無月経といった月経前症候群でも重度に陥ってしまっている人ほど卵巣がんを発症しやすいという調査結果が出ています。

月経に問題がみられるということは、何かしら卵巣機能に異常があらわれているということ。不定期に月経がやってくる人や心当たりがある人は一度専門科で受診してください。卵巣機能に異常がみられればすぐに治療していかなければなりません。月経前症候群の傾向がみられる方は要注意です!

2-3.遺伝も関係ある!?

両親や祖父母ががんになれば発症する確率も高いと言われていますが、卵巣がんにおいても「遺伝」は見逃せません。実際に、卵巣がんを発症した家族がいない人よりも親・祖父母といった2親等内で発症したことがある人の方が卵巣がんの発症率が高いということが分かりました。

つまり、身内に卵巣がんを発症させた人がいれば、自分も発症するかもしれない恐れがあるということになります。とても怖いと感じますが、あらかじめ発症する恐れがあることを知っておけば、定期的に検査をして卵巣がんを防ぐための対策をたてることができます。こうやって考え方をポジティブに変えていくことも卵巣がんと向き合う大切なポイントです。

卵巣がんの原因は、遺伝も関係しているんですね。
はい。血縁者に卵巣がんのカンはがいる場合、若いうちから定期的な検診を受けることがおすすめです。

3.卵巣がんの早期発見や予防法

3-1.早期発見が大きなカギになる

基本的にがんは「早期発見」が大きなカギになります。卵巣がんは初期症状が非常に分かりにくいがんとなっているため、なかなか気づく人がいません。気づきにくい分、どうやって早期発見をするのかというと1番手っ取り早い方法は、「定期健診」なのです。定期的に卵巣がんの検査をすることで早期発見につながり、初期段階で治療がおこなえるでしょう。

卵巣がんの検査方法は主に、「画像診断」「腫瘍マーカー」「細胞・組織検査」の3つ。少しでもがんの疑いがあれば徹底的に検査をすることになるでしょう。検査が面倒くさい、お金がかかるから…と避ける人もいますが、発見が遅くなってしまえば取り返しのつかないことになります。自分の健康のためにも定期健診を受けましょう。

3-2.知っておきたい卵巣がんの初期症状

卵巣がんは自覚しにくいがんと言われていますが、初期症状さえ知っておけば自分で気づき、すぐ病院で検査してもらえるかもしれません。知らないまま卵巣がんを放置するよりも初期症状を知り、卵巣がんかもしれないという疑いを持つことが大切です。卵巣がんの初期症状は主に4つ挙げられます。

  • トイレが近くなる
  • 骨盤、腹部に痛みが出る
  • 食べていないのに満腹感がある
  • 腹部がふくらみ出す

これらの症状に少しでも当てはまならば卵巣がんを発症している可能性があります。すぐに病院に行って検査してもらいましょう。初期症状が出ても治まれば「ただの体調不良かな?」と感じますが、もしこのような症状が月に12回以上もある、長く続く場合は要注意です。不安な気持ちのまま過ごすよりも受診し、理由を知った方が安心して生活できるでしょう。

3-3.どうやって卵巣がんを予防する?

なかなか気づけないがんであることから、日々の生活での予防が大切。卵巣がんの予防は当たり前に過ごしている「生活習慣」が大切なポイントです。発がん性物質を生み出さないことが予防の目標になります。

  • 発がん物質を抑制するビタミン類を摂ること
  • 栄養バランスが良い食生活
  • お酒やタバコはNG
  • 塩辛い、カロリーが高い食べ物は極力控えめに
  • 紫外線を浴びすぎない
  • 適度な運動を心がける
  • 体を常に清潔に保つこと

特に、日常で気をつけてほしいことは以上の7点です。見ればわかるように、主に「食生活」での注意点がたくさんあります。食べ物は外部から成分を摂取するチャンスなので体に良い成分をバランス良く取り入れていきましょう。

卵巣がんは早期発見すれば、予後も良くなることが多いんですね。
はい。そのためには日常生活に気をつけるのはもちろんのこと、定期的に検診を受けましょう。

まとめ

卵巣がんの早期発見がいかに大切かどうか分かったと思います。がんを発症させないように日常生活を常に気をつけること、第二次予防として定期的に検査を受けることが大切です。

  • 卵巣は腫瘍ができやすい
  • 中高年の発症率が高い“上皮性卵巣がん”と若い世代に多い“卵巣胚細胞腫瘍”がある
  • 生活習慣の乱れが主な原因
  • 月経前症候群や遺伝にも要注意
  • 早期発見が大きなカギになる
  • 卵巣がんの初期症状はぜんぶで4つ
  • 卵巣がんの予防は「生活習慣」と「定期健診」

卵巣がんに対して不安を持っている人が少しでも解消できたのなら嬉しいです。不安を打ち消すためにも知識や情報を頭の中に入れておきましょう。

アタナハクリニック院長 矢崎 智子

監修者

矢崎 智子
アタナハクリニック院長
日本産科婦人科学会認定医/高濃度ビタミンC点滴療法学会理事/世界アンチエイジング学会認定医/日本内分泌学会・国際オーソモレキュラー医学会・病巣疾患研究会会員/日本線維筋痛症学会会員

1969年長野県生まれ。平成6年杏林大学医学部卒。産婦人科医としての経験を積んだあと、2005年11月、分子整合栄養医学に基づく栄養療法と東洋医学を中心とした統合医療をおこなうクリニックハイジーアを開設。関節リウマチや線維筋痛症、慢性疲労症候群、摂食障害など、通常治療困難とされる疾患や、不妊症などの婦人科疾患の治療において豊富な臨床経験を持つ。日本では数少ない機能性医療の専門家であり、最も経験豊富な一人。

平成24年、医療とヒーリングの統合を目指し、アタナハクリニックを開設。現在はキネシオロジー(筋肉反射テストを使ったセラピー)の一種であるインテグレートヒーリング(IH)を中心とした統合医療を行なっている。

著書
なぜあなたは食べすぎてしまうのか 低血糖症という病

雑誌掲載歴
2014年:『ゆほびか(6月号)』『スターピープル(vol49)』『スターピープル(Vol.48)』
2013年:『トリニティ(Vol.48)』
2011年:『日経ヘルス(1月号)』
2010年:『VoCE(12月号)』『AERA with BABY』『anan(1月20日号)』
2009年:『クロワッサン(6月10日号)』『クロワッサン(1月25日号)』