乳がんの兆候と症状

早期発見が予防の鍵! 乳がんの兆候と症状

アタナハクリニック 院長 矢崎智子

記事監修
アタナハクリニック 院長 矢崎智子
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日本人の生涯罹患(りかん)率は16人に1人という統計があり、乳がんは女性のなかでも、非常に多いがんの一つです。罹患率は、欧米に比べて少ない日本ですが、食の欧米化などによって年々罹患率が増加しています。乳がんは早期発見・早期解決をすれば、再発を防げる“がん”なのです。

乳がんは自覚症状が少ないがんであることから、乳がんに対する意識を高めることが早期発見できます。乳がんの兆候や早期発見の方法などについて詳しくご紹介しましょう。

  1. 乳がんの兆候は?
  2. 乳がんのリスクを高める生活習慣は?
  3. 意識を高めることが乳がんには大切!
  4. 乳がんの見分け方
  5. 乳がんを早期発見する方法

1.乳がんの兆候は?

乳がんは、自覚症状などに兆候が少ないがんです。早期発見を行なえば、乳がんは治りやすいがんなのですが、日本では病状が進んだ状態で発見されることがよくあります。これは、乳がんに対する意識の低さや定期検診を受けていないことが原因です。自覚症状こそ少ない乳がんですが、早期発見の方法は数多くあります。乳がんの早期発見の方法についてご紹介しましょう。

1-1.乳がん検診

乳がんは検診によって発見することができます。乳がん検診は、発見できる乳がんの種類も異なる特徴があるため注意が必要です。

1-1-1.マンモグラフィ

X線を利用して乳がんを投影する検診です。がんによる微細な石灰化に対して発見する能力が高く、早期発見に向いています。すべての乳がんを発見できるわけではありませんが、マンモグラフィは乳がんの早期発見に必要な検診の一つです。一般的に、マンモグラフィ検査は年に1~2回程度の頻度でおこなわれます。

1-1-2.超音波(エコー)検診

超音波を利用して乳がんを判別する検診です。安全性の高い検診ですが、乳がんの微細な石灰化の発見が難しいという欠点があります。

1-1-3.視触診

乳房の視診や触診によって乳がんを判別する検診です。早期発見は難しいのですが、気軽に受けられる検診として、他の検査や問診などと併用しておこなわれます。上記のような検診は、複合的に利用することで乳がんの早期発見の可能性を高めることが可能です。

乳がん検診を受ければがんを早期発見できる可能性が高まるんですね。
はい。今は自治体の定期検診等でも受けることができます。

2.乳がんのリスクを高める生活習慣は?

乳がんはリスクを知ることも大切な予防の一つです。リスクの高い人は、乳がんの兆候に対して注意深く観察することで早期発見につながります。乳がんのリスクを高める生活習慣について、ご紹介しましょう。

2-1.喫煙習慣

喫煙習慣は乳がんのリスクを高めることが知られています。非喫煙者よりも3.9倍程度、乳がんのリスクが高まるということも知られており、受動喫煙だけでも2.6倍も乳がんのリスクが高まるのです。

2-2.高脂肪の食事

高脂肪の食事は乳がんのリスクを高めます。以前は少なかった、日本人の乳がんが増加傾向にある理由は“食の欧米化”です。日本では非常に速いスピードで肉食が進み、それとともに乳がんの罹患率が高まっています。高脂肪食が乳がんに与える影響は諸説ありますが、乳がんへの影響は大きいことを覚えておきましょう。

2-3.飲酒

飲酒は乳がんのリスクを高める生活習慣です。ただ、影響を及ぼすためには非常に多くのアルコールを摂取した場合であり、飲酒習慣が即乳がんに影響を及ぼすわけではありません。乳がんに影響を及ぼす飲酒の量は、“エタノール換算で1週間に150g”とされています。これは、ワイン16杯(一杯120ml)、ビール大瓶7本、日本酒7合に相当する量です。週にエタノール換算で150g以上の飲酒をすることで、乳がんのリスクは1.75倍高まります。

飲酒や喫煙は乳がんのリスクを高めるんですね。
はい。しかし、今まで嗜好として楽しんできたものをすべてやめると逆にストレスがかかります。何事もほどほどが大切なので、自分の生活習慣を見直してみましょう。

3.意識を高めることが乳がんには大切!

乳がんは意識を高めることで、早期発見・早期治療が可能になります。乳がんに対して意識を高めることは非常に大切なことなのです。そこで、乳がんのリスクと遺伝子についてご紹介します。

3-1.母親や親類が乳がん

乳がんは“遺伝”によって罹患リスクが高まることが知られています。遺伝による乳がんのリスクを知るためには、“遺伝子検査”が非常に有効なのですが、費用も高く遺伝子検査を気軽に受けることはできません。

そこで、簡易的に乳がんの遺伝リスクを知る方法が“母親や親類の乳がんの罹患”です。母親や遺伝的に関係のある親類に、乳がんを発症した人がいる場合には、乳がんになる確率が高まります。

詳しい検査をすることで詳しい確率も分かるのですが、目安として母親や親類の乳がん発症が目安になるのです。自分が乳がんにかかりやすいのか?ということを知ることで、予防や早期発見に向けた対策を立てやすくなります。

乳がんの確率が高いからといって悲観することありません。乳がんの対策の一つとして、発症率を知ることは大切な乳がんへの備えなのです。

乳がんは遺伝する可能性があるんですね。
はい。近い血縁に乳がん患者がいる場合は、若いうちから定期的に検査をするのがおすすめです。

4.乳がんの見分け方

4-1.乳がんと間違いやすい症状とは?

乳がんの兆候と非常に似ている症状はいくつかあります。乳がんと間違いやすい病気についてご紹介しましょう。

4-1-1.乳腺症(にゅうせんしょう)

乳腺症は乳腺に“しこり”が生じる病気です。乳腺に現れる疾病のなかでは最も良性であり、通常であれば治療の必要はありません。乳がんとの違いは、“しこりが痛みを伴う”という点にあります。乳管のなかに水がたまる“乳腺嚢胞(にゅうせんのうほう)”も乳腺症の一つです。

4-1-2.乳腺炎(にゅうせんえん)

乳腺に細菌が感染することで起こる炎症です。授乳中に現れやすい症状で、乳房がはれ、痛みが生じます。悪性の乳がんの症状でも似たものがあり、区別が難しいので注意しましょう。このように、乳がんの兆候と似ている症状のある病気もあるため注意が必要です。

4-2.良性と悪性のしこりの見分け方

乳がんには良性と悪性のしこりの二つがあります。見極めには意思による診察が必要なのですが、良性のしこりもあるということを理解しておきましょう。“良性のしこり”についてご紹介します。

4-2-1.繊維線腫(せんいせんしゅ)

若年層に多い、良性の腫瘍(しゅよう)です。腫瘍ですが、良性なのでがんに発生することは非常にまれなので心配する必要はありません。繊維線腫は切除の必要がない場合がほとんどです。

4-2-2.葉状腫瘍(ようじょうしゅよう)

繊維線腫と同じく、良性の腫瘍です。腫瘍が大きくなる特徴があり、手術によって摘出する必要があります。良性の腫瘍ですが、“悪性葉状腫瘍”という悪性のものもあるので注意が必要です。乳がんに似た良性のしこりもあるのですが、判断には医師による診断が必要になります。乳房に異変を感じた場合には必ず医師の診断を受けるようにしましょう。

乳がんとよく似た症状の別の病気もあるんですね。
はい。だからこそ定期的な乳がん検診を受けることが大切です。

5.乳がんを早期発見する方法

乳がんを早期に発見するためには、“乳がんに対する意識を高め”“定期的に乳がん検診を受ける”などの対策が必要です。乳がんに対する意識を向上し、定期的な乳がん検診を受ければ、乳がんは怖い病気ではありません。乳がんは正しく理解して、正しく対処するということで予防できる数少ない疾病なのです。

やはり、定期的に検診を受けることが大切なんですね。
はい。早期発見するほど乳房を温存できる可能性も高まります。

まとめ

乳がんは早期発見・早期治療をすれば、高い確率で治すことができます。乳がんの兆候を知り早期発見をするためには、乳がんに対する意識を高め、乳がん検診を受けることが大切です。乳がんの検診の特徴と乳がんの兆候についてまとめてみましょう。

マンモグラフィ検診:乳がん検診中心的な検診

  • 微細な乳がんも見つけやすく、乳がんを早期発見できる
  • X線を使用するので、頻繁な利用はできない

超音波(エコー)検診:触診では判別できない乳がんを発見する検診

  • 体に害のない超音波を使用するので検査のためのリスクが低い
  • 極めて初期段階の乳がんの発見が難しい

視触診:乳がんの兆候である“しこり”を確認する検診

  • 気軽に受けられる検診で、他の検診と併用されることが多い
  • 一定の大きさの乳がんでなければ判別が難しい

複数の検診を併用し状況によって使い分けることで、乳がんを早期発見できます。検診は乳がんの兆候を知るための大切な備えなのです。乳がんのリスクに関する相談や乳がん検診は、乳腺外科のある医院やがん治療を受けられる医院で受けられます。乳がんの正しい知識を身につけ、乳がん検診をしっかりと受けることで、乳がんは治すことのできる“がん”なのです。乳がんの対する意識を高め、乳がんに対する予防対策を始めてみましょう。

アタナハクリニック院長 矢崎 智子

監修者

矢崎 智子
アタナハクリニック院長
日本産科婦人科学会認定医/高濃度ビタミンC点滴療法学会理事/世界アンチエイジング学会認定医/日本内分泌学会・国際オーソモレキュラー医学会・病巣疾患研究会会員/日本線維筋痛症学会会員

1969年長野県生まれ。平成6年杏林大学医学部卒。産婦人科医としての経験を積んだあと、2005年11月、分子整合栄養医学に基づく栄養療法と東洋医学を中心とした統合医療をおこなうクリニックハイジーアを開設。関節リウマチや線維筋痛症、慢性疲労症候群、摂食障害など、通常治療困難とされる疾患や、不妊症などの婦人科疾患の治療において豊富な臨床経験を持つ。日本では数少ない機能性医療の専門家であり、最も経験豊富な一人。

平成24年、医療とヒーリングの統合を目指し、アタナハクリニックを開設。現在はキネシオロジー(筋肉反射テストを使ったセラピー)の一種であるインテグレートヒーリング(IH)を中心とした統合医療を行なっている。

著書
なぜあなたは食べすぎてしまうのか 低血糖症という病

雑誌掲載歴
2014年:『ゆほびか(6月号)』『スターピープル(vol49)』『スターピープル(Vol.48)』
2013年:『トリニティ(Vol.48)』
2011年:『日経ヘルス(1月号)』
2010年:『VoCE(12月号)』『AERA with BABY』『anan(1月20日号)』
2009年:『クロワッサン(6月10日号)』『クロワッサン(1月25日号)』