睡眠不足と癌の関係

睡眠不足と癌には関係がある? 寝不足が健康に及ぼす悪影響

アタナハクリニック 院長 矢崎智子

記事監修
アタナハクリニック 院長 矢崎智子
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癌は日本人の死因、第1位です。癌は年齢が上がるにつれて発症リスクもアップするので、長寿国日本では仕方がないことかもしれません。しかし、生活習慣や食生活が癌の発症率をアップさせる可能性は高いです。

そこで今回は、睡眠不足と癌の関係をご説明します。いったいどんな因果関係があるのでしょうか?

また、質のよい睡眠の取り方についてもご説明します。最近寝不足気味という方や夜更かしすることが多いという方は、この記事を読んで生活習慣を改めるきっかけを作ってください。

  1. 睡眠の効果は?
  2. 癌と睡眠不足の因果関係は?
  3. 質のよい睡眠を取るには?

1.睡眠の効果は?

まず始めに、睡眠が私たちにどれだけ大切かということをご説明します。疲労回復以外にどんな効果があるのでしょうか?

1-1.睡眠の役割は?

睡眠は、体の機能を低下させて休息させる行為です。眠っている間も脳や心臓をはじめとした内臓は動いていますが、起きているときよりも活動は沈静化しています。眠らなければ、どんな生物もいずれ死んでしまうでしょう。

また、眠っている間に成長ホルモンが分泌されたり代謝が行われたりします。成長ホルモンというと育ちざかりの子どもしか分泌しないようなイメージがありますが、成長ホルモンは一生分泌され続けるのです。寝ることによって副交感神経が活発になり免疫力がアップします。

1-2.睡眠不足になるとどうなるの?

睡眠不足になると、多くの方がイライラしたり集中力が低下したりします。これは脳が十分に休まらないために起こる現象です。

また、内臓にも疲れがたまって食欲低下や便秘・下痢になったりするでしょう。さらに、睡眠不足がひどくなると本人は起きているつもりでも、意識がとぎれる現象が起こるようになります。こうなると、かなり危険な状態です。

1-3.現代は眠りにくい時代?

人間は昼行性の動物です。ですから、日が沈んで暗くなると自然と眠くなります。しかし、現在は夜中でも電灯の光があるので昼間と変わりありません。

また、コンビニなど24時間営業の店が多く、夜中に買い物をしたり食事をしたりすることもできます。さらに、夜勤という働き方も出てきたため、日中が睡眠時間という人も増えているでしょう。

そして、現在はインターネットやテレビなど体を動かさず頭だけを使う娯楽が増えています。運動不足で頭だけを使う状態が続くと、「頭は使っているけれど、体は運動不足で眠りにくい」といことになるのです。

睡眠不足は、健康に深刻な悪影響を与えるんですね。
はい。無理をすると取り返しのつかないことになります。

2.癌と睡眠不足の因果関係は?

では、癌と睡眠不足にはどのような因果関係がるのでしょうか? この項では、その一部をご紹介します。

2-1.ストレスがたまる

睡眠不足は、それ自体が強いストレスになります。ストレスは、癌の発症率をアップさせるのです。

また、睡眠不足になると消化吸収の能力も落ち、便秘や下痢になりやすいでしょう。腸の内部にいつまでも便がたまっていたり逆に活発に動きすぎたりして腸内細菌が全部出てしまったりすれば、大腸癌の発症率があがります。

2-2.免疫力が低下する

私たちの回りにはいろいろな発癌性物質があります。極端な話、太陽光も電磁波の一種のため長く浴びすぎると皮膚癌の発症率がアップするでしょう。癌とは異常な細胞が増殖することで発症します。ですから、私たちは寝ている間に免疫力をアップさせて異常な細胞が発生しないようにしているのです。

しかし、睡眠不足になれば免疫力が低下します。免疫力の低下というと、風邪をひきやすくなるというイメージがありますが癌の発症率にも影響を与えるのです。

2-3.自律神経が狂いやすくなる

自律神経とは消化吸収や呼吸などをつかさどっている神経のことです。生きるのに必要だけれど、意志の力ではコントロールできない体の機能をつかさどる神経といえば、理解しやすいでしょう。自律神経には交感神経と副交感神経があり、交感神経が活発になると緊張感が高まって血圧が上がり、副交感神経が活発になるとリラックスモードになって心拍数が低下して眠くなります。

つまり、起きている間は交感神経が活発になり、眠くなるにしたがって副交感神経が活発になってくるわけです。しかし、睡眠不足になるとこの自律神経の交換がうまくいかなくなります。そのため、さまざまな体の不調が現れてくるでしょう。

特に、血圧が高すぎたり低すぎたりすれば癌以外の病気を発症するおそれもあります。さらに、前述した便秘も自律神経の乱れからくる場合もあるのです。自律神経が狂うということは、体の機能がうまく働かなくなるということ。ストレスもたまりやすくなり、免疫力も落ちて癌が発症しやすくなるのです。

ストレスや免疫力の低下が癌発症の引き金になることもあるんですね。
はい。睡眠不足を長年続けるほど発症する可能性が高くなるでしょう。

3.質のよい睡眠を取るには?

睡眠不足を解消するためには、長く寝るだけでなく質のよい睡眠が大切です。では最後に、質のよい睡眠を取る方法をご説明しましょう。

3-1.長く眠ればよいというわけではない

人間は深い眠りである「レム睡眠」と浅い眠りである「ノンレム睡眠」を交互に取ります。ノンレム睡眠だけでは、いわゆる「眠りが浅い」状態になるでしょう。また、ノンレム睡眠からいきなり覚醒すれば、しばらくは頭も体も働きません。

これが、「目覚めが悪い」状態です。ですから、長く眠れば睡眠不足が解消するわけではありません。休日に「普段の睡眠不足解消」とばかりに長く眠ってしまうと、かえって睡眠のリズムが狂ってしまいます。

3-2.質のよい眠りに入るためには?

理想的な睡眠は、眠りに入って1時間後くらいにノンレム睡眠に入ることです。そして、起きる30分前にレム睡眠に移行し、だんだんと体が目覚めていけばすっきりとおきられるでしょう。
そのためには、胃腸を空っぽにして頭を睡眠モードにすることが大切です。満腹になると眠くなりますが、そのままベッドに入れば眠っている間中内臓は消化活動をしなくてはなりません。これでは、内臓を休めないでしょう。

また、寝る直前までスマートフォンやテレビを見ていると、脳が興奮して寝付けません。ですから、眠る3時間前までに食事を終え、眠る1時間前にはインターネットやテレビを消しましょう。

3-3.理想の睡眠時間は6時間~8時間

ベストな睡眠時間は人によって違います。4時間程度で問題ない人もいれば、10時間寝なければダメという人もいるでしょう。しかし、統計によると6時間~8時間の睡眠が最も理想という人が多いそうです。ですから、睡眠時間が6時間以下の人は、もう少し長く眠るように心がけてください。朝6時に起きるなら、夜12時までには眠りましょう。

質の良い睡眠をとることが大切なんですね。
はい。寝る前は脳をよく休めることが大切です。

おわりに

今回は癌と睡眠不足の因果関係をご紹介しました。

まとめると

  • 睡眠不足のストレスやイライラが癌の発症率をあげる。
  • 睡眠不足だと免疫力が低下してがんの発症率があがる。
  • 睡眠不足になると自律神経が狂いやすくなり、消化機能が低下したり便秘になったりして内臓がいたみやすくなる。

ということです。

仕事をしていると、なかなか眠る3時間前の夕飯は難しいかもしれません。しかし、土日など休日は努めて早寝早起きをして、睡眠不足を解消しましょう。休みだからといって午後まで寝て、夜更かしをしていれば睡眠不足は解消できません。

健康食品を食べたりサプリメントを利用したりするよりも、規則正しい生活を送る方が、癌の発症率を抑えられるでしょう。さっそく、次の休日から規則正しい生活を始めてみませんか?

アタナハクリニック院長 矢崎 智子

監修者

矢崎 智子
アタナハクリニック院長
日本産科婦人科学会認定医/高濃度ビタミンC点滴療法学会理事/世界アンチエイジング学会認定医/日本内分泌学会・国際オーソモレキュラー医学会・病巣疾患研究会会員/日本線維筋痛症学会会員

1969年長野県生まれ。平成6年杏林大学医学部卒。産婦人科医としての経験を積んだあと、2005年11月、分子整合栄養医学に基づく栄養療法と東洋医学を中心とした統合医療をおこなうクリニックハイジーアを開設。関節リウマチや線維筋痛症、慢性疲労症候群、摂食障害など、通常治療困難とされる疾患や、不妊症などの婦人科疾患の治療において豊富な臨床経験を持つ。日本では数少ない機能性医療の専門家であり、最も経験豊富な一人。

平成24年、医療とヒーリングの統合を目指し、アタナハクリニックを開設。現在はキネシオロジー(筋肉反射テストを使ったセラピー)の一種であるインテグレートヒーリング(IH)を中心とした統合医療を行なっている。

著書
なぜあなたは食べすぎてしまうのか 低血糖症という病

雑誌掲載歴
2014年:『ゆほびか(6月号)』『スターピープル(vol49)』『スターピープル(Vol.48)』
2013年:『トリニティ(Vol.48)』
2011年:『日経ヘルス(1月号)』
2010年:『VoCE(12月号)』『AERA with BABY』『anan(1月20日号)』
2009年:『クロワッサン(6月10日号)』『クロワッサン(1月25日号)』