日焼けが皮膚がんのリスクを高める

日焼けが皮膚がんのリスクを高める? 因果関係と対策方法を解説

アタナハクリニック 院長 矢崎智子

記事監修
アタナハクリニック 院長 矢崎智子
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真っ黒に日焼けしている人を見ると、健康的なイメージを持つ人が多いでしょう。しかし、あまりにも無防備に紫外線を浴び続けていると「皮膚がんの原因になるのでは…」と心配になるものです。紫外線が皮膚に悪いことは、誰もが知っています。日焼けは、本当に皮膚がんの原因になるのでしょうか。

この記事では、日焼けによる皮膚がんのリスクや日焼け対策についてご紹介したいと思います。

  1. 日焼けの仕組み
  2. 日焼けによる皮膚がんのリスク
  3. 日焼け対策

1.日焼けの仕組み

日焼けと皮膚がんの関係を知る前に、まずは日焼けの仕組みについてご紹介します。紫外線を浴びると、なぜ日焼けするのでしょうか。日焼けは医学用語で「日光皮膚炎」と呼ばれます。日光を浴びた皮膚が赤くなったり黒くなったりするのは、実は太陽光による「やけど」なのです。

太陽光線の中には紫外線が含まれており、その紫外線によって皮膚が刺激を受けると、日焼けした状態になります。日光を浴びた4~5時間後に皮膚が赤くなり始め、数日後、色素沈着して黒くなるのが一般的な日焼けです。

なぜ皮膚が赤くなるのかというと、皮膚に紫外線が当たることで血管を拡張する作用のある物質が作られるため。その物質の作用によって血管が広がり、血液量が増えて皮膚が赤くなるのです。

日焼けはやけどの一種なんですね。
はい。ですから、人によっては日焼けすると皮膚が真っ赤になって激しい痛みを伴うこともあります。

2.日焼けによる皮膚がんのリスク

では、日焼けと皮膚がんの関係やリスクについてまとめてみましょう。普段から日光に当たる機会が多い人は、ぜひチェックしてみてください。

2-1.日焼けと皮膚がんの関係

紫外線を浴びると、基底細胞にある遺伝子が傷つくことになります。傷ついた遺伝子は修復されますが、大量の紫外線を浴びて多量の傷ができた場合、傷が治らないこともあるのです。傷が正しく修復されず、間違ったかたちで治される場合もあります。

特に、子供は細胞分裂が盛んなため、大人以上に間違って修復される確率が高くなるでしょう。間違って修復され、正常な細胞でなくなった遺伝子は、皮膚がんの原因になってしまうのです。

2-2.紫外線による皮膚がんの種類

皮膚がんといっても種類はいくつかあります。それぞれ症状や治療法が異なるため、詳しく知っておきましょう。

基底細胞がん

表皮の一番奥にある基底層の細胞から発生するがんで、皮膚がんの中で最も多くなっています。紫外線の影響によって発症するものと考えられており、頭と顔の発症率が80%以上です。

有棘細胞がん

表皮の有棘(ゆうきょく)層にある細胞から発生するがんです。特に、中波長紫外線の影響が大きいといわれており、日光に当たりやすい部位に多く発症します。

悪性黒色腫

最も悪性度の高いがんです。メラニン色素を生成するメラノサイトや、ほくろの細胞ががん化することが多くなっています。

2-3.日焼けによる皮膚がん発症の確率

オーストラリアでは、すべてのがん患者の約半分が皮膚がん患者だといわれています。紫外線が皮膚がんの原因になる可能性が高いと考えられているのです。日本ではオーストラリアほど皮膚がんの発症率が高くありません。オーストラリアのように、国をあげての紫外線対策はすすんでいないようです。しかし、環境破壊やライフスタイルの多様化により、日本人の皮膚がん発症率は年々増えつつあります。日頃から、皮膚がんに対する理解を深めておくべきでしょう。

日焼けをすると皮膚がんを発症するリスクが上がるんですね。
はい。日焼け対策の必要性は年々高まっていると言っていいでしょう。

3.日焼け対策

最後に、日焼け対策についてご紹介したいと思います。紫外線の影響を防ぎ、皮膚がんの発症を避けるためには、どのような対策が必要なのでしょうか。

3-1.日焼け止めの効果は絶大

シミやソバカスを防ぐために日焼け止めを塗っている人は多いでしょう。しかし、日焼け止めは美容のためだけでなく、皮膚がんの防止にも大きな効果があるのです。皮膚がんは「p53」と呼ばれる遺伝子と深くかかわっています。この遺伝子は、紫外線によってダメージを受けたほかの遺伝子を修復する機能を持っているのです。紫外線は、p53遺伝子にもダメージを与えます。そのダメージによってp53遺伝子がダメージを受けて変異してしまうことで、ほかの遺伝子を修復できなくなるでしょう。その結果、がん細胞が生まれるのです。

つまり、p53遺伝子さえ正常に機能していれば、皮膚がんの発症を防ぐことができるということになります。海外の研究チームがp53と日焼け止めについて調査したそうです。日焼け止めを塗った人の場合、24時間以内にp53遺伝子の変異が確認できなかった、という結果が出ています。涼しい時期になるとつい油断してしまいがちです。しかし、屋外で過ごす時間が長い人は、必ず日焼け止めを使用することを忘れないようにしましょう。

3-2.食べ物で日焼け対策も

紫外線対策に有効な栄養素には、ビタミンA、ビタミンC、ビタミンEがあります。特に、ビタミンCは紫外線対策に効果のある化粧品にもよく使用されていることで、ご存じの人も多いでしょう。この3つの栄養素は、体内から摂取することでより効果的に働きます。日焼け対策として有効な食べ物の1つが、トマトです。トマトにはビタミンA、C、Eが豊富に含まれており、紫外線に負けない体質を手に入れることができるでしょう。お酢とあえれば1週間は持ちます。夏の常備菜として活躍してみてはいかがですか?

3-3.日焼け防止グッズを活用しよう

日焼け止めを塗るだけでは不安な場合は、日焼け防止グッズを活用しましょう。UVカット効果のあるカーディガンやパーカー、帽子なども販売されています。ストールやストッキングなどの小物を活用する方法もよいでしょう。

また、洋服に吹きかけることでUV加工済みに変わるスプレーなどもおすすめです。注目なのは、紫外線チェックアクセサリー。紫外線が強ければ強いほど、アクセサリーの色が濃くなる仕組みになっています。外出前に紫外線チェックができるため、日焼け対策もバッチリです。

日焼け止めを塗ったり帽子などをかぶったりすることで、日焼けを防ぐことができるんですね。
はい。長時間屋外で過ごすときは、必ず日焼け対策を行いましょう。

まとめ

日焼けによる皮膚がんのリスクについてご紹介しました。

  • 日焼けの仕組み
  • 日焼けによる皮膚がんのリスク
  • 日焼け対策

「屋外にいる時間が長く、いつも日焼けしている」「日焼けが皮膚がんの原因になるのか知りたい」という人は、ぜひこの記事を参考にしてみてください。

アタナハクリニック院長 矢崎 智子

監修者

矢崎 智子
アタナハクリニック院長
日本産科婦人科学会認定医/高濃度ビタミンC点滴療法学会理事/世界アンチエイジング学会認定医/日本内分泌学会・国際オーソモレキュラー医学会・病巣疾患研究会会員/日本線維筋痛症学会会員

1969年長野県生まれ。平成6年杏林大学医学部卒。産婦人科医としての経験を積んだあと、2005年11月、分子整合栄養医学に基づく栄養療法と東洋医学を中心とした統合医療をおこなうクリニックハイジーアを開設。関節リウマチや線維筋痛症、慢性疲労症候群、摂食障害など、通常治療困難とされる疾患や、不妊症などの婦人科疾患の治療において豊富な臨床経験を持つ。日本では数少ない機能性医療の専門家であり、最も経験豊富な一人。

平成24年、医療とヒーリングの統合を目指し、アタナハクリニックを開設。現在はキネシオロジー(筋肉反射テストを使ったセラピー)の一種であるインテグレートヒーリング(IH)を中心とした統合医療を行なっている。

著書
なぜあなたは食べすぎてしまうのか 低血糖症という病

雑誌掲載歴
2014年:『ゆほびか(6月号)』『スターピープル(vol49)』『スターピープル(Vol.48)』
2013年:『トリニティ(Vol.48)』
2011年:『日経ヘルス(1月号)』
2010年:『VoCE(12月号)』『AERA with BABY』『anan(1月20日号)』
2009年:『クロワッサン(6月10日号)』『クロワッサン(1月25日号)』