ほくろと癌には関係がある?

ほくろと癌の関係は? ひと目でわかるほくろと癌の見分け方

アタナハクリニック 院長 矢崎智子

記事監修
アタナハクリニック 院長 矢崎智子
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「近頃、肌にほくろが増えてきて気になる」という方はいないでしょうか。もしかしたら、そのほくろは無害なものではなく、癌かもしれません。ほくろと皮膚にできる癌は見た目が似ているため、混同してしまいやすいのです。

皮膚にできる癌はすぐに対処しないと、命にかかわる危険もあります。今回は、ほくろと癌の関係や見分け方についてご紹介しましょう。

  1. ほくろと癌の関係
  2. 皮膚にできる癌の種類
  3. ほくろと癌の見分け方

1.ほくろと癌の関係

まずは、そもそもほくろとは何か、皮膚にできる癌とどのような関係にあるのかご説明します。癌はともかく、比較的身近なほくろについて「よく知らない」という方は意外に少なくないでしょう。

1-1.ほくろは、メラニン色素が多く集まった部分

人間の肌は、体の一番外側にあります。そのため、日光に含まれる紫外線にさらされることが多い部分です。紫外線は、人体に有害な電磁波で、浴び続けると健康な細胞が破壊され、癌になる危険があります。

我々の体を、この危険な紫外線から守ってくれるのが、肌に含まれているメラニン色素です。メラニン色素には、紫外線を吸収する機能が備わっており、皮膚に広く分布することで体内の細胞が紫外線にさらされるのを防ぐことができます。

メラニン色素は、通常、皮膚の中に一様に分布しているものです。しかし、部分的にメラニン色素を含む細胞が多く集まってしまう場所ができることもあります。その「メラニン色素が多く集まった場所」こそが、我々がほくろと呼んでいる部分。メラニン色素は黒褐色なので、多く集まると黒い点のように見えてしまうのです。

1-2.皮膚にできる癌はほくろと見間違いやすい

ほくろは、医学的には「良性腫瘍」に分類されます。つまり、存在していたとしても体に害はないもの、と見なされているのです。

一方、良性腫瘍と対照的な関係にある「悪性腫瘍」と呼ばれるものもあります。悪性腫瘍とは、良性腫瘍とは異なり、存在していると体に害がある腫瘍のことです。悪性腫瘍の中でも、特に知名度が高いのは「癌」でしょう。癌は悪性腫瘍の一種なのです。

ほくろと皮膚にできる癌は、見た目がとても似ています。どちらも色が黒っぽく、皮膚の上で点のように見えるからです。皮膚にできる癌を「ほくろだろう」と勘違いして治療が遅れてしまい、手遅れになってしまったケースも少なくありません。

1-3.刺激を与えてもほくろが癌に変わることはない

ほくろと癌には直接的な関係はありません。しかし、姿形が似ていることから、関連付けて語られることはよくあります。たとえば、ちまたでよくささやかれる「ほくろをいじると癌になるからいじってはいけない」といううわさ話を聞いたことがある方はいないでしょうか。このうわさは真実ではありません。ほくろに刺激を与えても、癌に変化することはないので安心してください。

ただし「ほくろだと思っていたものが実は癌だった」という場合は話が別です。下手に刺激を与えることで、癌の成長を促進してしまうこともあります。むやみにほくろをいじるのは避けたほうがいいでしょう。

ほくろと癌には直接的な関係はないんですね。
しかし、皮膚にできる癌をほくろと勘違いして治療が遅れてしまったケースもあります。

2.皮膚にできる癌の種類

皮膚にできる癌は、いくつかの種類があります。あらかじめどのような症状が現れるのか知っておき、早期発見する心構えをしておくことが大切です。この章では、ほくろと見間違いやすい、皮膚にできる癌の種類をご紹介しましょう。

2-1.悪性黒色腫(メラノーマ)

悪性黒色腫は、ほくろと見間違いやすい癌の代表例です。皮膚の表面にほくろのような黒い病変となって現れることが多く、実に3割が足の裏に現れます。

主な原因とされているのは、皮膚に対する繰り返しの刺激や、紫外線による影響。進行が早く、転移することも多い危険な病気です。

しかし、早期発見できれば治療は難しくありません。癌が皮膚の上にとどまり、ほかの部位への転移がない状態であれば、5年生存率は90%を超えます。

2-2.基底細胞癌

基底細胞癌とは、皮膚の最も深い部分にある「基底層」と呼ばれる部分の細胞が癌化したものです。顔や頭などに現れることが多く、症例の80%が頭部に集中しているといわれています。長い年月の間、紫外線を浴び続けたことが原因と考えられており、50歳以上の高齢者に多く見ることができる病気です。

症状は、顔の一部にほくろのような黒い点ができることから始まります。その時点で手術を行えば治療は可能ですが、悪化すると転移してしまう可能性も。自覚症状がないため、目で見て発見することが大事だといえるでしょう。

2-3.有棘細胞癌(ゆうしさいぼうがん)

有棘細胞癌とは、皮膚の中間辺りにある有棘層(ゆうしそう)と呼ばれる部分の細胞が癌化したものです。ほとんどの場合、赤いできものや潰瘍のような見た目をしていますが、まれにほくろのように黒い点に見えることもあるのでご紹介したいと思います。

紫外線などのほか、子宮けいがんの原因である「ヒト乳頭腫ウイルス」によっても引き起こされる病気です。70歳以上の高齢者、特に男性の患者が多く発症しています。

自覚症状はありませんが、患部がうみ、悪臭を放つので注意しましょう。発症する部位によってさまざまに形を変えますが、皮膚の表面が盛り上がり、内部がえ死するのが特徴です。

皮膚にできる癌には、いくつかの種類があるんですね。
代表的な悪性黒色腫や、基底細胞癌・有棘細胞癌があります。それぞれの症状や特徴を理解し、早期発見に役立ててください。

3.ほくろと癌の見分け方

いよいよ本題となる、ほくろと癌の見分け方をご紹介しましょう。癌にはほくろにはない独自の特徴がいくつもあります。注意してみていれば、見分けるのは決して難しくありません。

3-1.小さい状態から、徐々に成長している

ほくろは通常、常に同じ大きさです。一方、皮膚にできる癌は癌細胞が成長を続けているため、少しずつ黒い点が大きくなっていきます。毎日観察を続けておき「1か月前とくらべて何だか大きくなっている」と思われたなら、癌の疑いがあると考えていいでしょう。気になるほくろがある場合は、定期的に写真をとるのもいいかもしれません。

3-2.形が左右非対称のもの

大きさのほかに見分けやすい特徴が形です。ほくろは通常、きれいな円の形をしています。しかし、癌の場合は成長のペースによって形がゆがんでいくため、円の形をしていないことが多いのです。

形が左右にゆがんだ楕円形、あるいは正方形や長方形ともいえないいびつな形をしているときは、癌である可能性を疑ってみましょう。左右対称の形かどうか、がポイントになります。

3-3.6ミリ以上の大きさがあり、色がにじんでいる

ほくろは通常、ひとつひとつは大した大きさではありません。ほくろか癌かを見極める基準は「6ミリ以上の大きさがあるかどうか」ということ。6ミリ以上の黒い点は、癌の可能性を疑ってかかってください。

また、ほくろは、どこまでが皮膚でどこからがほくろなのかといった境界線もはっきりしています。一方、癌はにじんだように周囲の皮膚に溶け込み、どこまでが黒い点でどこからが皮膚なのかはっきりしません。「周囲ににじんでいるかどうか」によってもほくろか癌かを見分けることができます。

見分ける方法がちゃんとあるんですね。
大きさや形など、違いを知っていれば見分けるのは難しくありません。

まとめ

「最近、ほくろが増えて気になっている」という方のために、ほくろと癌の関係、ほくろか癌かの見分け方をご紹介してきました。最後にもう一度復習しておきましょう。

  1. ほくろと癌の関係
  2. 皮膚にできる癌の種類
  3. ほくろと癌の見分け方

ほくろは加齢とともに増えていくものです。ほくろが増えると、皮膚にできる癌を見落とす確率も高くなってしまいます。普段から注意して自分の肌を確認する癖をつけるようにしてください。

アタナハクリニック院長 矢崎 智子

監修者

矢崎 智子
アタナハクリニック院長
日本産科婦人科学会認定医/高濃度ビタミンC点滴療法学会理事/世界アンチエイジング学会認定医/日本内分泌学会・国際オーソモレキュラー医学会・病巣疾患研究会会員/日本線維筋痛症学会会員

1969年長野県生まれ。平成6年杏林大学医学部卒。産婦人科医としての経験を積んだあと、2005年11月、分子整合栄養医学に基づく栄養療法と東洋医学を中心とした統合医療をおこなうクリニックハイジーアを開設。関節リウマチや線維筋痛症、慢性疲労症候群、摂食障害など、通常治療困難とされる疾患や、不妊症などの婦人科疾患の治療において豊富な臨床経験を持つ。日本では数少ない機能性医療の専門家であり、最も経験豊富な一人。

平成24年、医療とヒーリングの統合を目指し、アタナハクリニックを開設。現在はキネシオロジー(筋肉反射テストを使ったセラピー)の一種であるインテグレートヒーリング(IH)を中心とした統合医療を行なっている。

著書
なぜあなたは食べすぎてしまうのか 低血糖症という病

雑誌掲載歴
2014年:『ゆほびか(6月号)』『スターピープル(vol49)』『スターピープル(Vol.48)』
2013年:『トリニティ(Vol.48)』
2011年:『日経ヘルス(1月号)』
2010年:『VoCE(12月号)』『AERA with BABY』『anan(1月20日号)』
2009年:『クロワッサン(6月10日号)』『クロワッサン(1月25日号)』