家族が癌になったらどうする?

家族が癌になったらどうする? 上手な接し方のポイント・注意点

アタナハクリニック 院長 矢崎智子

記事監修
アタナハクリニック 院長 矢崎智子
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治療法の発達により、癌は早期に治療を始めれば十分に治る病気になりました。しかし、実際に癌と告知されれば動揺しない方はいないでしょう。それは家族も同じです。場合によっては、本人よりも家族が動揺してしまうかもしれません。

そこで、今回は家族が癌患者と上手に接する方法をご紹介します。家族も不安ですが、本人はもっと不安なのです。ですから、接し方によってはお互いの気持ちがぎくしゃくするかもしれません。家族が癌かもしれないという方や家族が初期の癌と告知された方は、ぜひこの記事を読んで接し方の参考にしてください。

  1. 現在の癌告知事情は?
  2. 癌はどのような病気?
  3. 癌患者と上手に接する方法は?

1.現在の癌告知事情は?

一昔前までは、癌告知は家族にだけ行われてきました。ドラマや映画などで、医師と患者の家族が「本人には知らせないでおきましょう」と話し合うシーンを見たことがある、という方もいるでしょう。これは、「死ぬかもしれないという不安を患者に与えないため」の配慮でした。しかし、現在では本人に告知することが一般的です。

意志と判断能力があれば、子どもでも高齢者でも告知する病院が多いでしょう。中には、家族全員を集めて丁寧に説明してくれる病院もあります。ですから、今では逆に「家族が心配するから家族には伝えないで欲しい」と申し出る患者もいるそうです。

2.癌はどのような病気?

癌患者への接し方をご説明する前に、まずは癌等いう病気の特徴をご紹介します。癌は、日本人の死亡原因第1位の病気です。ですから、とても怖いものというイメージを持っている方も多いでしょう。しかし、治療法の進歩によって癌は不治の病ではなくなりました。

2-1.癌と死はイコールではない

毎年たくさんの方が癌で亡くなっています。しかし、それと同じくらいたくさんの方が癌を克服し、以前と変わらない生活へ復帰しているのです。癌は、どんな人でもかかる病気。有名人が癌を告白し、しばらくして訃報を聞くこともあるでしょう。でも、すべての癌患者が同じように亡くなる、ということはありません。

2-2.癌治療はマラソンと同じ

癌と告知されたらあっという間に亡くなる、というイメージを持っている方もいるでしょう。癌が進行している場合は、告知から間を置かずに亡くなってしまうケースもあります。しかし、発見された癌がごく初期の場合は、時間をかけて治療していくのです。また、高齢者の場合は細胞分裂の速度が鈍っていますから、癌の進行が遅いケースも珍しくありません。進行が遅い癌の場合は経過観察をするだけ、ということもあるでしょう。

ですから、癌治療は焦ってはいけません。マラソンのように急ぎすぎず、補給もしっかりしながら行うことが大切です。

2-3.治療をしながら日常生活を送っている方も多い

癌の治療というと入院しながら行うもの、と思っている方も多いと思います。しかし、日常生活を送りながら、癌治療を行っている方も少なくありません。

その一方で、癌治療は体に負担がかかるものもあります。ですから、一見元気そうに見えても健康なときと同じように生活することは難しいでしょう。家族のサポートが大切になります。

3.癌患者と上手に接する方法は?

癌を告知された方は非常にナイーブになっています。では、家族としてどのように患者を支えていけばよいのでしょうか? この項では、癌患者と上手にお付き合いする方法や注意点をご説明していきます。

3-1.ネガティブな言葉をかけすぎない

癌を告知されて、平静でいられる方はいません。自覚症状があったとしても、「まさか自分が」と思う方は多いのです。ですから、「癌になった」という事実を受け入れて治療に前向きになるまでに、患者の感情は大きく揺れ動くでしょう。医師や家族に対して、八つ当たりのような態度を取る人もいるかもしれません。

このような感情の揺れは一時的なものですが、家族が一緒に感情的になってしまうと落ち着くまで時間がかかるでしょう。

また、家族が「心配だ」「大丈夫?」「これからどうしよう」などのネガティブな言葉をかけすぎても、患者は余計に不安になります。

3-2.はげましすぎは逆効果

癌の治療は体に負担がかかるものが多いです。また、癌は治ったように見えても再発する可能性があります。さらに、手術をしてみないと転移しているかどうか分からない、というケースもあるのです。患者の受けるストレスはとても大きいでしょう。

そのうえさらに家族から「がんばれ」「負けるな」とはげまされると、「これ以上がんばれといわないで」と思うかもしれません。

3-3.大切なのは見守り寄りそうこと

家族が癌を告知されたら、とても心配になるでしょう。何か自分にできることはないか、と考える方も多いと思います。しかし、家族は先走ってあれこれと動くより、患者に求められたときに応えるくらいでちょうどよいのです。

癌を告知されれば、日常は一変するでしょう。家族がいつもと変わらずに接してくれたら、患者はその方がほっとするのです。また、癌の治療方針は患者と医師が話し合った結果を尊重してあげてください。望まない治療を行うのは、苦痛です。

3-4.うつ状態に気をつける

癌の治療は長期間にわたります。また、治療内容によっては痛みを感じることもあるでしょう。将来への不安と肉体の不調から、うつ状態になる方も珍しくはないのです。癌患者の15%~30%はうつ状態である、という報告もあります。うつ状態を放っておくと治療の効果もあがりません。

患者が沈みこんでいたら叱咤激励(しったげきれい)するのではなく、「つらいね」「苦しいね」と、マイナスの感情に理解を示してください。現在は、「難病でもがんばっている人」が尊ばれる風潮があります。ですから、弱音を吐きにくい人も多いのです。なので、あまり患者が沈んでいたら、心療内科にも相談してみましょう。

3-5.治療法を押しつけない

癌にはいろいろな治療法があります。病院から処方される薬のほかに、健康食品や漢方薬を摂取している方もいるでしょう。患者本人が納得して行っているなら、問題はないです。しかし、家族が無理やり「この健康食品が効く」「この漢方が効く」と患者に押しつけてはいけません。

また、神仏頼みも程々にしてください。治療で消耗している患者を、さらに疲れさせることは控えましょう。

おわりに

今回は、癌患者への上手な接し方についてご説明しました。

まとめると

  • 癌は治療法の進歩により、治る病気になってきた。
  • 癌の治療は時間がかかるので、焦らないことが大切。
  • はげましすぎは逆効果。
  • 患者の気持ちに寄り添うことが大切。

ということです。

癌を発症していても、前向きに生きておられる方はたくさんいます。しかし、そのような方も最初から前向きだったわけではないでしょう。落ちこんだり、後ろ向きになったりしたこともあったはずです。家族は、患者が本音でぶつかり合える相手。ですから、患者が取り乱したり落ちこんだりしたら、無理に対処をせずに寄りそってあげてください。

弱い自分を受け入れてくれる相手が傍にいる、というだけでとても心強いものです。また、努めて今までと同じ生活をするように心がけるとよいでしょう。家族が不安になったり暗くなったりしていると、患者も本音が話せなくなってしまいます。

アタナハクリニック院長 矢崎 智子

監修者

矢崎 智子
アタナハクリニック院長
日本産科婦人科学会認定医/高濃度ビタミンC点滴療法学会理事/世界アンチエイジング学会認定医/日本内分泌学会・国際オーソモレキュラー医学会・病巣疾患研究会会員/日本線維筋痛症学会会員

1969年長野県生まれ。平成6年杏林大学医学部卒。産婦人科医としての経験を積んだあと、2005年11月、分子整合栄養医学に基づく栄養療法と東洋医学を中心とした統合医療をおこなうクリニックハイジーアを開設。関節リウマチや線維筋痛症、慢性疲労症候群、摂食障害など、通常治療困難とされる疾患や、不妊症などの婦人科疾患の治療において豊富な臨床経験を持つ。日本では数少ない機能性医療の専門家であり、最も経験豊富な一人。

平成24年、医療とヒーリングの統合を目指し、アタナハクリニックを開設。現在はキネシオロジー(筋肉反射テストを使ったセラピー)の一種であるインテグレートヒーリング(IH)を中心とした統合医療を行なっている。

著書
なぜあなたは食べすぎてしまうのか 低血糖症という病

雑誌掲載歴
2014年:『ゆほびか(6月号)』『スターピープル(vol49)』『スターピープル(Vol.48)』
2013年:『トリニティ(Vol.48)』
2011年:『日経ヘルス(1月号)』
2010年:『VoCE(12月号)』『AERA with BABY』『anan(1月20日号)』
2009年:『クロワッサン(6月10日号)』『クロワッサン(1月25日号)』