良性腫瘍と悪性腫瘍の違い

予備知識として知っておきたい! 良性腫瘍と悪性腫瘍の違い

アタナハクリニック 院長 矢崎智子

記事監修
アタナハクリニック 院長 矢崎智子
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腫瘍(しゅよう)には大きく分けて2種類あります。「良性腫瘍」と「悪性腫瘍」です。このふたつは具体的にどのような違いがあるのでしょうか?

ここでは、良性腫瘍と悪性腫瘍を比較してお伝えしていきます。

  1. 良性腫瘍と悪性腫について
  2. 良性腫瘍と悪性腫瘍の違い
  3. 早い段階で区別をつける必要がある
  4. 治療法

1.良性腫瘍と悪性腫瘍について

1-1.腫瘍とは?

腫瘍とは、世間一般にいわれる「できもの」と同じです。ですから、すべての腫瘍が「がん」というわけではありません。異常に増えた細胞がかたまっている状態が腫瘍なのです。

性質の違いにより良性の腫瘍と悪性の腫瘍に分けられ、その「できもの」がある場所で大きくなっているだけのものを良性腫瘍といいます。がんと呼ばれるのは、悪性腫瘍のことです。

1-2.良性腫瘍について

良性腫瘍は、「悪い影響はない」というような意味があるだけで、決してよい影響をもたらすものではありません。良性腫瘍も体に悪影響を及ぼすこともあります。しかし、がんではないので悪性腫瘍よりも安心できるでしょう。

良性腫瘍は切除できるものも多くあります。切除すれば再発する可能性が低いでしょう。切除するかどうかは、医師とよく相談してください。

1-3.悪性腫瘍について

悪性といわれるように、体に悪影響をもたらす腫瘍です。いわゆる「がん」は、悪性腫瘍のことをさしています。治療を要する腫瘍ですから、早めに発見してすぐに治療を始めなければなりません。

良性腫瘍であれば経過観察で済むこともあるんですね。
はい。悪性腫瘍とは異なり、いろいろな治療法の選択肢があるので医師とよく相談しましょう。

2.良性腫瘍と悪性腫瘍の違い

2-1.特徴を比較する

良性腫瘍と悪性腫瘍の違いを、もう少し詳しく見ていきましょう。腫瘍は細胞が異常に増えて発生するものです。しかし、細胞の増え方にも違いがあります。良性腫瘍は細胞がふくらむように大きくなっていきますが、悪性腫瘍の場合は周りの細胞にまで深く入り込んでいくのが特徴です。腫瘍が大きくなるスピードも、悪性腫瘍のほうが早いといわれています。

それから、悪性腫瘍の大きな問題のひとつであるのが、転移する可能性があることです。良性腫瘍の場合は、離れた場所に転移することはほとんどありません。全身への影響も悪性腫瘍の場合は注意しなければなりませんが、良性腫瘍の場合はそれほど気にする必要はないでしょう。そして、悪性腫瘍は切除しても再発する可能性があることも問題です。

このように、さまざまな点において良性腫瘍と悪性腫瘍には大きな違いがあります。

2-2.通常は転移しない「良性腫瘍」

良性腫瘍は細胞がふくらむように大きくなるという性質があり、細胞が増殖する速さも比較的ゆるやかです。腫瘍ができているところから違う場所に飛んで転移する心配も少なく、切除すれば再発する危険性もほとんどありません。

腫瘍ができている箇所には影響がありますが、全身に及ぶようなことはないので命にかかわるような事態になる可能性は低いでしょう。

良性腫瘍の代表ともいえるのが、「子宮筋腫」です。また、「おでき」も良性腫瘍の一種。胃腸や乳腺などにできやすい「腺腫」と呼ばれるものと、肩や背中などの脂肪細胞が異常に増殖してできる「脂肪腫」などがあります。脂肪腫とは、いわゆる「こぶ」のことです。

2-3.転移の可能性がある「悪性腫瘍」

悪性腫瘍は増殖するスピードが速く、周りの組織を巻き込んで広がっていきます。転移をする可能性も高いので、すぐに処置しなければなりません。しかし、悪性腫瘍の場合は切除しても再発する恐れがあります。

増殖するのが早い悪性腫瘍の影響で、ほかの細胞には十分な栄養や酸素が行き届きません。そのため、全身のあちこちで不調が生じます。短期間のうちに命を脅かす状態になることもあるので油断できません。

悪性腫瘍は、胃や腸、肝臓、肺、子宮、乳腺をはじめとした器官や皮膚にできます。骨や筋肉に発生するものや、神経、生殖細胞などにもできるものもあるので注意が必要です。

悪性腫瘍の問題は、制御がきかないこと。周囲の組織や臓器へも入り込んで浸食していきます。そして、血流やリンパ系に侵入することもあるので非常にやっかいな存在なのです。

良性腫瘍は転移しないんですね。
はい。一方、悪性腫瘍は転移するので早期治療が大切です。

3.早い段階で区別をつける必要がある

3-1.良性腫瘍と悪性腫瘍は治療法が異なる

お伝えしたように、良性腫瘍と悪性腫瘍の性質は大きく異なります。当然、治療の仕方も変わってくるのです。ですから、できるだけ早い段階でどちらの腫瘍なのか見極めることが大切になります。悪性腫瘍の場合、早期に発見することがその後の治療を大きく左右するのです。

3-2.良性腫瘍と悪性腫瘍の見分け方

それでは、腫瘍が良性か悪性かを見分けることはできるのでしょうか?

一般的に行われている方法では、腫瘍の増殖スピードにより判断しています。腫瘍の組織を確認して、増殖する可能性のある細胞の数を調べるのです。それにより、腫瘍の増殖スピードを割り出して、良性腫瘍か悪性腫瘍かを判断します。

ただし、このようにして調べても結果が必ずしも正しいとは限りません。確実に確認するためには、慎重に経過を観察しなければならないのです。

3-3.自己判断は禁物

自分の勝手な思い込みで、悪性腫瘍を良性腫瘍と思い込むことは絶対に避けてください。また、逆の思い込みもよくありません。専門の医師による診断を受けましょう。納得がいかない場合には、別の病院で検査を受けるなどしてください。

おかしいなと思ったら早めに検査を受けることが大切なんですね。
はい。また、健康診断も定期的に受けることが早期発見につながります。

4.治療法

4-1.良性腫瘍の治療

良性腫瘍でも何もせずに放っておくと命にかかわることになる可能性もあります。腫瘍の場所や状態にもよりますが、手術で取り除くのが原則です。

4-2.悪性腫瘍の治療

がんである悪性腫瘍の場合には、手術のほか、抗がん剤や放射線治療も行われます。基本的には、この3つの治療法が主流であるといえるでしょう。

手術が可能であれば悪性腫瘍を取り除きます。しかし、手術をできないほど進行している場合や、手術以外の方法が望ましい場合には放射線と抗がん剤による治療を行うと考えてください。

ただし、腫瘍の種類や性質、発生してる場所などによって治療法は変わってきます。担当の医師と治療法についてよく相談することが大切です。

4-3.緩和ケア

悪性腫瘍の治療だけでなく、体と心のつらさをやわらげるための緩和ケアも重要です。悪性腫瘍の治療中は、肉体的にも精神的にも苦痛を感じることがあるでしょう。本人だけでなく、家族も含めた緩和ケアを早い段階から取り入れることも重要です。

腫瘍を取り除く場合は基本的に手術なんですね。
はい。ただし、年齢や腫瘍ができた位置によっては手術が難しいこともあるので、医師とよく相談してください。

まとめ

良性腫瘍と悪性腫瘍の違いはしっかりと理解しておいてください。

  • 異常に増えた細胞がかたまっている状態が腫瘍
  • 「がん」は、悪性腫瘍のこと
  • 良性腫瘍は細胞がふくらむように大きくなる
  • 悪性腫瘍の場合は周りの細胞にまで深く入り込んでいくのが特徴
  • 良性腫瘍は切除すれば再発する可能性はほとんどない
  • 悪性腫瘍は切除しても再発する可能性がある
  • 良性腫瘍は細胞が増殖する速さも比較的ゆるやか
  • 子宮筋腫やおできは良性腫瘍
  • 増殖スピードの速い悪性腫瘍は短期間のうちに命を脅かす状態になることもある
  • 良性腫瘍と悪性腫瘍は治療法が異なる
  • 早い段階でどちらの腫瘍なのか見極めることが大切
  • 腫瘍の増殖スピードを割り出して、良性腫瘍か悪性腫瘍かを判断する
  • がんである悪性腫瘍の場合には、手術のほか、抗がん剤や放射線治療が行われる
  • 良性腫瘍でも手術で取り除くことが多い

良性腫瘍と悪性腫瘍の違いについて、お分かりいただけたでしょうか?正しい治療を受けるためにも、この違いを知っておくことは大切です。

アタナハクリニック院長 矢崎 智子

監修者

矢崎 智子
アタナハクリニック院長
日本産科婦人科学会認定医/高濃度ビタミンC点滴療法学会理事/世界アンチエイジング学会認定医/日本内分泌学会・国際オーソモレキュラー医学会・病巣疾患研究会会員/日本線維筋痛症学会会員

1969年長野県生まれ。平成6年杏林大学医学部卒。産婦人科医としての経験を積んだあと、2005年11月、分子整合栄養医学に基づく栄養療法と東洋医学を中心とした統合医療をおこなうクリニックハイジーアを開設。関節リウマチや線維筋痛症、慢性疲労症候群、摂食障害など、通常治療困難とされる疾患や、不妊症などの婦人科疾患の治療において豊富な臨床経験を持つ。日本では数少ない機能性医療の専門家であり、最も経験豊富な一人。

平成24年、医療とヒーリングの統合を目指し、アタナハクリニックを開設。現在はキネシオロジー(筋肉反射テストを使ったセラピー)の一種であるインテグレートヒーリング(IH)を中心とした統合医療を行なっている。

著書
なぜあなたは食べすぎてしまうのか 低血糖症という病

雑誌掲載歴
2014年:『ゆほびか(6月号)』『スターピープル(vol49)』『スターピープル(Vol.48)』
2013年:『トリニティ(Vol.48)』
2011年:『日経ヘルス(1月号)』
2010年:『VoCE(12月号)』『AERA with BABY』『anan(1月20日号)』
2009年:『クロワッサン(6月10日号)』『クロワッサン(1月25日号)』