癌の進行速度と年齢の関係

癌の進行速度と年齢は関係がある? 若い頃は進行が速いって本当?

アタナハクリニック 院長 矢崎智子

記事監修
アタナハクリニック 院長 矢崎智子
免責事項について

「年齢が若いほど、癌は進行しやすい」という意見を聞いたことはありませんか? 今回は、癌の進行と年齢の関係についてお話しましょう。癌はどの年齢にも発症のリスクはあります。しかし、癌を発症しても「もう手遅れ」とは限らないのです。

この記事では、癌を早期に発見する方法もご紹介します。ぜひ、この記事を読んで癌検診の大切さを理解してください。

  1. 癌とはどのような病気?
  2. 癌と年齢の関係は?
  3. 癌検診を受ける方法は?
  4. おかしいと思ったら早めに病院へ

1.癌とはどのような病気?

癌は、日本人の死因第1位の病気です。心臓を除くほとんどの臓器や血液などで発症し、発症する場所によって「胃癌」「肺癌」「白血病」などと名前が変わります。癌の原因は、「癌細胞」です。私たちの体では毎日たくさんの細胞が作られていますが、そのときに遺伝子異常によって異質な細胞ができることがあります。これが「癌細胞」です。癌細胞が増えると、臓器が正常に機能しなくなってしまいます。

細胞の遺伝子異常がいつ、どこで、どんなふうに起こるのかは残念ながら予測できません。ですから、癌の発症率を下げるために食生活に気を配ったり定期的に検診を受けて癌を早期発見したりすることが大切です。

癌は異質な細胞が増え、増殖していく病気なんですね。
はい。すべての年代で性別関わらずがんを発症するリスクがあります。

2.癌と年齢の関係は?

若いときに癌を発症すると進行が早い、といわれています。それはいったいなぜでしょうか? この項では癌と年齢に関することをご紹介します。

2-1.若いほど癌の進行が早いって本当?

癌細胞は、時間とともに増えていきます。また、癌細胞が増殖するとほかの臓器やリンパ節へも癌細胞が発症するのです。これを「転移」といいます。癌細胞が増えるほど、完治は難しくなるでしょう。

また、「若いころは細胞の分裂が活発だから、癌の進行も早くなる」という説がありますが、すべての癌に当てはまるわけではありません。癌は、年代によって発症しやすいものがあります。高齢者が発生しやすい癌は癌細胞が腺管の形を取る「高分化腺癌」で、比較的発見が簡単です。

一方、若い年代が発症する癌は、癌細胞が組織の中でバラバラに散らばっている「低分化腺癌」というもの。これは発見が難しいうえに、進行が速いのです。つまり、若い年代はもともと進行の速い癌を発症しやすいということ。また、癌は中年以降に発症する病気というイメージを持っている方も多いでしょう。

癌検診も、30代半ば~40代以上の人を対象としたものがほとんどです。ですから、20代~30代前半の方は癌検診を受けたことがない人も珍しくありません。そのため、体調不良で病院に行ったらすでに癌が進行していたというケースも多いのです。

2-2.癌を発症しやすい人っているの?

癌は、高齢になるほど発症のリスクが上がります。しかし、若い年代にも癌が発症しやすい人もいるのです。一例をあげると、遺伝。特定の癌は、遺伝する可能性が高いことがすでに判明しています。血縁者が複数、同じ部位に癌を発症している場合は、ほかの人より癌を発症するリスクが高いでしょう。そのような方は、若いうちから検診を定期的に受けた方がよいですね。

2-3.若いころに発症しやすい癌はあるの?

女性にだけ発症する「子宮頸癌」は、発症のピークが20代~30代です。ですから、20代女性の癌死因1位になっています。子宮頸癌は子宮の入り口にできる癌で、初期のころは自覚症状がほとんどありません。妊娠が分かって検診をした際に発見されることも珍しくないのです。

子宮頸癌は「ヒトパピローマウィルス」というウィルスが原因。このウィルス自体はとてもありふれたもので、性経験がある人ならばほぼ全員が感染しています。ですから、性経験がある女性は20代でも定期的に検診を受けましょう。

また、胃癌の中でも進行が早い「スキルス性胃癌」も、30代で発症する人が多いです。こちらも、男性より女性の方が発症率は高いですので、胃潰瘍(いかいよう)を発症したことがある方は早いうちから検診を受けた方がよいでしょう。

子宮頸癌は20~30代が発症のピークなんですね。
はい。その年代は癌を発症するかもしれないという意識も薄いので、進行するまで気がつかないケースも珍しくありません。

3.癌検診を受ける方法は?

では、癌検診を受けたい場合はどのような方法があるのでしょうか? この項では、癌検診の種類をご説明します。中には、無料か格安で受けられるものもあるのです。

3-1.会社や自治体の健康診断

会社や自治体で毎年行う健康診断の中にも癌検診が含まれています。便潜血検査や肺のレントゲン撮影、胃カメラなどです。企業によってはマンモグラフィーや子宮検診も行ってくれるでしょう。自営業者は、自治体が行ってくれる健康診断に無料で参加できます。お金はかかりませんが短時間で大勢を診察するので、ごく初期の癌は見逃されることがあるでしょう。

また、専業主婦は夫が入っている健康保険組合が指定した病院で健康診断を受けられるのです。しかし、有料ということもあり受診率はそれほど高くありません。

3-2.自治体の検診

多くの自治体では、一定の年齢になったら無料か格安で癌検診を行ってくれます。自治体によっては、診察券が送られてくることもあるでしょう。有効期限内であれば、好きなときに癌検診を受けられます。検査数が少ないので、時間も短くてすむでしょう。しかし、対象年齢が30代半ば~40代のことが多く、20代の方は受けられない自治体がほとんどです。

3-3.病院での自由診療

病院でも、癌検診を行ってくれます。しかし、癌検診は健康保険が適用されません。ですから、普通の検査よりも高額になります。また、一度に複数の検査を受けられる人間ドックなどは、数万円~十数万円かかるでしょう。しかし、自由診療の分、比較的安い値段で検査してくれる病院もあります。

また、人間ドックも「ネット予約割」「夫婦で受診割」「早期予約割」などを行っている病院もあるのです。さらに、加入している健康保険組合によっては、指定病院で検査をすると割引がある場合もあります。「お金をかけてもよいので、体の状態を知りたい」は受診してみましょう。単独の癌検診なら数時間。人間ドックの場合は半日~1泊2日というところが多いです。

自治体でも検診を受けられるんですね。
はい。自治体の検診は無料で受けることができるのでおすすめです。

4.おかしいと思ったら早めに病院へ

癌の初期症状は、だるさや軽い痛み、少量の出血などが多いです。20代のころにそのような症状が出ても、「風邪かな?」と思う方も少なくないでしょう。しかし、風邪や疲れなら若いときほど一晩寝れば回復します。「風邪のような症状が2週間以上続いている」という場合は、念のために病院を受診しましょう。血縁者に癌を発症した人が多いほど、要注意です。

気になる症状が続いたら早めに病院を受診することが大切なんですね。
はい。自分は大丈夫と思い込んではいけません。

おわりに

今回は癌の進行と年齢の関係などをご説明しました。
まとめると

  1. 癌はすべての年代に発症のリスクがある。
  2. 若いころに発症する癌は進行の速いものが多い。
  3. 若いから癌の進行が速いというわけではない。
  4. 定期的に癌検診を受けよう。

ということです。

癌の中には治療の難しいものもあります。その反面、早期発見すれば完治に近い状態になることも多いのです。たとえ今まで病気知らずでも、癌が発症する可能性はあります。ですから、「おかしいな」と感じたらすぐに病院に行きましょう。

また、子宮頸癌や胃癌の検査は20代のうちに受ける習慣をつけておくと安心です。未婚の方にとって、産婦人科は敷居が高く感じるかもしれません。しかし、今は中待合室が設けられていて、ほかの人と顔を合わせなくてすむ病院やスタッフが女性だけの病院も増えています。そのような病院ならば、利用しやすいでしょう。

アタナハクリニック院長 矢崎 智子

監修者

矢崎 智子
アタナハクリニック院長
日本産科婦人科学会認定医/高濃度ビタミンC点滴療法学会理事/世界アンチエイジング学会認定医/日本内分泌学会・国際オーソモレキュラー医学会・病巣疾患研究会会員/日本線維筋痛症学会会員

1969年長野県生まれ。平成6年杏林大学医学部卒。産婦人科医としての経験を積んだあと、2005年11月、分子整合栄養医学に基づく栄養療法と東洋医学を中心とした統合医療をおこなうクリニックハイジーアを開設。関節リウマチや線維筋痛症、慢性疲労症候群、摂食障害など、通常治療困難とされる疾患や、不妊症などの婦人科疾患の治療において豊富な臨床経験を持つ。日本では数少ない機能性医療の専門家であり、最も経験豊富な一人。

平成24年、医療とヒーリングの統合を目指し、アタナハクリニックを開設。現在はキネシオロジー(筋肉反射テストを使ったセラピー)の一種であるインテグレートヒーリング(IH)を中心とした統合医療を行なっている。

著書
なぜあなたは食べすぎてしまうのか 低血糖症という病

雑誌掲載歴
2014年:『ゆほびか(6月号)』『スターピープル(vol49)』『スターピープル(Vol.48)』
2013年:『トリニティ(Vol.48)』
2011年:『日経ヘルス(1月号)』
2010年:『VoCE(12月号)』『AERA with BABY』『anan(1月20日号)』
2009年:『クロワッサン(6月10日号)』『クロワッサン(1月25日号)』