転移性骨腫瘍の症状

骨の癌(がん)、転移性骨腫瘍の症状と治療

アタナハクリニック 院長 矢崎智子

記事監修
アタナハクリニック 院長 矢崎智子
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転移性骨腫瘍とは、癌(がん)が骨に転移したものです。癌(がん)が骨に転移する可能性を予期することは、必ずしも悲観した見方ではありません。早期発見と適切な対応は、より人生を楽しむためのよい備えだからです。実際、転移性骨腫瘍の治療は最近の10年間で大きく進歩しました。正確な知識をもって「敵」を知り、しっかりと迎えうつ姿勢をもちましょう。

  1. 転移性骨腫瘍とは
  2. 転移性骨腫瘍の症状
  3. 転移性骨腫瘍の治療・生存率

1.転移性骨腫瘍とは

1-1.転移性骨腫瘍を発症する理由

転移性骨腫瘍はほかの癌(がん)が骨に転移したものです。そのため、すべての癌(がん)にその可能性があります。転移性骨腫瘍を発症する男性の約5割は、気管支癌(がん)か前立腺癌(がん)からの転移が原因です。女性であれば、乳癌(がん)から発症する割合が5割と言われています。とはいえ、癌(がん)がなぜ転移するのかは環境によっても異なるため、それぞれの癌(がん)は必ず骨へ転移するというわけではありません。

1-2.性別と年齢で見た転移性骨腫瘍の発症状況

転移性骨腫瘍の発症例は、半数が50歳から60歳代という統計結果があります。しかし、この数字は癌(がん)の発症傾向と比例しているため、50歳から60歳代が特に転移性骨腫瘍になりやすいということではありません。とはいえ、癌(がん)を発病したなら、転移性骨腫瘍の可能性は念頭に置くべきです。また、転移性骨腫瘍の発症傾向に男女の別はありません。

1-3.転移性骨腫瘍が気になるなら

癌(がん)の転移について考えることは確かに気の進むことではありません。しかし、家族のことを考え、また早期の適切な治療を考えて確認するのは大切なことです。転移性骨腫瘍が進むと、腫瘍の形成による神経や脊髄への影響も生じます。また、腫瘍が大きくなることによる骨折が生じる可能性もあるのです。定期的な検診による早期発見を心がけましょう。

2.転移性骨腫瘍の症状

2-1.転移性骨腫瘍の発生部位

転移性骨腫瘍が最も多く発生する部位は脊椎です。また、骨盤や大たい骨に発生するケースも多く見受けられます。その他の関節や上腕骨、肋骨(ろっこつ)なども例外ではありません。そのため、骨の痛みがあり、癌(がん)の転移を疑う原因があるなら、すぐに適切な検査を受けましょう。

2-2.転移性骨腫瘍の症状の段階

転移性骨腫瘍の初期段階は、膨張と痛みです。痛みの傾向としては、動作による痛みや夜間に生じる痛みがあります。場所によっては、転移性骨腫瘍が腰痛や背中の痛みを引き起こすケースもあるため注意が必要です。当初の痛みは軽度であるため、痛みが軽くても見過ごすことのないようにしましょう。やがて、腫瘍が大きくなると、骨の強度が低下して痛みが増します。また、骨が弱くなり内部で破壊骨折する可能性もあるでしょう。さらに腫瘍が進行すると激痛となります。早い段階で発見することが何よりも大切です。

2-3.転移性骨腫瘍の発見と診断

転移性骨腫瘍は、原発巣(げんぱつそう)と呼ばれる癌(がん)からの転移によって生じます。そのため、乳癌(がん)や前立腺癌(がん)など転移性骨腫瘍の原発巣(げんぱつそう)になりやすい癌(がん)には注意が必要です。ですから、医師は癌(がん)治療の予後において、骨への転移を定期的に確認することを勧めるでしょう。転移性骨腫瘍は採血でわかる場合もあります。血清アルカリファオスファターゼや血清カルシウム値が高い場合は、骨への転移の可能性を考えなければいけません。また、骨腫瘍は骨への変化があるため、X線検査で骨の異常を発見するケースもあるでしょう。X線でわかる骨の異常には、溶骨型と造骨型があります。溶骨型は骨が弱くなりこわれるもので、造骨型は腫瘍として骨が形成される状態です。X線で骨の異常が確認できるなら、転移性骨腫瘍を疑うことになります。また、MRIや転移組織への病理診断によって発見することもあるでしょう。

3.転移性骨腫瘍の治療と生存率

3-1.転移性骨腫瘍の治療

転移性骨腫瘍の治療にはビスフォスフォ製剤の活用が有効とされています。副作用もないと言われており、注射や内服によって骨転移巣(そう)の抑制や縮小の効果を期待できるでしょう。また、抗癌(がん)剤や放射線治療を選択するケースもあります。骨が弱くなるため、癌(がん)の部分を切除して、人工骨移植や補強を行う治療もあるでしょう。痛みへの対処としては内服薬や少量の放射線治療があります。治療方法は原発巣(げんぱつそう)により異なることが多いようです。たとえば、乳癌(がん)や前立腺癌(がん)ではホルモン療法、甲状腺癌(がん)は放射性ヨウ素の内照射の採用が多く見受けられます。甲状腺癌(がん)、乳癌(がん)、前立腺癌(がん)の場合、進行が遅く予後の良好が多いようです。また、肺癌(がん)、胃癌(がん)、肝癌(がん)の場合は進行が早いケースが多いため注意が必要でしょう。

3-2.転移性骨腫瘍の生存率

骨腫瘍が直接命にかかわることはまれです。癌(がん)の転移が骨だけであり、ほかの臓器への転移がないなら、予後は良好である傾向が多く見受けられます。そのため、ほかの臓器へ転移がないかを常に検査することは大切です。転移性骨腫瘍の生存率は、17%から69%とされており、正確な数値が提示されていません。なぜなら、転移性骨腫瘍が骨だけの転移の場合とほかの臓器への転移がある場合があるため、数値で示すことが難しいからです。とはいえ、生存率の数値に振り回されてはいけません。大切なのは、早めの発見と適切な処置と治療です。

3-3.専門医への相談をお勧めします

転移性骨腫瘍の可能性が高いと感じる場合、まず大切なのは落胆してはいけないという点です。明日のことはだれにもわからないため、決してあきらめてはいけません。不安を大きくすることは、どのような場合でも健康にはよくないものです。前向きになり、しっかりと関連する原因を調べるようにしましょう。体と心の状態は密接につながっています。現状への対応だけではなく、自然医療や機能性医療を活用した原因への対策を考えましょう。治療方法は副作用もしっかりと確認するべきです。癌(がん)の根本治療のためにも専門医へ相談して、適切な治療を受けてください。

まとめ

転移性骨腫瘍は、ほかの癌(がん)の予後に生じる可能性があります。早期発見のためにも、骨の痛みには注意しましょう。定期的な検診を心がけてください。
転移性骨腫瘍は、

  • 採血
  • X線検査
  • MRIや病理診断

などにより発見できます。
治療方法には多様な種類がありますが、根本からの治療のためにも、自然医療や機能性医療を活用した対策を検討しましょう。不安な気持ちのままでいるのはよくありません。自己判断に頼らず、まずは専門医への相談をお勧めします。

アタナハクリニック院長 矢崎 智子

監修者

矢崎 智子
アタナハクリニック院長
日本産科婦人科学会認定医/高濃度ビタミンC点滴療法学会理事/世界アンチエイジング学会認定医/日本内分泌学会・国際オーソモレキュラー医学会・病巣疾患研究会会員/日本線維筋痛症学会会員

1969年長野県生まれ。平成6年杏林大学医学部卒。産婦人科医としての経験を積んだあと、2005年11月、分子整合栄養医学に基づく栄養療法と東洋医学を中心とした統合医療をおこなうクリニックハイジーアを開設。関節リウマチや線維筋痛症、慢性疲労症候群、摂食障害など、通常治療困難とされる疾患や、不妊症などの婦人科疾患の治療において豊富な臨床経験を持つ。日本では数少ない機能性医療の専門家であり、最も経験豊富な一人。

平成24年、医療とヒーリングの統合を目指し、アタナハクリニックを開設。現在はキネシオロジー(筋肉反射テストを使ったセラピー)の一種であるインテグレートヒーリング(IH)を中心とした統合医療を行なっている。

著書
なぜあなたは食べすぎてしまうのか 低血糖症という病

雑誌掲載歴
2014年:『ゆほびか(6月号)』『スターピープル(vol49)』『スターピープル(Vol.48)』
2013年:『トリニティ(Vol.48)』
2011年:『日経ヘルス(1月号)』
2010年:『VoCE(12月号)』『AERA with BABY』『anan(1月20日号)』
2009年:『クロワッサン(6月10日号)』『クロワッサン(1月25日号)』