慢性疲労症候群の治療法

慢性疲労症候群(CFS)はこうしてチェック!治療・予防方法も徹底解説!

アタナハクリニック 院長 矢崎智子

記事監修
アタナハクリニック 院長 矢崎智子
免責事項について

「最近仕事が忙しいせいか、疲れがたまっているな」と、感じたことのある人は少なくないでしょう。
しかし、睡眠を十分にとったはずなのに、疲労感が抜けない。
朝起きるのもつらく、日常生活に支障が出るようになった。
などの症状が出た場合は、「慢性疲労症候群(CFS)」の可能性があります。
慢性疲労症候群とは強い疲労感や体の不調が続き、日常生活を送ることも困難になっていく病気です。
しかし、血液検査やホルモンや神経の検査をしても異常が見つからないため診断が下りにくく、「気のせい」や「精神的な病気」と誤診されてしまうこともあるでしょう。
そこで、今回は慢性疲労症候群の症状や治療法、さらに症状から慢性疲労症候群かどうかチェックする方法などをご紹介します。
自分が単に疲れているだけなのか、それとも病気を発症しているのか目安がつけば、病院も探しやすいでしょう。
また、治療法も見つけやすくなります。 
慢性疲労症候群は命にかかわる病気ではありませんが、重症化するととても厄介なのです。

  1. 慢性疲労症候群とはどのような病気?
  2. 慢性疲労症候群の診断が難しい理由とは?
  3. 慢性疲労症候群のチェック方法
  4. 慢性疲労症候群の治療方法
  5. 慢性疲労症候群の予防方法
  6. よくある質問
  7. お役立ち情報・関連リンク

この記事を読めば慢性疲労症候群の症状や治療法だけでなく、予防法もわかるでしょう。
最近、なかなか疲れが取れないという方は、必見です。

1.慢性疲労症候群とはどのような病気?

まず始めに、慢性疲労症候群とはどのような病気かということを紹介しましょう。
実は、名前がついていなかっただけで、この病気に苦しんでいる方は昔から少なくありませんでした。
看護理論の基礎を築いた偉人、ナイチンゲールも慢性疲労症候群に悩まされていたことが記録として残っています。
原因不明の体調不良に悩まされている方は、自分に当てはまるところはないか確認してみてください。

1-1.慢性疲労症候群の特徴

慢性疲労症候群は、日常生活に支障が出るほどの疲労感が6か月以上続いた場合に診断される病名です。
英訳『Chronic Fatigue Syndrome』の頭文字を取って「CFS」と表記されることもあります。
精神や肉体を酷使したときや出産や大きな病気をしたときなど、しばらく疲労感が抜けないことは決して珍しくありません。
また、年を取るほど回復力も遅くなります。
しかし、それでも1週間あれば健康な体でしたら、疲労感は抜けるでしょう。
慢性的な疲労感が症状として現れる病気は少なくありません。
特に、肝臓や血液の病気になると疲労感を覚える方が多いでしょう。
このような場合は、検査をすればすぐに分かります。
慢性疲労症候群の厄介なところは、精密な検査をしても異常が出ないことです。
そのため、単なる風邪や気のせい、もしくはストレスが原因の精神的な病気と誤診されるケースもあります。

1-2.慢性疲労症候群の原因とは?

慢性疲労症候群の原因が分かってきたのは、ごく最近のことです。
私たちの体は、神経、ホルモン、免疫がバランスよく働くことで健康をたもっています。
しかし、何らかのきっかけでこれらのバランスが崩れると、免疫力が低下してしまうのです。
すると、今まで体内に潜伏していながら免疫力のせいで活動できなかったウィルスや細菌が活発化します。
こうなると、体は免疫力を高めようと免疫物質を過剰に生産するのです。
すると、今度は過剰に生産された免疫物質が脳に悪影響を与え、強い疲労感などの症状が出ます。
しかし、これは原因のひとつにすぎません。
このほかにも、特定の遺伝子が発症の引き金になる、栄養不足の一種、アレルギー反応のひとつ、といったことが原因というケースもあります。
つまり、現在のところ誰でも慢性疲労症候群を発症する可能性があるのです。

1-3.慢性疲労症候群の代表的な症状とは?

慢性疲労症候群の代表的な症状は、強い疲労感です。
ひどい場合は布団から起き上がれないというケースもあります。
また、全身や特定の場所に激しい筋肉痛が起こったり、頭痛やイライラに悩まされたりする方も少なくありません。
さらに、早く寝ても寝付けない、もしくは早朝に覚醒してしまう不眠症状。
逆に、10時間以上寝続けてしまう過眠の症状が出る方もいます。
そして、慢性疲労症候群を発症した方の多くが、うつ病に似た気分の落ち込みを感じるのです。
中には、心理的な症状の方が強く出て、「気分落ち込みがひどく、仕事にも行けない」というケースもあります。
このような症状は、発症直後から出るわけではありません。
最初は、微熱、喉、腹部、頭の痛みなど風邪とよく似た症状から出始めることが多いでしょう。
その後、ストレスや環境の変化によって悪化するというパターンも少なくありません。

1-4.慢性疲労症候群になりやすい方とは?

慢性疲労症候群は、性別、年代にかかわらず発症する病気です。
しかし、統計を取ってみると女性の方が男性よりも発症しやすい傾向にあります。
また、

  • 責任感が強い人
  • ひとつのことにのめりこみやすい人
  • 完璧主義者

などが、慢性疲労症候群になりやすいタイプです。
また、発症のきっかけもひとつではありません。
手術や回復に時間のかかる大きな病気を発症した後で、慢性疲労症候群になってしまう人もいます。
女性の場合は出産がきっかけとなる方も少なくないでしょう。
大きなきっかけがなくても、ある日突然風邪に似た症状が長く続き、だんだんと体が動かなくなる人もいます。

1-5.慢性疲労症候群の患者は全国にどのくらいいるの?

慢性疲労症候群を発症している日本人は、0.3%といわれています。
つまり、1000人がいれば、そのうち3人は慢性疲労症候群を発症している、ということですね。
世界的に見ても、発症の割合は国の人口の0.2%~0.7%といわれています。
ですから、日本だけ特に患者数が多い、というわけではありません。
しかし、これはあくまでも病院を受診して診断が出た数です。
自分が慢性疲労症候群だと気づかない人たちも入れると、もっと患者数は多くなるでしょう。
また、一説によるといつ発症してもおかしくない、いわゆる「慢性疲労症候群の予備軍」の方は、100万人~200万にいるといわれています。

2.慢性疲労症候群の診断が難しい理由とは?

この項では、慢性疲労症候群の診断が難しい理由を、原因の面からご説明していきます。
また、慢性疲労症候群の疑いがありながらそれを放置しておくとどうなるか、ということもご紹介しましょう。

2-1.原因の多さが診断を難しくしている

病気には、何らかの原因があります。
1種類のウィルスが原因のこともあれば、複数の要因がからまりあって発症する病気もあるでしょう。
慢性疲労症候群は、まだ原因がすべて解明されたわけではありません。
また、発症するタイミングにも個人差が大きいため、患者から話を聞いても、すぐに「慢性疲労症候群かも」と思い当たれる医師も少ないのです。

2-2.原因を追求するほど診断がしにくくなる?

強い疲労感というのは前述したように、多くの病気の症状に当てはまります。
また、肉体や精神を酷使する時間が長かったり、強いストレスを長期間受け続けたりしても、疲労感を覚えるでしょう。
ですから、原因を追窮するほど診断がつきにくくなります。
さらに、慢性疲労症候群は、血液やホルモン、神経の検査をしても特に異常は出ません。
あくまでも患者の自己申告が判断基準になります。
しかし、検査をしても異常はないので、病気ではないと診断されることも少なくありません。
また、精神的な病気と誤診されてしまうこともあります。

2-3.慢性疲労症候群を放置しているとどうなるの?

慢性疲労症候群を放置していると、疲労感はどんどん増していきます。
そうなると、仕事だけでなく、日常生活も満足に送れなくなるでしょう。
重症化した場合、ほとんど寝たきりになってしまう方もいます。
慢性疲労症候群は、命にかかわる病気ではありません。
しかし、1人暮らしで頼る人も近くにいない場合、日常生活に重大な支障が出れば命の危険もあります。
また、検査結果に異常が出ないため、「怠けている」「気分の問題だ」と第三者から責められることもあるでしょう。
「病気である」という証明ができないと、休職などもできにくいです。
そのため、仕事を失って経済的に困窮してしまうケースもあります。

3.慢性疲労症候群のチェック方法

では、慢性疲労症候群かどうか自分で目安をつけたい場合は、どうすればよいのでしょうか?
この項では、自分の症状が慢性疲労症候群に該当するのかどうか、チェックできる方法をご紹介します。
ぜひ参考にしてくださいね。

3-1.通常の疲労と慢性疲労症候群の疲労の違い

通常の疲労は、睡眠を取ったり栄養のある食べ物を食べたりすれば、自然と回復していきます。
また、体も回復方法が分かっていますから、疲れている日は早く眠たくなったり食欲がいつもよりあったりするでしょう。
カロリーが高いものや甘いものが食べたくなったりする方もいます。
しかし、慢性疲労症候群を発症すると、起きた瞬間から激しい疲労感があるのです。
また、長時間睡眠を取ったり栄養のあるものを食べたりしても、疲労感は消えません。
さらに、特に疲れるようなことをした記憶もないのに、夕方になると起き上がれなくなるほど疲労感が強くなっているというケースもあります。
その状態が6か月以上続いた場合は、慢性疲労症候群である可能性が非常に高いでしょう。

3-2.自己診断チェック方法

1994年に制定された国際症例基準による慢性疲労症候群の基準をご紹介します。
セルフチェックに利用してみてください。

  • 6か月以上慢性疲労の状態が続き、疲労によって日常生活などに支障が出ている
  • 疲労によって、日常生活や仕事が妨害される
  • 睡眠で疲れが取れない
  • 原因不明の筋肉痛がある
  • 短期記憶や集中力が無くなる
  • 関節は痛むが、赤みや腫れはない
  • ひどい頭痛、リンパの腫れ
  • 喉の痛み

これらのうち半数以上が当てはまるなら、慢性疲労症候群の疑いがあります。
また、慢性疲労症候群の症状は軽度~重度まで3段階に分かれており、重度になるほど寝たきりに近くなるのです。
できましたら、軽度のうちに「普通の疲労ではない」と気づいて、病院へ行きましょう。
家族がこの症状に当てはまるという場合は、受診を強く勧めてください。

4.慢性疲労症候群の治療方法

この項では、慢性疲労症候群の治療法穂をご紹介します。
病院の選び方や一般的な治療方法までご紹介していきますので、参考にできることは参考にしてみてください。

4-1.病院の選び方や診断方法

前述したように、慢性疲労症候群は診断までに時間がかかる病気です。
また、何かを受診すればよいのか分からない方も多いでしょう。
今は、慢性疲労症候群を専門に診断、治療する「慢性疲労外来科」を設けているところもあります。
しかし、その数は決して多くはありません。
ですから、「病院なび」など、全国の病院やクリニックを検索できるサイトを利用するのもひとつの方法です。
また、慢性疲労症候群の闘病をしている方のブログや、患者の会のホームページには、診断をしてくれる病院が紹介されています。
かかりつけの病院がある場合は、まずそこを受診し、大学病院などに紹介状を書いてもらってもよいでしょう。
慢性疲労症候群は、検査に異常は出ません。
ですから、患者の自覚症状が診断基準になります。
そのため、「どのくらいの疲労やほかの身体症状が、いつから出始めたのか」ということを、できるだけ詳しく医師に説明しましょう。
メモにまとめていくと、説明しやすいのです。
漠然と「疲労感が抜けない」だけでは、なかなか診断が下せません。

4-2.慢性疲労症候群の治療方法とは?

慢性疲労症候群は、主に投薬による疲労感の改善が主な治療法です。
症状が重いときは、抗うつ剤やステロイド剤の一種であるコルチステロイド薬が使われることもあります。
また、症状が軽度の場合は免疫力を高める漢方薬などを利用し、体質改善を目指すように指導されることもあるでしょう。
慢性疲労症候群は、劇的に回復してすっかり完治するという例は少ないのです。
症状が一進一退をくりかえしながら、少しずつ回復していく方が一般的でしょう。
なお、少しよくなったからといって無理をすると、症状がぶり返すことも珍しくありません。
強すぎる責任感やこり性が病気の原因になっていることもあるので、必要ならば、精神科と協力して医師がカウンセリングを行うこともあります。

4-3.薬の種類・副作用

慢性疲労症候群の治療に使われる薬は、抗うつ剤、ステロイド剤、精神安定剤、そして漢方薬が一般的です。
また、抗酸化作用のあるビタミンCが併用されることが多いでしょう。
漢方薬以外の薬は、体に合えば症状がいちじるしく改善する可能性があります。
しかし、勝手に量を増やしたり独断でやめたりすれば、眠気、だるさ、症状のリバウンドなどの副作用が出る可能性があるのです。
そのため、医師の指示に従い用法と用量を必ず守って服用しましょう。
漢方薬は、症状が緩和した後で、体質改善のために使われることが多いのです。
漢方薬は長期間飲み続けることで、効果を発揮します。
ですから、「効果が出ないから」と勝手に服用を中断してはいけません。
漢方薬は漢方を治療に積極的に取り入れている病院や、漢方薬局で処方してくれます。
「漢方を服用してみたい」と医師に相談すれば、処方箋を書いてくれるでしょう。

5.慢性疲労症候群の予防方法

慢性疲労症候群を完全に防ぐことはできませんが、日常生活に気を付けることで、ある程度予防は可能です。
この項では、その方法をご紹介しましょう。

5-1.運動をしよう

慢性疲労症候群の予防には、運動が効果的といわれています。といっても、激しすぎる運動は逆効果。
きれいな景色を見ながら歩いたりサイクリングしたりする、などストレス解消を兼ねた運動がお勧めです。
また、がんばりやさんの方は、「必ず運動しなければ」と自分を追いつめてしまいがち。
これではかえって、運動がストレスになってしまいます。
「できるときに、自分が楽しいと思える運動をする」ということが大切です。

5-2.日常生活の注意点

慢性疲労症候群を予防するためには、ストレスをためないことが重要です。
といっても、仕事で重要な立場についていたり、やることがたくさんあって忙しかったりする方も少なくありません。
そんな方はストレスもたまりやすいでしょう。
ですから、自分なりのストレス解消法を見つけてください。
また、何でもかんでも自分で引き受けて、がまんをしてはいけません。
できないことは「できない」、助けてほしいときは「助けて」と周りにいいましょう。
家族にがんばりやさんがいる場合は、最低でも週に1度は完全な休日を作ってあげてください。
何もしない時間というのも大切なのです。
仕事が趣味、仕事が大好きという場合も同じ。
好きなことでも長時間やり続ければ、疲労がたまっていくのです。

5-3.食事の注意点

食事はストレス解消にも役立ちます。しかし、暴飲暴食はいけません。
特に、お酒の飲み過ぎは肝臓を痛めます。
慢性疲労症候群かと思ったら肝臓が悪くなっていた、というケースもあるでしょう。
また、いくら忙しくても食事はきちんと取りましょう。
おにぎりや菓子パンで手軽に済ませてはいけません。
毎日は無理でも、最低週に2~3回はバランスの取れた食事をゆっくりと時間をかけて食べてください。
ダイエットをしているから、と極端に食事量を減らすのも、慢性疲労症候群の原因になります。

6.よくある質問

Q 慢性疲労症候群は治るの?

A 治らないというわけではありませんが、完治までには時間がかかります。
症状が軽くなったからといって無理をすると、再発するケースは少なくありません。
できることから少しずつ行って回復を目指しましょう。

Q 周りの理解が得られずに悩んでいます。

A 慢性疲労症候群と診断されたのならば、医師に診断書を書いてもらいましょう。
慢性疲労症候群はれっきとした病気です。
診断書は職場に提出してもよいでしょう。
家族の理解が得られない場合は、一緒に診察を受けてもらうという方法もあるのです。

Q サプリメントは効果がありますか?

A サプリメントは薬ではありません。食事では摂取しきれない栄養素などを補うのが、本来の目的です。
慢性疲労症候群は、栄養素を摂取しただけでは治りません。
まずは医師の診察を受けて、薬による投薬治療を行いましょう。

7.お役立ち情報・関連リンク

NPO法人筋痛性脳脊髄炎の会

旧名、慢性疲労症候群を共に考える会のホームページです。
診断基準や、海外の情報、患者さんへの情報など充実したコンテンツのサイトになっています。

病院なび

全国の病院が検索できるサイトです。慢性疲労外来科も調べられます。

まとめ

いかがでしたか? 今回は慢性疲労症候群の診断基準やセルフチェックの方法などをご紹介しました。
疲労感は社会人であれば、誰もが感じたことのあるものでしょう。
しかし、普段の疲れとどこか違う、症状がひどくなるという場合は、すぐに病院を受診してください。
この病気に限ったことではありませんが、初期のころに診断を受けて治療を開始した方が格段に治りも早いでしょう。

アタナハクリニック院長 矢崎 智子

監修者

矢崎 智子
アタナハクリニック院長
日本産科婦人科学会認定医/高濃度ビタミンC点滴療法学会理事/世界アンチエイジング学会認定医/日本内分泌学会・国際オーソモレキュラー医学会・病巣疾患研究会会員/日本線維筋痛症学会会員

1969年長野県生まれ。平成6年杏林大学医学部卒。産婦人科医としての経験を積んだあと、2005年11月、分子整合栄養医学に基づく栄養療法と東洋医学を中心とした統合医療をおこなうクリニックハイジーアを開設。関節リウマチや線維筋痛症、慢性疲労症候群、摂食障害など、通常治療困難とされる疾患や、不妊症などの婦人科疾患の治療において豊富な臨床経験を持つ。日本では数少ない機能性医療の専門家であり、最も経験豊富な一人。

平成24年、医療とヒーリングの統合を目指し、アタナハクリニックを開設。現在はキネシオロジー(筋肉反射テストを使ったセラピー)の一種であるインテグレートヒーリング(IH)を中心とした統合医療を行なっている。

著書
なぜあなたは食べすぎてしまうのか 低血糖症という病

雑誌掲載歴
2014年:『ゆほびか(6月号)』『スターピープル(vol49)』『スターピープル(Vol.48)』
2013年:『トリニティ(Vol.48)』
2011年:『日経ヘルス(1月号)』
2010年:『VoCE(12月号)』『AERA with BABY』『anan(1月20日号)』
2009年:『クロワッサン(6月10日号)』『クロワッサン(1月25日号)』