がん検診の大切さ

がん検診の大切さと方法を知ろう!「がんは治らない病気」ではない!

アタナハクリニック 院長 矢崎智子

記事監修
アタナハクリニック 院長 矢崎智子
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わが国のがん検診受診率は全体の約40%と言われています。がんを早期発見するために何より大切ながん検診。「受けたい」と思っていても、なかなか実現できない人も多いのではないでしょうか。がんは不治の病ではありません。早期に発見して治療することで、その多くが完治するものです。将来のため、そして、家族のためにも、がん検診は絶対に受けるべきでしょう。この記事では、がん検診の目的や種類・検査方法などをまとめて解説します。

  1. がん検診の基礎知識
  2. がん検診について
  3. がん検診の疑問
  4. 女性・男性のがん検診について
  5. がん検診にかんするよくある質問

この記事を読むことで、いかにがん検診が大切かわかります。「どうやって受診すればよいのかわからない」という人も、ぜひ参考にしてください。

1.がん検診の基礎知識

まずは、がん検診の目的やメリットデメリット・最近の傾向などをご紹介します。

1-1.がんは治る病気

日本人のがんによる死亡率は年々増加しています。「がんは怖い病気」と認識している人はまだまだ多いのではないでしょうか。しかし、がんは治る病気です。問題は、早期に発見して治療を始めるかどうか。日本人のがんによる死亡率が高いのは、高齢化や体質の問題だけでなく「がん検診の受診率が低い」ことが原因になっています。たとえば、子宮頸がんの受診率は、日本では30~40%であるのに対して、アメリカでは80%以上という数字が出ているのです。「定期的ながん検診を受けることががんを予防する」という意識を強く持ち、一人一人がその重要さを知ることがまず大切なのではないでしょうか。

1-2.がん検診の目的と効果

がん検診とは、がんにかかっていないかを調べるための検査のことを言います。基本的に、がんの症状がない人に対して行う検査です。職場や学校で定期的に行われている健康診断とは違い「がん」という特定の病気に対して行います。その目的はがんを早期発見し、がんによる死亡率や罹患率を下げることです。実際に、がん検診によってがんが早期に見つかり、治療を開始したおかげで命を落とすことなく済んだ人もたくさんいます。

1-3.メリットとデメリット

がん検診のメリットは、がんを早期に発見して治療を行うことで、がんによる死亡率を下げることができる、という点です。また、子宮頸がん検診のように、がんになる前の異常細胞を見つけることができるケースもあります。さらに、がん検診を受けて「異常なし」と診断されることで、安心して生活を続けることができる、というメリットもあるでしょう。一方でデメリットもあります。費用がかかるのはもちろんのこと、がん検診の結果が100%正しいものとは限らないのです。場所や種類によっては見つけにくいものもあるため、検診を受けてもがんを見落としてしまうことはあります。「検診を受けたのに意味がなかった」ということになる可能性もあるということを覚えておきましょう。

1-4.最近の傾向

最近の傾向としては、男性は肺がん検診、女性は子宮がん検診と乳がん検診の受診率が最も高くなっています。特に女性の乳がん検診受診率は増加傾向にあり、タレントが相次いで乳がんであることを公表したことに関係していると考えられるでしょう。

2.がん検診について

次に、がん検診の種類や流れ・注意点をご紹介します。

2-1.がん検診の種類

がん検診は、基本的に自覚症状のない一見健康な人を対象に行います。検査によって、がんの疑いがあるかないかを判断し、疑いがある場合は精密検査をすすめることになるでしょう。すでに自覚症状がある場合は、検診を待たず医療機関を受診するのがおすすめです。また、がん検診には「対策型検診」と「任意型検診」があります。国が公共的な予防対策として行うのが対策型検診です。自治体や職場から通知を受け取って受診する職域検診などがあり、検査費用には公的な補助が出ます。そのため、自己負担は少なくて済むでしょう。一方の任意型検診は、個人にがんの可能性があるかどうかを確認することを目的としたものです。検査を行う日時や検査方法は、個人の希望で決めることができます。補助の額は少ないため、自己負担額が高くなるでしょう。

2-2.対策型検診のがん検診は5種類

対策型検診には、肺がん・胃がん・大腸がん・乳がん・子宮がんの5種類があります。それぞれの概要を説明しましょう。

2-2-1.肺がん

肺がんは男性の10人に1人が発症すると言われているがんです。ほかのがんに比べて自覚症状が現れにくいため、気づいたときには進行している可能性が高いでしょう。そのため、早期発見のためには肺がん検診の受診が非常に重要になります。地方自治体では40歳以上を対象に肺がん検診を行っており、医師による問診や胸部エックス線検査・喀痰(かくたん)細胞診の検査を受けることが可能です。

2-2-2.胃がん

胃がんはがんの中で最も多く、40歳以上を対象に年に1回検診を受けることができます。バリウムを使った胃エックス線検査により、異常の有無を確認することになるでしょう。また、一部の市町村では胃エックス線検査の代わりに胃内視鏡検査を実施しています。どちらの検査も、事前の食事や飲料の摂取制限があるため、指示に従ってください。

2-2-3.大腸がん

大腸がんは早期発見による治癒率が大変高いがんであるため、検診が非常に重要な役割を果たすでしょう。便潜血検査によって、便の中に血が混じっているかどうかを確認します。男女ともに40歳以上で、市町村の助成を受けて受診することが可能です。年齢によっては無料クーポンを配布している市町村もあるため、確認してみてください。

2-2-4.乳がん

乳がんは女性の死亡率が非常に高い病気の一つです。市町村の乳がん検診は、40歳以上の女性に対して2年に1回実施されています。検査内容は、視触診、マンモグラフィ検査、超音波検査、CT・MRI検査が代表的です。マンモグラフィや超音波エコー検査の有無によって検査費用は変わってきます。

2-2-5.子宮がん

子宮がんには「子宮頸がん」と「子宮体がん」があります。特に子宮頸がんは若い世代の発生率が高まってきており、20代のうちから検診を受けておくのがおすすめです。子宮がん検診の対象者は20歳以上の女性であり、2年に1回は受診するべきとされています。主な検診内容は問診、視診、内診、細胞診などで、必要に応じてコルポスコープ検査が行われる場合もあるでしょう。

2-3.検診の流れ

がん検診は、一次検診・精密検査・がんの確定診断・治療という流れですすみます。まず、一次検診で健康な人と少しでもがんの疑いがある人にわけられ、異常があった場合は精密検査を受けることになるでしょう。ここで「異常なし」または「良性の病変」と診断された場合は、次の検診まで安心して過ごすことができます。がんと判定された場合は、治療へとすすむという流れです。

2-4.検診を受ける際の注意点

がん検診を受ける際には、さまざま注意事項があります。たとえば、胃がんや大腸がん検診であれば前日から食事制限があり、子宮がん検診は生理中受診することができないなど、ルールが決まっているのです。自分が受ける検診についてよく調べて、注意事項を確認しておくようにしましょう。また、子宮がん検診を受けることによって出血する場合もあります。微量の出血であれば問題はないため、過剰に心配しないようにしましょう。

3.がん検診の疑問

がん検診は何歳ごろから受けるべきなのでしょうか。検診の間隔や検診機関の選び方などもまとめてご紹介します。

3-1.何歳から受けるべきか?

「がん検診は何歳から受けるべきか?」と考える人は多いでしょう。一般的に、がんにかかるリスクは年齢が上がるほど高くなります。40代から徐々にリスクが上がり始めることを考え、40歳になったのを機にがん検診を受け始める人が多いでしょう。また、職場や自治体のがん検診も40歳以上を対象としていることがほとんどです。ただし、女性特有の乳がんと子宮がんは、20代や30代の利患者数が増えてきています。そのため、この2つのがん検診については、40歳になる前から受診しておいた方がよいでしょう。

3-2.検診の間隔は?

がんを早期発見するためには、定期的な検診を受ける必要があります。では、定期的とはどのくらいの頻度なのでしょうか。一般的にがん検診は1年に1回の間隔で受診するべきと言われています。「忙しくて受診する時間がない」という人も、最低でも2年に1回は受けるようにしましょう。

3-3.検診機関の選び方

がん検診を受ける機関は、なるべく自宅から近いところを選ぶようにしましょう。自宅から遠い足を運ぶ気になれませんし、万が一病気が見つかったときは長く通うことになります。交通機関なども確認して、通いやすい病院を選ぶようにしてください。また、どの分野を得意としている病院かを知っておくことも大切です。ホームページに症例数を記載している病院もあるため、チェックしておくことを忘れないでください。

3-4.最近の検査方法について

がん検診には「お金と時間がかかる」というイメージが強いと思います。しかし、最近は血液検査だけでもがんの可能性を判定できるようになったことをご存じでしょうか?次世代がん診断システムの開発により、の血液検査でがんの診断ができるようになったのです。この検査の対象となるのは、胃がんや肺がん、食道がん、大腸がんをはじめとする13種類のがんで、わずか1時間で結果がわかります。血液検査だけだと費用も安く済むため、受けてみてはいかがでしょうか。

3-5.料金について

がん検診は基本的に保険適用でないため、本来は全額自己負担になります。そこで、厚生労働省が実施したがん検診推進事業として、各自治体ががん検診の費用を助成するようになったのです。また、加入している健康保険組合によっては、がん検診の助成制度を利用できる場合もあります。また、2009年以降は一定の年齢に達した人を対象にして「がん検診無料クーポン券」を配布しており、無料で検診を受けることが可能です。対象になるのは大腸がん・乳がん・子宮がんとなります。

4.女性・男性のがん検診について

女性と男性では、かかりやすいがんの種類が異なります。それぞれの現状を解説しましょう。

4-1.女性に増えているのは「乳がん」と「子宮がん」

乳がんや子宮がんは女性特有のがんであり、近年は若年化がすすんでいることが問題になっています。一般的にがんは高齢になるほどリスクが高まりますが、乳がんと子宮がんにかんしてはこのケースが当てはまらないのです。女性のがんには女性ホルモンも大きくかかわっていますが、生活習慣にも危険因子は潜んでいます。喫煙や野菜不足・運動不足などががんのリスクを高めることになるため、普段から注意して生活するようにしましょう。

4-2.男性に多いのが「肺がん」と「胃がん」

男性のがんで最も多いのが肺がんです。進行が早く初期症状がほとんどないため、発見が遅れて手遅れになるケースも少なくありません。喫煙の習慣がある男性は特に注意が必要でしょう。次いで多いのが胃がんです。日本人は胃がんの原因となる「ヘリコバクターピロリ菌」の感染率が高いことも要因の一つでしょう。ピロリ菌の感染有無について調べておくことで、将来の胃がん発生を予防できる可能性は十分にあります。

5.がん検診にかんするよくある質問

「がん検診を受けたい」と思っている人が感じるであろう疑問とその回答をまとめてみました。

5-1.PET検査とは何ですか?

A.陽電子放射断層撮影のことです。特殊な検査薬によってがん細胞に目印をつけることができます。この検査によって、従来よりも小さな早期がんが発見できるようになりました。

5-2.なぜ40歳以上になるとがんの発生リスクが高まるのですか?

A.がんは免疫力が弱い人ほどかかりやすいと言われています。年齢を重ねると免疫力も低下してくるため、がんにかかるリスクが高くなるのです。

5-3.子宮頸がんの発生要因は何ですか?

A.子宮頸がんは、ヒトパピローマウイルスに持続的に感染すると発生しやすくなります。このウイルスは多くの女性が感染するものですが、通常は免疫システムによって排除されているのです。何らかの要因でウイルスが排除されないと、がんを発生する場合があります。

5-4.がん検診で「異常なし」と診断されれば1年は安心してよいのでしょうか?

A.「異常なし」と診断されると、誰もが安心してしまいがちです。しかし、検診でがんが100%見つかるわけではありません。見つけにくい場所にあったり見落としをしたりする可能性もあるのです。気になる症状が現れたときは、1年待たずに検診を受けましょう。

5-5.なぜ大腸がんは女性に多いのですか?

A.ダイエットによる食生活の偏りや更年期のホルモン減少などが発生要因になることもあるためです。また、女性は検診を躊躇(ちゅうちょ)することが多いため、早期発見が難しくなる傾向にあります。

まとめ

いかがでしたでしょうか。がん検診の目的やメリット・料金などについてまとめて解説しました。がんを早期発見することは、自分の命を守るにつながります。定期的に検診を受けておくことでがんの早期発見率は非常に高まるでしょう。ぜひこの記事を参考にしてがん検診の大切さを知ってください。

アタナハクリニック院長 矢崎 智子

監修者

矢崎 智子
アタナハクリニック院長
日本産科婦人科学会認定医/高濃度ビタミンC点滴療法学会理事/世界アンチエイジング学会認定医/日本内分泌学会・国際オーソモレキュラー医学会・病巣疾患研究会会員/日本線維筋痛症学会会員

1969年長野県生まれ。平成6年杏林大学医学部卒。産婦人科医としての経験を積んだあと、2005年11月、分子整合栄養医学に基づく栄養療法と東洋医学を中心とした統合医療をおこなうクリニックハイジーアを開設。関節リウマチや線維筋痛症、慢性疲労症候群、摂食障害など、通常治療困難とされる疾患や、不妊症などの婦人科疾患の治療において豊富な臨床経験を持つ。日本では数少ない機能性医療の専門家であり、最も経験豊富な一人。

平成24年、医療とヒーリングの統合を目指し、アタナハクリニックを開設。現在はキネシオロジー(筋肉反射テストを使ったセラピー)の一種であるインテグレートヒーリング(IH)を中心とした統合医療を行なっている。

著書
なぜあなたは食べすぎてしまうのか 低血糖症という病

雑誌掲載歴
2014年:『ゆほびか(6月号)』『スターピープル(vol49)』『スターピープル(Vol.48)』
2013年:『トリニティ(Vol.48)』
2011年:『日経ヘルス(1月号)』
2010年:『VoCE(12月号)』『AERA with BABY』『anan(1月20日号)』
2009年:『クロワッサン(6月10日号)』『クロワッサン(1月25日号)』