乳腺症の症状

乳腺症の症状が知りたい? セルフチェックや治療法を紹介

アタナハクリニック 院長 矢崎智子

記事監修
アタナハクリニック 院長 矢崎智子
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女性がかかりやすい病気の一つに乳腺症があります。生理前などに、乳房が張ったり痛んだりするなどで不快になった経験がある人も多いのではないでしょうか? 中には、悪い病気になっているのではないかと不安を抱いている人もいるかと思います。

そこで今回は、乳腺症について、主な原因や症状・治療法などをまとめました。乳腺症の症状について深く知りたい人は、ぜひ読んでみてください。

  1. 乳腺症の基礎知識
  2. 乳腺症の原因と症状
  3. 乳腺症と病気との関係を学ぼう
  4. 乳腺症のセルフチェック
  5. 乳腺症の治療法について
  6. 乳腺症の症状に関するQ&A

乳腺症のつらさは、周囲にはわかりづらいものです。しかし、ただつらいと嘆いているだけでは改善しません。記事を読んだ人は、何をするべきか正しい判断ができるようになります。まずは、記事をじっくり読んで適切な対策をしましょう。乳腺症もきちんと対策をすれば改善します。つらい症状を無くすためにも、記事の内容を参考にしてくださいね。

1.乳腺症の基礎知識

最初に、乳腺症の基礎知識について学びましょう。定義やメカニズムなど、理解してくださいね。

1-1.乳腺症の定義とは

乳腺症とは、ホルモンバランスの変化によって乳腺部位に起こる異変の総称です。あくまでも、良性疾患のひとつであると覚えておきましょう。そのため、乳腺症があることでただちに治療となるわけではありません。乳腺症は、人によって症状の出方や感じ方に差が大きく、またホルモンバランスが変化するたびに症状が出たり収まったりすることが特徴です。

1-2.乳腺症になるメカニズム

乳腺は、女性ホルモンの分泌が増えたり減ったりするたびに影響を受けて萎縮と増加を繰り返しています。長年の繰り返しによって、全体の中でも常に増殖をしている部分と萎縮している部分が点在するようになるのです。また、萎縮している部分は繊維状になることもあります。触診したときにしこりのように感じる部分は、乳腺症による繊維種である可能性も否定できません。

1-3.乳腺症になりやすい人・年代・患者数について

乳腺症になりやすい人は、ストレスが多い人と言えます。なぜなら、ストレスは女性ホルモンの分泌に大きく影響を与えるからです。また、出産経験が無い人もなりやすいと覚えておきましょう。乳腺症になりやすい年代としては、主に30代後半以降の女性が多くなります。反対に、閉経を迎えると減少することも特徴です。現在の患者数は、数万人以上にもなります。乳腺症は、本人からの申告があって初めて判明することが多いため、実際にはより多くの患者数が存在すると考えてください。

乳腺症は、女性ホルモンの増減が原因で起こるんですね。
はい。必ずしも治療が必要になるわけではありませんが、頻繁に乳腺症になる場合は病院で検査を受けましょう。

2.乳腺症の原因と症状

それでは、乳腺症の主な原因と症状について解説します。基本となる内容ですから、しっかり学びましょう。

2-1. 乳腺症の主な原因について

乳腺症の原因は、女性ホルモンの過剰分泌によるものです。女性ホルモンのひとつであるエストロゲンは、乳腺を増加して乳房を大きくする役割があります。エストロゲンは、生理が始まる前に増加し生理が始まると減少するため、乳腺症の症状も生理が始まると収まることが多いです。

2-2.乳腺症の主な症状について

乳腺症の主な症状としては、以下のようなものがあります。

  • 乳房(ちぶさ)が張る
  • 乳房(ちぶさ)が痛む
  • 乳房(ちぶさ)にしこりがある
  • 乳頭から分泌物が出る

乳房(ちぶさ)の張りや痛み・分泌物が出ることについては、生理が始まると収まることが多いです。しかし、乳房(ちぶさ)のしこりにかんしては常に存在する人も多くなります。

しこりができると、がんと間違えそうですね。
はい。そのため、がんの疑いで精密検査を受けた結果乳腺症と診断される例も珍しくありません。

3.乳腺症と病気との関係を学ぼう

乳腺症が関連するほかの病気についても、理解をしておきましょう。ここでは、主なものについて解説します。

3-1.乳腺症と乳がんの関係は?

乳腺症は、乳がんと間違いやすい症状となります。両者の違いについてまとめてみました。

3-1-1.乳腺症と乳がんの違いについて

乳腺症は、乳腺の症状であって病気ではありません。そのため、細胞診を行っても病変をみつけることはできないのです。しかし、乳がんは乳房(ちぶさ)部分のがんですから、れっきとした病気となります。乳腺症は命にかかわることがなくても、乳がんは進行すれば死に至る点で大きな違いがあると覚えておきましょう。なお、乳がんは進行も早いため、すぐに治療を開始することが必要な病気です。

3-1-2.良性が悪性に変わる可能性は?

乳腺症でも、乳房(ちぶさ)にしこりができることがあります。しかし、乳腺症のしこりはすべて良性であり悪性に変わることはほとんどありません。ただし、まだ乳腺症と乳がんの関連性は不明です。そのため、良性のしこりであっても悪性のしこりに変化する可能性もあります。定期的な乳がん検診は、乳がんの早期発見も可能ですからぜひ受けてみてください。

3-1-3.乳腺症と乳がんについて気を付けたいこと

乳腺症の症状と乳がんの初期症状は、非常に似ています。ただし、乳腺症のしこりが触れると痛みがあるのに比べて、乳がんは痛みを感じないことが多いです。もしも、痛みを感じないしこりを発見した場合は、速やかに医師の診断を受けてください。いずれにしても、自分の乳房(ちぶさ)のことですから毎日鏡で見てみたり触れてみたりして異常が無いかチェックすることが大切です。

3-2.乳腺症と乳腺炎の違いについて

乳腺炎は、授乳中の女性に多く見ることができます。しかし、ホルモンバランスの変化に影響を受ける乳腺症とは、違う症状なのです。また、乳腺炎は乳腺自体が炎症を起こしているものであるため、発熱・発赤・痛みを伴うことになります。治療には、抗生物質や切開手術を行うことが通常です。経過観察が主になる乳腺症とは、治療法にも違いがあることを覚えておきましょう。

3-3.乳腺症と関連する病気について

乳腺症と関連する病気については、以下を参考にしてください。

  • 鬱滞(うったい)性乳腺炎:授乳中に乳管が詰まってしまうことが原因の乳腺炎
  • 乳輪下乳腺炎:陥没乳頭などで乳管が詰まってしまうことが原因の乳腺炎
  • 糖尿病性乳腺症:女性ホルモンの変化が原因ではなく糖尿病由来によるもの

上記のように、乳房の不快な症状は一般的な乳腺症以外にもさまざまにあるのです。

3-4.乳腺症と関係する病気でそのほかのもの

乳腺症と関係する病気でそのほかのものについては、線維腺腫や葉状腫瘍(しゅよう)を忘れてはいけません。いずれも、良性の腫瘍(しゅよう)であり、20歳代から30歳代の女性に多く見ることができます。線維腺腫にかんしては、特に治療の必要はありません。葉状腫瘍(しゅよう)にかんしては、1割の確率で悪性になる可能性があるため手術によって除去することが多くなります。

乳腺症は治療が必要な病気と似ている症状が多いんですね。
はい。個人では見分けがつきにくいので、自分で乳腺症だと決めつけてはいけません。

4.乳腺症のセルフチェック

自分が乳腺症になっているか、簡単にセルフチェックを行うことも可能です。具体的なチェック項目や注意事項について解説しましょう。

4-1.乳腺症はセルフチェックで発見も可能

乳腺症は、セルフチェックを行うことで発見することも可能です。具体的には、以下を参考にしてください。

  • 乳房(ちぶさ)が張っているか・痛くないか
  • 乳房(ちぶさ)に触れてしこりや固くなっている部分は無いか
  • 乳頭から分泌物は出ていないか
  • 症状が出るときは生理前だけか

乳腺症の症状は、生理前に強くなります。生理が始まってから症状が軽減するときは、乳腺症と判断してもいいでしょう。

4-2.こんな症状があったら注意しよう!

セルフチェックの結果で乳腺症であることがわかっても、以下のような症状には気を付けてください。

  • 乳房(ちぶさ)が変形している
  • 乳頭が引きつっている
  • 激しい痛みがある
  • 腕を上げたときに違和感を覚える
  • そのほかにも気になる症状がある

乳腺症ではなく、乳頭腫や繊維腺腫の可能性もあります。また、初期の乳がんになっていることも否定できないため、医師の診断を仰ぎましょう。なお、乳腺症での受診の際は、以下も参考にしてください。

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乳房に痛みや変形などの症状があったら病院を受診したほうがいいんですね。
はい。より詳しい検査を受けて乳腺症なのか、乳がんなどの別の病気なのか確かめる必要があります。

5.乳腺症の治療について

ここでは、乳腺症の治療法について解説します。検査方法・治療法・注意点について、それぞれについて理解してください。

5-1.乳腺症の検査方法について

乳腺証の検査は、以下のような方法を用いて行います。

  1. 医師による問診・触診・視診
  2. マンモグラフィーによる検査
  3. エコー装置を使った検査

なお、検査の結果で乳腺症であるとの確定が難しかったり乳がんなどほかの病気が疑わしかったりするときは、細胞診(細胞を直接採取して検査する方法)を行うこともあります。

5-2.乳腺症の治療法について

乳腺症の治療については、特に治療を行わずに経過観察をすることが多くなります。理由は、乳腺症のほとんどは悪化する心配が無い症状であり、病気では無いからです。また、乳腺症の症状の出方は生理周期と連動しているため、閉経することで症状が緩和していきます。しかし、乳腺症だと思っていても初期の乳がんだったという例もあるため、経過観察を行うことは大切です。

5-3.乳腺症の治療にかんする注意点

乳腺症の治療は基本として経過観察となるため、ただちに入院などということはありません。しかし、乳腺症の症状と初期の乳がんの症状は非常に似ているのです。そのため、経過観察によって医師の診察を受け続けることを忘れないようにしましょう。必要以上に不安になることはありませんが、経過観察で問題無しとなれば安心して生活できますから忘れないようにしてくださいね。

乳腺症の治療は経過観察がほとんどなんですね。
はい。しかし、初期の乳がんと見分けがつかないこともあるので、定期的に病院で検査を受ける必要があるケースもあります。

6.乳腺症の症状に関するQ&A

乳腺症の症状についてよくある質問に回答します。多くの人が不安や疑問に思う内容ですから、それぞれチェックしておきましょう。

Q.乳腺症でも市販のサプリメントを飲んでも構いませんか?
A.乳腺症以外の病気で薬を飲んでいる場合は、サプリメントとの相性で効き目が弱くなったり強くなったりすることがあるので注意してください。また、サプリメントを飲んでも乳腺症を治療できることはありません。しかし、サプリメントの中には、必要な栄養素を補ってくれるタイプのものがあります。栄養補助の目的でも、実際に飲むときには医師に相談してからにすると安心ですよ。

Q.乳腺症は10代の若い女性でもなりますか?
A.乳腺症は、30代後半以降の女性に多い症状です。しかし、10代の若い女性にも見ることができます。特に、初潮を早く迎えて体の発達がいい場合は、早くから乳腺症に悩むことも多いです。もしも、症状が気になるのなら病院で診断を受けてみてください。また、体の成長に伴って下着のサイズが変わることも多いです。体に合わない下着は乳腺症の症状をますますつらくすることが多いので、こまめにチェックをして買い替えてくださいね。

Q.乳腺症の診察は保険適用になりますか?
A.乳腺症の診察に関しては、保険適用となるので安心してください。乳腺症は病気ではありませんが、診察や診断にかんしては健康保険が適用になり3割負担などの少額で受診することが可能です。普段、きちんと健康保険料を支払っている人なら問題ありません。数千円程度の費用で気持ちも楽になるのでぜひ受診してくださいね。

Q.乳腺症は一生付き合う症状と聞きましたが、閉経を機会に治るのでは?
A.乳腺症は、女性ホルモンの分泌が大きくかかわっていることはこれまで説明してとおりです。女性は、閉経を迎えると女性ホルモンの分泌が大きく減ることになります。そのため、乳腺への影響も少なくなって乳腺症の症状も和らぐと考えましょう。ただし、症状が完全に無くなる人もいれば違和感が残る人もいます。また、症状の感じ方は人それぞれです。閉経後も違和感が取れない場合は、改めて医師に相談してください。

Q.母親が乳がんのため、自分も乳腺症ではなくて乳がんなのではと心配ですが?
A.医師の診断を受けて乳腺症であることが判明したときは、経過観察をしてください。確かに、乳がんは遺伝性のものもあるため、不安な気持ちもわかります。しかし、不安なまま毎日を過ごすのは体に悪いものです。乳腺症の症状をひどくしないためには、ゆったりとした気持ちで過ごすことも大切だと理解しましょう。定期的に経過観察を受けていれば、異変があったときにも素早く対応できますので安心してください。まずは、医師を信頼しましょう。

まとめ

女性にとって、乳腺症は多くの人の悩みとなっています。実際、乳房(ちぶさ)の張りや痛みを感じたことがある人も多いことでしょう。しかし、乳腺症は症状であって病気では無いのです。生理のリズムと連動して症状が悪化したり軽減したりするため、上手(じょうず)に付き合っていくことが賢い方法と言えます。記事には、乳腺のセルフケア方法なども載っていますから参考にしてください。また、医師の診断をきちんと受けて経過観察にも面倒がらずに行くことが重要です。気になる点があったときは、医師に相談して不安な気持ちをそのままにしないようにしましょう。

アタナハクリニック院長 矢崎 智子

監修者

矢崎 智子
アタナハクリニック院長
日本産科婦人科学会認定医/高濃度ビタミンC点滴療法学会理事/世界アンチエイジング学会認定医/日本内分泌学会・国際オーソモレキュラー医学会・病巣疾患研究会会員/日本線維筋痛症学会会員

1969年長野県生まれ。平成6年杏林大学医学部卒。産婦人科医としての経験を積んだあと、2005年11月、分子整合栄養医学に基づく栄養療法と東洋医学を中心とした統合医療をおこなうクリニックハイジーアを開設。関節リウマチや線維筋痛症、慢性疲労症候群、摂食障害など、通常治療困難とされる疾患や、不妊症などの婦人科疾患の治療において豊富な臨床経験を持つ。日本では数少ない機能性医療の専門家であり、最も経験豊富な一人。

平成24年、医療とヒーリングの統合を目指し、アタナハクリニックを開設。現在はキネシオロジー(筋肉反射テストを使ったセラピー)の一種であるインテグレートヒーリング(IH)を中心とした統合医療を行なっている。

著書
なぜあなたは食べすぎてしまうのか 低血糖症という病

雑誌掲載歴
2014年:『ゆほびか(6月号)』『スターピープル(vol49)』『スターピープル(Vol.48)』
2013年:『トリニティ(Vol.48)』
2011年:『日経ヘルス(1月号)』
2010年:『VoCE(12月号)』『AERA with BABY』『anan(1月20日号)』
2009年:『クロワッサン(6月10日号)』『クロワッサン(1月25日号)』