子宮筋腫

子宮筋腫とはどのような病気? 症状や治療法と共に紹介

アタナハクリニック 院長 矢崎智子

記事監修
アタナハクリニック 院長 矢崎智子
免責事項について

子宮筋腫とは、子宮にできる良性の腫瘍のことです。女性ならば誰もが発症する可能性のある病気であり、重症の場合は妊娠や出産に影響が出ることもあります。自覚症状がない方も多いので、検診を受けて初めて子宮筋腫に気がつくという方も珍しくありません。子宮筋腫は命に別状こそありませんが、早めに発見して経過観察をしたり治療を受けたりした方が予後がよい病気です。

そこで今回は、子宮筋腫の症状や治療法をご紹介しましょう。

  1. 子宮筋腫の基礎知識
  2. 子宮筋腫の症状について
  3. 子宮筋腫の治療について
  4. 子宮筋腫を早めに発見する方法
  5. 子宮筋腫との付き合い方
  6. 子宮筋腫についてよくある質問

子宮筋腫の代表的な症状が分かっていれば、疑わしい症状が出た際、すぐに病院を受診することができます。子宮筋腫や子宮筋腫の治療法について知りたいという方は、ぜひこの記事を読んでみてくださいね。

1.子宮筋腫の基礎知識

はじめに、子宮筋腫の基礎知識をご紹介します。子宮筋腫とはどのような病気なのでしょうか?

1-1.子宮筋腫とは?

子宮筋腫は、子宮の筋肉にできる良性の腫瘍(しゅよう)です。子宮に発症する病気の中では最も発症例が多い病気で、子宮が成熟した女性の20%~30%に子宮筋腫があります。一度に複数の腫瘍ができることもあり、腫瘍が小さいうちは自覚症状がないことも珍しくありません。産婦人科で検診を受けて初めて自分に子宮筋腫があることを知った、という方もたくさんいます。子宮筋腫は良性の腫瘍ですから、それ自体が命を脅かすことはありません。しかし、経血の量が増えたり月経痛が重くなったりするケースもあります。また、子宮筋腫は大きくなると10キロを超えることもあるのです。筋腫が大きくなると内臓を圧迫し、痛みや下半身のしびれが起こる人もいます。

1-2.子宮筋腫ができる原因や年齢

子宮筋腫ができる原因は、いまだにはっきりと分かっていません。女性ホルモンの一種、エストロゲンが深くかかわっていることは解明されていますが、どのようなメカニズムで筋腫ができるのかは諸説あります。そのため、有効な予防法はありません。

エストロゲンは月経が始まると分泌量が増加し、閉経と共に減少します。ですから、月経がある女性は誰もが子宮筋腫ができる可能性があるのです。年代別では30代が最も多く、ついで40代・50代と続きます。厚生労働省の調査によると、2014年時点で治療を受けている子宮筋腫の患者数は約10万人です。自覚がない方や治療を受けていない方を含めると、実際の患者数はその数十倍ではないかと推測されています。

1-3.子宮筋腫の種類

1-3-1.しょう膜下筋腫

しょう膜下筋腫(しょうまくかきんしゅ)は、子宮の外側にできる筋腫です。発症しても不正出血や月経時の痛みが起こりにくいので、大きくなるまで気づかない方もたくさんいます。

1-3-2.粘膜下筋腫

粘膜下筋腫(ねんまくかきんしゅ)は、子宮内部にある粘膜にできる筋腫です。ここに筋腫ができると、小さいうちから不正出血や経血の増加・重い生理痛などの症状が出やすくなります。不妊症や流産・早産の原因になることもありますので、早めの治療がおすすめです。

1-3-3.筋層内筋腫

筋層内筋腫(きんそうないきんしゅ)とは、子宮内の筋肉内部にできる筋腫です。子宮筋腫の中で最も症例が多く、筋腫が小さいうちは自覚症状もほとんどありません。ただし、大きくなってくると不正出血や流産・早産の原因となることもあります。

子宮筋腫は良性の腫瘍だけど、筋腫の大きさやできた位置によっては治療が必要なんですね。
はい。子宮筋腫が大きくなったり数が多かったりすると、月経痛がひどくなったり経血の量が増えたりして日常生活に影響が出ることもあります。

2.子宮筋腫の症状について

この項では、子宮筋腫の症状についてご紹介します。どのような症状が出るのでしょうか?

2-1.小さい子宮筋腫は無症状?

子宮筋腫は、大きさやできる位置によって症状が異なります。粘膜下筋腫は小さいうちから不正出血や重い生理痛などの症状が出ますが、それ以外の筋腫はある程度大きくなるまで症状が出ないこともあるのです。そのため、かなり子宮筋腫が大きくなってからやっと気がついた、という方もいます。

2-2.見逃されやすい子宮筋腫の症状

子宮筋腫の代表的な症状に

  • 経血量の増加
  • 貧血
  • 重い生理痛
  • 腰痛
  • トイレが近くなる
  • 不妊

などがあります。しかし、経血量や生理痛についてはあまり大っぴらに他人と話すこともありませんので、他の人と比べにくいのが現状です。また、不妊については結婚してから始めて気がついたという方もいます。そのため、自覚症状が出ても子宮筋腫だと思わない方も多いのです。

2-3.子宮筋腫のセルフチェック

  • ナプキンをこまめに変えても間に合わないくらい経血量が多い
  • 月経の度にレバーのような塊が出る
  • 日常生活に影響が出るほど生理痛が重い
  • 腰痛がよく起こる
  • トイレが近くなった

このような症状がある方は、できるだけ早く産婦人科を受診しましょう。

筋腫が小さいうちは症状が出ないこともあるんですね。
はい。しかし、経血の量が増えても自分では気がつきにくいこともあるでしょう。目安としては、夜用ナプキンが1時間前後で交換しないと下着が汚れてしまう場合、子宮筋腫の可能性があります。

3.子宮筋腫の治療について

この項では、子宮筋腫の治療についていろいろとご紹介します。年代によってもおすすめの治療方法は違うのです。

3-1.子宮筋腫の診断方法

子宮筋腫の有無は、産婦人科で超音波検査を受ければすぐに分かります。ですから、「子宮筋腫かな? 」と思った場合は産婦人科や婦人科を受診しましょう。子宮頸がんの検診や妊娠の検査で子宮筋腫が発見されることも珍しくありません。重い生理痛や不正出血などで産婦人科を受診した場合も、子宮筋腫の検査をすることがあります。

超音波検査は、お腹の上から端子(プローブ)を当てて検査する方法です。ですから、デリケートな部位を医師に診せる必要はありません。

3-2.子宮筋腫の治療方法

3-2-1.経過観察

子宮筋腫が小さかったり自覚症状が全くなかったりする場合は、無理に治療をせずに経過観察を行います。とはいえ、放っておいてもよいわけではありません。定期的に検診を受けて、筋腫の状態をチェックします。

3-2-2.薬物療法

子宮筋腫は、女性ホルモンの一種であるエストロゲンによって大きくなります。ですから、エストロゲンの供給をストップすれば子宮筋腫の成長は止まるのです。この治療法を「偽閉経療法(ぎへいけいりょうほう)」といいます。すぐに効果が現れますが、閉経と同じ状態になるために、更年期のような症状が出ることもあるのです。また、治療を開始したばかりの頃に不正出血が出ることもあります。そのうえ、治療を止めれば再び子宮筋腫が大きくなり始めるのです。ですから、偽閉経療法を行う場合は、医師といつまで続けるのか相談をしながら行いましょう。

偽閉経療法の他には、低用量ピルを使って子宮筋腫が大きくなるのを防ぐこともあります。偽閉経治療よりも体への負担は少ないのですが、同じようにずっと続けられる治療法ではありません。ピルを使った治療を受ける場合も、どのくらいの期間続けるのかよく医師と相談をしましょう。

この他、経血の量を少なくしたり生理痛を和らげたりする薬が処方されることもあります。

3-2-3.子宮動脈塞栓術

子宮動脈塞栓術(しきゅうどうみゃくそくせんじゅつ)とは、子宮に栄養を送っている血管を塞いでしまう施術です。こうすれば、子宮筋腫に栄養が届かなくなり、子宮筋腫は小さくなります。複数の筋腫を同時に治療できるメリットがある反面、妊娠ができなくなるというデメリットがあるのです。また、閉経後に子宮動脈塞栓術を行っても効果がありません。ですから、施術ができる方が限られている治療方法です。

3-2-4.子宮筋腫を摘出する手術

子宮筋腫が大きくなってしまったり、生理痛がひどかったりする場合は手術をすすめられることがあります。手術には、子宮ごと筋腫を摘出してしまう方法と子宮を温存する方法がありますので、医師とよく相談して決めましょう。

妊娠を望む方の場合は、妊娠に差し障る筋腫だけ取ってしまい、後は薬で痛みを和らげる方法が用いられることが多いのです。手術は腹腔鏡下手術など傷跡を残さない手術もありますが、子宮筋腫がある位置によっては開腹手術しか選択肢がないこともあります。

子宮筋腫の手術は、腹腔鏡下手術のように開腹しない場合は1泊~3泊の入院、開腹手術の場合は約2週間の入院が必要です。費用は25万円~50万円程度ですが、健康保険が適用されますので実際の負担は数万円~十数万円となります。入院保険などに入っている場合は、保険料も出るでしょう。

3-3.定期検診を受ける重要性

現在、子宮筋腫が小さくて自覚症状がなかったとしても、子宮筋腫がこれから大きくなる可能性も十分にあります。また、発見されていないだけで、新しい筋腫が出てくることもあるのです。ですから、どんなに子宮筋腫が小さくても必ず定期検診は受けましょう。放置しておくとある日突然痛みが強くなったり、不妊の原因になったりします。

3-4.子宮筋腫とよく似た怖い病気

子宮筋腫とよく似た病気に、子宮肉腫(しきゅうにくしゅ)というものがあります。こちらは悪性腫瘍で、放置しておけば命の危険があるのです。子宮筋腫と子宮肉腫は超音波検査では区別がつきません。そのため、子宮肉腫が疑われる時はMRI検査や、検体検査が行われます。子宮肉腫はまれな病気ですが、閉経後に筋腫が大きくなっている方は要注意です。

経過観察や手術まで、いろいろな治療方法があるんですね。
はい。子宮筋腫の状態だけでなく、妊娠を望むかどうかでも治療方法が異なることがあります。医師とよく相談してください。

4.子宮筋腫を早めに発見する方法

この項では、子宮筋腫を早めに発見する方法をご紹介します。

4-1.経血量が多い・生理痛がひどい場合は病院を受診する

経血量や生理痛は個人差がありますが、健康な方ならば1時間~2時間に1回程度ナプキンを交換すれば経血が漏れることはありません。夜用のナプキンが1時間も持たないという場合や、生理痛がひどくて日常生活に支障が出ている場合は、すぐに産婦人科を受診しましょう。

4-2.定期的に検診を受ける

子宮筋腫の検診は、子宮頸がんの検診よりも気持ちを楽にして受けることができます。ですから、月経が始まったら1年に1度は検診を受けましょう。早めの発見につながります。

定期検診を受けることが大切なんですね。
はい。子宮筋腫が早期発見できれば、その分治療の選択肢が広がる可能性もあります。

5.子宮筋腫との付き合い方

この項では、子宮筋腫と上手に付き合っていく方法をご紹介します。

5-1.治療方法は医師とよく相談して決める

子宮筋腫の治療方法は、子どもを望む人と望まない人ではかなり異なります。また、薬物療法も合う・合わないがあるでしょう。ですから、医師とのコミュニケーションがスムーズな治療のカギとなります。疑問がある場合は、遠慮なく質問をしましょう。要点をメモにまとめておくと短時間で要領よく説明ができます。

5-2.子宮筋腫のセルフケアで大切なこと

子宮筋腫と診断されても、過剰に心配することはありません。痛みや出血量は薬でコントロール可能です。くよくよと悩み過ぎるとそれがストレスになることもあります。子宮筋腫は、前述したように年齢や子どもを希望するかどうかで治療法が変わってくるため、年を取ればできるようになる治療法もあるのです。ですから、子宮筋腫とうまく付き合っていこうという気持ちで前向きに過ごしましょう。それが何よりのセルフケアです。子宮筋腫があるからといって、やりたいことをがまんしなくても大丈夫。スポーツや旅行などにもどんどんチャレンジしてください。

また、体の冷えは子宮にとってもよくありません。努めて体を冷やさないように心がけましょう。

5-3.基礎体温を測り女性ホルモンのバランスを整える

女性の体温はホルモンの分泌量によって変化します。月経の後は低温期となり、最も体温が低くなった日に排卵が起こるのです。その後、体温は徐々に上がりだし、高温期を迎えて再び月経が起こります。女性ホルモンの増減が正しく行われていれば、基礎体温のサイクルもきれいに出るでしょう。逆に、高温期や低温期がはっきりしない場合は、ホルモンの分泌バランスが乱れている可能性があります。月経が安定してくる10代後半~20代前半になったら基礎体温をつけ、健康の目安にしてください。

女性ホルモンのバランスを整えるためには、規則正しい生活とイソフラボンの摂取が有効です。仕事を持っていると難しいかもしれませんが、夜更かしをやめ、同じ時間に布団に入るよう心がけてください。また、みそや豆腐・納豆などの大豆製品を積極的に取りましょう。豆乳を牛乳代わりに取るのもおすすめです。

子宮筋腫を手術で切除しない場合、うまく付き合っていくことが大切なんですね。
はい。特に、子どもを望む場合は治療を慎重に進める必要もあります。月経の量や痛みのコントロール法も知っておきましょう。

6.子宮筋腫についてよくある質問

ここでは子宮筋腫でお悩みの方から寄せられることの多い質問を回答と共に紹介します。ぜひ、参考にしてください。

Q.子宮筋腫は遺伝するのでしょうか?
A.子宮筋腫が遺伝することはありません。だからこそ定期的な検診が必要です。

Q.妊娠と同時に子宮筋腫が発見されましたが影響はありませんか?
A.筋腫の妊娠への影響については、大きさやできた位置によって異なります。医師から詳しい説明がありますので、疑問があったら遠慮なく尋ねましょう。

Q.子宮筋腫を摘出しても再発することはありますか?
A.はい。残念ながら子宮筋腫は再発することがあります。再発を早期発見するためにも定期的に検診を受けましょう。

Q.漢方薬に子宮筋腫を小さくする効果は期待できますか?
A.漢方薬はホルモン剤ではありませんので、子宮筋腫を小さくする効果は期待できません。しかし、生理痛を和らげたりする効果は期待できます。

おわりに

今回は子宮筋腫とはどのような病気かということや治療方法についてご説明しました。子宮筋腫は決して珍しい病気ではありませんが、適切な治療を行わないと長い間つらい思いをすることもあります。未婚の女性にとって産婦人科は受診しにくい診療科です。しかし、最近の産婦人科は、女性スタッフオンリーであったり中待合室が設けられていたりしてより受診しやすい場所になっています。少しでも不調を感じたら、できるだけ早く受診しましょう。早期発見すれば、対処法の選択肢も豊富です。

アタナハクリニック院長 矢崎 智子

監修者

矢崎 智子
アタナハクリニック院長
日本産科婦人科学会認定医/高濃度ビタミンC点滴療法学会理事/世界アンチエイジング学会認定医/日本内分泌学会・国際オーソモレキュラー医学会・病巣疾患研究会会員/日本線維筋痛症学会会員

1969年長野県生まれ。平成6年杏林大学医学部卒。産婦人科医としての経験を積んだあと、2005年11月、分子整合栄養医学に基づく栄養療法と東洋医学を中心とした統合医療をおこなうクリニックハイジーアを開設。関節リウマチや線維筋痛症、慢性疲労症候群、摂食障害など、通常治療困難とされる疾患や、不妊症などの婦人科疾患の治療において豊富な臨床経験を持つ。日本では数少ない機能性医療の専門家であり、最も経験豊富な一人。

平成24年、医療とヒーリングの統合を目指し、アタナハクリニックを開設。現在はキネシオロジー(筋肉反射テストを使ったセラピー)の一種であるインテグレートヒーリング(IH)を中心とした統合医療を行なっている。

著書
なぜあなたは食べすぎてしまうのか 低血糖症という病

雑誌掲載歴
2014年:『ゆほびか(6月号)』『スターピープル(vol49)』『スターピープル(Vol.48)』
2013年:『トリニティ(Vol.48)』
2011年:『日経ヘルス(1月号)』
2010年:『VoCE(12月号)』『AERA with BABY』『anan(1月20日号)』
2009年:『クロワッサン(6月10日号)』『クロワッサン(1月25日号)』