拒食症を治したい

「拒食症を治したい…」という人に知ってもらいたい、原因と克服方法

アタナハクリニック 院長 矢崎智子

記事監修
アタナハクリニック 院長 矢崎智子
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拒食症の原因を知りたいと思いませんか? 心の問題と結びつきやすい摂食障害は、若い世代の女性に多い病気です。特に拒食症の発病年齢は年々低下しており、最近は10歳前後の患者も増えてきています。私たちが健康に生きるためには「食べる」ことがとても大切です。しかし、拒食症では「食べる」ことが難しくなってしまいます。放っておくと命を落とすことにもなりかねないのです。今、拒食症で悩んでいる人は、なぜ拒食症になってしまうのか、どうすれば治すことができるのか知りたいでしょう。この記事では、拒食症の原因や治療法、克服法などを詳しくご紹介します。

  1. 拒食症の基礎知識
  2. 拒食症の原因について
  3. 拒食症の判断チェック
  4. 拒食症の治療法
  5. 拒食症の克服方法
  6. 拒食症にかんするよくある質問

この記事を読むことで、拒食症から解放される方法がわかるはずです。食べることの意味をよく考え、健康な毎日を取り戻してください。

1.拒食症の基礎知識

まずは、拒食症という病気について解説します。

1-1.どんな病気か?

摂食障害の一つで、正しくは「神経性食欲不振症」と言います。自分の意思とは関係なく、食事の量が激減する病気です。食べることに対して強い罪悪感を抱くようになり、体が食べ物を受け付けなくなります。無理に食べようとしても、吐いてしまうようになり、体重はどんどん減っていくのが特徴です。よくある行動には、以下のようなものがあります。

  • 過度な偏食
  • 過食
  • 食べ物への強い執着
  • 活動的になる

拒食症によって体重が落ちると、一時的に活動的になる人がほとんどです。しかし、病状が進行するにつれて集中力や体力が低下し、思うように活動できなくなるパターンが多くなっています。

1-2.主な症状

栄養が取れなくなると、体や心にさまざまな症状が現れるようになります。たとえば、集中力や気力・体力の低下から始まり、不安やイライラが増大し、抑うつ状態になる人も少なくないのです。そういった精神症状はもちろんのこと、低体温や無月経・不整脈・骨粗しょう症など、体にも影響が現れてきます。最悪の場合は栄養失調の状態が悪化して死亡する可能性もあるのです。実際に、拒食症による死亡率は6~7%と言われています。

1-3.なりやすいのはこんな人!

拒食症は特に、以下のような人がなりやすいと言われています。

  • 完璧主義な人
  • 自分に自信がない人
  • ストレスがたまりやすい人

日本には現在、23000人以上の摂食障害患者がいます。そのほとんどを女性が占めており、特に発病率が高いのは10代後半から20代前半です。

1-4.生活や社会への支障

拒食症患者の中には、学校や会社に行けなくなり辞めてしまうケースも少なくありません。拒食症に陥る多くの原因は「ダイエット」であり、いったん痩せることに成功すると、リバウンドに恐怖を感じるようになるのです。そして、食べることに対する心の葛藤が強くなり、将来への不安を抱えるようになります。その結果、友達や家族との人間関係がうまく築けなくなり、生活や社会にもさまざまな支障が現れるようになるでしょう。

2.拒食症の原因について

原因や関連する病気についてまとめてみました。

2-1.摂食障害とは?

摂食障害には拒食症のほかに「過食症」や「特定不能の摂食障害」があります。いずれも原因には心の問題が深くかかわっており、食事量のコントロールができないために心身ともに健康に影響を及ぼす病気です。そのほかにも、食べたことを本人が覚えていないという「睡眠関連摂食障害」などもあります。「心の弱い人がかかる病気」というイメージが強く、周囲の理解を得られにくいのが現状です。しかし、克服するためには周囲の理解やサポートが不可欠であるということを覚えておきましょう。

2-2.主な原因

原因はほとんどがダイエットや精神的なストレスです。「痩せたい」「もっとスリムになりたい」という単純な思いから始まるのが一般的でしょう。そして、次第に「太っていると周囲に認めてもらえない」「太っている自分はダメな人間だ」という思い込みが強くなります。周囲から見れば十分に痩せているように思えても「まだまだ太っている」「もっと痩せなくてはならない」と脅迫的に考えてしまうようになるのです。そして、食べることに強い罪悪感を抱くようになります。また、ストレスも原因の一つです。拒食によって目標体重を達成することがストレス解消になってしまうケースも少なくないでしょう。

2-3.関連する病気と合併症

拒食症と過食症は症状が重なっている部分も多く、どちらも発病の原因には精神的な問題がかかわっており、治療には時間が必要です。また、拒食症の合併症には以下のようなものがあります。

  • 貧血
  • 不眠症
  • 集中力の低下
  • 脱毛
  • 血性下痢、血便
  • 動悸(どうき)
  • 不整脈
  • 無月経
  • 電解質異常

こういった症状は、拒食症を克服することで改善します。

2-4.放っておくとどうなるのか?

拒食症を放っておくのは大変危険です。たとえば、無月経の状態を長期間放置すると、将来妊娠することが難しくなってしまいます。若年者でも更年期障害のような症状が現れたり、骨がもろくなったりすることもあるのです。立っていることも困難になり、入院が必要になる場合もあります。糖尿病や高血圧など、一生付き合っていかなければならない病気を引き起こす前に対処してください。また、精神的な面でも心配があります。抑うつ症状がひどくなると自殺を考える人もいるため、そのままにしておくと危険です。

3.拒食症の判断チェック

まずは、病気を自覚することが克服への第一歩です。

3-1.セルフチェックしてみよう!

以下の項目でいくつ当てはまるものがあるかチェックしてみてください。

  • 丸1日、まったく食事を取らないことがある
  • 食べ物のカロリーが異常に気になる
  • 太ることに対して恐怖心がある
  • 食べた後は下剤を使っている
  • 自分に自信がなく、将来に不安がある
  • 体重が減ると気分が軽くなる
  • 点滴を受けると太ると思っている
  • 顔色が悪く、急激に体重が減った

当てはまる項目が多いほど、拒食症または今後拒食症になる可能性が高くなります。

3-2.注意点

拒食症患者は自覚がない場合が多く、自覚していても他人に隠す傾向にあります。そのため、本人も周囲も病気に気付くまで時間がかかるのが特徴です。もし、周囲に気になる人がいるなら、行動をよく観察しておいてください。自体が悪化するほど、克服するのが難しくなります。本人が自覚していないようなら、なおさら周囲のサポートが必要です。

4.拒食症の治療法

病院における治療法や病院の選び方や薬についてもご紹介します。

4-1.主な治療法

治療方法はいくつかあります。

4-1-1.カウンセリング

カウンセリングは一般的な治療方法です。拒食症の原因となっている「心の問題」が何なのかを明確にするために、自分が置かれた状況をしっかりと理解する必要があります。間違った思い込みを排除し、治すための意欲を持つことが目的です。最近は薬物療法や栄養療法と併用しながらカウンセリングを行っていくのが一般的な方法となっています。

4-1-2.薬物療法

拒食症は心の問題が原因になるため、抗うつ剤や精神安定剤などの薬を使って治療するのが基本です。そのほかにも、体調不良を改善するためのホルモン剤、栄養不足を改善するためのビタミン剤などが処方されることもあります。薬の処方については、カウンセリングを行った上で診断することになるでしょう。

4-1-3.栄養療法

血液検査によって拒食症を起こしている原因を突き止め、栄養面からアプローチする治療法です。正しい食事指導と栄養の補給を行うことで、拒食症によって引き起こされた低血糖と栄養欠損を治療します。薬ではなく天然のサプリメントによって栄養を補うため、副作用の心配もなく安全です。

4-1-4.入院治療

不安定な精神状態が続いているときや、栄養不足による判断力・思考力の低下が起きているときなどは、入院治療が行われます。入院による治療法は、主に食生活を正常に戻すためのトレーニングです。少ない食事を3食きちんと完食するためのトレーニングで、体重が目標値まで達するとさらに食事の量を増やしていきます。この治療を何度か繰り返しながら、健康な体を取り戻していくのです。

4-2.病院へ行くべき症状とは?

拒食症は心の病気であるため、基本的には自分が「病院に行った方がよい」と思ったら受診するべきです。自分で判断できないときは、以下のような症状を目安に受診してください。

  • 短期間で体重が著しく減少している
  • 精神的な不安が大きく、生活に支障がある
  • 食事の後は自ら吐いてしまう

4-3.何科へ行くのか? 病院の選び方とは?

拒食症は栄養状態や内臓機能が低下しているケースが多いため、まずは内科を受診するのが望ましいでしょう。そして、その後は必ず精神科や心療内科を受診して心のケアを受けてください。拒食症は、治療に時間がかかる病気です、安心して治療に臨めるように、信頼できる医師がいる病院を選びましょう。

4-4.検査、診断方法

拒食症の診断基準は以下のとおりです。

  • 標準体重よりも-20%以上痩せている
  • 食行動の異常がある
  • 体重や体型に対する認識がゆがんでいる
  • 発症年齢が30歳以下である
  • 無月経
  • 内科的な病気や精神疾患がほかに見つからない

上記の基準を満たした上で、血液検査で肝機能障害や白血球の減少、貧血、低コレステロール省、低ナトリウム血症、ホルモン数値の異常などがないか確認します。

4-5.薬について

拒食症の治療では、抗うつ剤や精神安定剤、抗不安薬のように、精神的な症状に効果がある薬が処方されます。また、体に現れている障害に合わせて、胃腸薬やホルモン剤、カリウム剤、ビタミン剤などが処方されることもあるでしょう。薬の内服については、自己判断は危険です。必ず専門家の指示に従って薬を使用してください。

4-6.注意点

近年、拒食症の原因に「家族環境」が深くかかわっていることが増えてきています。幼少期に十分な愛情を受けずに育つと精神的なバランスを崩して拒食症になってしまうケースは少なくないのです。この場合、家族関係を改善することが治療の第一歩となります。患者本人だけでなく、臨床心理士などが家族の間に入って話し合いをすすめていくことも必要になるでしょう。まずは、家族が病気について理解し、改善を目指していくことが大切です。

5.拒食症の克服方法

病院での治療以外にも実践できる克服方法があります。まずは毎日の生活を変えていくように努力しましょう。

5-1.気持ちを楽にする

拒食症に悩む人の多くは、強いストレスを感じています。特に、まじめで完璧主義な性格の人ほど陥りやすい病気です。食欲をコントロールできないことに罪悪感を抱き、拒食症が悪化してしまうことも多いでしょう。できるだけ普段からストレスをためこまないようにし「自分はこのままでよいのだ」と、気持ちを楽にして過ごしてください。そのためには、自分に合ったストレス解消法を見つけることが大切です。運動や趣味など楽しめるものを見つけて、毎日を楽しく過ごすことができるようにしましょう。

5-2.楽しく食事をする

拒食症患者は「食べること」に対してゆがんだ認識を抱きがちです。食事を「楽しい」と思うことはないでしょう。しかし、そのままではいけません。できるだけ複数でおしゃべりをしながら食事するなど、楽しめる環境を作り出しましょう。「食べることは楽しいこと」という意識が生まれれば、拒食症は克服できます。

5-3.周囲ができること

拒食症は一人でいるときに悪化するケースが多いため、家族や友人などのサポートが必要不可欠です。自分ではコントロールできない感情を、周囲の人が助けてあげてください。そのためには、まず周囲がこの病気についてしっかりと理解することが大切です。どのような病気なのか、どうすれば克服できるのか、一緒に考えてあげましょう。

5-4.注意点  

拒食症は回復期にも注意が必要です。治療によって症状が回復してくると、気が緩んでまた拒食に走ってしまうことがあります。克服間近で再び症状が悪化してしまう場合もあるため、完全に完治するまで気を抜かないようにしましょう。暴飲暴食をしないように心がけ、ストレスのない生活を送ってください。

6.拒食症にかんするよくある質問

拒食症に悩む人が感じる疑問とその回答をまとめてみました。

6-1.拒食症になると思考力が低下するのはなぜですか?

A.体に必要な栄養素が足りなくなると、脳にも栄養が行き渡らなくなります。その結果、正常な思考ができなくなるのです。考え方が偏りがちになる、他人の意見に耳を貸さなくなるなどの傾向が強くなります。

6-2.拒食症の初期症状にはどのようなものがありますか?

A.「自分は太っている」と思い込む、カロリーがわからないものは食べたくない、数グラムでも体重が減っているとうれしくなる、食べるのが遅いなどの症状があります。そのままだと拒食症が悪化する危険があるでしょう。

6-3.拒食症が原因で月経が止まってしまいました。どうすればよいですか?

A.無月経が続くと閉経と同じ状態になるため、体の加齢がすすみます。エストロゲンと呼ばれるホルモンも減少するため、骨粗しょう症になりやすくなるでしょう。

6-4.拒食症で体重が減少してしまいました。どのくらいまで減少すると危険ですか?

A.標準体重の75%以上だと軽度の拒食症、65%以下だと重症の拒食症と診断されます。最低限の日常生活にも支障が現れるようになるため、入院による治療をすすめられるでしょう。

6-5.拒食症の入院期間はどのくらいかかりますか?

A.身体的および精神的な状態によって変わりますが、一般的には1~2か月程度とされています。

まとめ

いかがでしたか? 拒食症の原因や治療法、克服法などをまとめてご紹介しました。現在、多くの女性が拒食症に悩まされています。中には、病気であることに気付かず苦しんでいる人も多いでしょう。拒食症は、悪化すると命を落とす危険もある病気です。そして、一人で解決するのは難しい病気であるということを覚えておきましょう。ぜひこの記事を参考にして、食べることの恐怖から解放される方法を見つけてください。

アタナハクリニック院長 矢崎 智子

監修者

矢崎 智子
アタナハクリニック院長
日本産科婦人科学会認定医/高濃度ビタミンC点滴療法学会理事/世界アンチエイジング学会認定医/日本内分泌学会・国際オーソモレキュラー医学会・病巣疾患研究会会員/日本線維筋痛症学会会員

1969年長野県生まれ。平成6年杏林大学医学部卒。産婦人科医としての経験を積んだあと、2005年11月、分子整合栄養医学に基づく栄養療法と東洋医学を中心とした統合医療をおこなうクリニックハイジーアを開設。関節リウマチや線維筋痛症、慢性疲労症候群、摂食障害など、通常治療困難とされる疾患や、不妊症などの婦人科疾患の治療において豊富な臨床経験を持つ。日本では数少ない機能性医療の専門家であり、最も経験豊富な一人。

平成24年、医療とヒーリングの統合を目指し、アタナハクリニックを開設。現在はキネシオロジー(筋肉反射テストを使ったセラピー)の一種であるインテグレートヒーリング(IH)を中心とした統合医療を行なっている。

著書
なぜあなたは食べすぎてしまうのか 低血糖症という病

雑誌掲載歴
2014年:『ゆほびか(6月号)』『スターピープル(vol49)』『スターピープル(Vol.48)』
2013年:『トリニティ(Vol.48)』
2011年:『日経ヘルス(1月号)』
2010年:『VoCE(12月号)』『AERA with BABY』『anan(1月20日号)』
2009年:『クロワッサン(6月10日号)』『クロワッサン(1月25日号)』