リウマチ性多発筋痛症

リウマチ性多発筋痛症とはどのような病気? 症状や治療法を解説

アタナハクリニック 院長 矢崎智子

記事監修
アタナハクリニック 院長 矢崎智子
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リウマチ性多発筋痛症とは、関節リウマチのように関節の強張りや痛みがあるものの、関節の炎症や骨の破壊・腫れなどは起こらない病気です。50歳以上の女性に発症しやすい病気で、患者数は関節リウマチの10分の1以下といわれています。命に別状がある病気ではありませんが、関節や筋肉の痛みが続くと日常生活にも支障が出てくるでしょう。さらに、この病気を発症すると巨細胞性動脈炎(きょさいぼうせいどうみゃくえん)という厄介な病気が合併症として発症することがあります。

今回は、リウマチ性多発筋痛症の症状や治療方法をご紹介しましょう。

  1. リウマチ性多発性筋痛症とは?
  2. リウマチ性多発性筋痛症かな、と思ったら
  3. リウマチ性多発性筋痛症の治療法について
  4. リウマチ性筋痛症の予防方法はあるの?
  5. リウマチ性多発性筋痛症に関するよくある質問

この記事を読めば、リウマチ性多発筋痛症の可能性がある症状が出た場合、すぐに対処できます。最近、肩を中心とした筋肉痛や関節痛がに悩まされているという方も、ぜひ読んでみてくださいね。

1.リウマチ性多発性筋痛症とは?

はじめに、リウマチ性多発筋痛症の症状や関節リウマチとの違いをご紹介します。どのような病気なのでしょうか?

1-1.リウマチ性多発性筋痛症の症状について

リウマチ性多発性筋痛症は、肩を中心とした筋肉や関節の痛みが出る病気です。血液を抗凝固剤と共に試験管に入れて、赤血球が何㎜沈むかを検査する血沈という検査で、正常値を大きく超えて沈む血沈亢進が見られるのは関節リウマチと共通しています。

その一方で、関節リウマチの特徴である関節や骨の破壊・炎症などは起こりません。また、関節リウマチの場合は全身の関節が痛みますが、リウマチ性多発性筋痛症の場合は肩・腰・大腿部(太もも)の筋肉が痛んだり強張ったりします。特に、起床直後に痛みや強張りを感じる方が多く、症状が急速に進むのも特徴です。50歳以降の女性に多く発症することから、五十肩などと誤診されることもあります。

1-2.リウマチ性多発性筋痛症の原因とは?

リウマチ性多発性筋痛症の原因はまだはっきりと分かっていません。免疫機能の異常が原因で発症すると考えられていますが、なぜ異常が起こるかは不明です。患者さんの中には、「ある日突然肩に痛みが出て手が上にあげられなくなった」と訴える方もおり、前述したように症状が急速に進むこともあります。50歳以上の人口10万人に対し50人が発症していると考えられており、決して珍しい病気ではありません。

1-3.リウマチ性多発性筋痛症の診断方法

リウマチ性多発性筋痛症は、この病気にしか現れないという症状がないため、診断に時間がかかることもあります。

  • 一か月以上続く肩や腰回り太ももの筋肉の痛みや強張り
  • 1時間以上、朝に手の強張りが続く
  • 関節リウマチの症状が見られない
  • ステロイド剤の投与で症状に劇的な改善が見られる
  • 血沈が40㎜以上である
  • 50歳以上である

ことが診断基準となり、診断が下るのです。

1-4.厄介な合併症

リウマチ性多発性筋痛症を発症すると、15%~27%くらいの確率で巨細胞性動脈炎(きょさいぼうせいどうみゃくえん)という合併症が現れます。この病気は、側頭動脈・眼動脈などに炎症が発生する病気です。

この際、動脈内に巨細胞という細胞が見られることからこの名がつきました。頭痛・ものが二重に見える・あごがだるい・食欲低下などの症状が現れ、失明の可能性もある病気です。リウマチ性多発性筋痛症の発症が疑われる場合は、巨細胞性動脈炎が発症していないかどうかの確認も大切になります。

2.リウマチ性多発性筋痛症かな、と思ったら

  • 特に心あたりがないのに肩や腰に強い痛みが出るようになった
  • 朝に筋肉の強張りが起こり、30分以上続く
  • 痛みのせいで日常生活に支障が出る
  • 全身がだるく、微熱もある
  • 50歳以上である

このような症状が出た場合は、整形外科やリウマチ科を受診しましょう。膠原病を治療している病院でも診断や治療が受けられます。

3.リウマチ性多発性筋痛症の治療法について

リウマチ性多発性筋痛症は、ステロイド剤を服用すると劇的に症状が改善します。そのため、ステロイド剤(プレドニンなど)を毎日10mg~20mg服用する治療法を行うのが一般的です。ステロイド剤を服用して2,3日しても症状が全く改善しない場合は他の病気である可能性が高いので、もう一度病院を受診して医師の診察を受けてください。

ステロイド剤は医師の管理下の元で服薬を続け、徐々に減薬をしていかないと副作用が出やすい薬です。症状が出なくなったからといって自己判断で投薬をやめてしまうと、症状がぶり返します。また、副作用が現れることもあるでしょう。医師から「もう薬を飲まなくても大丈夫です」という指示があるまで、薬を飲み続けてください。リウマチ性多発性筋痛症は、2,3年投薬を続ければほとんど症状が出なくなる方も多い病気です。

また、リウマチ性多発性筋痛症の合併症である巨細胞性動脈炎も、発症してすぐにステロイド剤を服用すれば症状が重篤化するのを防げます。ですから、頭痛・あごのだるさ・目のかすみ・ものが二重に見えるなどの症状が現れたら、すぐに病院を受診しましょう。

リウマチ性多発性筋痛症は、50歳以降に発症することが多く、高齢者が発症した場合は薬の管理がうまくできないこともあります。この場合、家族やヘルパーさんが薬の管理を行いましょう。

4.リウマチ性筋痛症の予防方法はあるの?

リウマチ性筋痛症は50代以降であれば誰もが発症する可能性がある病気です。また、発症原因がまだよく分かっていないため、確実な予防方法はありません。関節リウマチはストレスも発症の原因といわれていますので、リウマチ性筋痛症の場合もストレスが発症の引き金になる可能性があります。50代は親の介護や子どもの大学進学・自分自身の老化などストレスが溜まりやすい年代です。

また、肩や腰の痛みも出やすくなっていますので、激しい痛みを感じても「年だから」とがまんしてしまう方も多いことでしょう。しかし、がまんをしていると巨細胞性動脈炎を併発し、重い後遺症が出る場合もあります。特に心あたりがないのに激しい肩の痛みを感じたら、念のためにリウマチ科・整形外科などを受診してください。強いストレスを受けている自覚がある方は、自分なりの発散方法を見つけることも大切です。

5.リウマチ性多発性筋痛症に関するよくある質問

Q.50代以下の年代や、男性でもリウマチ性多発性筋痛症を発症することはありますか?
A.患者数は少ないですが発症例はありますので、激しい肩の痛みが続く場合は念のために整形外科・リウマチ科を受診しましょう。

Q.五十肩とはどのような違いがありますか?
A.五十肩の場合は湿布薬やマッサージなどで症状が改善しますが、リウマチ性多発性筋痛症は湿布薬やマッサージでは症状が改善しません。また、朝起きた時に痛みや強張りを感じる方が多いのも特徴です。

Q.関節リウマチと併発することはあるのでしょうか?
A.患者数はごくわずかですが、併発した例はあります。

Q.ステロイド剤は体に悪いというイメージがあって、あまり使いたくありません。
A.ステロイド剤は用法・用量を守れば非常に効果的な薬です。現在のところ、ステロイド剤を使わない治療方法は確立されていません。

Q.肩や腰の痛み以外に何らかの症状が現れることはありますか?
A.痛みで抑うつ状態になってしまう患者さんも珍しくありません。そのため、うつ病と誤診されることもあります。

6.おわりに

いかがでしたか? 今回はリウマチ性多発筋痛症の症状や治療方法をご紹介しました。痛みが出るつらい病気ですが、投薬を的確に行えば、症状は劇的に回復します。肩や腰の痛みは年を取るほど出やすくなりますが、湿布薬やマッサージを行っても解消しない痛みの場合は、念のため病院を受診してください。診断が下るまでに時間がかかるかもしれませんが、病院を受診すれば痛み止めなども処方してもらえます。

アタナハクリニック院長 矢崎 智子

監修者

矢崎 智子
アタナハクリニック院長
日本産科婦人科学会認定医/高濃度ビタミンC点滴療法学会理事/世界アンチエイジング学会認定医/日本内分泌学会・国際オーソモレキュラー医学会・病巣疾患研究会会員/日本線維筋痛症学会会員

1969年長野県生まれ。平成6年杏林大学医学部卒。産婦人科医としての経験を積んだあと、2005年11月、分子整合栄養医学に基づく栄養療法と東洋医学を中心とした統合医療をおこなうクリニックハイジーアを開設。関節リウマチや線維筋痛症、慢性疲労症候群、摂食障害など、通常治療困難とされる疾患や、不妊症などの婦人科疾患の治療において豊富な臨床経験を持つ。日本では数少ない機能性医療の専門家であり、最も経験豊富な一人。

平成24年、医療とヒーリングの統合を目指し、アタナハクリニックを開設。現在はキネシオロジー(筋肉反射テストを使ったセラピー)の一種であるインテグレートヒーリング(IH)を中心とした統合医療を行なっている。

著書
なぜあなたは食べすぎてしまうのか 低血糖症という病

雑誌掲載歴
2014年:『ゆほびか(6月号)』『スターピープル(vol49)』『スターピープル(Vol.48)』
2013年:『トリニティ(Vol.48)』
2011年:『日経ヘルス(1月号)』
2010年:『VoCE(12月号)』『AERA with BABY』『anan(1月20日号)』
2009年:『クロワッサン(6月10日号)』『クロワッサン(1月25日号)』