動脈硬化は改善できる? その方法とは? 皆様の疑問を解説します。

アタナハクリニック 院長 矢崎智子

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アタナハクリニック 院長 矢崎智子
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動脈硬化症とは、文字どおり動脈が硬くなって血液が流れにくくなる病気のことです。動脈は血液を全身に送る役割を担っており、それが硬くなって血液の流れが悪くなれば、心筋梗塞や動脈瘤・脳出血など命にかかわる病気を引き起こすこともあるでしょう。動脈は、一度硬化してしまえば完全に元に戻すことはできませんが、症状を改善させることはできます。

そこで、今回は動脈硬化を改善・予防する方法をご紹介しましょう。

  1. 動脈硬化の基礎知識
  2. 動脈硬化を進行させる原因とは?
  3. 動脈硬化の診断や治療方法
  4. 動脈硬化の進行を遅らせるセルフケア
  5. 動脈硬化に対するよくある質問

この記事を読めば、動脈硬化の恐ろしさやセルフチェックの方法も分かりますよ。動脈硬化が気になるという方や、健康診断などで動脈硬化と診断された方は、ぜひこの記事を読んでみてくださいね。

1.動脈硬化の基礎知識

はじめに、動脈硬化が起こるメカニズムや原因、合併症などをご紹介します。動脈硬化はなぜ起こるのでしょうか?

1-1.動脈硬化って何?

動脈硬化とは、動脈の壁が厚くなったり硬くなったりして、働きが悪くなる症状の総称です。動脈は、一生涯心臓から高圧で血液が送られ続けます。そのため、動脈は3層構造の壁を持ち、真ん中の中膜(ちゅうまく)と呼ばれる部分が厚くなっているのが特徴です。また、中膜の内側には弾力性のある内膜(ないまく)があり、血管にかかる力を分散しています。

動脈硬化とは、内膜に脂肪沈着という現象が起こるところから始まるのです。脂肪沈着とは、血液に含まれるコレステロールなどが内膜内にたまる現象で、時間が経つにつれて脂肪はこぶのように盛り上がっていきます。すると、動脈内部は狭くなり、血液が流れにくくなるのです。そのため、心臓はさらに高圧力で血液を押し出すようになります。そうなると、内膜が傷ついて血栓ができることもあるでしょう。この血栓が血管を詰まらすと心筋梗塞や脳出血につながります。また、脂肪沈着が起こった内膜は弾力性を失い、破れやすくなるでしょう。

動脈硬化は、比較的太い動脈で起きやすく、詰まったり破けたりすれば命にかかわることもあります。

1-2.動脈硬化は生まれた時から始まっている?

動脈硬化は、中高年に発生する症状というイメージがあります。しかし、動脈の硬化自体は生まれた時から始まっているのです。ただし、若い年代の時は脂肪沈着が起こっても、こぶのように盛り上がるまで進行することはほとんどありません。しかし、加齢によって細胞の新陳代謝が衰え、脂肪沈着が進行しやすくなります。そのため、動脈硬化が原因の病気も発症しやすくなるのです。

1-3.動脈硬化の怖さ

動脈硬化は、それ自体命にかかわる症状ではありません。前述したように、加齢に伴って動脈はどうしてもある程度は硬化します。しかし、動脈硬化がひどくなると、心筋梗塞や心肥大・脳出血・動脈瘤破裂(どうみゃくりゅうはれつ)・脳梗塞など命にかかわる病気の原因にもなるでしょう。また、動脈硬化は、ある程度進行するまで全く自覚症状がありません。また、自覚症状も足の痛みやむくみなど分かりにくいことも多く、健康診断や人間ドックで動脈硬化の進行を指摘され、慌てる人も珍しくないのです。

2.動脈硬化を進行させる原因とは?

前項で人は誰でも、加齢に伴って動脈が硬化すると説明しました。しかし、生活習慣や食生活によっては若い年代で動脈硬化が進行してしまうこともあります。一例をあげると、肥満と運動不足・過度の飲酒・喫煙です。肥満の方は、脂肪分の多い食事を好みますから、血液に含まれるコレステロールも高くなりやすいでしょう。また、運動不足が肥満を招き、肥満になるとますます運動しづらくなります。
さらに、喫煙を行っていると血管が収縮しやすく、血も固まりやすくなるでしょう。動脈硬化が進んでいる人が喫煙を続けていると、脳梗塞や心筋梗塞のリスクもアップします。また、高血圧や高脂血症・脂質異常症などの診断を受けている方も、動脈硬化が進行しやすいでしょう。
動脈硬化症の患者数の正確な人数は把握されていません。しかし、動脈硬化が原因で発症したとみられる心筋梗塞や脳出血・脳梗塞が原因で亡くなられる方は、毎年数万人にのぼります。

3.動脈硬化の診断や治療方法

この項では、動脈硬化の診断や治療方法をご紹介します。どのような方法があるのでしょうか?

3-1.病院に行くべき症状とは?

前述したように、動脈硬化はほとんど自覚症状がありません。しかし、足のむくみや痛みなどが出やすくなっている方は要注意です。特に、「高脂血症や高血圧と診断された後から、足のむくみや痛みが起こりやすくなった」という方は、動脈硬化が進んでいる可能性があります。また、健康診断で「動脈硬化の疑いがある」と診断された場合は、一度病院に行きましょう。

3-2.受診する科は?

動脈硬化や高血圧・高脂血症の治療は、循環器科で行われます。かかりつけの内科がある方は、まずはそこを受診し、最寄りの循環器科への紹介状を書いてもらってもよいでしょう。循環器科では、血圧や空腹時の血糖・尿酸値を測定し、CT検査やエコー検査で動脈硬化の進行度合いを確かめます。心電図や眼底検査も一緒に行うこともあるでしょう。

3-3.動脈硬化の治療方法とは?

動脈硬化の治療は、投薬と共に生活習慣の改善指導が行われます。いくら薬を飲んでいても、過度な飲酒や喫煙・脂っこい食べ物を毎日食べる、などの生活を行っていれば、進行を食い止めることはできません。特に、肥満の方はダイエットをすすめられるでしょう。
動脈硬化は、一朝一夕では症状が改善しないため、定期的に病院に通って血液や動脈の状態をチェックしてもらうことも大切です。

4.動脈硬化の進行を遅らせるセルフケア

この項では、動脈硬化の進行を遅らせたり改善させたりする方法をご紹介します。ぜひ、参考にしてください。

4-1.食生活の改善

揚げ物や濃い味付けの食べ物は、毎日食べていると肥満の原因となります。30歳以降になったら、単に空腹を満たすだけでなく、栄養バランスを考えた食事を取りましょう。どうしてもコンビニのお弁当や外食が中心になってしまうという方は、努めて野菜を摂取するように心がけてください。

外食ならば定食屋がおすすめです。コンビニを利用する場合は、野菜を大目に使ったお弁当やサラダ・おひたしなどを追加しましょう。

4-2.禁煙や節酒を心がける

喫煙は動脈硬化だけでなく、がんなどの原因にもなります。機会があれば、ぜひ禁煙をしましょう。また、過度の飲酒は動脈硬化を進行させます。最低でも週に1度は休肝日を設けるなどして、飲み過ぎないように注意しましょう。

4-3.適度な運動を心がける

適度な運動は肥満解消だけでなく、心身のリフレッシュにも効果的です。今は、室内で運動できるDVD付き教本もたくさん販売されていますので、利用してみましょう。ウォーキングやジョギングを行うのもおすすめです。毎日続けなくても、できる範囲で行えば、やがて運動が習慣になってくるでしょう。

4-4.ストレスをためない

ストレスがたまると、暴飲暴食をしたくなるという方もいるでしょう。また、ストレスは体の免疫力を下げ、血管を収縮させてしまいます。怒られたり失敗したりすると、手足の先が冷たくなるという方も多いと思いますが、これは、血管が収縮しているためです。暴飲暴食以外のストレス解消法を見つけましょう。

4-5.サプリメントや健康食品を過信しない

動脈硬化の改善に効果的だとうたったサプリメントや健康食品もありますが、「これを食べているから大丈夫」と過信しないようにしましょう。今まで紹介したことを行ったうえで、サプリメントや健康食品を利用すれば、効果が期待できます。

5.動脈硬化に対するよくある質問

Q.20代でも動脈硬化が進むことはありますか?
A.糖尿病であったり高度肥満であったりする場合は、進む可能性があるでしょう。

Q.玉ねぎは動脈硬化を改善する効果はありますか?
A.玉ねぎと言えば「血液サラサラ」というイメージがありますが、動脈硬化を改善するまでの働きは期待できません。しかし、玉ねぎは栄養価も高く、毎日取りたい野菜です。

Q.動脈硬化を放っておくと、必ず心筋梗塞や脳梗塞になるのでしょうか?
A.必ずとは限りませんが、リスクは高まります。

Q.動脈硬化は、男性と女性どちらに患者数が多いのでしょうか?
A.現在のところ、どちらが際立って多いという調査結果はありません。

Q.野菜はジュースでとっても大丈夫ですか?
A.時間がない場合は、ジュースでもかまいません。

6.おわりに

いかがでしたか? 今回は動脈硬化の改善方法や治療方法についてご紹介しました。動脈硬化は自覚症状こそないものの、進行すると厄介です。30歳を超えたら、年に一度は健康診断を受け、血管や血液の状態を把握しておくとよいでしょう。動脈硬化も早めに治療すれば、改善も比較的簡単です。