無排卵月経は不妊症の一種! 原因と気になる症状を徹底解析!

アタナハクリニック 院長 矢崎智子

記事監修
アタナハクリニック 院長 矢崎智子
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「無排卵月経」という言葉をご存じでしょうか。女性が妊娠するためには、排卵していることが条件になります。「自分は毎月月経があるので問題ない」と思っている女性も多いでしょう。しかし、月経があっても排卵していないこともあるのです。この状態を「無排卵月経」と言い、不妊の原因でもあります。特に30代に多いと言われている無月経排卵。あなたは本当に心配ありませんか? この記事では、無排卵月経のメカニズムや原因などを詳しくご紹介しましょう。

  1. 無排卵月経の基礎知識
  2. 無排卵月経の症状
  3. 無排卵月経の原因
  4. 無排卵月経をセルフチェック!
  5. 無排卵月経の治療について
  6. 無排卵月経のセルフケア
  7. 無排卵月経にかんするよくある質問

この記事を読むことで、自分にその可能性があるかどうかわかるはずです。将来のためにも、早めに治療しましょう。

1.無排卵月経の基礎知識

まずは、無排卵月経という病気について解説します。

1-1.定義

無排卵月経は排卵障害の一つで、不妊の原因になります。通常、月経がある人は「排卵している」と思い込むものでしょう。そのため、排卵していないことに気づかず、発見や治療が遅れる傾向にあります。月経の起こり方に特徴がある場合も多いため、早めに気づくためにもよく観察しておいてください。

1-2.メカニズム

月経の周期を作っているのは、女性ホルモンです。月経とは子宮内膜から出る出血のことであり「エストロゲン」と「プロゲステロン」と呼ばれる女性ホルモンがその調整を行っています。そして、排卵はエストロゲンの分泌量が一気に上昇することで起こるため、エストロゲンの分泌異常が起こると、排卵が起こらなくなってしまうのです。しかし、出血は起こります。その理由は、子宮内膜は増殖するものの、排卵にいたるほど成熟しないため、エストロゲンが急速に減少して子宮内膜がはがれおちてしまうためです。

1-3.なりやすい人と患者数

無排卵月経は、ホルモンバランスの乱れから引き起こされることが多くなっています。更年期や産後の女性に多いのはそのためでしょう。また、普段から慢性的にストレスを抱えている人や無理なダイエットをしている人なども要注意です。また、寝る時間や食事の時間が定まっていない人、激しい運動をしている人などもなりやすいと言われています。現在、日本人女性の約4割が何らかの月経異常を抱えており、そのうちの半数が無排卵月経を起こしているのが現状です。気づいていない人も含めると、さらに多くの女性が無排卵月経を抱えていることが予想できます。

2.無排卵月経の症状

では、主な症状にはどのようなものがあるのでしょうか。

2-1.主な症状

無排卵月経には痛みなどの主な症状はありませんが、月経の状態に特徴的な変化が起こる場合が多くなっています。たとえば、月経が月に2回くる、出血の量が少なくダラダラと続く、周期がバラバラなど、通常とは違った特徴を示すことが多いのです。また、生理痛として下腹部が痛むようなこともほとんどありません。「生理の周期がおかしくなった」「生理痛がなくなった」というときは、無排卵月経の可能性も含めてよく観察してください。

2-2.気になる併発症状について

無排卵月経と併発して起こる症状として多いのが、過多月経です。1時間もたたないうちにナプキンを取り換えなければならない、レバーのような血のかたまりが出るなどの症状があります。ひどいときは貧血を起こすほど大量出血することもあるため、注意する必要があるでしょう。

3.無排卵月経の原因

無排卵月経の原因をまとめてみました。

3-1.原因

無排卵月経はホルモン分泌が正常に行われないことで起こります。ホルモン分泌に異常が起こる原因は、以下のとおりです。

  • 無理なダイエット
  • 生活習慣の乱れ
  • 強いストレス
  • 体の冷え

そのほかにも、薬の副作用や甲状腺疾患などによって無排卵月経を引き起こす場合もあります。

3-2.経過

無排卵月経が疑われるときは、しっかりと経過を観察しておきましょう。強いストレスによって一時的に無排卵になることもあります。月経の周期や量がすぐもとに戻った場合は問題ないでしょう。しかし、同じ状態が長く続くようであれば治療が必要です。

3-3.放置したときの影響

ホルモンバランスが乱れた状態が長期的に続くことは、骨粗しょう症や子宮体がんのリスクを高めることにつながるため、大変危険です。また、現在妊娠を望んでいないからと言って放置してしまうと将来妊娠を希望したときに治療が困難になってしまう可能性もあるでしょう。そうなる前に、早めの治療をおすすめします。

4.無排卵月経をセルフチェック!

自分が無排卵月経かどうかチェックしてみましょう。

4-1.自己診断方法

無排卵月経を見分けるために、以下の項目をチェックしてみてください。

  • 月経の出血量が多くなった
  • 生理痛がなくなった
  • 少量の出血が何日も続くようになった
  • 低温期が続いているのに月経がある
  • 常に量が多く粘り気のあるおりものが続いている

特に、基礎体温を測ることは無排卵月経を見分ける重要なポイントになります。毎月月経があるのに基礎体温が何か月も低温のままである場合は、早めに病院を受診してください。

4-2.PMSとの違い、かかわりとは?

PMSとは「生理前症候群」のことで、月経前になると心身に不調が現れる状態を言います。原因は排卵から月経までの期間に分泌される黄体ホルモンにあると考えられているため、無排卵月経ではPMSの症状が起こることはないでしょう。以前まであったPMSの症状が出なくなった場合も、注意が必要です。PMSの主な症状には、以下のようなものがあります。

  • むくみ
  • 頭痛や腰痛
  • 乳房の張り
  • 肌荒れ
  • 情緒不安定
  • 下腹部痛
  • 便秘や下痢

5.無排卵月経の治療について

無排卵月経の治療についてご紹介します。

5-1.病院へ行くべき症状

無排卵月経が疑われるときは、できるだけ早期に診断を受けるべきでしょう。適切な治療を受けることで早めに症状を改善し、再発を防ぐことができます。自分で判断するのが難しい場合も、病院を受診してください。

5-2.何科を受診するのか?

病院を受診する場合は、婦人科になります。甲状腺疾患などの可能性も考えて、総合病院や大学病院の婦人科を受診しておくと安心でしょう。

5-3.検査、診断方法

無排卵月経の検査方法には、以下のようなものがあります。

5-3-1.基礎体温のチェック

病院を受診する前に、3か月分の基礎体温を測ってグラフにしていきましょう。このグラフをもとに、無排卵月経が起こっている疑いがあるか確認します。無排卵月経の場合は、高温期が36.5℃を下回っていて、低温期と高温期の差が0.3℃以下であるというのが特徴です。グラフを見て疑われるときは、以下のような検査が行われます。

5-3-2.血液検査

血液検査によって血中のホルモン値を調べ、女性ホルモンの分泌が正常かどうかを確認します。また、高プロラクチン血症の場合も無排卵月経が起こるため、血液検査によってプロラクチン値も調べる必要があるのです。

5-3-3.超音波検査

超音波検査によって卵巣や卵胞のサイズを調べ、排卵が起こっているか確認します。卵胞が小さい場合、排卵していないと診断されるでしょう。

5-4.治療方法

治療方法はいくつかあります。

5-4-1.排卵誘発剤で排卵を促す

妊娠を希望している場合は早期に排卵を起こす必要があるため、排卵誘発剤を使用することになるでしょう。黄体機能を高めて月経不順を解消し、妊娠率を上げる効果もあります。排卵誘発剤には飲み薬と注射タイプがあり、飲み薬で効果が見られない場合は注射タイプを使用するという流れです。

5-4-2.ホルモン剤でホルモンバランスを整える

ホルモンバランスを整えることで排卵が起こるケースもあるため、ピルを使って規則的な月経周期に改善します。この方法は、すぐに妊娠を望んでいないときなどに行われることが多いでしょう。

5-4-3.漢方薬で体質を改善する

体質改善のために漢方薬を服用することもあります。生理不順を改善する効果がある漢方薬は「当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)」や「加味逍遥散(かみしょうようさん)」などです。

5-5.投薬について

無排卵月経の治療に使用される薬は、基本的に排卵誘発剤・ピル・漢方薬の3種類です。妊娠希望の有無や症状の程度によって、どの薬を使用するか決めることになります。

5-6.注意点

排卵誘発剤は不妊治療にも効果がある薬です。しかし、多胎妊娠や卵巣過剰刺激症候群など大きな副作用のリスクもあるということを覚えておいてください。副作用のリスクが高いのは、注射タイプの排卵誘発剤です。そのため、まずは内服薬で様子を見ながら、効果が出ないようであれば注射療法に切り替えていくのが一般的でしょう。

6.無排卵月経のセルフケア

無排卵月経は、病院で治療を受けると同時に生活習慣の改善も必要です。

6-1.生活習慣

無月経排卵は不規則な生活習慣やストレス・冷えなどが原因で起こることが多いため、生活習慣を見直すことで改善できる可能性があります。睡眠不足や運動不足などを解消し、栄養バランスのよい食事をとることを心がけましょう。過度の飲酒や喫煙を避け、冷えを改善して血液の流れをよくしてあげてください。特に、ストレスは自律神経に大きな影響を与えます。普段からストレスをためやすい人は、自分なりのストレス解消法を見つけましょう。ストレス緩和の方法としては、以下のようなものがおすすめです。

  • 睡眠を十分にとる
  • ゆっくりと入浴する
  • 音楽やアロマなどを取り入れてリラックス空間を作る
  • 適度に運動をする

6-2.無排卵月経を改善する食事

無排卵月経の改善に効果的な食べものには、ナッツ類や大豆食品などがあります。ナッツ類にはホルモンバランスを整えるビタミンEが豊富に含まれており、大豆食品には女性ホルモンを活発にする大豆イソフラボンが含まれているのです。こういった食品を積極的に食べることで、ホルモンバランスが改善され、排卵しやすい体を作ることができます。

6-3.NG行為とは?

無理なダイエットは、無排卵月経を引き起こす原因になります。ダイエットによって常に空腹の状態が続くと、レプチンと呼ばれるホルモンの分泌が減少し、性腺刺激ホルモンや甲状腺の機能低下につながるのです。その結果、排卵できない原因になってしまいます。また、ダイエットが原因で強いストレスを感じるのもよくないでしょう。体重が急激に減少するような、過度なダイエットは避けるようにしてください。

7.無排卵月経にかんするよくある質問

「無排卵月経について知りたい」という人が感じる疑問とその回答をまとめてみました。

7-1.生理の血が茶色っぽい色をしています。無排卵月経でしょうか?

A.血の色が黒っぽい、茶色っぽいのも、無排卵月経の特徴です。しかし、だからと言って必ず無排卵月経が疑われるというわけではありません。基礎体温や生理周期の症状も合わせて確認してください。

7-2.無排卵月経だと低体温が続くのはなぜですか?

A.正常な月経の場合、排卵が起こるとプロゲステロンが分泌されて基礎体温は上がります。しかし、無排卵の場合はプロゲステロンが正常に分泌されないため、低体温のままになってしまうのです。

7-3.排卵検査薬を使用したところ陽性でした。無排卵月経の可能性はないということですか?

A.無排卵月経であっても、排卵検査薬が陽性になることはあります。排卵検査薬は卵子が成長していることを示す黄体形成ホルモンを感知するものであるため、卵子が成長しても排卵できない場合、無排卵でも陽性になってしまうのです。

7-4.生理の出血量が少なく、ダラダラと10日以上続きます。無排卵月経の可能性はありますか?

A.過少月経や過長月経は無排卵月経の症状として当てはまります。しかし、生理周期が乱れたからと言って必ず無排卵というわけではないのです。ストレスなどで周期が乱れることもあるため、同じ状態が続くかどうか、3か月は様子を見ることをおすすめします。

7-5.無排卵月経でも妊娠することは可能ですか?

A.排卵が起こっていない状態では、妊娠はできません。しかし、無排卵月経は治療可能な病気です。妊娠を望んでいるなら、早めに病院を受診し、適切な治療を受けてください。

まとめ

いかがでしたか? 無排卵月経の見極め方や病院での治療法などをご紹介しました。無排卵月経は不妊症の一種です。放置しておくと妊娠できないだけでなく、重大な病気の原因になる可能性もあります。症状が軽いうちは生活習慣や体質を改善することで治すこともできるため、早めに病院を受診してください。