マイコプラズマ感染症の症状はどんなもの? 予防法や治療法は?

アタナハクリニック 院長 矢崎智子

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アタナハクリニック 院長 矢崎智子
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マイコプラズマ感染症は、マイコプラズマという病原菌に感染することによって発症します。肺の中で菌が繁殖することが多く、マイコプラズマ肺炎と診断されることもあるでしょう。5~14歳の子どもに発症しやすい病気ですが、大人にも感染します。家族に1人感染者が出ると、家族全員が感染することもあるでしょう。

今回は、マイコプラズマ感染症の症状や治療方法などのついて解説します。

  1. マイコプラズマ感染症の基礎知識
  2. マイコプラズマ感染症と細菌感染症との違い
  3. マイコプラズマ感染症の治療方法
  4. マイコプラズマ感染症に対するよくある質問

この記事を読めば、感染を予防する方法や重症化させない方法も分かることでしょう。感染を予防したい方や、お子さんの感染が心配という方はぜひ読んでみてくださいね。

1.マイコプラズマ感染症の基礎知識

はじめに、マイコプラズマ感染症の症状や原因・特徴などを紹介しましょう。どのような病気なのでしょうか?

1-1.マイコプラズマとは?

マイコプラズマとは、正式名称をマイコプラズマ・ニューモニエと言い、ウィルスと細菌の中間のような病原菌です。肺炎の10%~20%はマイコプラズマの感染が原因ともいわれているポピュラーな菌で、定期的に流行することでも知られています。

感染者は前述したように5~14歳までの子どもが多いのですが、大人が感染することも珍しくありません。子どもが感染したら、一家全員にうつってしまったということもあります。

1-2.マイコプラズマの症状について

マイコプラズマに感染すると、初期の頃はせきが長期間続きます。この時点では風邪と区別がつかないため、病院に行かない方も多いでしょう。また、症状が出はじめたばかりの頃は、検査をしても陰性症状が出ることもあるため、病院で風邪と診断されることもあります。ただし、マイコプラズマが流行している場合は、初めから感染を疑うこともあるでしょう。

症状が進むにつれてせきが激しくなり、熱も出てきます。肺炎になると熱も39度近くに上がることがありますが、高熱が続くことは少なく、1日の内に熱が上がったり下がったりすることが多いでしょう。

大人は子どもよりも自覚症状があいまいで、微熱・せき・倦怠感などが1、2か月以上続くこともあります。仕事をしている方の場合、「この程度では休めない」と無理して出勤し、感染を広げてしまうこともあるでしょう。細菌性肺炎からマイコプラズマ肺炎に移行する例もあり、やっと病院に行って診察を受けたら重症化していたという例もあります。

大人も子どもも、マイコプラズマは2~3週間の潜伏期間を経て発症しますので、流行地域に出かけていって感染し、帰宅してからしばらくして発症することも珍しくありません。また、流行が収束してから発症する例もあります。

1-3.マイコプラズマの特徴

マイコプラズマは、細菌感染の治療に使われるペニシリン系やセフェム系の抗生物質では効果がありません。そのため、治療にはマクロライド系やテトラサイクリン系の抗生物質が使われます。細菌感染による肺炎や風邪と診断されて抗生物質を投与されたのに効果がなく、そこで初めてマイコプラズマに感染したことが分かることもあるでしょう。

しかし、2002年頃からマクロライド系の抗生物質に耐性のあるマイコプラズマ菌が報告されるようになりました。国立感染症研究所により、2011年~2012年かけて大阪府内でマイコプラズマが流行した際、分離菌の80%以上が抗生物質に耐性のあるマイコプラズマであったという報告が行われています。しかし、近年は耐性菌が減少傾向にあるため、過剰に心配することはありません。

2.マイコプラズマ感染症と細菌感染症との違い

マイコプラズマ感染症は、通常の細菌感染と違い数年おきに流行します。近年は大規模な流行よりも、局地的に流行することが多いようです。細菌感染症の場合は、感染初期の頃に暖かくして安静にしていれば、病院に行かなくても治ることもあるでしょう。
一方、マイコプラズマ感染症は潜伏期間が長く、症状がしつこく続きます。病院に行って抗生物質で治療をしない限り、せきや微熱が続くことでしょう。また、前述したように感染初期に検査を受けても菌が検出されないこともあり、診断がなかなかつかないこともあります。
治療を始めても、2~3週間投薬を続ける必要があるのも特徴です。

3.マイコプラズマ感染症の治療方法

この項では、マイコプラズマ感染症の治療方法について解説します。どのような治療方法があるのでしょうか?

3-1.マイコプラズマ感染症が疑われる症状として

  • しつこいせきが2週間以上続いている
  • 1日の内に何度も熱が上がったり下がったりする

があります。さらに、

  • 家族やクラスメートにマイコプラズマ感染症を発症した人がいる
  • マイコプラズマが居住地で流行している

状態ならば、かかりつけの内科・呼吸器科・小児科を受診しましょう。小児科から呼吸器科を紹介されることもありますので、子どもが感染の疑いがあるのならば、かかりつけの小児科を受診するのが一番です。感染してからある程度時間が経っている場合は、検査で菌が検出されますが、初期の段階では陰性が出ることもあります。ですから、地域でマイコプラズマが流行していたり家族に感染者がいたりする場合は、陰性の症状が出ても油断せずに様子をみましょう。

3-2.マイコプラズマの治療方法

マイコプラズマの治療方法は、抗生物質の服薬が中心です。肺炎が進行し、発熱や呼吸困難の症状がみられる場合は入院することもありますが、たいていは自宅で服薬治療を行います。ただし、前述したように完全に菌が体外へ排出されるまでに2~3週間はかかることもあるため、その間は服薬と通院をしっかり行ってください。
免疫力が低下していたりする場合は、完治まで数か月かかることもあります。

3-3.注意するべき症状

マイコプラズマで命を落とすことはほとんどありません。ただし、喘息を発症していると発作が重くなることがあります。ですから、喘息を発症している方がマイコプラズマに感染した場合、用心のために入院治療を行うこともあるでしょう。
また、子どもの場合は急性中耳炎を併発することがあります。子どもが耳の痛みを訴えた場合は、耳鼻咽喉科も受診してください。まだ言葉がうまくしゃべれない幼児や赤ちゃんの場合は、耳を気にするそぶりを見せたら念のために病院を受診しましょう。

3-4.感染予防の方法

マイコプラズマは、飛沫感染します。ですから、マイコプラズマが流行している間は、うがいと手洗いをしっかりと行いましょう。

また、微熱・しつこいせき・倦怠感などが1週間以上続く場合は、できる限り早く病院を受診してください。がまんしているとそれだけ重篤な症状になりますし、感染を拡大させてしまいます。

4.マイコプラズマ感染症に対するよくある質問

Q.マイコプラズマ感染症は、高齢者でも感染しますか?
A.はい、すべての年代で感染するので注意が必要です。マイコプラズマ感染症で亡くなることはほとんどありませんが、発症して体力や抵抗力が低下している時に別の病気を発症し、亡くなるケースもあります。

Q.マイコプラズマ感染症に感染してしまったら注意することはあるでしょうか?
A.感染を拡大させにように、マスクをするといいですね。また、食欲がない場合はゼリータイプの栄養補助食品などを利用するのもよいでしょう。熱が下がっても無理をせず、睡眠をたっぷりとってください。

Q.マイコプラズマ感染症を発症した場合、出席停止などになることはありますか?
A.現在のところ、マイコプラズマ感染症を発症しても、出席停止・出社停止になることはありません。しかし、無理をしては症状が重篤化しますので注意しましょう。

Q.家族がマイコプラズマ感染症を発症した場合、隔離をした方がよいのでしょうか?
A.兄弟で1つの部屋を使っている場合などは、別の部屋で生活させた方がよいですね。

5.おわりに

いかがでしたか? 今回はマイコプラズマ感染症の症状や治療方法を紹介しました。微熱・せき・倦怠感などの症状は風邪とよく似ているため、病院へ行くのが遅れがちです。1週間以上薬を飲んでも全く症状改善の様子がみられない場合は、病院に行きましょう。また、学校や幼稚園でマイコプラズマ感染症流行のお知らせが配られることもあります。このような場合は、うがい手洗いを普段より念入りにしましょう。体の抵抗力を高めるため、栄養のある食事を取るのも効果的です。