萎縮性胃炎

萎縮性胃炎を放っておくと恐い理由は? 治療法や予防法も紹介!

アタナハクリニック 院長 矢崎智子

記事監修
アタナハクリニック 院長 矢崎智子
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「萎縮性胃炎は治るのか?」と不安に思っている人は多いでしょう。萎縮性胃炎とは、胃炎が慢性化した状態のことです。治療せずに放置しておくと、胃がんに進行する可能性もあります。そのため、早期の発見・対処が必要になるのです。この病気は、一度発症すると完治するのが難しいと言われています。しかし、適切な治療を受け、生活習慣の見直しなどをすることで進行を防ぐことが可能です。重篤な病気に発展する前に、病院を受診しましょう。

この記事では、萎縮性胃炎について詳しくご紹介します。

  1. 萎縮性胃炎の基礎知識
  2. 萎縮性胃炎のセルフチェック
  3. 萎縮性胃炎の治療法
  4. 萎縮性胃炎の予防法
  5. 萎縮性胃炎に関するよくある質問

この記事を読むことで、萎縮性胃炎が分かるはずです。ぜひ参考にして、早期発見を実現してください。

1.萎縮性胃炎の基礎知識

まずは、萎縮性胃炎について解説します。

1-1.どんな病気なのか?

胃粘膜が薄くなり、胃酸の分泌量が減ることで、胃に血液が回らなくなってしまいます。その結果、胃の色がくすんで見えるようになるのです。短期間で胃が炎症を起こしてしまう「急性胃炎」とは違い、治療には長期にわたる生活習慣の改善が必要不可欠になります。

1-2.主な症状

主な症状には、以下のようなものがあります。

  • 胃痛
  • 腹部の膨満感
  • 吐き気
  • 胸やけや胃もたれ
  • 食欲不振
  • 下痢や便秘

ただし、初期段階では自覚症状がない場合もあります。そのため、健康診断や人間ドックで初めて病気に気づく人も少なくないのです。

1-3.主な原因

最も多いのが、ピロリ菌感染によるものです。ピロリ菌とは悪玉菌の一種で、一度感染すると除去しない限り、胃の中に住み続けます。ただし、ピロリ菌に感染しているからと言って、必ず萎縮性胃炎を引き起こすわけではないのです。生活習慣やストレスが原因になることもあるため、誰にでも注意が必要な病気と言えるでしょう。

1-4.なりやすい人と割合

50歳以上の日本人は、8割がピロリ菌に感染していると言われています。そのため、萎縮性胃炎も50歳以上の人に多く発症することが分かっているのです。また、萎縮性胃炎は慢性胃炎を繰り返すことで起こります。そのため、ピロリ菌に感染している人だけでなく、慢性胃炎にかかったことがある人も注意が必要になるでしょう。慢性胃炎は、ストレスやアルコール・刺激物などが原因で起こります。普段からストレスをためやすい人、アルコールや刺激物を好む人は注意しましょう。

1-5.放っておくとどうなるのか?

萎縮性胃炎は、進行すればするほど治療には時間がかかるようになるでしょう。激痛があるにもかかわらず放置し続けた場合は、胃潰瘍や胃がんに発展してしまっているケースも少なくありません。胃がんとの深いかかわりを理解し、萎縮性胃炎をすぐに治療することが大切でしょう。

萎縮性胃炎は、ピロリ菌が原因なんですね。
はい。しかも放置しておくと病状が進行し、治療に時間がかかります。早めの治療が大切です。

2.萎縮性胃炎のセルフチェック

では、萎縮性胃炎をセルフチェックしてみましょう。

2-1.セルフチェック項目

以下の項目で当てはまるものがあるかチェックしてみてください。

  • 食事中や食後に強い胃の痛みがある
  • 胃もたれと食欲不振が慢性的に続いている
  • 胸やけや吐き気がある
  • 家族にピロリ菌感染者がいる
  • 胃の定期検診を受けていない
  • ピロリ菌の除菌をしたことがない

当てはまる項目が多いほど、萎縮性胃炎の可能性が高いでしょう。

2-2.分類について

萎縮性胃炎は、胃粘膜の萎縮度合いによって7つのレベルに分類されているのです。萎縮がない状態を「C-0」とし、萎縮の広がりに応じて「C-1」「C-2」「C-3」「O-1」「O-2」「O-3」と続きます。最も萎縮が広がっている状態が「O-3」です。

胃もたれや胃の痛みが主な自覚症状なんですね。
はい。しかし、胃もたれや胃の痛みはほかの病気の症状としても現れるので、自分で萎縮性胃炎と断定してはいけません。早めに病院を受診してください。

3.萎縮性胃炎の治療法

萎縮性胃炎の治療法についてご紹介します。

3-1.診断方法

内視鏡検査や胃カメラ検査・血液検査・ピロリ菌検査などを組み合わせて、診断が行われることになるでしょう。血液検査では、胃の粘膜から分泌される「ペプシノゲン」や「アルカリホスファターゼ」「総ビリルビン」の数値を確認します。

3-2.主な治療法

萎縮性胃炎は、主に薬物療法と食事の改善によって治療します。

3-2-1.薬物療法

胃酸を中和する薬や、胃粘膜を保護する薬などが処方されます。症状や程度によって、こういった薬を組み合わせて使用するのが一般的です。また、ピロリ菌に感染している場合は、抗菌薬などを使って除去します。

3-2-2.食事の改善

薬の服用と同時に、食事の改善によって症状を緩和します。食感の硬いものや、食物繊維が多い食材・消化しにくい食材などを避け、胃にやさしい食事を心がけることが大切です。特におすすめなのは、以下のような食事になります。

  • おかゆやうどんなど、消化によいもの
  • ささみや白身魚など、高たんぱく低カロリーな食材
  • 善玉菌が豊富なヨーグルト

3-3.病院について

自己判断するのは難しいでしょう。激しい胃の痛みがあるときや、違和感が続いているときなどは、必ず病院を受診してください。内科か消化器内科で詳しい検査を受けることをおすすめします。病院は、できるだけ通いやすい場所にあるとよいでしょう。ホームページで実績などをチェックし、信頼できる病院かどうかを確認してください。

3-4.注意点

処方される薬は、萎縮性胃炎そのものを治すためのものではありません。症状に対して効果を示すものであるということを覚えておきましょう。定期的に検査を受けて進行状況などを確認しながら付き合っていかなければならない病気です。症状が和らいだからと言って通院をやめず、医師の指示に従って検査を受けるようにしてください。

投薬と生活習慣・食生活の改善が主な治療方法なんですね。
はい。薬で痛みが治まったからといって、暴飲暴食してはいけません。

4.萎縮性胃炎の予防法

萎縮性胃炎の予防法をご紹介します。

4-1.定期的なチェック

萎縮性胃炎は自覚症状がない場合も多いため、ある程度進行するまで気づかない人も多いのです。実際に、診断された人の多くが、健康診断や人間ドックなどで病気が見つかっています。早期発見・治療のためにも、年に1度は検診を受けるようにして、できるだけ予防に努めましょう。

4-2.食事について

普段からアルコールや刺激物・消化に悪いものを食べている人は、萎縮性胃炎になりやすいと言われています。食生活は萎縮性胃炎の発症に大きく関係するのです。常に心がけておきましょう。

4-3.やってはいけないこと・注意点

暴飲暴食やストレスをため込むようなことは、絶対にやってはいけません。特に、食生活が乱れている人、普段からストレスを抱え込みやすい人などは、十分に注意しながら生活するようにしてください。

定期的に検診を受けることが大切なんですね。
はい。それに加えてストレスを暴飲暴食で発散するのはやめましょう。

5.萎縮性胃炎に関するよくある質問

「萎縮性胃炎について知りたい」という人が感じる疑問とその回答をまとめました。

Q.萎縮性胃炎から胃がんに発展するリスクはどのくらいですか?
A.萎縮性胃炎を発症している人は、そうでない人の3.8倍もの可能性で胃がんを発症すると言われています。

Q.自律神経と萎縮性胃炎にはどのような関係があるのですか?
A.自律神経は胃の働きをコントロールしているためです。特に、自律神経失調症やうつ病・統合失調症などを患っていると萎縮性胃炎になりやすいと言われています。

Q.ピロリ菌に感染しているかどうか、どのようにして特定するのですか?
A.内視鏡を使って調べる方法と、内視鏡を使わずに抗体測定や尿素呼気試験などを行う方法があります。

Q.薬を飲めばピロリ菌は完全に除菌できるのですか?
A.薬によって除菌できるのは、70~90%の割合です。一次除菌に失敗した場合は、薬を変えて再び除菌を行います。二次除菌では、80~90%の割合で除菌可能です。

Q.自己免疫疾患による萎縮性胃炎を診断されました。どのようなものですか?
A.自己免疫の異常によって、胃の細胞が後退の攻撃を受けてしまうことで起こります。甲状腺疾患や糖尿病を持つ人がかかりやすいと言われている病気です。

まとめ

萎縮性胃炎の原因や治療法などをまとめてご紹介しました。萎縮性胃炎は、放置しておくと胃がんに発展する可能性がある危険な病気です。慢性的な胃の症状を抱えている人は、一度病院を受診してしっかりと検査を受けてください。

アタナハクリニック院長 矢崎 智子

監修者

矢崎 智子
アタナハクリニック院長
日本産科婦人科学会認定医/高濃度ビタミンC点滴療法学会理事/世界アンチエイジング学会認定医/日本内分泌学会・国際オーソモレキュラー医学会・病巣疾患研究会会員/日本線維筋痛症学会会員

1969年長野県生まれ。平成6年杏林大学医学部卒。産婦人科医としての経験を積んだあと、2005年11月、分子整合栄養医学に基づく栄養療法と東洋医学を中心とした統合医療をおこなうクリニックハイジーアを開設。関節リウマチや線維筋痛症、慢性疲労症候群、摂食障害など、通常治療困難とされる疾患や、不妊症などの婦人科疾患の治療において豊富な臨床経験を持つ。日本では数少ない機能性医療の専門家であり、最も経験豊富な一人。

平成24年、医療とヒーリングの統合を目指し、アタナハクリニックを開設。現在はキネシオロジー(筋肉反射テストを使ったセラピー)の一種であるインテグレートヒーリング(IH)を中心とした統合医療を行なっている。

著書
なぜあなたは食べすぎてしまうのか 低血糖症という病

雑誌掲載歴
2014年:『ゆほびか(6月号)』『スターピープル(vol49)』『スターピープル(Vol.48)』
2013年:『トリニティ(Vol.48)』
2011年:『日経ヘルス(1月号)』
2010年:『VoCE(12月号)』『AERA with BABY』『anan(1月20日号)』
2009年:『クロワッサン(6月10日号)』『クロワッサン(1月25日号)』