変形性関節症

変形性関節症でお悩み? 症状・治療・セルフケアを詳しく!

アタナハクリニック 院長 矢崎智子

記事監修
アタナハクリニック 院長 矢崎智子
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「関節の腫れと痛みが気になる」「関節の痛みがだんだん強くなってきた」などの症状がある人は、変形性関節症の疑いがあります。関節に痛みが腫れがあると日常生活に大きな不便をもたらすので困るものです。何とかして、つらい症状を治したいことでしょう。そこで、今回は、変形性関節症の主な症状や治療・セルフケアの方法などを詳しく解説します。

  1. 変形性関節症の基礎知識を学ぼう
  2. 変形性関節症の種類や症状について
  3. 変形性関節症の原因を知ろう
  4. 変形性関節症の診断基準(ガイドライン)について
  5. 変形性関節症の病状経過とほかの病気について
  6. 変形性関節症の治療について
  7. 変形性関節症のセルフケアを学ぼう
  8. 変形性関節症に関するよくある質問

この記事を読むことで、変形性関節症に関する正しい知識が身に付き、適切な治療を受けるために必要なことを理解・実行できます。つらい症状で悩んでいる人は、ぜひ読んでみてください。

1.変形性関節症の基礎知識を学ぼう

最初に、変形性関節症の基本を解説します。どんな病気か・なりやすい人の特徴や患者数について学びましょう。

1-1.変形性関節症とはどんな病気か

変形性関節症とは、何らかの原因によって関節に大きな負担がかかり、腫れや炎症を繰り返した結果、関節が変形してしまう病気です。症状は長い時間をかけて進行していくため、初期段階ではほぼ自覚症状がありません。しかし、進行するにつれて症状が激しくなり、治りにくくなります。

1-2.変形性関節症になりやすい人・患者数について

変形性関節症になりやすい人には、以下の特徴を見ることができます。

  • 女性(男性の4倍以上の患者数)
  • 40代以上
  • 脚の筋力が無い
  • O脚
  • スポーツをしている
  • 階段の上り下りをする機会が多い
  • 立ち仕事が多い
  • 肥満体
  • 姿勢が悪い

なお、変形性関節症の患者数は、潜在分を含めて2,400万人以上と言われます。日本国民の5人に1人の計算となるため、国民病と言っていいでしょう。

変形性関節症は関節が変形してしまう病気なんですね。
患者数は2,400万人以上と言われています。これは日本国民の5人に1人の計算となるため、国民病と言っていいでしょう。

2.変形性関節症の種類や症状について

変形性関節症の種類や症状について学びましょう。傷みの種類や症状の出る場所・出方を理解してください。

2-1.変形性関節症の痛みの種類や症状が出る場所

変形性関節症の痛みは、ズキズキする・キーンとするなどと表現する人が多いものです。変形性関節症は、全身の関節に起こります。中でも、日常生活において負担がかかりやすい部分の関節に多いのが特徴です。たとえば、膝(しつ)関節・股関節などに変形性関節症を発症するケースがあります。

2-2.変形性関節症の症状の出方

主な症状は、関節の痛み・腫れであり、進行するにつれて激しく治りにくくなることが特徴です。動かしたときに痛みを感じることが多く、安静にしているときには自覚症状を感じにくくなります。しかし、症状が進んでくると安静にしているときにも痛みを感じるようになるので注意しましょう。

2-3.そのほかの症状について

変形性関節炎になると、関節の痛み・腫れのほかにも以下のような症状を見ることができます。

  • 関節の変形
  • 筋力の低下
関節の痛みや腫れが主な症状なんですね。
ほかにも関節の変形・筋力の低下などが見られます。症状が進んでくると安静にしているときにも痛みを感じるようになるので要注意です。

3.変形性関節症の原因を知ろう

変形性関節症の原因を知ることは、予防や改善に役立ちます。主な原因には何があるか詳しく学びましょう。

3-1.関節と軟骨のメカニズムを学ぼう

関節は、骨と骨のつなぎ目の部分であり、軟骨が存在します。関節がスムーズに動くためにも、軟骨の存在は重要です。関節で、骨同士が衝突しないためのクッションになっています。しかし、関節に大きな負荷がかかると、軟骨がすり減ってしまい、炎症を起こすのです。また、水が溜(た)まったり痛みが出たりするため、歩行困難に陥ることもあります。

3-2.変形性関節症の原因について

変形性関節症になる主な原因は、関節に大きな負担がかかることです。たとえば、以下のようなことを挙げることができます。

  • 激しい運動
  • 階段の上り降り
  • 急激な屈伸運動
  • 肥満
  • 癖のある歩き方
  • O脚などの脚のゆがみ
  • 加齢
  • ​外傷の後遺症
関節に大きな負担がかかることが原因なんですね。
具体的には激しい運動、癖のある歩き方、肥満などです。ひどい場合は歩行困難に陥ることもあります。

4.変形性関節症の診断基準(ガイドライン)について

変形性関節症の診断基準について、チェック項目の詳細や注意点を解説します。

4-1.変形性関節症の診断チェック項目について

変形性関節症と診断するためには、以下のチェック項目を用いることになります。

  • 視診や触診で腫れや変形を認める
  • 痛みの自覚症状がある
  • 時間の経過とともに症状が悪化する
  • X線検査などで軟骨の減少を認める
  • 血液検査でほかの病気の疑いが出ない
  • 関節の曲げ伸ばしに支障がある
  • 歩行困難がある

4-2.変形性関節症の診断チェック項目に関する注意点

変形性関節症の診断チェック項目に該当した場合は、速やかに治療を開始する必要があります。初期には症状が軽く、1~2日程度安静にすると治ることも多いものです。しかし、徐々に治りにくくなり、気が付くころには重症化していることもあります。早期治療が悪化を防ぎ、また、治療期間を短くするのです。

変形性関節症の診断基準がよくわかりました。
該当した場合は、速やかに治療を開始する必要があります。早期治療が悪化を防ぎ、治療期間も短くするのです。

5.変形性関節症の病状経過とほかの病気について

変形性関節症の病状の経過や放置した場合のリスク、関連する病気などについて解説します。

5-1.変形性関節症の病状の経過について

変形性関節症は、徐々に病状が進行する病気です。1回変形した関節は、自然に元に戻ることはありません。変形がひどくなったり軟骨がすり減ったりしてしまった場合は、手術をすることもあります。いずれにしても、できるだけ早期に発見・治療をすることで、病状の進行を止めることが大切です。

5-2.変形性関節症を放置するとどうなる?

変形性関節症を放置すると、悪化するばかりであり、最終的には痛みや腫れなどで日常生活に大きな支障をもたらすものです。症状が進行すると、何もしていなくても痛みが発生し、関節の曲げ伸ばしができなくなることもあります。放置して自然に治るものではないため、適切な治療を受けましょう。

5-3.変形性関節症で考えられるほかの病気

変形性関節症とよく似た病気には、以下のようなものがあります。症状が似ていることから誤診されやすいので気を付けましょう。

  • 関節リウマチ
  • 閉塞性動脈硬化症

5-4.変形性関節症に関連する病状や病気について

変形性関節症に関連する病状や病気には、以下のようなものがあります。いずれも、関節の痛みを引き起こすものです。

  • 半月板損傷
  • 靭帯(じんたい)損傷
  • 骨粗しょう症
  • 骨肉腫
1回変形した関節は自然に元に戻ることはないんですね。
変形性関節症を放置すると、悪化するばかりです。できるだけ早期に発見・治療をして、病状の進行を止めることが大切です。

6.変形性関節症の治療について

変形性関節症の治療について詳しく解説します。病院に行くべき症状や検査・診断・治療方法などを学びましょう。

6-1.変形性関節症で病院に行くべき症状とは?

以下の症状があるときは、病院に行ってください。すでに症状が進行している場合があります。

  • 関節に激しい痛みがある
  • 腫れがひどい
  • 歩行困難がある
  • 曲げ伸ばしがうまくできない

6-2.変形性関節症は何科に行けばいい?

変形性関節症の疑いがある人は、整形外科に行きましょう。整形外科では、変形性関節症の検査を行い、総合的に診断を下します。治療に何度も通うことを考えると、自宅や職場などから近いところがベストです。

6-3.変形性関節症の検査・診断方法

変形性関節症の疑いがあるときは、以下の検査を行います。

  • 医師による症状の問診・視診・触診
  • X線検査(関節の内部の様子を観察する)
  • 血液検査(炎症反応やほかの病気の可能性を探る)
  • 関節液検査(関節液の色や濁りなどを見る)

6-4.変形性関節症の治療方法

変形性関節症の治療法は、薬物療法・運動療法・補助具の装着・手術などがあります。

6-4-1.薬物療法

症状が軽い場合、痛み止めの内服薬・湿布などによる薬物療法が主流です。また、関節に直接ヒアルロン酸を注射する方法もあります。薬物療法は、つらい症状をやわらげることを第一に考えた治療法です。

6-4-2.運動療法

変形性関節症の人は、筋力が弱い場合が多いため、運動療法によって筋力を高める指導がなされます。具体的には、症状がある関節周辺の筋トレです。膝(しつ)関節の場合は、太ももやふくらはぎ・すねの筋力を高めることで関節への負担が減り、症状がやわらぎます。

6-4-3.補助具の装着

関節に余分な力が加わらないように、サポーターなどの補助具を使用する方法です。特に炎症が強い場合は、安静が第一になることからも効果的と言えます。単独で行うだけでなく、薬物療法などを併用することが多くなるでしょう。

6-4-4.手術

症状が進行している場合は、手術に踏み切ることがあります。主な方法にかんしては、以下を参考にしてください。

  • 高位脛骨(けいこつ)骨切り術:脛骨(けいこつ)の形を手術で整えて関節の負担を減らす方法
  • 人工関節置換術:変形した関節を金属製の人工関節と交換する方法

なお、手術後は関節をスムーズに動かすために、リハビリを行う必要があります。

6-5.変形性関節症の治療における注意点

変形性関節症の治療は、長期化することが多くなります。多くの場合、1回の治療で劇的な効果を望めるものではありません。現状以上に症状を悪化させないためには、定期的に治療を受けて、経過観察をする必要があるのです。すぐに効果が出なくても、勝手に治療を中止することはやめましょう。また、治療方法については医師からきちんと説明を受け、納得して進めることが大切です。

変形性関節症は整形外科で診てもらえばいいんですね。
はい。治療に何度も通うことを考えると、自宅や職場などから近い場所がベストでしょう。主な治療方法は薬物療法・運動療法・補助具の装着・手術などです。

7.変形性関節症のセルフケアを学ぼう

変形性関節症は、セルフケアによって症状をやわらげることができます。主な方法についてそれぞれ確認しておきましょう。

7-1.日常生活で気を付けることとは

変形性関節症の診断を受けた場合、関節に負担をかけないように気を付けることが最も大切なことです。治療を受けていることを理由に、無理をしてはいけません。関節への負担をかけないためには、ひとつひとつの動作をゆっくりと余裕を持って行うようにしましょう。また、十分に休息を取ることも大切です。疲労が溜(た)まると炎症が悪化する原因になるので注意してください。

7-2.変形性関節症と食事について

変形性関節症の人は、食事に気を付けることも重要です。肥満がある人は、標準体重になるまで低脂肪・低糖質・低カロリーで栄養バランスのいい食事を心がけながら、適度なダイエットを行いましょう。体重が重いことは、関節に大きな負担となります。また、膝の軟骨を補強するために、コラーゲンを多く含む食事がおすすめです。手羽先・鳥軟骨などに多く含まれているので、意識して食べましょう。なお、ビタミンCを同時に摂取することでコラーゲンの体内吸収率を高めることができます。

7-3.変形性関節症と運動について

変形性関節症の人は、激しい運動は禁物です。また、運動の中でも関節に負担がかかりやすいものは避けましょう。ジャンプ・急に立ち止まる・走る・踏ん張るなどの動作が入るものは、向きません。ウォーキングでも、速足過ぎるとかえって関節の負担を増します。

7-4.変形性関節症のマッサージ

変形性関節症は、症状が軽い場合、マッサージによって痛みをやわらげることができます。痛みがある部分の周辺を、ゆっくりとさするようにマッサージしましょう。手のひらで温めるように、やさしく行うことがコツです。患部周辺の血行がよくなり、痛みが軽減する効果を期待できます。なお、痛みや炎症がひどいときはマッサージが逆効果になることもあるので気を付けましょう。

7-5.変形性関節症のセルフケアでそのほかのこと

変形性関節症の人は、お風呂の入り方にも気を付けましょう。痛みや炎症がひどいときは、湯船につかると症状が進行することがあるので避けてください。また、風呂イスからの立ち上がりや、シャンプー時の姿勢にも気を付けましょう。無理な姿勢を取ることで関節への負担を増してしまいます。風呂イスを高めにする、風呂場に手すりを付けるなど、いろいろと工夫して楽に入浴できるようにしましょう。

7-6.変形性関節症のセルフケアでNGな行為

セルフケアは、あくまでも適切な治療を受けていることが条件になります。セルフケアだけで変形性関節症が治ることはありません。まずは、病院できちんと治療を受けてください。効果があると言われるセルフケアでもやり過ぎ・過信は禁物です。また、間違った方法でやっては意味がありません。自己流で進めるのではなく、基本を守り、効果の出方を確かめながら進めてください。

関節に負担をかけないように気を付けることが大切なんですね。
関節に負担がかかりやすい運動は避けてください。また、体重が重い人は関節に大きな負担がかかりますので、栄養バランスのいい食事を心がけながら、適度なダイエットを行いましょう。

8.まとめ

今回は、変形性関節症について詳しく解説しました。変形性関節症は、徐々に進行する病気です。痛み・腫れ・関節の動きが悪くなるなど、日常生活に大きな影響をもたらすので気を付けてください。特に、関節に大きな負担をかけている人は、注意しましょう。しかし、適切な治療を受け、セルフケアに気を配ることで、進行を防止し、症状を軽減することは十分に可能です。変形性関節症の疑いのある人は、自己判断で解決せず、速やかに医師に相談してください。

アタナハクリニック院長 矢崎 智子

監修者

矢崎 智子
アタナハクリニック院長
日本産科婦人科学会認定医/高濃度ビタミンC点滴療法学会理事/世界アンチエイジング学会認定医/日本内分泌学会・国際オーソモレキュラー医学会・病巣疾患研究会会員/日本線維筋痛症学会会員

1969年長野県生まれ。平成6年杏林大学医学部卒。産婦人科医としての経験を積んだあと、2005年11月、分子整合栄養医学に基づく栄養療法と東洋医学を中心とした統合医療をおこなうクリニックハイジーアを開設。関節リウマチや線維筋痛症、慢性疲労症候群、摂食障害など、通常治療困難とされる疾患や、不妊症などの婦人科疾患の治療において豊富な臨床経験を持つ。日本では数少ない機能性医療の専門家であり、最も経験豊富な一人。

平成24年、医療とヒーリングの統合を目指し、アタナハクリニックを開設。現在はキネシオロジー(筋肉反射テストを使ったセラピー)の一種であるインテグレートヒーリング(IH)を中心とした統合医療を行なっている。

著書
なぜあなたは食べすぎてしまうのか 低血糖症という病

雑誌掲載歴
2014年:『ゆほびか(6月号)』『スターピープル(vol49)』『スターピープル(Vol.48)』
2013年:『トリニティ(Vol.48)』
2011年:『日経ヘルス(1月号)』
2010年:『VoCE(12月号)』『AERA with BABY』『anan(1月20日号)』
2009年:『クロワッサン(6月10日号)』『クロワッサン(1月25日号)』