低血糖の症状や原因

本当は怖い低血糖。症状や原因・対処方法について解説します!

アタナハクリニック 院長 矢崎智子

記事監修
アタナハクリニック 院長 矢崎智子
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低血糖とは、血中の血糖値が60㎎/dl以下になっている状態です。糖尿病患者が、血糖値のコントロールに失敗した時に陥りやすい症状として知られていますが、空腹のまま長時間の労働や激しい運動を行っても低血糖になることがあります。重篤な場合は、昏睡(こんすい)状態になる可能性もあるでしょう。しかも、低血糖について知識がないと、症状が現れても低血糖だと気づきにくいケースもあります。

今回は、低血糖の症状や原因、治療法などを解説しましょう。

  1. 血糖値の基礎知識
  2. 低血糖の症状の現れ方や怖さについて
  3. 低血糖のセルフチェックと診断方法
  4. 低血糖になってしまった時の対処方法や予防方法
  5. 低血糖に対するよくある質問

この記事を読めば、低血糖の危険性や低血糖になりやすい生活習慣なども、よく分かります。自分は低血糖かもしれない、と思っている方や低血糖について知りたいという方は、ぜひ読んでみてくださいね。

1.血糖値の基礎知識

はじめに、血糖値について解説します。血糖値はどのように変化し、なぜ低血糖は危険なのでしょうか?

1-1.血糖値って何?

血糖値とは、血液に含まれるブドウ糖(グルコース)の濃度のことです。食事をすると血糖値が上昇し、空腹時には下がります。正常な血糖値は、空腹時が60~110㎎/dl・食後が100~140mg/dlです。私たちの体には血糖値を正常に保つ仕組みが備わっており、血糖値が高くなると、すい臓がインスリンというホルモンの一種を分泌し、血糖値を下げます。逆に血糖値が低くなるとアドレナリン・コルチゾールといったホルモンが血糖値を上昇させるのです。

1-2.血糖値が高すぎたり低すぎたりすると?

血糖値が高くなったままですと、血液の濃度が濃くなりすぎて、脱水症状や心筋梗塞・肝臓障害・糖尿病発症のリスクがアップします。特に、糖尿病を発症すると、現在の医学では完治させることが難しく、糖尿病網膜症・糖尿病腎症・糖尿病性神経障害といった合併症も発症する危険性があるでしょう。

逆に血糖値が低くなりすぎると、集中力が切れて無気力になったりイライラしたりといった症状が現れるのです。また、血糖値が30㎎/dl以下になると、意識障害やけいれんが起こることもあります。

1-3.血糖値が正常値を外れる原因

低血糖や高血糖になる原因は、病気と生活習慣があります。

すい臓がんの一種であるインスリノーマや肝臓がん・インスリン自己免疫症候群を発症すると、低血糖が症状として現れるでしょう。

また、甘い飲料水やスナック菓子などを食べ過ぎると、低血糖にも高血糖にもなります。前述したとおり、食事をするとすい臓からインスリンが分泌されて血糖値が下がりますが、暴飲暴食をしているとすい臓が過剰反応を起こすことがあるのです。すい臓が過剰反応を起こすと、少量の食べ物を食べただけでインスリンが過剰に分泌され、低血糖を起こすこともあるでしょう。なお、多量の飲酒を続けても、同じようなことが起こる可能性もあります。

糖尿病を発症し、血糖値をコントロールしている場合も注意が必要です。食事のタイミングや内容・薬の飲み方などによって低血糖になる危険性があります。糖尿病で血糖値をコントロールしている場合は、必ず医師の指示通りに薬を飲み、食事の内容や時間帯に注意しましょう。

2.低血糖の症状の現れ方や怖さについて

この項では、低血糖の危険性や症状の現れ方などについて解説します。症状はどのように現れるのでしょうか?

2-1.低血糖の症状の現れ方

低血糖になると、最初に自律神経症状が現れます。これは、警告症状とも呼ばれ、発汗・動悸・手足の震え・不安感などが主な症状です。ここで低血糖であると気がつかないと、血糖値はさらに下がり中枢神経症状が現れます。そうなると、昏睡状態におちいる可能性もあるでしょう。
自分が低血糖を起こす可能性があると自覚している人は、警告症状で気づくことができます。しかし、前述した警告症状は、ほかの病気が原因でも現れる症状のため、低血糖の自覚がない人ならば気づかないことも珍しくありません。

2-2.無自覚性低血糖と夜間低血糖

低血糖の人の中には、警告症状を感じにくい方もいます。これを無自覚性低血糖と言い、特に糖尿病を発症している方に見られやすい症状です。無自覚性低血糖の場合は、いきなり昏睡症状などにおちいってしまうこともあります。糖尿病神経障害を発症している方が無自覚性低血糖の場合、命にかかわることもあるでしょう。

夜間低血糖とは、寝ている間に低血糖になってしまうことです。こちらも、糖尿病で血糖値をコントロールしている方に起こりやすいでしょう。夜間低血糖になると動悸や息切れなどで目を覚ましたり、起床後に頭痛が起こったりします。また、朝食後に血糖値が高くなりすぎることもあるでしょう。夜間低血糖が疑われる場合は、すぐにかかりつけ医に相談してください。

2-3.低血糖の怖さ

低血糖は、病気でも起こる可能性がありますが、前述のとおり食生活や生活習慣が原因で起こることもあります。現在流行している糖質抜きダイエットを行い、低血糖になってしまったというケースも珍しくありません。また、低血糖の警告症状は、寝不足や疲れでも起こることがあるため、自分が低血糖だと気づきにくいでしょう。その結果、対処が遅れてしまうこともあります。

3.低血糖のセルフチェックと診断方法

この項では、低血糖のセルフチェックと診断方法を紹介します。どのような症状が現れたら、病院に行けばよいのでしょうか?

3-1.セルフチェック

  • 空腹の時間が長く続くと動悸・息切れなどが起こる
  • ストレス解消のために暴飲暴食を行うことがある
  • 空腹時に、意識が遠のくような感覚におちいったことがある
  • 糖尿病で、血糖値をコントロールしているが、上記のような症状が起こることがある
  • 糖尿病を発症しているが、食事時間が不規則になりがちである

このような場合は、病院に行って血糖値の検査などをしてもらいましょう。

3-2.診断方法

低血糖の診断は、血中の血糖値を空腹時と食事後に測定し、その値で行います。正常値を大きく下回っていれば、低血糖です。検査は内科で行ってくれますので、かかりつけ医がある場合はまずはそこを受診しましょう。
糖尿病ですでに治療を行っている場合は、かかりつけ医に相談をして検査を受けてください。

また、2010年度から皮下連続式グルコース測定(CGM)という方法で、数日間連続して血糖値を測定し続けることができるようになりました。これを行えば、血糖値が生活の中でどのように変化しているか分かります。特に、夜間低血糖の診断に効果が期待できる測定方法です。この測定方法は大学病院など大病院で主に行われていますので、測定を希望する方は主治医に相談してみましょう。

4.低血糖になってしまった時の対処方法や予防方法

この項では、低血糖になった場合の対処方法や治療方法・さらに低血糖を起こさないための予防方法を解説します。ぜひ、参考にしてくださいね。

4-1.低血糖になってしまったら?

低血糖の警告症状が出た場合、すぐにブドウ糖を10グラムか砂糖を20グラム取りましょう。ブドウ糖はあめ、ゼリー飲料などの状態のものが販売されています。また、コーラなどの炭酸飲料を飲んでもよいでしょう。ただし、α-グルゴシターゼ阻害薬を服用している場合は、砂糖が体に吸収されにくくなっていますので、必ずブドウ糖を食べてください。

低血糖による昏睡状態になってしまった場合は、すぐに病院で治療を受ける必要があります。そのため、低血糖になる恐れがある方は、昏睡状態になる可能性があることや、病気のことを記したカードなどを持ち歩きましょう。そうすれば、意識がなくなってもその原因を周りの人に気づいてもらえます。低血糖で昏睡状態になった人を見つけた場合は、救急車を呼びましょう。

4-2.低血糖の治療方法

悪性腫瘍(がん)などが原因で低血糖になってしまった場合は、外科手術で腫瘍を取り除けば、症状が改善するでしょう。糖尿病やインスリン自己免疫症候群が原因で低血糖になる場合は、血糖値のコントロールが何よりも大切です。食事の内容はもちろんのこと、運動をしたり薬を飲んだりする時間にも気をつけましょう。

4-3.教育入院について

糖尿病を発症し、血糖値をコントロールしなくてはならない場合、教育入院を行って血糖値のコントロール方法を学ぶことをすすすめられることもあるでしょう。血糖値は、食事を食べれば上がり空腹だと下がります。糖尿病を発症すると血糖値が下がりにくくなるのはもちろんのこと、血糖値をむやみに下げると低血糖になる可能性があるのです。ですから、入院をしながら血糖値を正常に保ち続ける生活の方法を学んでいきます。

4-4.低血糖にならないための方法

  • 長時間空腹のまま運動や仕事を行わない
  • 炭水化物をすべてカットするなど、極端な食事制限をしない
  • 食事は可能な限り規則正しく食べる
  • 薬の飲み忘れに注意する
  • インスリン注射は、指示された場所以外に打たない
  • 暴飲暴食をしない
  • 定期的に健康診断を受け、血糖値の検査をする

以上のことを守りましょう。

5.低血糖に対するよくある質問

Q.動悸や息切れの原因が低血糖かそれ以外かは、どうやって判断すればよいですか?
A.ブドウ糖や砂糖を摂取し、体調が回復した場合は低血糖の可能性があります。体調が回復したら病院に行って血糖値の検査を受けましょう。

Q.子どもでも低血糖になることはありますか?
A.はい。特に1型糖尿病という自己免疫性糖尿病を発症すると、低血糖を起こしやすくなるでしょう。

Q.低血糖の治療は内科で行うのですか?
A.はい。内科で行うことが一般的であり、糖尿病患者の場合は糖尿外来や糖尿内科で行います。

Q.病気ではないのに低血糖が起こることはあるのでしょうか?
A.炭水化物を一切食べないダイエットなどをしていると、起こりやすくなります。

Q.夜間低血糖を防ぐ方法はあるのでしょうか?
A.食事の時間や薬を飲む時間を調節すれば、防ぐことが可能です。

まとめ

いかがでしたか? 今回は低血糖の症状と原因・治療方法などを解説しました。血糖値は正常値を大きく外れるまで自覚症状がありません。ですから、定期的に血糖値を検査することが大切です。糖尿病と診断されたら、生活習慣や食生活に気を配って血糖値をコントロールしてください。糖尿病は合併症が恐ろしい病気ですが、血糖値をコントロールし続けることができれば、健康な方と同じような生活を送ることができます。

アタナハクリニック院長 矢崎 智子

監修者

矢崎 智子
アタナハクリニック院長
日本産科婦人科学会認定医/高濃度ビタミンC点滴療法学会理事/世界アンチエイジング学会認定医/日本内分泌学会・国際オーソモレキュラー医学会・病巣疾患研究会会員/日本線維筋痛症学会会員

1969年長野県生まれ。平成6年杏林大学医学部卒。産婦人科医としての経験を積んだあと、2005年11月、分子整合栄養医学に基づく栄養療法と東洋医学を中心とした統合医療をおこなうクリニックハイジーアを開設。関節リウマチや線維筋痛症、慢性疲労症候群、摂食障害など、通常治療困難とされる疾患や、不妊症などの婦人科疾患の治療において豊富な臨床経験を持つ。日本では数少ない機能性医療の専門家であり、最も経験豊富な一人。

平成24年、医療とヒーリングの統合を目指し、アタナハクリニックを開設。現在はキネシオロジー(筋肉反射テストを使ったセラピー)の一種であるインテグレートヒーリング(IH)を中心とした統合医療を行なっている。

著書
なぜあなたは食べすぎてしまうのか 低血糖症という病

雑誌掲載歴
2014年:『ゆほびか(6月号)』『スターピープル(vol49)』『スターピープル(Vol.48)』
2013年:『トリニティ(Vol.48)』
2011年:『日経ヘルス(1月号)』
2010年:『VoCE(12月号)』『AERA with BABY』『anan(1月20日号)』
2009年:『クロワッサン(6月10日号)』『クロワッサン(1月25日号)』