慢性気管支喘息

アトピー性皮膚炎について知りたい!治療を始める前の注意点

アタナハクリニック 院長 矢崎智子

記事監修
アタナハクリニック 院長 矢崎智子
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「かゆみのある湿疹が出る」「常に肌がカサカサしていて、赤みを帯びている」などの症状は、アトピー性皮膚炎の可能性があります。アトピー性皮膚炎は、良くなったり悪くなったりをくり返す傾向があるため、なかなか治らずに悩み続ける方も多いのです。一般的に、症状が6か月以上継続すれば、慢性化する可能性があるため注意しなければなりません。できるだけ、早めに治療を始めるためには、ある程度の知識を持っておくことが大切です。

そこで本記事では、アトピー性皮膚炎の基礎知識や症状・原因・経過と影響・ガイドライン・治療内容・セルフケアについて説明します。

  1. アトピー性皮膚炎の基礎知識
  2. アトピー性皮膚炎の症状
  3. アトピー性皮膚炎の原因は?
  4. アトピー性皮膚炎の経過と影響
  5. アトピー性皮膚炎のガイドラインについて
  6. アトピー性皮膚炎の治療について
  7. アトピー性皮膚炎のセルフケア

この記事を読むことで、アトピー性皮膚炎に関する知識を身につけることができ、適切な治療が始められます。詳しく知りたい方や治療したい方は、ぜひ参考にしてください。

1.アトピー性皮膚炎の症状

アトピー性皮膚炎の症状は、皮膚の赤みやかゆみ・かぶれが代表的です。ジュクジュクして引っかくと液体が出てくることもあります。また、症状が長引くと、皮膚がゴワゴワと硬くなって盛り上がるでしょう。症状は、目・口・耳のまわり、おでこ、首、わき、手足関節の内側などに多く現れます。

2.アトピー性皮膚炎の原因は?

アトピー性皮膚炎の原因は、ハッキリとしていません。しかし、複数の病気が重なって起きる「多因子性」の病気ではないかと考えられています。考えられる原因としては、バリア機能が低下した皮膚状態などの「体質的な要因」と、アレルゲンや皮膚への外的刺激などの「環境的な要因」です。これら2つの要因が重なったときに、アトピー性皮膚炎が起きやすくなります。

たとえば、夏の時期に症状がひどくなるタイプは、発汗により、常在菌・マラセチア菌が増殖することで炎症が起きます。ほかには、食物アレルゲンが体内に入ることで起きるタイプや、花粉症の時期に悪化するタイプ、皮膚の乾燥による炎症で起きるタイプなどです。

それでは、体質的な要因と環境的な要因、それぞれの具体的な内容を把握しておきましょう。

2-1.体質的な要因

  • アトピー素因(アレルギー症状を起こしやすい要素や素質)
  • 皮膚のバリア機能低下

2-2.環境的な要因

  • アレルギー症状の原因となるアレルゲン(ホコリ・食物・花粉・ダニ・カビなど)
  • アレルゲン以外の刺激(汗・衣類による摩擦・ひっかき傷・化粧品など)
  • 不規則な生活習慣
  • 過剰なストレス
  • 過労

3.アトピー性皮膚炎の経過と影響

アトピー性皮膚炎は早期治療が大切です。症状にいち早く気づくためには、経過について把握しておかなければなりません。症状経過や放置の危険性・考えられる病気・関連する症状について説明します。

3-1.症状経過について

アトピー性皮膚炎の症状経過は、軽微・軽症・中等症・重症の4段階に分けられます。それぞれの段階について、以下にまとめてみました。

  • 軽微:乾燥肌が目立つ状態。皮膚が腫れたり、ジュクジュクしたりはしていない
  • 軽症:皮膚がカサカサした状態で、赤みを帯びている状態。白い粉をふいたり、皮がむけたりする
  • 中等症:皮膚のカサカサ・赤み・皮膚のささくれなどがひどくなる
  • 重症:皮膚が腫れて、赤みを帯びて盛り上がる。皮がむけて落ちるなどの症状が悪化しやすい

3-2.放置するとどうなるか

放置するほど症状が悪化し、手の施しようがなくなります。治療で用いるステロイド外用薬も、重症になれば強いランクになるのです。まだ、軽微のうちに治療を始めれば、弱いステロイド外用薬で症状が治まり、治療期間も短くなります。

3-3.考えられるほかの病気

アトピー性皮膚炎は、複数の原因が複雑に関係している病気です。アトピー素因が関係している花粉症・喘息(ぜんそく)・蕁麻疹(じんましん)・結膜炎も起こりやすくなります。アトピー性皮膚炎と同時に発症する可能性もあるため、十分に注意しなければなりません。

3-4.関連する症状について

アトピー性皮膚炎の症状は、皮膚の赤み・かゆみなどが代表的です。いつの間にか症状が治まることもありますが、再発する可能性があります。治ったかと思えばまたひどくなる……という症状を何度もくり返すのが特徴です。ほかにも、皮膚がカサカサ・ゴワゴワ・ジュクジュクする、かきすぎによる化膿(かのう)やかさぶたができることも、アトピー性皮膚炎の症状となります。

4.アトピー性皮膚炎のガイドラインについて

日本皮膚科学会ガイドラインにおいて、「アトピー性皮膚炎診療ガイドライン2016年版」が公開されています。ガイドラインでは、定義から病態・経過と予後・診断基準などが記されているので、ぜひホームページでチェックしてみてください。2016年版は、標準治療を行う皮膚科医の診療内容に、新たな指針を与えるための改訂がなされています。

5.アトピー性皮膚炎の治療について

正しく治療を受けるためには、アトピー性皮膚炎の治療に関する知識を深めることが大切です。病院へ行くべき症状や検査・診断方法・治療法・投薬などについて説明します。

5-1.病院へ行くべき症状

アトピー性皮膚炎は、何よりも早期治療が大きなポイントとなります。少しでも皮膚に異常が見られたときは、すぐに病院へ行ってください。特に、アトピー素因を持っている方や家族がアトピー性皮膚炎を患っている方、乾燥肌の人は要注意です。また、皮膚の赤みや腫れ・かゆみが治まらない場合も、病院へ行ったほうがいいでしょう。

5-2.何科へ行けばいいか?

アトピー性皮膚炎と見られる症状が起きたときは、近くの皮膚科を受診してください。皮膚の異常は、皮膚科で診てもらうのが一般的です。ただし、子どもの場合は小児科でも構いません。できれば、アレルギー専門医が在籍している小児科がいいでしょう。まだ、数は少ないですが、アレルギー科のある病院・クリニックもあります。アレルギー科ならば、より専門的な治療を受けることができるでしょう。

5-3.検査・診断方法

主な検査・診断方法は、視診・血液検査・皮膚検査となります。アトピー性皮膚炎は目で診て分かる病気なので、医師による視診が大きなポイントでしょう。血液検査・皮膚検査は、さまざまな種類があるので以下にまとめてみました。

5-3-1.血液検査

  • 好酸球の数:アトピーの人は、好酸球の数が多い
  • IgE値:免疫に関係するたんぱく質。アトピーの人は数値が増える
  • 特異的IgE:原因と思われるアレルギー物質に対して、陽性か陰性か判断する指数
  • LDH(Lactate Dehydrigenase):体内の酸素。アトピー湿疹がひどいほど上昇する

5-3-2.皮膚検査

  • スクラッチテスト:皮膚を引っかき、影響が出るか確かめる方法
  • 皮内テスト:原因と思われるアレルギー物質を皮膚内に針で入れて、反応を確かめる方法
  • パッチテスト:原因と思われるアレルギー物質を皮膚に貼りつけて、赤くなるかの判断する方法

5-4.治療方法

アトピー性皮膚炎の治療法は、外用療法と内服療法の2種類です。外用療法は、皮膚の炎症を抑えたり、乾燥肌を改善したりするための薬を使います。そして、内服療法は、皮膚のかゆみやアレルギー反応を抑える薬を使う方法です。アトピー性皮膚炎は、手術で改善する方法はありません。そのため、長期的な治療とケアが大切なポイントとなります。

5-5.投薬について

外用療法で使われる薬は、ステロイド外用薬や非ステロイド消炎薬となります。ステロイド外用薬は、症状や場所・年齢に合わせて、5つの強さに分類される仕組みです。また、乾燥肌を改善する場合は、尿素軟膏(にょうそなんこう)・白色ワセリン・亜鉛華軟膏(あえんかなんこう)などの保湿性外用薬を使用します。一方、内服療法の場合は、抗ヒスタミン剤が処方されることになるでしょう。

5-6.注意点

アトピー性皮膚炎の治療を始める前に、医師から処方される薬の内容や効能・頻度などを細かく確認しなければなりません。きちんと医師の指示に従って使用しなければ、薬の効能が現れなくなるでしょう。また、医療機関で受ける治療だけでなく、自宅で行うセルフケアも大切です。

6.アトピー性皮膚炎のセルフケア

アトピー性皮膚炎の治療は長期戦となります。少しずつ症状を和らげるためには、セルフケアが重要です。簡単にできるセルフケアをいくつか紹介します。

6-1.スキンケア

基本的に、肌を清潔な状態に保つことが大切です。刺激のない石けんを選び、よく泡立ててから体を洗うようにしましょう。タオルやスポンジは刺激を与え、肌を傷つける怖れがあるため、素手で洗ってください。また、洗い終わった後の皮膚は乾燥しやすくなります。乾燥を防ぐためにも、処方されている薬や、刺激の少ない保湿クリームを塗って保護してくださいね。

6-2.生活習慣

アトピー性皮膚炎を悪化させる要因として、精神的ストレス・睡眠不足・過労も挙げられます。かゆみがひどくなるほど、ストレスを過剰に感じてしまいがちですが、心に余裕を持ち、リラックス状態を心がけてください。疲れたときは休む・睡眠をしっかり取る・栄養バランスの良い食事をすることも大切です。

6-3.環境要因の排除

皮膚に刺激を与える物質との接触を避けてください。部屋の中には、ホコリ・ダニ・ノミ・カビなどのアレルゲンが潜んでいます。できるだけ、部屋の清潔を保ち、除湿機や空気清浄器を使う・花粉飛散時期は窓を開けないなどの工夫をしましょう。

6-4.そのほか

気温の上昇によって、汗がたくさん出てくると思います。汗をかいたままにしておくと、肌が不潔になり雑菌が繁殖しやすくなるので注意してください。汗をかいたときは清潔な衣類に着替えましょう。また、春や冬は空気が乾燥しやすくなる時期です。乾燥は皮膚のバリア機能が弱くなるため、加湿器を使うなど、保湿を心がけてください。

6-5.してはいけないこと

「かゆいから……」と、肌を爪でかいたり、傷つけたりしてはいけません。どうしても、かゆみを抑えられないときは、医師に相談して薬を処方してもらいましょう。また、アルコール・香辛料などの刺激物を服用してはいけません。人によっては、砂糖や脂肪分もかゆみを悪化させる可能性があります。

7.まとめ

いかがでしたか? アトピー性皮膚炎は、皮膚のかゆみや赤み・腫れなどの症状をくり返す病気です。すぐに治まるものではなく、長期的治療で少しずつ緩和することを目的とした治療法となります。アトピー性皮膚炎の症状から脱出するためには、原因を知り、適切な治療とセルフケアを行っていかなければなりません。医療機関で行う治療だけでなく、ストレス解消や睡眠・食事などの生活習慣も大切なのです。深刻に考えず、心に余裕を持ち、治療を続けていきましょう。アトピー性皮膚炎の基礎知識を深めておけば、順調に症状を和らげることができます。

アタナハクリニック院長 矢崎 智子

監修者

矢崎 智子
アタナハクリニック院長
日本産科婦人科学会認定医/高濃度ビタミンC点滴療法学会理事/世界アンチエイジング学会認定医/日本内分泌学会・国際オーソモレキュラー医学会・病巣疾患研究会会員/日本線維筋痛症学会会員

1969年長野県生まれ。平成6年杏林大学医学部卒。産婦人科医としての経験を積んだあと、2005年11月、分子整合栄養医学に基づく栄養療法と東洋医学を中心とした統合医療をおこなうクリニックハイジーアを開設。関節リウマチや線維筋痛症、慢性疲労症候群、摂食障害など、通常治療困難とされる疾患や、不妊症などの婦人科疾患の治療において豊富な臨床経験を持つ。日本では数少ない機能性医療の専門家であり、最も経験豊富な一人。

平成24年、医療とヒーリングの統合を目指し、アタナハクリニックを開設。現在はキネシオロジー(筋肉反射テストを使ったセラピー)の一種であるインテグレートヒーリング(IH)を中心とした統合医療を行なっている。

著書
なぜあなたは食べすぎてしまうのか 低血糖症という病

雑誌掲載歴
2014年:『ゆほびか(6月号)』『スターピープル(vol49)』『スターピープル(Vol.48)』
2013年:『トリニティ(Vol.48)』
2011年:『日経ヘルス(1月号)』
2010年:『VoCE(12月号)』『AERA with BABY』『anan(1月20日号)』
2009年:『クロワッサン(6月10日号)』『クロワッサン(1月25日号)』