線維筋痛症の初期症状

線維筋痛症の初期症状・ステージ別の症状を解説! 診断はどのようにされるの?

アタナハクリニック 院長 矢崎智子

記事監修
アタナハクリニック 院長 矢崎智子
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線維筋痛症とは、全身に痛みやしびれといった不快な症状が現れるものの、検査をしても何も異常が出ない病気です。どれほど強い痛みを訴えても、血液検査やレントゲン検査などで異常が出ないことから、詐病や精神的な病気と診断されてしまうこともあります。命にかかわる病気ではありませんが、痛みのために日常生活に支障が出ている方も珍しくありません。

そこで、今回は線維筋痛症の初期症状・ステージ別の症状について解説しましょう。

  1. 線維筋痛症の基礎知識
  2. 初期症状・ステージ別の症状
  3. 線維筋痛症の診断方法
  4. 線維筋痛症と診断されたら?
  5. 線維筋痛症に関するよくある質問

この記事を読むことで、線維筋痛症への理解も深まります。自分は線維筋痛症ではないかと考えている方も、ぜひ読んでみてくださいね。

1.線維筋痛症の基礎知識

はじめに、線維筋痛症の症状や原因などの基礎知識を解説します。どのような症状が出るのでしょうか?

1-1.線維筋痛症の特徴

線維筋痛症は、全身の痛み・こわばり感・頭痛などの症状が出る病気です。日によって痛む箇所が変わったり、通常なら痛みを感じない程度の刺激に、ひどい痛みを感じたりする方もいます。また、痛みやこわばり感と共に、不眠やうつ症状・便秘や下痢・強い不安感などの症状が出る方も珍しくありません。

線維筋痛症の特徴は、どれほどひどい痛みを患者が訴えていても、炎症検査などをすると何の異常もないことです。そのため、まだ日本では正確な診断ができる医療機関が少なく、精神的な病気と診断されてしまうこともあります。

1-2.線維筋痛症の原因

現在のところ、線維筋痛症の原因ははっきりと分かっていません。手術や大きなけがをした方に発症しやすい傾向があることから、痛みを感じる神経が誤作動を起こし、刺激を痛みと勘違いして脳に信号を送っているのでは、という仮説が立てられています。

1-3.線維筋痛症を発症しやすい性別と年代

現在、日本では約200万人の線維筋痛症の患者がいると報告されており、半数以上が女性です。特に40~60代で発症することが多いため、介護や子育てのストレスも発症の一因になっているのでは、と考えられています。ただし、男性に発症例がない、というわけではありません。また、関節リウマチや脊椎関節炎といった病気と併発することもあります。

1-4.線維筋痛症の治療方法

線維筋痛症が確実にすぐに治る、という治療方法は現在のところありません。2012年に線維筋痛症に効果がある抗うつ剤が保険適用になったため、現在では、投薬治療が一般的です。また、漢方薬を用いた治療や電気治療・温熱療法が効果的な患者さんもいます。このほかには、運動療法や心理療法・鍼灸(しんきゅう)なども治療に取り入れられているため、いろいろな治療法を試してみてもよいでしょう。
現在は線維筋痛症友の会も結成されており、有効な治療方法にかんする意見交換なども行われています。

2.初期症状・ステージ別の症状

線維筋痛症はステージ(症状の重症度)が変化していく病気です。この項では、ステージ別の症状などについて解説しましょう。

2-1.ステージ1

ステージ1は初期症状の段階です。この頃は痛みよりはこわばりを感じるという方もいるでしょう。また、便秘や下痢といった身体症状が伴うことがあります。症状は日によって変化し、天気が悪いと具合が悪くなる方もいるでしょう。日常生活はまだ問題なく送ることができます。

2-2.ステージ2

手足の末端まで痛みが広がり、不眠を訴える方も増えてきます。不安感も強くなり、うつ状態になる方もいるでしょう。日常生活が困難になる方もいます。

2-3.ステージ3

ささいな刺激でも激しい痛みを感じるようになります。人によっては、髪や爪に何かが当たっただけでも痛みを感じることもあるでしょう。温度変化による体調の不調も顕著になり、寝たきりになってしまう方もいます。

2-4.ステージ4

ほぼ寝たきりの状態になりますが、痛みのために同じ体勢を取ることも難しくなります。自力で体を動かすこともできなくなるため、要介護になる方もいるでしょう。

2-5.ステージ5

全身の痛みに加え、目や口腔(こうくう)内の乾燥・直腸や膀胱(ぼうこう)への感染症などが併せて起こることもあります。ここまで症状が進む方は全体の6%前後です。日常生活は全く不可能になり、要介護状態になります。

3.線維筋痛症の診断方法

線維筋痛症の症状は人によって異なりますが

  • 全身の痛みやこわばり感
  • 不眠
  • 便秘や下痢
  • ひどい肩こりや手足のしびれ

これらの症状が合わせ出ている場合は、線維筋痛症が疑われます。なお、このような症状が出る病気はほかにもありますので、素人判断は禁物です。特に中高年の女性の場合は関節リウマチを発症している可能性があります。線維筋痛症が疑われる場合は、リウマチ科や内科を受診しましょう。日本線維筋痛症学会のホームページでは、全国の線維筋痛症の診断が行える病院を掲載しています。

病院では、全身18か所の圧痛点を4kgの強さで押した場合、痛みを感じる箇所が11か所以上あり、炎症検査などに何の異常もない場合、線維筋痛症と診断されることが一般的です。

4.線維筋痛症と診断されたら?

この項では、線維筋痛症と診断された場合の対処方法を紹介します。ぜひ、参考にしてください。

4-1.症状には波がある

線維筋痛症の症状には、波があります。投薬などで症状が軽減しても、患者さんの精神状態や気候などで症状がぶり返すことも珍しくありません。また、人によって効果が出る治療法が異なります。線維筋痛症は薬を飲めばすぐに治る、という病気ではありません。体調を最優先に生活していく必要があります。

4-2.ストレスを減らす努力をする

線維筋痛症の原因はまだ解明されていませんが、強いストレスが症状を悪化させている可能性があります。40~60代の女性は、子育て・介護・仕事を両立させている方も珍しくありません。それがストレスとなって、症状を悪化させていることもあるでしょう。前述のとおり、症状が軽減したからといってすぐに無理をすると、症状がより一層強くなってぶりかえすこともあります。頼れるところは人に頼り、ストレスを可能な限り減らしましょう。

4-3.必要ならば精神的な治療も受ける

常に強い痛みを感じていると、抑うつ症状が出ることもあります。線維筋痛症患者の30~50%がうつ病を併発しており、重症になると起きあがれなくなることもあるでしょう。気分の落ちこみなどの症状は、うつ病の治療を受ければ改善することもあります。痛みと共に精神的な症状が出ている場合は、医師に相談してみてください。精神科を紹介してくれます。

4-4.冷えを予防し、快適な睡眠をとる努力をする

線維筋痛症を発症すると、寒い季節により強く痛みを感じるようになります。そのため保温に気を配りましょう。屋内で仕事をしている場合は、夏でも冷房が効いて体が冷えがちです。保温効果のある服装をして、寝る前に長めに入浴するとよいでしょう。体をよく温めれば睡眠の質も高まります。痛みが強くなると睡眠時間も不足し、それが心身に悪影響を与えますので、質の良い睡眠は大切です。
冷え性の方は、体を温める効果のある漢方薬を服用してもよいでしょう。

5.線維筋痛症に関するよくある質問

Q.線維筋痛症の診断には時間がかかるのでしょうか?
A.はい。炎症検査などを行ったうえで痛点を圧する検査をするので、医療機関によっては時間がかかることもあるでしょう。

Q.痛み止めなどは処方されることがありますか?
A.痛みが強く眠れない場合は処方されることもあるでしょう。詳しいことは医師と相談してください。

Q.線維筋痛症は遺伝するのでしょうか?
A.現在のところ、遺伝性の病気ではないと考えられています。

Q.子どもでも線維筋痛症を発症することはあるでしょうか?
A.はい。発症例は少ないのですが、患者さんはいます。

Q.線維筋痛症を発症した場合、食事などの制限はあるのでしょうか?
A.食事などの制限はありません。

6.おわりに

いかがでしたか? 今回は、線維筋痛症の初期症状・ステージ別の症状や治療方法などについて解説しました。線維筋痛症は全身に痛みが出る病気ですが、初期の場合は痛みよりもこわばりが強く出る方もいます。また、痛みを我慢するほど症状が悪化し、抑うつ症状が出る方もいるでしょう。また、全身に痛みが出る病気はほかにもあります。線維筋痛症は一昔前に比べると、早期発見・早期治療ができるようになりました。こわばりや痛みが出ている方は、早めに病院に行きましょう。

アタナハクリニック院長 矢崎 智子

監修者

矢崎 智子
アタナハクリニック院長
日本産科婦人科学会認定医/高濃度ビタミンC点滴療法学会理事/世界アンチエイジング学会認定医/日本内分泌学会・国際オーソモレキュラー医学会・病巣疾患研究会会員/日本線維筋痛症学会会員

1969年長野県生まれ。平成6年杏林大学医学部卒。産婦人科医としての経験を積んだあと、2005年11月、分子整合栄養医学に基づく栄養療法と東洋医学を中心とした統合医療をおこなうクリニックハイジーアを開設。関節リウマチや線維筋痛症、慢性疲労症候群、摂食障害など、通常治療困難とされる疾患や、不妊症などの婦人科疾患の治療において豊富な臨床経験を持つ。日本では数少ない機能性医療の専門家であり、最も経験豊富な一人。

平成24年、医療とヒーリングの統合を目指し、アタナハクリニックを開設。現在はキネシオロジー(筋肉反射テストを使ったセラピー)の一種であるインテグレートヒーリング(IH)を中心とした統合医療を行なっている。

著書
なぜあなたは食べすぎてしまうのか 低血糖症という病

雑誌掲載歴
2014年:『ゆほびか(6月号)』『スターピープル(vol49)』『スターピープル(Vol.48)』
2013年:『トリニティ(Vol.48)』
2011年:『日経ヘルス(1月号)』
2010年:『VoCE(12月号)』『AERA with BABY』『anan(1月20日号)』
2009年:『クロワッサン(6月10日号)』『クロワッサン(1月25日号)』