全身性エリテマトーデスの症状

全身性エリテマトーデスの症状は? 原因・診断・治療法を詳しく解説!

アタナハクリニック 院長 矢崎智子

記事監修
アタナハクリニック 院長 矢崎智子
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発熱・全身のだるさ・疲れやすい、このような症状に悩んでいる女性は多いと思います。このような症状が出る病気はたくさんあり、全身性エリテマトーデスもその1つです。難病指定を受けている病気ですが、初期症状が風邪など軽い病気に似ているので、症状が進行するまで気がつかない人もいます。

今回は、全身性エリテマトーデスの症状や治療方法を紹介しましょう。

  1. 全身性エリテマトーデスとはどんな病気?
  2. 全身性エリテマトーデスと膠原病について
  3. 全身性エリテマトーデスの原因は?
  4. 全身性エリテマトーデスの症状を学ぼう
  5. 全身性エリテマトーデスの病状の経過と影響
  6. 全身性エリテマトーデスの治療について
  7. 全身性エリテマトーデスに関するよくある質問

この記事を読めば、病院を受診する目安などもよく分かります。長引く体調不良に悩まされている人は、ぜひ読んでみてくださいね。

1.全身性エリテマトーデスとはどんな病気?

最初に、全身性エリテマトーデスの基本を学びましょう。定義・メカニズム・なりやすい人など詳しく解説します。

1-1.全身性エリテマトーデスの定義

全身性エリテマトーデスとは、自己免疫疾患のひとつで「SLE」と呼ばれることもある病気です。以下の項目のうち、4つ以上当てはまる場合、全身性エリテマトーデスと定義します。

  • 蝶型紅斑(ちょうがたこうはん)
  • 円板状皮疹
  • 日光過敏
  • 口の中の潰瘍
  • 関節炎
  • 漿膜(しょうまく)炎
  • 腎障害
  • 神経障害
  • 血算異常
  • 免疫異常
  • 抗核抗体の陽性反応

1-2.国の難病指定について

全身性エリテマトーデスは、国の難病指定を受けています。難病とは、原因や治療法が確立できていない病気のことです。全身性エリテマトーデスは、難治性疾患克服研究事業(臨床調査研究分野対象疾患)として130疾患のうちのひとつであり、同時に特定疾患治療研究事業対象疾患の56疾患にも入っています。

1-3.全身性エリテマトーデスのメカニズム

全身性エリテマトーデスは、遺伝要素と環境要素(外部刺激など)が何らかの原因で組み合わさったときに発症します。現時点では、ハッキリした発症メカニズムは解明されていません。ただし、遺伝要素が絡んでいることや、自己免疫システムが暴走するきっかけとして細菌感染や紫外線などがあるということはわかっています。

1-4.全身性エリテマトーデスになりやすい人・患者数

全身性エリテマトーデスは、男性よりも女性が多くかかる病気で男女比は1対10となっています。また、20~40代の若い女性に多いことが特徴です。患者数は、平成24年度のデータで6万人以上となっています。

女性に発症しやすい病気なのですね。
はい。しかも働き盛りの年代に患者数が多いので、病院の受診も遅れがちになりやすいのです。

2.全身性エリテマトーデスと膠原病について

全身性エリテマトーデスは、膠原(こうげん)病とよく比較されるものです。膠原(こうげん)病との違いについて解説します。

2-1.膠原病とは?

膠原(こうげん)病とは、全身の複数の臓器に炎症が起こり、臓器の機能障害をもたらす病気の総称です。従って、単体の病名ではありません。膠原(こうげん)病には、主なものでも19種類以上のものがあります。

2-2.膠原病との違いは?

全身性エリテマトーデスは、膠原(こうげん)病のひとつです。膠原(こうげん)病の中で、全身に現れる症状などにより全身性エリテマトーデスと判断されます。膠原(こうげん)病のほかの病気とは、よくなったり悪くなったりを繰り返したりするというところが共通点です。

全身性エリテマトーデスは、膠原病の一種なのですね。
はい。自然治癒することはなく、適切な治療を受けなければ症状はどんどん進行していきます。

3.全身性エリテマトーデスの原因は?

全身性エリテマトーデスになる主な原因や誘因条件について解説します。

3-1.全身性エリテマトーデスの主な原因

全身性エリテマトーデスの原因は、Bリンパ球が何らかの理由によって異常に活性化した際に、自己抗体が産出されることが原因と考えられています。特定の刺激を受けたときに、自己免疫システムが暴走して、自らを傷付けていることが原因と言われているのです。なお、現時点ではハッキリとした原因は解明されていません。

3-2.全身性エリテマトーデスの誘因条件

全身性エリテマトーデスは、遺伝要素を背景に、細菌感染・性ホルモン・紫外線・薬物などの刺激によって発症すると考えられています。また、外科手術、妊娠・出産がきっかけとなる人もいるため、誘因条件の特定も難しいのです。

まだ、原因ははっきりと特定されていないのですね。
はい。そのため、すべての人に発症のリスクがあると考えてください。

4.全身性エリテマトーデスの症状を学ぼう

全身性エリテマトーデスの症状を詳しく学び、理解を深めましょう。

4-1.全身性エリテマトーデスの症状を学ぼう

全身性エリテマトーデスの症状を、種類別に学びましょう。

4-1-1.皮膚症状

顔の表面に、蝶型紅斑(ちょうがたこうはん)と呼ばれるものが出現します。常に赤ら顔になっているように見えるのが特徴です。また、ディスコイド疹(しん)と呼ばれる円形状の発しんが顔面・耳・頭部・関節背面に現れます。日光に当たると症状が悪化するため、外出時だけでなく室内で過ごすときにも気を付けましょう。さらに、しもやけのような症状となる凍瘡様皮疹(とうそうようひしん)・日光過敏も特徴的な症状です。

4-1-2.関節症状

全身性エリテマトーデスは、関節にも症状が見られます。単なる疲労や運動のし過ぎと勘違いしやすい症状です。しかし、関節痛や筋肉痛が多発し、関節炎に移行することもあるので気を付けましょう。ただし、骨に影響があることはありません。

4-1-3.臓器の症状

全身性エリテマトーデスでは、約半数に糸球体腎炎を見ることができます。放置すると悪化し、腎臓の機能が低下するので危険です。また、肺では間質性肺炎、心臓では心外膜炎や心筋炎を起こすこともあります。

4-1-4.神経症状

重症になると、中枢神経症状が見られるようになります。また、うつ状態・失見当識(しっけんとうしき)・妄想などの精神症状や、ひきつけ・脳血管障害を発症することがあるので注意が必要です。神経症状が現れると、治療がより困難になります。

4-1-5.そのほかの症状

そのほかにも、発熱・全身のだるさ・疲れやすい・体重の減少などの全身症状や、口内炎を見ることがあります。頭髪の脱毛が起きることもあり、女性にとってはつらい症状です。全身性エリテマトーデスの症状は、多岐にわたることが特徴となります。

4-2.全身性エリテマトーデスの症状に関する注意点

全身性エリテマトーデスでは、人によって、全身のどの部分に症状が現れるかわからないため、油断はできません。全身のだるさなどで、寝ていれば治ると思っているうちに重症化してしまうこともあります。初期の行動で、予後が決まるのです。少なくとも、いつもよりおかしいと思った時点で医師の診断を受けましょう。

さまざまな症状が出るのですね。
はい。しかし、発熱やだるさなどは風邪と間違いやすく、症状が進んでからはじめて気がつくというケースもあります。

5.全身性エリテマトーデスの病状の経過と影響

全身性エリテマトーデスの症状の経過と影響を詳しく解説します。ほかの病気や関連する症状についても学びましょう。

5-1.全身性エリテマトーデスの病状経過について

全身性エリテマトーデスは、よくなったり悪くなったりを繰り返すことが特徴です。病状は、慢性化する傾向があります。完治したかのように見えても、再発する可能性が高いので油断はできません。なお、早期診断・早期治療開始をした場合の5年以上生存率は95%に達しています。

5-2.全身性エリテマトーデスの影響

全身性エリテマトーデスは、早期診断・早期治療開始が予後を決めるものです。治療が遅れたり放置したりした場合は、症状の悪化・治療期間の長期化につながります。少しでも疑いがあるときは、速やかに医師の診断を受けてください。

5-3.全身性エリテマトーデスで考えられるほかの病気

全身性エリテマトーデスで考えられるほかの病気で主なものは、以下をご覧ください。膠原(こうげん)病の中で、全身性エリテマトーデスと似たような症状が現れるものの一部です。

  • 関節リウマチ
  • 線維筋痛症
  • シェーグレン症候群
  • 脊椎関節炎

5-4.全身性エリテマトーデスに関連する病気や症状

全身性エリテマトーデスに関連する病気や症状としては、以下のようなものがあります。症状の出る場所によっては、命を落とすこともあるのです。

  • 腎疾患によるむくみ・高血圧
  • 心疾患(狭心症・弁膜症・心不全)
  • 脳疾患(脳梗塞・脳出血・思考障害など)
  • 肺疾患(肺炎・肺出血など)
適切な治療を受ければ、症状が出なくなるのですね。
はい。しかし治療を中断すれば症状が再発する可能性もあります。医師の指示を守ることが大切です。

6.全身性エリテマトーデスの治療について

全身性エリテマトーデスの治療について、病院に行くべき症状・検査や診断の方法など詳しく学びましょう。

6-1.全身性エリテマトーデスで病院に行くべき症状とは?

以下のような症状があるときは、すぐに病院に行きましょう。症状が重症化し、命の危険にかかわることがあります。

  • 強いだるさを感じる
  • 心臓の痛みが激しい
  • 呼吸がしづらい
  • 意識がもうろうとする
  • そのほかいつもと違う症状が出たとき

6-2.全身性エリテマトーデスは何科に行けばいい?

全身性エリテマトーデスは、全身にあらゆる症状が出ます。そのため、何科を受診すべきか迷うことでしょう。まずは、かかりつけ医や総合病院を受診してください。医師に対して気になる症状を詳しく話しましょう。すると、適切な科を紹介してもらえます。ただし、設備や症例の多さを考えると大きな総合病院での受診がベストなのも事実です。

6-3.全身性エリテマトーデスの検査・診断方法

全身性エリテマトーデスの疑いがある場合は、以下のような検査や診断を行います。

  • 医師による問診・視診
  • 血液検査
  • 尿検査
  • 胸部X線検査
  • 心電図検査

検査の結果、医師が総合的に判断して全身エリテマトーデスかどうかの診断を行うのです。

6-4.全身性エリテマトーデスの治療方法

全身性エリテマトーデスの主な治療法は、以下をご覧ください。

  • 非ステロイド系消炎鎮痛剤の投与
  • 副腎皮質ステロイド剤の投与
  • そのほかの疾患の治療(高血圧がある場合など)

なお、当アタナハクリニックでも、自己治癒力を高める方法で全身性エリテマトーデスの治療を行っています。病気への不安や悩みなど何でもご相談ください。

薬物治療が中心になるのですね。
はい。薬で症状をコントロールしながら日常生活を問題なく送れるようにする治療が主流です。

7.全身性エリテマトーデスに関するよくある質問

最後に、全身性エリテマトーデスに関するよくある質問に回答します。同じ病気に悩む人がどんな質問を抱いているのか、参考にしてください。

Q.男性なら全身性エリテマトーデスにならないのですか?
A.男女比で見れば圧倒的に女性が多いだけであり、男性でもなることはあります。もしも、全身性エリテマトーデスを疑う症状が出た場合は、速やかに医師に相談し診断を受けてください。自分は男性だから大丈夫と思い込むことが、早期発見・治療を妨害し、結果的に症状の悪化や治療の長期化を招くのです。

Q.全身性エリテマトーデスの治療費はどのくらいかかりますか?
A.全身性エリテマトーデスは国の難病指定があるため、各都道府県の保健所に申請を出してください。受理後、「特定疾患医療受給者証」を受け取ることで公費負担で治療を受けることができます。ただし、治療費の自己負担分は支払う必要があるので注意してください。また、特定疾患医療受給者証を受け取る以前の医療費は、公費負担の対象外となります。従って、全身性エリテマトーデスとの診断を受けたらすぐに申請してください。

Q.子どもが全身性エリテマトーデスになった場合に気を付けることは?
A.子どもは、大人に比べて発症後の進行が早いため、早期開始が必要です。成人女性に最も多いのが全身性エリテマトーデスの特徴ですが、16歳以下の子どもも15%程度は発症しています。蝶型紅斑(ちょうがたこうはん)・発熱・全身のだるさなどを見るときは、すぐにかかりつけ医に相談してください。

Q.高齢者は全身エリテマトーデスを発症しにくいのですか?
A.確かに、若い年代に比べて発症しにくいのは事実です。しかし、高齢者でも発症することはあります。高齢者が全身エリテマトーデスになった場合、男性患者の比率が高くなることが特徴です。男性でも全身性エリテマトーデスに注意する必要があります。特に、高齢者は気を付けましょう。

まとめ

今回は、全身性エリテマトーデスについて詳しく解説しました。国の難病指定となっている全身性エリテマトーデスは、早期発見・早期治療開始がカギをにぎります。病状は、よくなったり悪くなったりを繰り返すことが一般的なので気長に治療を受けましょう。症状の悪化を避けるためにも、日常生活にも気を付けてください。適切な治療を受けるためにも、医師の指示に従いましょう。

アタナハクリニック院長 矢崎 智子

監修者

矢崎 智子
アタナハクリニック院長
日本産科婦人科学会認定医/高濃度ビタミンC点滴療法学会理事/世界アンチエイジング学会認定医/日本内分泌学会・国際オーソモレキュラー医学会・病巣疾患研究会会員/日本線維筋痛症学会会員

1969年長野県生まれ。平成6年杏林大学医学部卒。産婦人科医としての経験を積んだあと、2005年11月、分子整合栄養医学に基づく栄養療法と東洋医学を中心とした統合医療をおこなうクリニックハイジーアを開設。関節リウマチや線維筋痛症、慢性疲労症候群、摂食障害など、通常治療困難とされる疾患や、不妊症などの婦人科疾患の治療において豊富な臨床経験を持つ。日本では数少ない機能性医療の専門家であり、最も経験豊富な一人。

平成24年、医療とヒーリングの統合を目指し、アタナハクリニックを開設。現在はキネシオロジー(筋肉反射テストを使ったセラピー)の一種であるインテグレートヒーリング(IH)を中心とした統合医療を行なっている。

著書
なぜあなたは食べすぎてしまうのか 低血糖症という病

雑誌掲載歴
2014年:『ゆほびか(6月号)』『スターピープル(vol49)』『スターピープル(Vol.48)』
2013年:『トリニティ(Vol.48)』
2011年:『日経ヘルス(1月号)』
2010年:『VoCE(12月号)』『AERA with BABY』『anan(1月20日号)』
2009年:『クロワッサン(6月10日号)』『クロワッサン(1月25日号)』