現代型栄養失調

現代型栄養失調ってどんな病気? 改善のポイントを解説!

アタナハクリニック 院長 矢崎智子

記事監修
アタナハクリニック 院長 矢崎智子
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今、現代型栄養失調が大きな問題となっています。栄養失調という言葉を聞くと、耳を疑うことでしょう。飽食の時代にあって不思議な感じがするものです。しかし、食生活の乱れなどが原因で誰でも簡単になる可能性があります。皆さんも、自分の食生活を振り返ると不安な点があるのではないでしょうか。そこで、今回は、現代型栄養失調について詳しく解説します。

  1. 現代型栄養失調とは?
  2. 現代型栄養失調の原因について
  3. 現代型栄養失調の症状について
  4. 現代型栄養失調の経過と影響について
  5. 現代型栄養失調のセルフチェックを紹介
  6. 現代型栄養失調の改善方法を学ぼう
  7. 現代型栄養失調のセルフケアを解説
  8. 現代型栄養失調に関するよくある質問

この記事を読むことで、現代型栄養失調に関する詳しい知識が身に付き、改善するために何をするべきかがわかります。気になる症状がなくなり、体調がよくなることを実感できることでしょう。まずは、じっくり記事を読んでみてください。

1.現代型栄養失調とは?

最初に、現代型栄養失調について詳しく学びましょう。定義やメカニズム・なりやすい人や患者数について解説します。

1-1.現代型栄養失調の定義

現代型栄誉失調とは、新型栄養失調とも呼びます。1日に必要な総カロリー数は満たしていても、特定の栄養素が極端に不足しているためにさまざまな不調を訴える状態です。食事をきちんと摂(と)っているつもりであっても、栄養不足に陥っていることは多くの人に見ることができ。また、本人に自覚がないため、悪化しやすいのが現代型栄養失調の特徴です。

1-2.現代型栄養失調のメカニズム

栄養バランスのいい食事を適度に摂取していれば、栄養失調になることはありません。しかし、何らかの理由で、食事がおろそかになると特定の栄養素が不足することがあります。食事をきちんと摂(と)っていると思っている人でも、炭水化物や脂質・糖質に偏っていてほかの栄養素が不足していることが多いものです。本人の自覚のなさが、現代型栄養失調を増長しているといえます。

1-3.現代型栄養失調になりやすい人・患者数

現代型栄養失調になりやすい人には、以下のような特徴があります。

  • 不規則な食事をしている
  • 仕事などで多忙な生活を送っている
  • 好きなものばかり食べている
  • 野菜や果物をほとんど食べない
  • 食事に対する関心が低い
  • 料理が苦手もしくはしない
  • ダイエット中である
  • 女性
  • 高齢者
  • 子ども

厚生労働省の栄養調査では、若い世代に外食や中食(総菜・コンビニ弁当などの利用)が多い傾向を見ることができるとの報告があります。現代型栄養失調の患者数は、潜在的なものを含めて数千万人にも上るとの見方もあるのです。

2.現代型栄養失調の原因について

現代型栄養失調になるには、どんな原因があるのでしょうか。増えている背景や女性・高齢者・子どもの状況などを学びます。

2-1.現代型栄養失調の原因

現代型栄養失調の原因は、栄養バランスが偏った食事です。自分が好きな食べものばかりを食べていると必要な栄養素がたちまち不足してしまいます。必要なカロリーやお腹(なか)を満たすことはできても、圧倒的に栄養不足になっているのです。今は、ファーストフードやコンビニ・ラーメン店などを含め、自分たちが好む食事を気軽にできる時代になりました。嫌いなものを我慢して食べるよりも、好きなものを選んでしまうのも仕方がないといえるでしょう。また、極端なダイエット志向により、野菜ばかり食べていても現代型栄養失調の原因となります。

2-2.現代型栄養失調はなぜ増えている?

食に対する関心が低い人が多くなったことが、現代型栄養失調が増えている原因のひとつとえます。もちろん、毎日の食事で栄養バランスを考えた献立を実施し、気配りをしている人もいるでしょう。しかし、仕事やプライベートが忙しい・ひとり暮らしのために適当な食事で済ませてしまうなどの理由から、食事に栄養バランスを考えるところまでいかない人も多くいます。食事の準備にかける時間や手間がなため、手軽にファーストフードやコンビニ食を選ぶことで、現代型栄養失調が増えているのです。

2-3.女性・高齢者・子どもの現代型栄養失調

女性・高齢者・子どもは、現代型栄養失調になりやすくなります。女性はダイエットにより、カロリーを減らすだけでなく必要な栄養素まで減らしてしまうのが問題です。肌荒れ・めまい・貧血・生理不順など、女性特有の不調が出やすくなります。高齢者は、食が細くなり、総カロリーも栄養素も常に不足しがちなものです。高齢になると咀嚼(そしゃく)や嚥下(えんげ)の能力も落ちてくるため、簡単に現代型栄養失調になります。高齢者の栄養不足は、身体能力の低下・認知症の発症などにも関係するので気を付けてください。子どもは、主に好き嫌いの激しさによる栄養バランスの悪さが原因となります。子どもは心身が成長する大切な時期であるため、親の食事管理がしっかり行き届くように、きちんと見直してください。

3.現代型栄養失調の症状について

現代型栄養失調の症状について詳しく解説します。主な症状や注意点を学びましょう。

3-1.現代型栄養失調の主な症状

現代型栄養失調になると、主に以下のような症状が見ることができ。

  • 体がだるい・疲れやすい
  • イライラする・集中力がなくなる
  • めまいや立ちくらみが起きる
  • 肌荒れが起きる
  • 髪がよく抜ける
  • 朝の目覚めが悪い
  • 寝付きが悪い
  • 風邪(かぜ)をひきやすく治りにくい
  • 傷の治りがおそい
  • 口内炎がよくできる
  • 女性は生理不順になったり生理が来なくなったりする
  • 味覚が鈍くなる
  • 性欲の減退

このほかにも、欠乏している栄養素によって、さまざまな症状を見ることができます。

3-2.現代型栄養失調の症状に関する注意点

現代型栄養失調の症状は、ほかの病気のと見分けが難しいものです。また、なんとなく体が不調だけで原因がよくわからない、といったものも現代型栄養失調である可能性が高くなります。複数の症状が現れていてなかなか改善しないときは、食事内容の見直しおよび改善を行ってみてください。原因となっている栄養素を意識的に摂取することで症状が改善します。しかし、どんな栄養素が不足しているのかわかりにくいため、医師に相談して進めてください。

4.現代型栄養失調の経過と影響について

現代型栄養失調の経過と影響について詳しく解説します。注意するべき症状や関連する病気についても学びましょう。

4-1.現代型栄養失調を放置するとどうなる?

現代型栄養失調は、放置しても改善しません。症状がますます悪化するだけなので、速やかに対策をしてください。放置した場合、新たな症状が出てくることもあります。重症になると治療も大変で期間も長引くことになるため、放置は禁物です。自分の想像以上に、体が悲鳴を上げていると考えてください。

4-2.現代型栄養失調で注意するべき症状とは

だるい・疲れやすい、といった症状はほかの病気でもよく見られるものです。本当の原因が現代型栄養失調であるにもかかわらず、ほかの病気の治療を行ってしまうこともあるでしょう。ほかの病気の治療を続けたために、現代型栄養失調が悪化してしまうこともあります。ただちに命にかかわるものではなくても、ほかの病気の引き金になるものです。何らかの治療を続けても改善が見られない・症状がひどくなってきたなどがあるときは注意してください。

4-3.現代型栄養失調に関連する病気など

現代型栄養失調を放置することで、以下のような病気を併発することがあります。特定の栄養素が不足することで、体内でさまざまな不調が起こるからです。

  • 風邪(かぜ)
  • 肺炎
  • 壊血病(かいけつ)病
  • 脚気(かっけ)
  • 鉄欠乏性貧血
  • うつ病

5.現代型栄養失調のセルフチェックを紹介

現代型栄養失調は、セルフチェックで確認することができるのでやってみてください。

5-1.現代型栄養失調のセルフチェックをしてみよう

以下の項目に複数当てはまる場合は、現代型栄養失調を疑いましょう。

  • 食事の時間が不規則(欠食することもある)
  • ラーメンやごはん・パスタ・パンなどを多く食べる
  • ダイエットのために野菜中心の食事をしている
  • ジュース・栄養ドリンク・スポーツドリンクを飲む
  • 体に悪いという理由で調理に油を使わない
  • インスタント食品やコンビニ食が好きでよく食べる
  • 野菜や果物が嫌い・食べる機会がない
  • お酒を飲むことを好む
  • 甘いお菓子を食事代わりにすることが多い
  • すぐに風邪(かぜ)をひきやすい
  • 体や目が疲れやすい
  • めまいや息切れがする
  • 通勤・通学途中などで気分が悪くなりやすい
  • 夏でも体が冷える

5-2.現代型栄養失調のセルフチェックの注意点

現代型栄養失調のセルフチェックで疑いが出た場合は、改善できるところから見直しをしてみてください。同時に、気になる症状があるときは、医師に相談しましょう。せっかくセルフチェックをしても、結果を出しただけでは意味がありません。チェック項目で当てはまったものにかんしては、問題ありなのですから速やかに改善努力をしてください。

6.現代型栄養失調の改善方法を学ぼう

現代型栄養失調の改善方法を学びましょう。何科を受診するべきか・診断方法・治療方法など詳しく解説します。

6-1.現代型栄養失調で病院に行くべき症状は?

以下の症状があるときは、速やかに病院に行きましょう。一刻も早く専門治療を開始する必要があります。

  • 食事内容を改善しても効果がない
  • 症状が悪化してきた
  • ひどく気分が悪い・意識がもうろうとする

6-2.現代型栄養失調は何科に行けばいい?

現代型栄養失調の疑いがあるときは、内科・消化器内科に相談しましょう。現代型栄養失調の原因は、食生活にあるからです。内科・消化器内科で気になる症状について医師に説明し、診断を受けてください。なお、内科以外の科を受診するべき場合でも、紹介状を書いてもらえるので安心です。

6-3.現代型栄養失調の検査・診断方法について

現代型栄養失調の検査や診断方法で主なものは、以下を参考にしてください。

  • 医師による問診・視診
  • 血液検査
  • 尿検査
  • X線検査
  • 皮膚検査

医師は、それぞれの検査結果を総合し現代型栄養失調との判断を下します。

6-4.現代型栄養失調の治療方法について

現代型栄養失調の治療法には、主に以下のようなものがあります。症状が軽いものにかんしては、通院による経過観察が主な方法です。

  • 医師・管理栄養士による食事指導・観察
  • (重症の場合)入院による栄養改善
  • サプリメントの投与
  • 精神的なケア

なお、当アタナハクリニックでも、現代型栄養失調の治療においてご相談に応じています。ひとりひとりの症状に合わせて、サプリメントなどのご紹介もしているのでお気軽にお問い合わせください。

6-5.現代型栄養失調の改善方法に関する注意点

現代型栄養失調を改善するためには、専門治療を受けるだけでなく、セルフケアに気を配ることが重要です。きちんと対策できない場合、医療機関での治療が終わればまた再発してしまうことでしょう。現代型栄養失調を克服するためには、生活習慣や食生活の乱れを改善することが大切なのです。

7.現代型栄養失調のセルフケアを解説

現代型栄養失調のセルフケアを詳しく解説します。不足しがちな栄養素を補うために必要なことをしっかり学びましょう。

7-1.現代の食生活で不足しがちな栄養は?

現代の食生活で不足しがちな栄養素は、主に以下のようなものがあります。野菜や果物・肉類・魚介類に多く含まれている栄養素です。

  • ビタミンA
  • ビタミンB1
  • ビタミンC
  • カルシウム
  • タンパク質
  • 亜鉛
  • 鉄分

7-2.現代型栄養失調を改善するための食事や食材の選び方

まずは、1日3食を決まった時間に摂(と)るようにしましょう。不規則な食生活が身に付いている人は、欠食したり食事時間がバラバラになっていたりするものです。また、栄養バランスをよくするために、できるだけ多くの食材を使ったメニューを選んでください。野菜や果物・肉類・魚介類を意識的に多く食べましょう。外食する場合もラーメン・パスタ・丼ものなど、単品料理は避け、定食にしたりサラダを加えたりしてください。食材は、新鮮かつ旬のものを食べることで効率よく栄養をとることができるのでおすすめです。

7-3.現代型栄養失調の改善に役立つサプリメント

食事だけでは、なかなか不足している栄養素を補いきれないものです。そこで、サプリメントの活用も考えてみてください。足りない栄養素を効率よく補うことができます。食が細い人にも、サプリメントが向くでしょう。ただし、サプリメントも品質に大きな差があるものです。信頼できる販売店もしくは、医師の処方を受けて入手してください。

7-4.現代型栄養失調を改善するための生活習慣とは

現代型栄養失調を改善するためには、生活習慣の見直しも大切です。

  • 早寝・早起きをして生活に一定のリズムを付ける
  • 良質な睡眠を確保する
  • 疲れやストレスを溜(た)めこまない
  • 適度な運動をする
  • 間違った食事制限によるダイエットを中止する

7-5.現代型栄養失調のセルフケアでNG行為とは?

現代型栄養失調のセルフケアでは、サプリメントの飲み過ぎに気を付けてください。サプリメントは簡単に栄養素を補充できるものです。しかし、飲み過ぎは過剰摂取となり副作用が出る場合があります。栄養補給のためであっても、適量を守って飲みましょう。適量以上に飲んでも、体に害があるだけです。

7-6.現代型栄養失調のセルフケアに関するそのほかのこと

現代型栄養失調のセルフケアは、1日や2日ではハッキリした効果が実感できないことがあります。しかし、正しい方法で行っていれば徐々に効果が出てくるのであきらめないでください。ただし、間違った方法でのセルフケアでは改善できません。2週間程度続けても改善が見られない場合は、速やかに医師に相談してください。

8.現代型栄養失調に関するよくある質問

最後に、現代型栄養失調に関するよくある質問に回答します。悩みや不安を残さないためにも、それぞれ目をとおしておきましょう。

8-1.主婦でも現代型栄養失調になるのでしょうか?

主婦は、毎日家族のために食事を用意する役割を持っています。家族のために栄養バランスのいい食事を考え、提供することができていても、自分自身の栄養管理ができているかどうかは別の話です。残りものをもったいないからと口にしているうちにお腹(なか)が満たされてしまい、本来の食事をとることができなる人もいます。節約第一に献立を考えた結果、現代型栄養失調になる人もいるのです。主婦でも、油断しないでください。

8-2.現代型栄養失調の治療期間はどれぐらいですか?

栄養失調の度合いによります。重症の場合は、数か月程度必要です。また、一時的に入院を伴う例もあります。軽度の場合であっても、食習慣・生活習慣を改善し、適切な状態で定着するまで2か月から3か月程度かかることもあるでしょう。いずれにしても、長い目で治療に当たることが必要です。

8-3.高齢者の栄養状態を改善するためにはどうすればいいですか?

高齢者は、食が細くなりがちです。少ない食事量でも、1日の所定カロリーと栄養素を満たすようなメニューを考えましょう。市販の介護用レトルト食品や栄養補強ドリンクなどをうまく活用すると効果的です。高齢者が食べやすいように、食材を細かく切ったりやわらかく調理したりすることも考えてください。楽しくおいしく食事をたくさん食べることができるようにすることが大切です。

8-4.子どもの現代型栄養失調を改善するためのいいアイデアは?

原因が偏食によるものであるか、食事量が少ないかによっても対応が異なります。偏食によるものは、調理方法や味付けを工夫してみてください。見た目も大きく影響します。野菜なら子どもの好きな形に抜いてみる、ほかの料理に紛れ込ますなどの方法もあるでしょう。食事量が少ない場合は、理由を深く考える必要があります。胃や腸などの消化器官に問題がある可能性があるので、かかりつけ医に相談してみてください。

8-5.現代型栄養失調の治療には健康保険が使えますか?

一般の病院で、現代型栄養失調の治療を受ける場合は、健康保険を適用できます。初診のときに健康保険証の持参を忘れないようにしてください。また、健康保険の適用外であっても、現代型栄養失調の改善に効果が期待できる治療法も存在します。治療費用が全額負担になりますが、治療方針に納得した場合は検討してみてください。

まとめ

今回は、現代型栄養失調について詳しく解説しました。飽食の時代でも、栄養失調は起きるのです。放置すると症状が悪化し、治療に時間も費用もかかることになるので早期に改善しましょう。基本は食生活や生活習慣の見直しです。好き嫌いなくさまざまな食材をバランスよく食べてください。なお、食事だけでは必要な栄養素の補給が難しいことが多いものです。サプリメントをうまく取り入れることをおすすめします。いずれにしても、現代型栄養失調を甘く見ず、きちんと改善してください。

アタナハクリニック院長 矢崎 智子

監修者

矢崎 智子
アタナハクリニック院長
日本産科婦人科学会認定医/高濃度ビタミンC点滴療法学会理事/世界アンチエイジング学会認定医/日本内分泌学会・国際オーソモレキュラー医学会・病巣疾患研究会会員/日本線維筋痛症学会会員

1969年長野県生まれ。平成6年杏林大学医学部卒。産婦人科医としての経験を積んだあと、2005年11月、分子整合栄養医学に基づく栄養療法と東洋医学を中心とした統合医療をおこなうクリニックハイジーアを開設。関節リウマチや線維筋痛症、慢性疲労症候群、摂食障害など、通常治療困難とされる疾患や、不妊症などの婦人科疾患の治療において豊富な臨床経験を持つ。日本では数少ない機能性医療の専門家であり、最も経験豊富な一人。

平成24年、医療とヒーリングの統合を目指し、アタナハクリニックを開設。現在はキネシオロジー(筋肉反射テストを使ったセラピー)の一種であるインテグレートヒーリング(IH)を中心とした統合医療を行なっている。

著書
なぜあなたは食べすぎてしまうのか 低血糖症という病

雑誌掲載歴
2014年:『ゆほびか(6月号)』『スターピープル(vol49)』『スターピープル(Vol.48)』
2013年:『トリニティ(Vol.48)』
2011年:『日経ヘルス(1月号)』
2010年:『VoCE(12月号)』『AERA with BABY』『anan(1月20日号)』
2009年:『クロワッサン(6月10日号)』『クロワッサン(1月25日号)』