関節の痛み、難病が原因かも!? リウマチ性筋痛症の治療法を学ぼう!

アタナハクリニック 院長 矢崎智子

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アタナハクリニック 院長 矢崎智子
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平成4年の国民生活基礎調査によると、「手足の関節が痛む」と訴える人は日本全国で560万人にもおよびます。「きっと、年を取ったからだろう」と楽観視している方も多いと思いでしょう。しかし、中にはリウマチ性筋痛症という難病が原因のこともあります。もしも、リウマチ性筋痛症であれば早めにを始めなければいけません。そこで、今回はリウマチ性筋痛症の治療法についてご紹介します。自分の症状と照らし合わせてみましょう!

  1. リウマチ性筋痛症とは?
  2. リウマチ性筋痛症の原因とは?
  3. リウマチ性筋痛症の発生場所と主な症状について
  4. リウマチ性筋痛症の病状経過と影響について
  5. リウマチ性筋痛症の治療について
  6. リウマチ性筋痛症のセルフケア
  7. リウマチ性筋痛症に関してよくある質問

この記事を読むことで、リウマチ性筋痛症に関する基本的な知識を得ることができます。後悔しないためにも、しっかりとリウマチ性筋痛症について学んでいきましょう。

1.リウマチ性筋痛症とは?

1-1.リウマチ性筋痛症の基礎知識

正式名称はリウマチ性多発筋痛症(polymyalgia rheumatica; PMR)といいます。名称に「筋痛症」とありますが、どちらかといえば筋肉自体よりも関節(特に肩関節)に痛みが多く見られる病気です。また、「リウマチ」という名称がついているため誤解されがちですが、関節リウマチとは別の病気なのでご注意ください。50歳以上の方に発症しやすいといわれています。

1-2.難病指定について

リウマチ性筋痛症は現時点で原因がわかっておらず、難病として扱われています。しかし、難病の一種として扱われているにもかかわらず、現時点では難病指定されていません。厚生労働省が臨床調査研究分野の対象として指定することを難病指定といいます。難病指定されれば研究が進みだけでなく、医療費が減額されたり免除されたりするようになるのが特徴です。しかし、残念ながら難病指定される可能性は低いでしょう。なぜなら、難病指定されるには、次の条件を満たす必要があるからです。

  1. 発症の原因(メカニズム)が明らかでない
  2. 治療法が確立されていない
  3. 希少な疾患である
  4. 長期療養を必要とする
  5. 患者数が日本において人口の0.1%程度以下であること
  6. 客観的な診断基準(またはそれに準ずるもの)が成立していること

リウマチ性筋痛症の場合は効果的な治療法が存在しており、さらに診断方法も確立されています。つまり、(2)と(6)の条件を満たしていないのです。

2.リウマチ性筋痛症の原因とは?

2-1.原因は?

前述したように、リウマチ性筋痛症の原因はいまだにわかっていません。しかし、免疫異常が発生することや症状の類似性などから、関節リウマチや膠原病(こうげんびょう)の一種だと考えられています。

2-2.関節性リウマチとの違い

リウマチ性筋痛症では、関節リウマチにあるような関節・骨の破壊や炎症が起こりません。また、関節リウマチは全身の関節が痛みますが、リウマチ性筋痛症は肩関節に集中して症状が出やすく、さらに腰・太ももの筋肉が痛んだりこわばったりする点で違います。

3.リウマチ性筋痛症の発生場所と主な症状について

3-1.症状の出る場所

最も多い場所は肩関節です。リウマチ性筋痛症にかかった70~95%の方が肩関節の異常を感じます。また、50~70%の方は首とお尻も痛みを感じるようです。そのほか、太ももの疼痛(とうつう)やこわばりなどを感じる方もいます。

3-2.症状の特徴

症状が左右対称に出現し、腕を上げたり起き上がったりなど、体を動かすと痛みが強くなるのが特徴です。逆にじっと動かさないと体のこわばりが強くなります。また、発症速度が比較的急速で、数日から数週間のうちに症状が出始めるのも特徴の1つです。そのほか、発熱・食欲不振・体重減少・だるさ・うつ症状などを伴うこともあります。

4.リウマチ性筋痛症の病状経過と影響について

4-1.病状経過

病気になってから症状が出始めるまでは非常に早いのですが、発症後の進行は緩やかです。まず、熱っぽさや体のだるさ、食欲不振などの不定愁訴(ふていしゅうそ)が慢性的に発生したり、朝方に関節部位のこわばりを感じたりするようになります。次に、肩などの大きな関節で左右対称の痛み・腫れが発生するようになるでしょう。その後は、痛みや腫れが徐々に全身の関節に広がっていき、慢性的に続きます。ただし、これは一例に過ぎず、人によって病状経過は違いますので注意してください。

4-2.放置するとどうなる?

リウマチ性筋痛症自体は、命にかかわったり身体障害を引き起こしたりする病気ではありません。しかし、リウマチ性筋痛症の合併症が危険な場合があります。また、危険な病気の合併症としてリウマチ性筋痛症を発症している場合もあるので、放置をしていると大変に危険です。たとえば、巨細胞性動脈炎(側頭動脈炎)を発症している方の半数は、合併症としてリウマチ性筋痛症を発症します。この巨細胞性動脈炎(側頭動脈炎)は難病指定されている病気の1つで、側頭動脈・眼動脈などに炎症を引き起こす病気です。巨細胞という細胞が動脈内に見られることからこの名称がつけられました。頭痛・あごがだるい・ものが2重に見える・食欲低下などの症状のほか、失明や脳梗塞のリスクもある怖い病気です。ですから、リウマチ性多発性筋痛症の発症が疑われる場合には巨細胞性動脈炎が発症していないかどうかの確認も大切となります。

4-3.考えられるほかの病気

リウマチ性筋痛症には似たような症状を発生させる病気もあります。リウマチ性筋痛症は明確な判断基準がなく、誤診されやすい病気です。誤診されないためにも、しっかりと頭に入れておきましょう。

  • 関節リウマチ
  • RS3PE症候群
  • 脊椎関節炎
  • 筋炎
  • 血管炎
  • 軸椎歯突起症候群(じくついしとっきしょうこうぐん)
  • 多発性骨髄腫
  • がん
  • 感染症

5.リウマチ性筋痛症の治療について

5-1.病院へ行くべき症状

肩関節に左右対称の症状が出ているようであれば、リウマチ性筋痛症の疑いがあるので受診をおすすめします。また、発熱やめまいなどの不定愁訴も特徴的なので、関節の痛みと一緒に症状が出ているような場合には必ず病院に行きましょう。

5-2.何科へ行けばいいの?

基本的には内科やリウマチ科に行きましょう。しかし、誤診の多い病気なので、内科やリウマチ科だと関節リウマチなどと診断されてしまうことが多くあります。上記した症状が出ているにもかかわらずリウマチ性筋痛症と診断されなかった場合には、念のために総合診療科のある病院を受診すると良いでしょう。総合診療科は特定の臓器・疾患に限定せず、多角的に診療を行う部門です。現代医療は専門化・細分化が進んでいます。専門化や細分化はより高度な診療を実現できる一方で、専門分野の枠内で病気の診断を行うために誤診を引き起こるリスクも高まるのです。あえて専門分野を決めていない総合診療科は、セカンドオピニオンの受診先としては最適といえます。

5-3.検査・診断方法

リウマチ性筋痛症の診断方法にはいくつかの基準をもとに行われます。一般的なのはPMR研究会基準とバード(bird)基準です。

5-3-1.PMR研究会基準

  1. 赤沈の亢進(こうしん)が40mm/h以上
  2. 両側の太腿の筋肉の痛み
  3. 両側上腕の筋肉の痛み
  4. 食欲減退、体重減少
  5. 全身のだるさ
  6. 37℃以上の発熱
  7. 朝のこわばり

5-3-2.バード基準

  1. 65歳以上(Age >65 yr)
  2. 両肩の疼痛(とうつう)、および/またはこわばり(Shoulder pain and/or stiffness bilaterally)
  3. 2週間以内の急性発症(Onset of illness of <2weeks duration)
  4. 赤沈の亢進(こうしん)が40mm/h以上(Initial ESR >40mm/h)
  5. 朝に1時間以上持続するこわばり(Morning stiffness duration >1h)
  6. 抑うつ症状および/または体重減少(Depression and/or loss of weight)
  7. 両側上腕部筋の圧痛(Upper arm tenderness bilaterally)

5-4.治療方法

リウマチ性筋痛症にはステロイド剤を使った治療方法が非常に効果的です。ステロイド剤を毎日10mg~20mg服用することで治療します。2~3年ほどの治療を行えば完治が可能です。ステロイド剤はリウマチ性筋痛症に対してすぐに効果を発揮しますので、しばらく服用を続けても改善しない場合はほかの病気の可能性があります。様子を見て、1週間たっても効果が出ないようであれば医師に相談してみてください。

また、リウマチ性多発性筋痛症の合併症である巨細胞性動脈炎(側頭動脈炎)も、発症してすぐにステロイド剤を服用することで重症化を予防できます。

5-5.治療における注意点

合併症である巨細胞性動脈炎(側頭動脈炎)による失明のリスクを避けるため、診療してもらう際には必ず巨細胞性動脈炎(側頭動脈炎)の検査もしてもらうことが重要です。

また、症状が改善したからといって、勝手に薬の服用を停止してしまう方がいます。しかし、完治していなければ症状が再発してしまいますし、なによりもステロイド剤は適切な配分で減薬しないと副作用が出やすい薬です。症状が出なくなったからといって自己判断で減薬したり服用を停止したりするのはやめましょう。

6.リウマチ性筋痛症のセルフケア

6-1.治療、看護で気をつけること

また、リウマチ性筋痛症は高齢者に多いため、場合によっては本人による薬の管理ができない場合もあります。そのような場合には、在宅医療やヘルパーを利用したり家族が協力したりすることが重要です。

6-2.食事

これを食べたかから治る、というものはありませんが、健康維持のためにもバランスの良い食事を心がけましょう。ちなみに、リウマチの場合は肥満が悪影響をおよぼすため、カロリー制限を行う必要があります。

6-3.運動(リハビリ)

リウマチ性筋痛症においては、リハビリに直接の治療効果がないため積極的には行われていません。一番重要なことはステロイド剤を適切かつ継続的に使い続けることです。ただし、極端に筋力が低下するのは好ましくないため、握力訓練や下肢筋力訓練を指示されることがあります。

6-4.マッサージ・ストレッチ

症状にもよりますが、消炎鎮痛を目的として疼痛(とうつう)箇所への温熱療法を行うことがあります。また、拘縮(こうしゅく)予防のための軽いストレッチを行うこともあるでしょう。

6-5.漢方薬について

柴苓湯(さいれいとう)・意苡仁湯(よくいにんとう)・芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)などで症状が緩和された例もあります。

6-6.NG行為

過度なストレッチや運動を行うと痛みを感じやすくなるので、やりすぎないように注意しましょう。また、症状が緩和したからといって薬の使用を中断したり病院に行くのをやめたりすることは絶対にNGです。

7.リウマチ性筋痛症に関してよくある質問

7-1.リウマチ性筋痛症の患者数はどのぐらいですか?

リウマチ性多発筋痛症の患者数は、関節リウマチの10分の1以下程度の数だと考えられています。1997年に行われた厚生労働省疫学研究班の調査によれば、日本人の約300人に1人が関節リウマチになっているとのことです。ここから考えると、リウマチ性筋痛症の場合は約3,000人~4,000人に1人程度の割合で発症するということになります。つまり、全体数でいうと3~4万人程度の患者数ですね。ただし、現在は20年前に比べてより高齢化がより進んでいることから、もう少し数が増えているといわれています。このように、患者数は多くないものの、特段少ない病気というわけでもありません。

7-2.男女差はありますか?

女性の方がなりやすいといわれています。女性は男性に比べて約2倍の発症率です。もちろん、発症率は女性が高いというだけで、男性も発症するリスクがあるので楽観はやめましょう。

7-3.40代以下でも発症するのですか?

リウマチ性筋痛症自体がまれな病気のため、正確な発症率はわかっていませんが、40代以下でもまれに発症することがあります。

7-4.ステロイド剤には悪いイメージがあるのですが、使用しても大丈夫なのでしょうか?

ステロイドというと副作用で糖尿病になったりうつ状態になったりと、悪い部分がフォーカスされています。しかし、重大な副作用を起こすような人は、用法用量を守らずに使っていることがほとんどです。用法用量を正しく守って使用すれば、重大な副作用はめったに起きません。もちろん、人によって体質はさまざまですので、副作用が発生することもあります。しかし、それはあらゆる薬にいえることです。たとえば、風邪などで何気なく服用している抗生物質でも、死亡事故は起きています。ステロイドという言葉に惑わされて過度に恐れる必要はありません。

7-5.漢方で完治は可能ですか?

改善が見られた例は報告されていますが、現時点では完治できた例はありません。リウマチ性筋痛症を完治させるためにはステロイド剤を使うことが最も確実で早い方法です。また、誤解されがちですが、漢方薬にも副作用があります。たとえば、漢方薬は肝臓に大きな負担をかけますので、肝臓に病気を抱えている人などには重大な副作用が発生することがあるのです。漢方=安全というのは間違いであることを覚えておいてください。

まとめ

いかがでしたか? 今回はリウマチ性筋痛症の基本的な情報をご紹介しました。原因は不明な難病の一種ですが、ステロイド剤を的確に使用することで十分に完治が可能な病気です。しかし、楽観はできません。放置していて、もしも合併症の巨細胞性動脈炎(側頭動脈炎)が発生してしまうと脳梗塞や失明のリスクなどが出てくるからです。疑いのある症状が見られた場合には、内科などで診察を受けましょう。今回の情報を参考にして、ぜひとも健康な生活を送ってくださいね。