若年性線維筋痛症

若年性線維筋痛症の特徴・原因・治療法・セルフケアなどを徹底解説

アタナハクリニック 院長 矢崎智子

記事監修
アタナハクリニック 院長 矢崎智子
免責事項について

「子どもが訴えている痛みの原因が分からない」「子どもが登校拒否をする」など、当てはまる場合、若年性線維筋痛症の可能性があります。若年性線維筋痛症を放置すれば、さらに症状が悪化し、完治するまで時間がかかるでしょう。しかし、きちんと基礎知識を身につけておけば、早期治療ができ、良好な予後が期待できると言われているので安心してください。本記事では、若年性線維筋痛症の基礎知識や症状・原因・経過と影響・治療法・セルフケアについて説明します。

  1. 若年性線維筋痛症の基礎知識
  2. 若年性線維筋痛症の症状
  3. 若年性線維筋痛症の原因
  4. 若年性線維筋痛症の経過と影響
  5. 若年性線維筋痛症の治療法
  6. 若年性線維筋痛症のセルフケア
  7. 若年性線維筋痛症に関してよくある質問

この記事を読むことで、若年性線維筋痛症について詳しく知ることができ、適切な治療が受けられます。悩んでいる方や治療法を知りたい方は、ぜひ参考にしてください。

1.若年性線維筋痛症の基礎知識

適切な治療を受けるためには、若年性線維筋痛症の基礎知識を身につけることが大切です。病気の定義や難病指定・なりやすい人などについて説明します。

1-1.どんな病気か

全身の骨格筋に激しい痛みやこわばりが生じるリウマチ性疾患を、線維筋痛症または線維筋痛症症候群と言います。若年性線維筋痛症は、幼児や子どもなど若い人が発症する線維筋痛症のことです。以前は、非関節性リウマチや心因性リウマチ・軟部組織性リウマチ・結合組織炎などと呼ばれていました。1990年アメリカリウマチ学会により、疾病概念が定義され、線維筋痛症症候群という病名が広まったのです。

1-2.難病指定について

若年性線維筋痛症は難病と言われていますが、難病指定はされていません。難病指定は、3つの基準を満たしていないと定められないのです。3つの判断基準は、「原因不明で治療法が未確立」「患者数が人口の0.15%未満」「客観的な判断基準が確立」となります。難病指定されている病気は、難病法の支援を受けることができるのです。

1-3.なりやすい人・患者数

厚生労働省研究班の調査によると、人口の1.7%に相当する約200万人が線維筋痛症を患っていることが分かりました。そのうち、2.5~5%に相当する約5~10万人が若年性線維筋痛症だと考えられています。また、2010年にアメリカリマウチ学会が提唱した予備診断基準によると、慢性疲労・睡眠障害・自律神経障害症状など多彩な症状を起こす症候群として解釈されるようになりました。
遺伝子要因もありますが、心理的要因が多いことから、精神的ストレスを感じやすい子に多いと言われています。家庭や学校環境で悩んでいる子どもが、発症しやすいと考えられているのです。

ストレスが多い子どもが発症しやすい傾向にあるのですね。
はい。しかし、ストレスがないから発症しないとも限りません。すべての子どもに発症のリスクがあると考えましょう。

2.若年性線維筋痛症の症状

それでは、若年性線維筋痛症の症状とは、どのようなものがあるのでしょうか。

2-1.主な症状

主な症状としては、軽い刺激でも強い痛みがうずく・自律神経障害症状・熟睡できない・うつ気分・倦怠感(けんたいかん)などがあります。特に、全身痛・関節痛・筋肉痛・頭痛といった“痛み”が特徴的です。子どもが関節の痛みを訴えることが多いですが、実際には関節そのものではなく、関節付近の腱(けん)付着部位に痛みが出ています。慢性疲労感・関節痛・筋肉痛を訴えるケースがほとんどです。

2-2.症状の特徴

一般的な筋肉痛は、時間の経過とともに自然と良くなる痛みです。しかし、若年性線維筋痛症の場合は、良くなったり悪くなったりします。雨天時や台風などに痛みが強くなる・集中していると軽くなるなど、そのときの状況や天候によっても痛みが変化するのです。

2-3.併発症状

抑うつ症状・下痢・腹痛などが併発することもあります。若年性線維筋痛症は、妥協を許さないなどの柔軟性の欠如が見られ、コミュニケーションがうまくいかない傾向があるのです。「学校に行きたくない」「お腹が痛い」などの症状を訴えることが多いでしょう。親から見れば、「いつものこと」「駄々をこねているだけ」と軽視してしまいがちです。登校拒否が長く続いたり、体の不調に気づいたりしたときは、すぐ病院に連れて行きましょう。

2-4.考えられるほかの病気

シックハウス症候群・過敏性腸症候群・慢性疲労症候群・化学物質過敏症などの病気と同じ症状を発症します。若年性線維筋痛症は、筋肉や関節の痛みと倦怠感(けんたいかん)が特徴なので、きちんと症状を明確にしてから受診してください。

さまざまな症状が現れるのですね。
はい。だからこそ、早めに病院を受診し検査を受けることが大切です。

3.若年性線維筋痛症の原因

若年性線維筋痛症の原因は、ハッキリと分かっていません。しかし、考えられる要因としては、以下の3つがあります。

  • 遺伝的要因:うつ病などに関係しているセロトニントランスポーター遺伝、精神疾患に関係しているドーパミンD2およびD4受容体遺伝子など、遺伝が原因
  • 生物学的要素:ストレス反応の経路以上や疼痛伝達経路の異常など
  • 環境因子:外傷・外科的処置・ウイルス感染・初潮・家族関係・学校環境のトラブルなど
まだ原因ははっきりしていないのですね。
はい。だからこそ、誰でも発症のリスクを抱えていると言えます。

4.若年性線維筋痛症の経過と影響

若年性線維筋痛症は、早めの治療が大切と言われています。早期治療を始めるためにも、病状経過や放置の危険性について知識を深めておきましょう。

4-1.病状経過について

最初は、軽めの倦怠感やだるさ、すぐに治まる筋肉痛などが症状として現れます。軽めの症状となるため、「時間が経(た)てば治る」と考えがちです。しかし、経過がすすむにつれ、異常な発汗や末梢(まっしょう)冷感・チアノーゼ・四肢のむくみなど自律神経症状が加わります。若年性線維筋痛症を患った約80%以上の子どもが、登校拒否に至ると厚生労働省委託事業の「公益財団法人 日本医療機能評価機構」が発表しました。また、摂食障害に陥る例もあります。

4-2.放置するとどうなるか

症状を放置すると、どんどん病状が進行し、自律神経症状が悪化します。うつ病や寝たきり状態になる・車いす生活になる可能性もあるのです。最悪な状態にならないためには、若年性線維筋痛症を受け入れて、医療機関との連携を取りながら治療をすすめることが重要となります。

自然治癒する可能性は低いのですね。
はい。だからこそ早めに治療を開始することが大切です。

5.若年性線維筋痛症の治療法

若年性線維筋痛症を改善する治療法とは、一体どのような内容なのでしょうか。ここでは、病院へ行くべき症状や診療科、検査・診断方法、治療方法、注意点について説明します。

5-1.病院へ行くべき症状

症状が長く続く・不登校が続く・全身の疼痛(とうつう)や原因不明の筋肉痛・関節痛・頭痛が起きた場合は、すぐ病院に行ってください。日常生活を普通に送っていても現れる症状ですが、長く続いた場合は要注意です。また、一定の部分を押すと痛い特徴があります。その部分を圧痛点と呼び、少し触れただけでも激しい痛みが伴うのです。「圧痛点かも」と感じたときも、すぐに受診したほうが良いでしょう。

5-2.何科へ行けばいいか?

できれば、専門医に診てもらいたいですが、若年性線維筋痛症は一般的に知られていないので専門科・専門医が少ない傾向があります。そのため、リウマチ科・整形外科・心療内科・小児科を受診してください。NPO法人団体「線維筋痛症友の会」では、診察・治療を行っている医師や病院のリストが掲載されています。

5-3.検査・診断方法

1990年、アメリカリウマチ学会から線維筋痛症診断における分類基準が提唱されました。分類基準は若年性にも当てはまり、以下の項目に当てはまるものが「線維筋痛症」とみなされます。

  • 広範囲におよぶ疼痛が3か月以上持続する
  • 全身18か所に存在する圧痛点のうち、11か所以上の疼痛の存在

さらに、「線維筋痛症ガイドライン2013」では、若年性線維筋痛症の診断の手引きが記載されています。痛み以外のさまざまな症状と、病気になりやすい性格傾向について記載されているので、ぜひ参考にしてください。

5-4.治療方法

成人の線維筋痛症は、うつ型・筋付着部炎部・筋緊張亢進型の3タイプに分かれ、それぞれ適切な薬物治療が推奨されています。一方、若年性線維筋痛症は、タイプ分けがされていません。成人で用いられる薬物治療の中では、子どもに使用できるアセトアミノフェン・ノイロトロピン・還元型コエンザイムQ10が用いられています。
また、薬物を使わない非薬物治療も選択肢の1つです。小児科受診による疼痛管理や児童精神科などによるカウンセリング・リハビリテーションがあります。

5-5.治療における注意点

若年性線維筋痛症は、成人と違い、心理的な負担が原因となっていることが多いと言われています。両親の離婚など家庭環境の変化やいじめなどが問題として挙がっているのです。よって、心理的負担の原因を見つけ、対策を立てることが大切となります。薬物に頼らずに、日常生活活動(ADL)を改善することに目を向けていきましょう。

まだ専門の診療科がないのですね。
はい。治療実績がある病院が近くにあれば、そこを受診してください。

6.若年性線維筋痛症のセルフケア

日常生活の改善が大きなポイントとなる若年性線維筋痛症は、セルフケアを徹底させることで改善へとつながります。簡単にできるセルフケアを紹介しましょう。

6-1.治療・看護で気をつけること

子どもの状態を毎日チェックしてください。仕事や家事が忙しいから、とコミュニケーションを取る時間を減らしてはいけません。今、子どもがどのようなことを思い考えているのか、きちんと意思疎通を図ることが大切です。また、何が原因で発症したのか、心理的要因をハッキリさせることも重要となります。若年性線維筋痛症はすぐに改善できるものではないので、長い目で向き合っていきましょう。

6-2.食事

線維筋痛症に良いとされているのが、全粒穀物が豊富に含まれている食事です。野菜・果物を中心に、脂肪の少ないたんぱく質を摂取してください。脂肪・糖分が多く含まれている食材は、線維筋痛症による炎症を悪化させるのでおすすめできません。コンビニ弁当やお菓子・炭酸飲料水・レトルト食品などを控え、バランスの良い食事を心がけてみましょう。

6-3.運動(リハビリ)

若年性線維筋痛症の治療法でもある運動(リハビリ)は、自宅でも簡単にできます。たとえば、お風呂で筋肉の緊張を和らげた後、筋肉をゆっくり伸ばすストレッチです。ただし、圧痛点を刺激するのは良くないので、病院でリハビリのやり方を教えてもらってください。理学療法士などとリハビリ計画を立ててから実行したほうが良いでしょう。

6-4.マッサージ

マッサージは、局所の痛みを軽減する効果があります。ただ、こちらも圧痛点を過剰に刺激するのは良くないので、病院で指導を受けたほうが良いでしょう。マッサージのほかに、ヨガ・気功・鍼灸療法などの補完医療も行われていますよ。

6-5.NG行為

心理的要因の影響が強いと考えられているため、子どもの意志や考えを否定・拒絶するような言動はNGです。家庭環境や生活習慣を見直し、悪いところがあれば改善していきましょう。また、圧痛点を刺激するような激しい運動も控えてください。

セルフケアにもさまざまな方法があるのですね。
はい。大切なのは焦らないことです。自分のペースでセルフケアをしていきましょう。

7.若年性線維筋痛症に関してよくある質問

若年性線維筋痛症に関してよくある質問を5つピックアップしてみました。

7-1.若年性線維筋痛症になりやすい性格とは?

世間から“良い子”として認識されている子どもに発症するケースが多いです。完璧主義・潔癖主義・妥協を許さない・コミュニケーションが苦手・他人への過剰な気づかいなどが特徴として挙がります。また、発症前は明るく社交的だったのに、急に発症するというケースもあり、人前では違う自分を演じていた可能性があるのです。

7-2.何年で回復するのか? 予後は?

若年性線維筋痛症は、成人よりも予後は良好です。ほとんどの場合は、約1~2年以内に回復すると言われていますが、5~10年以上かかった例もあります。発症した人の約3分の1が求職・休学している状態です。

7-3.リハビリの具体的な内容が知りたい

療法士が関節をゆっくり動かす他動運動・弾力のあるバンドを使って筋力を強化する自動運動・動作練習を行う歩行練習・体力を高める全身運動があります。病状やそのときの心理面に見合った方法で、リハビリを続けることになるでしょう。

7-4.よくある発症のきっかけは?

両親の離婚や外傷・転居などがあります。若年性線維筋痛症は、男児よりも女児に多く、母親との葛藤が多くの例で認められているのです。

7-5.圧痛点はどこに現れるのか?

肩甲部や後頭部・膝関節・僧帽筋・第二肋骨などに、圧痛点が現れます。痛みを感じたとき、子どもが訴えたときは、どこが痛むのかきちんと明確にしておきましょう。

まとめ

いかがでしたか? 若年性線維筋痛症は、10代の子どもに発症する線維筋痛症のことです。若年性は心理的要因が強く、家庭や学校環境・人間関係・親の離婚などが原因となります。また、全身の倦怠感や筋肉痛・頭痛を訴えても、すぐに良くなったり悪くなったりするのが特徴です。日常生活でもよくある症状となるため、軽症に捉えがちですが、症状が長く続いた場合は注意しておかなければなりません。きちんと症状を把握して、早めに病院を受診してください。精神ケアが最も大切なので、心や体と向き合う「直観医療」が注目されています。「アタナハクリニック」では直観医療を行っているので、ぜひ参考にしてみてはいかがでしょうか。

アタナハクリニック院長 矢崎 智子

監修者

矢崎 智子
アタナハクリニック院長
日本産科婦人科学会認定医/高濃度ビタミンC点滴療法学会理事/世界アンチエイジング学会認定医/日本内分泌学会・国際オーソモレキュラー医学会・病巣疾患研究会会員/日本線維筋痛症学会会員

1969年長野県生まれ。平成6年杏林大学医学部卒。産婦人科医としての経験を積んだあと、2005年11月、分子整合栄養医学に基づく栄養療法と東洋医学を中心とした統合医療をおこなうクリニックハイジーアを開設。関節リウマチや線維筋痛症、慢性疲労症候群、摂食障害など、通常治療困難とされる疾患や、不妊症などの婦人科疾患の治療において豊富な臨床経験を持つ。日本では数少ない機能性医療の専門家であり、最も経験豊富な一人。

平成24年、医療とヒーリングの統合を目指し、アタナハクリニックを開設。現在はキネシオロジー(筋肉反射テストを使ったセラピー)の一種であるインテグレートヒーリング(IH)を中心とした統合医療を行なっている。

著書
なぜあなたは食べすぎてしまうのか 低血糖症という病

雑誌掲載歴
2014年:『ゆほびか(6月号)』『スターピープル(vol49)』『スターピープル(Vol.48)』
2013年:『トリニティ(Vol.48)』
2011年:『日経ヘルス(1月号)』
2010年:『VoCE(12月号)』『AERA with BABY』『anan(1月20日号)』
2009年:『クロワッサン(6月10日号)』『クロワッサン(1月25日号)』