パニック障害の原因や治療法

パニック障害の原因や治療法は? どんな人が発症しやすいの?

アタナハクリニック 院長 矢崎智子

記事監修
アタナハクリニック 院長 矢崎智子
免責事項について

パニック障害とは、突然、動悸(どうき)や息切れ・強い不安感といったパニック発作が生じる病気です。命に別状はありませんが、発作がくり返されると、「いつ発作が起きるか」という予期不安に襲われて外出もままならなくなることもあるでしょう。また、発作を起こしやすい公共交通機関や広い場所、容易に出られない閉ざされた場所に恐怖を感じる「広場恐怖症」を併発する可能性もあります。パニック障害は、100人に1人の割合で発症する病気です。しかし、まだ病気に対する理解度は高いとは言えません。誰にも相談できずに悩んでいる人もいるでしょう。

そこで今回は、パニック障害の症状や原因、治療方法について解説します。

  1. パニック障害とはどんな病気?
  2. パニック障害の症状は?
  3. パニック障害の原因は?
  4. パニック障害の治療法について
  5. パニック発作を予防するには?

この記事を読めば、パニック障害への理解も深まるでしょう。パニック障害のについて知りたい方は、ぜひ読んでみてくださいね。

1.パニック障害とはどのような病気?

前述のとおり、パニック障害とは、突然強い不安感に襲われて動悸や息切れ・めまいなどのパニック発作を起こす病気です。パニック発作を起こしている最中は息ができなくなったり、このまま心臓が止まってしまうのではないかという強い恐怖感を覚える人もいるでしょう。
パニック発作をくり返すうち、「いつ発作が起こるのだろうか」という予期不安に襲われたり、発作が起きそうな公共交通機関や広い場所・容易に出られない閉ざされた場所を怖がる、広場恐怖症を発症したりします。

また、「逃げられないところで発作が起きたら」と考えてしまい、家の中に閉じこもるようになる人も珍しくないでしょう。

パニック障害は、いつ、どのような条件で発作が起こるか分かりません。また、パニック発作が続けば日常生活にも支障が出てくるでしょう。パニック障害という病気の名前は知名度が高いのですが、症状や治療法については、まだ理解が進んでいるとはいえません。ですから、周囲の人の「仮病ではないか」「気を引こうとしているだけなのではないか」という態度が患者さんを追い詰めることもあるでしょう。

適切な治療を受けずにパニック発作が続けば、うつ状態になったりうつ病を発症したりすることもあります。

1-1.パニック障害と間違えやすい病気

動悸や息切れなどは、心臓や肺など循環器系の病気や更年期障害を発症しても起こります。しかも、初期のころは症状がきれぎれに現れることもあるのです。ですから、動悸や息切れがひどいと思ったら、念のために病院へ行きましょう。循環器系の検査をして異常がなければ、パニック障害の可能性がありますので、精神科を受診してください。

また、大規模な災害やテロなどに遭遇した後でPTSDを発症した場合も、動機や息切れなどの症状が現れることもあります。こちらも、パニック障害とは治療法が異なるので混同しないよう注意が必要です。

パニック障害とは、強い不安に襲われてさまざまな身体症状が出てくる病気なんですね。
はい。ただし、個人で自分はパニック障害だと決めつけてはいけません。該当する症状が出た場合、まず病院を受診しましょう。

2.パニック障害の症状は?

パニック障害の主な症状は、動悸・息切れ・めまいなどを伴うパニック発作です。発作の最中、患者さんは「このまま死んでしまうのではないか」という苦しみに襲われるため、救急車等で搬送されることも珍しくありません。しかし、精密検査を受けても異常が出ないため、仮病やヒステリーを疑われることもあります。

パニック障害は精神的な病気のため、精神科での治療が必要です。精神科において

  • パニック発作がどのようなところで起きたか(パニック障害の場合、発作は公共交通機関や広い場所、容易に出られない場所などで起きやすい)
  • 発作の出方・おさまるまでの時間・おさまった後での後遺症の有無
  • 発作が起きた時、薬物やアルコールの摂取をしていたかどうか
  • 発作が起きたことで広場恐怖症が出たか
  • 発作が起きることで、日常生活の支障はあるか

などの問診を受け、診断が下されます。

パニック障害は、身体的な症状が出ていても検査で異常がないんですね。
はい。そのため、発見が遅れて症状が悪化することもあります。

3.パニック障害の原因は?

パニック障害の原因は現在のところ、分かっていません。しかし、脳内にあるセロトニンの分泌異常という説が有力です。セロトニンが大脳・大脳辺緑系・青斑核(せいはんかく・ストレスやパニックに対する反応に関与する神経核のこと)・視床下部に悪影響を与え、漠然とした不安感や動悸・発汗・血管収縮などの身体的な症状を引き起こすと考えられています。この分泌異常がなぜ起こるかは、現在のところ解明されていません。ストレスが原因ではないかという説もありますが、まだはっきりと分かっていないのです。ですから、性別・年齢などにかかわらず、誰でもパニック障害を発症する可能性があります。考えすぎや心配性といった、気持ちの問題だけではありません。

まだ原因は分かっていないんですね。
はい。そのため、誰でも発症する可能性がある病気ともいえます。

4.パニック障害の治療法について

この項では、パニック障害の治療法について解説します。どのような方法があるのでしょうか?

4-1.パニック障害かな? と思ったら

前項でご紹介したようなパニック発作の症状が現れた場合は、心療内科や精神科を受診しましょう。循環器系の病気や更年期障害が疑われる場合は、循環器科や婦人科も併せて受診すると安心です。精神科では前述したような内容の問診を受けます。それに加えて、検査(レントゲン・血液検査など)を行って異常がなく、動悸・息切れ・強い不安感などのパニック発作が定期的に起こり、死や気が狂うことへの恐怖・現実感消失などを強く感じている場合は、パニック障害と診断される可能性が高いでしょう。

4-2.パニック障害の治療方法

精神科では、患者さんとの問診でパニック発作かどうかの診断を下します。定期的に動悸・息切れ・強い不安感などのパニック発作が起き、発作が治まれば何の症状もなくなる場合は、薬物療法でセロトニンの分泌を抑え、カウンセリングなどで不安感の解消を行うことが一般的です。薬は症状が治まってくれば減らしていきますので、まずは処方された薬をしっかりと飲みましょう。

4-3.パニック障害の治療に対する注意点

パニック障害は慢性疾患の一種であり、治療には時間がかかります。また、ちょっとしたきっかけで症状が再び悪化することもあるでしょう。風邪のように、投薬をしておとなしく眠っていれば治るものではありません。症状の悪化や改善に一喜一憂しないことが大切です。また、パニック障害は再発することもあります。ですから、医師に「もう薬を飲まなくても大丈夫でしょう」とか「しばらくこのまま様子を見ましょう」などと言われても、いざとなったらすぐに病院を受診できる準備を整えておくとよいですね。

パニック障害は精神科や心療内科で治療できるんですね。
はい。ただし、焦ってはいけません。時間をかけて治療しましょう。

5.パニック発作を予防するには?

パニック発作を予防するには以下のようなことがおすすめです。

  • 冷えを防ぎ、体を温める
  • 首を中心としたマッサージをする
  • 心が落ちつくような音楽を探す
  • 偏食・暴飲暴食を控え、ビタミンやミネラルを積極的に摂取する
  • 無理な運動はしない

特に、血流がよくなればパニック障害の症状が軽減するという人は多いでしょう。肩こりや腰痛がひどい場合は整体院で体をほぐしてもらってもいいですね。

リラックスできる環境を作ることも大切なんですね。
はい。心と体を休めることが大切になります。

おわりに

今回はパニック障害の原因や治療方法を紹介しました。パニック発作は、発作中はとても苦しいのですが、発作が終わればけろりとしてしまいますので、周りの人から病気について理解されないこともあります。気長な治療が必要ですので、焦らずに治療に取り組みましょう。治療を続けているということが、安心感の一つになり、発作が出にくくなる例もあります。また、パニック障害は誰でも発症する病気ですから、悩んでいないで病院を受診しましょう。発症してから早めに治療を開始するほど、回復までの時期も短くなりやすいのです。

アタナハクリニック院長 矢崎 智子

監修者

矢崎 智子
アタナハクリニック院長
日本産科婦人科学会認定医/高濃度ビタミンC点滴療法学会理事/世界アンチエイジング学会認定医/日本内分泌学会・国際オーソモレキュラー医学会・病巣疾患研究会会員/日本線維筋痛症学会会員

1969年長野県生まれ。平成6年杏林大学医学部卒。産婦人科医としての経験を積んだあと、2005年11月、分子整合栄養医学に基づく栄養療法と東洋医学を中心とした統合医療をおこなうクリニックハイジーアを開設。関節リウマチや線維筋痛症、慢性疲労症候群、摂食障害など、通常治療困難とされる疾患や、不妊症などの婦人科疾患の治療において豊富な臨床経験を持つ。日本では数少ない機能性医療の専門家であり、最も経験豊富な一人。

平成24年、医療とヒーリングの統合を目指し、アタナハクリニックを開設。現在はキネシオロジー(筋肉反射テストを使ったセラピー)の一種であるインテグレートヒーリング(IH)を中心とした統合医療を行なっている。

著書
なぜあなたは食べすぎてしまうのか 低血糖症という病

雑誌掲載歴
2014年:『ゆほびか(6月号)』『スターピープル(vol49)』『スターピープル(Vol.48)』
2013年:『トリニティ(Vol.48)』
2011年:『日経ヘルス(1月号)』
2010年:『VoCE(12月号)』『AERA with BABY』『anan(1月20日号)』
2009年:『クロワッサン(6月10日号)』『クロワッサン(1月25日号)』