チョコレート嚢胞

チョコレート嚢胞の治療法からセルフケアのポイントまで!

アタナハクリニック 院長 矢崎智子

記事監修
アタナハクリニック 院長 矢崎智子
免責事項について

チョコレート嚢胞(のうほう)の症状や治療法をご存じでしょうか? チョコレート嚢胞は不妊症の原因にもなる怖い病気です。卵巣がんを引き起こすこともあるため、早めの診断と治療開始が望ましいでしょう。生理のたびにつらい症状に悩まされているという女性は、できるだけ早く病院を受診してください。この記事では、チョコレート嚢胞の原因や症状・治療法・セルフケアのポイントなどをまとめてご紹介しましょう。

  1. チョコレート嚢胞の基礎知識
  2. チョコレート嚢胞の症状
  3. チョコレート嚢胞の経過と影響
  4. チョコレート嚢胞の検診と治療について
  5. チョコレート嚢胞のセルフケア
  6. チョコレート嚢胞に関するよくある質問

この記事を読むことでチョコレート嚢胞という病気についてわかるはずです。ぜひ参考にして自分の症状と向き合ってください。

1.チョコレート嚢胞の基礎知識

まずは、チョコレート嚢胞という病気について解説します。

1-1.チョコレート嚢胞とは?

チョコレート嚢胞は「子宮内膜症性卵巣嚢胞」とも呼ばれ、卵巣内部に発生する子宮内膜症のことです。卵巣の中にできた袋に古くなった子宮内膜や月経血がたまっていくため、チョコレートのように見えることからこの病名がつきました。

1-2.原因とメカニズム

子宮の内側には「子宮内膜」があります。何らかの原因によって子宮以外の場所に内膜がついてしまうのが「子宮内膜症」です。内膜が卵巣の中に入り込むチョコレート嚢胞はその原因がまだ解明されていません。しかし、女性ホルモンであるエストロゲンが影響していることは確かです。チョコレート嚢胞が起こるメカニズムとして考えられる説には以下のようなものがあります。

  • 子宮内にある内膜が卵管を逆流して腹腔(ふくくう)内に入る
  • 腹膜が内膜に似た組織に変化する
  • アレルギーや遺伝が影響している

1-3.なりやすい人と患者数

近年、子宮内膜症の患者は増加傾向にあり、その中でも5人に1人はチョコレート嚢胞を抱えていることがわかっています。以下の特徴を持つ人は、特にチョコレート嚢胞になりやすいといわれているため、より注意が必要です。

  • 初潮を迎えるのが早かった人
  • 1回の月経期間が長い人(7日以上)
  • 月経周期が28日周期より短い人
  • 妊娠や出産の経験がない人
  • 家族に子宮内膜症患者がいる人
卵巣内部に発生する子宮内膜症がチョコレート嚢胞なんですね。
子宮内膜症性卵巣嚢胞とも呼ばれ、増加傾向にある子宮内膜症患者の5人に1人はチョコレート嚢胞を抱えているそうです。

2.チョコレート嚢胞の症状

チョコレート嚢胞の主な症状やセルフチェック方法などをまとめました。

2-1.主な症状

チョコレート嚢胞は、月経のたびに月経痛が悪化していくという特徴があります。しかし、初期症状はほとんどなく症状がゆっくりすすむため、チョコレート嚢胞であることに気づかずに過ごしてしまう人も多いでしょう。進行すると日常的に鎮痛剤が手放せない状態になることもあります。

2-2.セルフチェック

チョコレート嚢胞の可能性を疑っている人は、セルフチェックしてみましょう。以下の項目で当てはまるものが多い人は要注意です。

  • 月経痛がひどく、鎮痛剤を毎月飲んでいる
  • 以前より鎮痛剤を服用する回数が増えた
  • 月経後にも下腹部の痛みが続く
  • 月経のとき、血の塊が出ることがある
  • 月経のとき、下痢をすることが多い
  • 下腹部にしこりがある

2-3.痛みについて

月経のとき、軽い痛みや不快感がある程度の人は心配ありません。チョコレート嚢胞があると、我慢が難しいほどの月経痛が起こるはずです。特に、チョコレート嚢胞はほかの部位にできる子宮内膜症よりも月経痛が強くなります。特に、以前に比べて明らかに月経痛がひどくなったという人は、すぐに受診するようにしましょう。

2-4.そのほかの特徴的症状

チョコレート嚢胞で現れる一番の症状は「月経痛」です。しかし、月経痛の悪化だけでチョコレート嚢胞を見極めるのは難しいでしょう。そこで、ほかにどのような症状があるのか知っておくことが大切です。チョコレート嚢胞は、進行すると腰痛や排卵痛・性交痛・排便痛・下腹部の張りなどの症状が現れるようになります。月経痛と合わせてこのような症状がないかよく観察しておきましょう。

チョコレート嚢胞は、月経のたびに月経痛が悪化していくんですね。
ほかの子宮内膜症よりも月経痛が強くなるので、以前に比べて明らかに月経痛がひどくなったという人は、すぐに受診するようにしましょう。進行すると日常的に鎮痛剤が手放せない状態になることもあります。

3.チョコレート嚢胞の経過と影響

チョコレート嚢胞の病状経過や放置したときの影響などをまとめました。

3-1.病状経過について

チョコレート嚢胞は、病状がある程度進行してから症状に気づく場合も少なくありません。次第に月経痛がひどくなり、月経時以外にも下腹部痛や腰痛が起こるようになるのです。痛みが強くなると日常生活にも支障をきたすことになるため、鎮痛剤を手放せない状態になってしまいます。さらに病状がすすむと、嚢胞の破裂やがん化・不妊のリスクが高まるなどの事態が起こってしまう場合もあるでしょう。

3-2.放置するとどうなるのか?

チョコレート嚢胞は、自然治癒が難しい疾患です。早期に適切な治療を受ける必要があるでしょう。放置してしまうと、卵巣が腫れ上がって排卵がしづらくなり、不妊になってしまうこともあります。また、嚢胞の大きさによっては破裂してしまう危険もあるのです。嚢胞が破裂すると卵巣と子宮の両方を摘出しなければならない場合もあります。

3-3.関連する病気や注意すべき併発症状

チョコレート嚢胞と関連の深い病気に、卵巣がんがあります。嚢胞自体は良性ですが、長い時間放置しておくと悪性転化する可能性もあるのです。チョコレート嚢胞の悪性転化を防ぐためには、なるべく早く治療を開始することが大切でしょう。重い月経痛や骨盤痛・性交痛などの症状が続くときは、早めに婦人科を受診してください。

チョコレート嚢胞は、自然治癒は難しいんですね。
放置してしまうと、卵巣が腫れ上がって排卵がしづらくなり、不妊になってしまうこともあります。重い月経痛や骨盤痛・性交痛などの症状が続く場合は、早めに婦人科を受診してください。

4.チョコレート嚢胞の検診と治療について

チョコレート嚢胞の検査方法や治療方法などをご紹介します。

4-1.病院へ行くべき症状とは?

婦人科を受診することに抵抗を感じる人も多いでしょう。しかし、前述したとおりチョコレート嚢胞は放置しておくと大変危険な疾患です。早めに治療を開始すると短期間で完治することもあるため、気になる症状があるときはすぐに受診してください。特に、月経痛が悪化してきているとき、我慢できないほどの痛みがあるときは、急いで医師に相談しましょう。

4-2.検査方法

一般的な婦人科での検査は、以下のように行われます。

  • 問診
  • 内診・膣鏡診・直腸診
  • 超音波検査
  • 血液検査
  • MRI・CT検査

検査を受けるタイミングとしては、月経の時期を避けたほうがよいでしょう。生理中は腫瘍マーカーの数値が高くなるため、判断しづらくなってしまいます。

4-3.治療方法

チョコレート嚢胞の治療法は、患者の年齢や症状の程度によって決めることになるでしょう。大きく分けると薬物療法と手術療法があり、今後妊娠・出産を希望するかにどうかによっても選択するべき治療法は変わってきます。医師とよく相談するためにも、信頼できる病院を選びましょう。

4-4.投薬・手術・そのほかの治療法について

チョコレート嚢胞の治療方法について詳しく解説します。

4-4-1.薬物療法

薬物療法の目的は、症状の軽減や進行の予防です。鎮痛剤を使って痛みを軽減する「対症療法」と、月経が起こらないようにすることで進行を食い止める「ホルモン療法」があります。ホルモン療法には、ピルを服用して妊娠時のホルモン状態にするか、エストロゲンを低下させて一時的に閉経状態にする方法が選択可能です。いずれにしても、薬物療法では嚢胞を小さくすることはできないため、経過観察が可能な場合に行われることになるでしょう。

4-4-2.手術療法

チョコレート嚢胞の手術は、術後の妊娠率なども考慮して腹腔(ふくくう)鏡手術となる場合がほとんどです。嚢胞の大きさによって、卵巣の全摘出が必要か嚢胞だけを摘出することが可能か判断されます。卵巣を残した場合は再発の可能性もあるため、術後は早い時期から薬物療法などの管理を行うことになるでしょう。

4-4-3.そのほかの治療法について

アタナハクリニック」では、女性の病に対してその原因を探り、根本から解決を図る「自然医療・機能性医療」によって治療を行っています。サプリメントやビタミン剤の点滴などによって、体の自然治癒力を高めることを目的としているのです。「病気になった原因を知りたい」「病院で治療を受けたがよくならない」という人は、ぜひチェックしてみてください。

検査は月経の時期を避けたほういいんですね。
はい。生理中は腫瘍マーカーの数値が高くなり、判断が難しくなります。治療法は薬物療法と手術療法がありますが、今後妊娠・出産を希望するどうかで変わるので、医師とよく相談するためにも、信頼できる病院を選びましょう。

5.チョコレート嚢胞のセルフケア

チョコレート嚢胞を予防するためには、普段からのセルフケアが非常に重要です。

5-1.定期検診を受ける

チョコレート嚢胞は早期発見が何よりも大切です。初期症状がない場合も多いため、普段から定期的に婦人科の検診を受けておきましょう。ほかの疾患が見つかる可能性もあります。特に、30歳を過ぎると女性特有の病気にいつかかってもおかしくないでしょう。面倒だと思っても、自分のために検診を受けてください。

5-2.生活習慣を見直す

基本的な生活習慣も見直しが必要です。できるだけ規則的な生活習慣を心がけ、ストレスをためないようにしてください。適度な運動は全身の血流をよくし、月経時の出血もスムーズに行われやすくなります。自律神経が整い月経周期も安定するため、無理なく続けられる運動を取り入れていきましょう。また、同時に食生活の見直しも行ってください。肉や乳製品などの動物性脂肪をとりすぎると、チョコレート嚢胞は悪化しやすいといわれています。普段から好んで食べている人は注意しましょう。

5-3.NG行為

冷えは万病の元といわれていますが、チョコレート嚢胞を予防する上でも注意が必要です。冷えが原因で血行が悪くなり、ホルモンバランスが乱れると月経周期も安定しなくなるでしょう。毎日湯船につかって体を芯から温める、露出の少ない服装を心がけるなど、体が冷えないように気をつけてください。

5-4.漢方やサプリについて

全身のバランスを整え、病気になりにくい体を作るために、漢方やサプリを活用するのもおすすめです。月経痛の緩和や月経周期を整える効果のものもあるため、ぜひ探してみてください。

5-5.ピルの服用について

ピルがチョコレート嚢胞の予防に有効であることがわかっています。ピルを服用し続けることで月経の出血量や月経痛が軽くなり、子宮内膜症の進行を食い止める働きがあるのです。生活習慣や食生活の見直しと合わせて、服用を検討してみてはいかがでしょうか。

定期検診や生活習慣の見直しが大切なんですね。
ピルの服用や、漢方・サプリなどを活用するのもよいでしょう。血行が悪くなり、ホルモンバランスが乱れると月経周期も安定しなくなるので、体を冷やさないように心がけてください。

6.チョコレート嚢胞に関するよくある質問

「チョコレート嚢胞について知りたい」という人が感じる疑問とその回答をまとめました。

Q.チョコレート嚢胞の患者が増えている背景にはどのようなものがありますか?
A.初潮年齢が早くなる一方で閉経年齢が遅くなってきていること、妊娠・出産の回数が少ない女性が増えていることなどが関係しているでしょう。

Q.チョコレート嚢胞になると必ず不妊を引き起こしてしまいますか?
A.チョコレート嚢胞がすぐに不妊症を引き起こすわけではないのです。ただし、放置しておくと不妊のリスクは高くなるでしょう。

Q.チョコレート嚢胞ががん化する可能性はどのくらいですか?
A.良性である場合がほとんどですが、全体の1%程度はがん化しています。特に、嚢胞の直径が5cm以上の場合は卵巣がんを合併しやすいでしょう。

Q.嚢胞の大きさが4cm以下であれば経過観察で済みますか?
A.基本的にはそうなるケースがほとんどですが、強い痛みがある場合や急激に大きくなっている場合などは、手術が必要になるでしょう。

Q.チョコレート嚢胞を経験したことがある人の妊娠率は低くなりますか?
A.重症だった例では、妊娠の確率が低くなるでしょう。卵巣内の血流が悪くなり、排卵障害を引き起こしやすくなるためです。

チョコレート嚢胞の疑問がわかってスッキリしました。
何よりも大切なのは早期治療なので、この記事を参考に理解を深めてくださいね。

まとめ

いかがでしたか? 女性特有の疾患であるチョコレート嚢胞について、原因や症状・治療法などをまとめてご紹介しました。チョコレート嚢胞は、進行すると強い痛みを伴う病気です。もともと月経痛が重い人は、病気に気づくまで時間がかかることもあるでしょう。しかし、何よりも大切なのは早期治療なのです。ぜひこの記事を参考にして、チョコレート嚢胞について詳しく理解してください。

アタナハクリニック院長 矢崎 智子

監修者

矢崎 智子
アタナハクリニック院長
日本産科婦人科学会認定医/高濃度ビタミンC点滴療法学会理事/世界アンチエイジング学会認定医/日本内分泌学会・国際オーソモレキュラー医学会・病巣疾患研究会会員/日本線維筋痛症学会会員

1969年長野県生まれ。平成6年杏林大学医学部卒。産婦人科医としての経験を積んだあと、2005年11月、分子整合栄養医学に基づく栄養療法と東洋医学を中心とした統合医療をおこなうクリニックハイジーアを開設。関節リウマチや線維筋痛症、慢性疲労症候群、摂食障害など、通常治療困難とされる疾患や、不妊症などの婦人科疾患の治療において豊富な臨床経験を持つ。日本では数少ない機能性医療の専門家であり、最も経験豊富な一人。

平成24年、医療とヒーリングの統合を目指し、アタナハクリニックを開設。現在はキネシオロジー(筋肉反射テストを使ったセラピー)の一種であるインテグレートヒーリング(IH)を中心とした統合医療を行なっている。

著書
なぜあなたは食べすぎてしまうのか 低血糖症という病

雑誌掲載歴
2014年:『ゆほびか(6月号)』『スターピープル(vol49)』『スターピープル(Vol.48)』
2013年:『トリニティ(Vol.48)』
2011年:『日経ヘルス(1月号)』
2010年:『VoCE(12月号)』『AERA with BABY』『anan(1月20日号)』
2009年:『クロワッサン(6月10日号)』『クロワッサン(1月25日号)』