複合性局所疼痛症候群

複合性局所疼痛症候群とはどのような病気? 診断基準や治療方法は?

アタナハクリニック 院長 矢崎智子

記事監修
アタナハクリニック 院長 矢崎智子
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複合性局所疼痛症候群(CRPS)とは、ケガや手術など激しい痛みを感じる事柄が起こった後、ケガや手術の際についた傷が治っても、慢性的な痛みが続く病気です。痛みのほかには、骨の萎縮やむくみなどがみられ、適切な治療を受けないと長期間痛みや不調で苦しむこともあるでしょう。また、自分が複合性局所疼痛症候群であると気づかず、痛みに悩まされている人もいると思います。
そこで、今回は複合性局所疼痛症候群の症状や診断基準・治療方法などを解説しましょう。

  1. 複合性局所疼痛症候群の基礎知識
  2. 複合性局所疼痛症候群の治療について
  3. 複合性局所疼痛症候群に関するよくある質問

この記事を読めば、複合性局所疼痛症候群が疑われる症状が現れた場合、すぐに適切な対応をすることができます。興味がある人は、ぜひ読んでみてくださいね。

1.複合性局所疼痛症候群の基礎知識

はじめに、複合性局所疼痛症候群がどのような病気かということを説明します。発症の原因には、どのようなものがあるのでしょうか?

1-1.複合性局所疼痛症候群とはどのような病気か?

前述の通り、複合性局所疼痛症候群とは外傷・手術・疾患(しっかん)などで激しい痛みを経験した後、傷が完治したにも関わらず、痛みや骨の萎縮・むくみなどが発生する病気です。人によっては、ケガの痛みよりもケガが治った後に感じる痛みのほうが激しい、ということもあります。また、ケガや傷の程度に比べて、痛みが不自然に強かったり痛みが長引いたりすることもあるでしょう。人によっては血流の変化や障害が起こることもあります。

1-2.なぜ、痛みが続くのか?

複合性局所疼痛症候群は、ケガなどが原因によって発症します。これは、ケガなどをしたことにより知覚神経・運動神経・交感神経が活発化し、ケガなどをした箇所を中心に筋肉の緊張や血流障害が発症するのです。そのため、血流が悪くなって組織の酸素が不足し、発痛物質が作られます。この発痛物質が知覚神経を刺激して痛みを感じるのです。つまり、ケガをした箇所を動かさなかったり、何らかの理由で血流が阻害され続けるほど、発痛物質が作られやすくなります。そのため、ケガをしているのだからと、その箇所を動かさないようにしていた期間が長くても、複合性局所疼痛症候群が発症する可能性もあるでしょう。

1-3.複合性局所疼痛症候群の種類と診断基準

複合性局所疼痛症候群は、神経損傷を伴わないCRPS1型と神経損傷を伴うCRPS2型があります。日本では、厚生労働省CRPS研究班により、日本独自のCRPS判定指標が作成・公表されており、それに従って医師は診断を下すのです。複合性局所疼痛症候群は、激しい痛みに加え、早期の段階から骨の萎縮・関節の拘縮(こうしゅく・強張って固まること)・うつ状態などの廃用障害(はいようしょうがい)を引き起こすこともあります。そのため、早期発見と治療が大切です。現在、日本の診断基準は

  • CRPSの誘因となる侵害的な出来事もしくは、固定を必要とするような原因があったこと
  • 持続する疼痛(とうつう)があり、疼痛部位に浮腫、血流の変化、あるいは発汗異常などがあること
  • 関節に稼働制限域がある
  • 皮膚・爪・髪のいずれかに萎縮変化があること
  • 診察時に刺激を受けたことにより、疼痛過敏の症状が出ること

以上のようなものになります。これに2つ以上当てはまる場合は、複合性局所疼痛症候群(CRPS)の可能性があるでしょう。現在、日本では約16万人の複合性局所疼痛症候群(CRPS)患者がいると推測されていることを考えると、誰でも発症の可能性があると言えます。

2.複合性局所疼痛症候群の治療について

この項では、複合性局所疼痛症候群の診断ができる病院や治療方法について解説します。どのような治療方法があるのでしょうか?

2-1.病院に行くべき症状とは?

複合性局所疼痛症候群の最も特徴的な症状とは、長引く痛みです。ケガなどをしてそれが順調に治っていると言われているにも関わらず、痛みが全く改善しない場合は、複合性局所疼痛症候群が疑われます。特に、ケガなどが完治したと診断されたのに、全く痛みが治まらない場合や、関節が動かしにくくなっている場合、皮膚の変色が起きている場合も、複合性局所疼痛症候群の診断・治療が行える病院へ行きましょう。

2-2.診療科について

複合性局所疼痛症候群の診断や治療は、整形外科やペインクリニックなどで行います。近年は複合性局所疼痛症候群の認知度も上がり、ホームページに複合性局所疼痛症候群の治療実績を記載する病院も増えてきました。ですから、病院を探す場合は、インターネットで複合性局所疼痛症候群の治療実績のあるところを探すと確実です。

2-3.診断方法と治療について

複合性局所疼痛症候群の診断は、まずX線検査をしてケガなどの状態を診ます。そして、前項でご紹介した診断基準に基づいて問診や触診を行い、診断を下すのです。治療方法は、痛み止めの服用、神経ブロック注射による痛みの遮断、自律神経の強化を目的とした温冷交代浴などの、リハビリが中心となります。早期診断・早期治療をするほど治療期間も短くなりますので、ケガの治療中に「何かおかしいな」と感じたら、複合性局所疼痛症候群の治療を行っている病院を受診してください。痛みが治まるだけで、日常生活がぐっと楽になります。

3.複合性局所疼痛症候群に関するよくある質問

Q.複合性局所疼痛症候群は、すべての年代で発症するのでしょうか?
A.はい。子どもの患者さんはほとんどいないようですが、すべての年代に発症のリスクはあります。

Q.複合性局所疼痛症候群を発症しやすい条件などはあるでしょうか?
A.骨折など固定を必要とするケガをした場合や、リハビリが不十分だと発症しやすい傾向があります。

Q.複合性局所疼痛症候群の治療期間はどのくらいですか?
A.人により異なりますが、早期に治療を開始するほど短くなる傾向にあります。

Q.複合性局所疼痛症候群は、健康保険が適用されるでしょうか?
A.はい。健康保険を使って治療が受けられます。

Q.複合性局所疼痛症候群で自律神経の強化をするのはなぜですか?
A.自律神経を強化し、正常に働くようにすることで痛みを感じにくくなる効果が期待できます。

4.おわりに

いかがでしたか? 今回は、複合性局所疼痛症候群について解説しました。骨折などの大きなケガをすれば、誰でも発症の危険性がある病気です。ケガは順調に治っているのになかなか痛みが治まらない場合は、複合性局所疼痛症候群の治療実績がある病院を受診してみましょう。

アタナハクリニック院長 矢崎 智子

監修者

矢崎 智子
アタナハクリニック院長
日本産科婦人科学会認定医/高濃度ビタミンC点滴療法学会理事/世界アンチエイジング学会認定医/日本内分泌学会・国際オーソモレキュラー医学会・病巣疾患研究会会員/日本線維筋痛症学会会員

1969年長野県生まれ。平成6年杏林大学医学部卒。産婦人科医としての経験を積んだあと、2005年11月、分子整合栄養医学に基づく栄養療法と東洋医学を中心とした統合医療をおこなうクリニックハイジーアを開設。関節リウマチや線維筋痛症、慢性疲労症候群、摂食障害など、通常治療困難とされる疾患や、不妊症などの婦人科疾患の治療において豊富な臨床経験を持つ。日本では数少ない機能性医療の専門家であり、最も経験豊富な一人。

平成24年、医療とヒーリングの統合を目指し、アタナハクリニックを開設。現在はキネシオロジー(筋肉反射テストを使ったセラピー)の一種であるインテグレートヒーリング(IH)を中心とした統合医療を行なっている。

著書
なぜあなたは食べすぎてしまうのか 低血糖症という病

雑誌掲載歴
2014年:『ゆほびか(6月号)』『スターピープル(vol49)』『スターピープル(Vol.48)』
2013年:『トリニティ(Vol.48)』
2011年:『日経ヘルス(1月号)』
2010年:『VoCE(12月号)』『AERA with BABY』『anan(1月20日号)』
2009年:『クロワッサン(6月10日号)』『クロワッサン(1月25日号)』