過食はストレスが原因

過食はストレスが原因? 症状・診断・治療法など徹底解説!

アタナハクリニック 院長 矢崎智子

記事監修
アタナハクリニック 院長 矢崎智子
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食べても食べても満たされずに、食べすぎてしまうことを「過食(かしょく)」といいます。過食は本来の欲求を満たすものではなく、偽の欲望を充足するための代償行為といわれているのです。ですから、行為をくり返すたびに空(むな)しさや自己嫌悪を味わうことになるでしょう。また、恐怖・不安などのストレスが、過食に大きく関係しています。

過食から抜け出すためには、原因を知ることが大切です。本記事では、過食の基礎知識や原因・セルフチェック・改善のポイントなどについて説明します。

  1. 過食の基礎知識
  2. 過食の原因について
  3. 過食のセルフチェック
  4. 過食をやめるには?
  5. 過食症について
  6. 過食症の診断・治療について
  7. 過食に関するよくある質問

この記事を読むことで、過食症を改善するために必要な知識を身につけることができます。気になっている方や悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。

1.過食の基礎知識

過食から抜け出すためには、どのような特徴があるのか基礎知識を身につけることが大切です。それでは、詳しく説明します。

1-1.どういうことか

食べすぎてしまう行為のことを過食といいます。多くの人が経験したことのある普通の食べすぎではなく、摂食障害の1種です。摂食障害とは、食行動の異常に基づく原因不明の疾患となります。拒食症・過食症が有名ですね。食事を摂(と)る量が増えずに体重が減る拒食状態から、突然食べものを摂るようになって過食へ移行するケースが知られています。

1-2.どういう過程をたどる?

過食は、短時間に大量の食べものを衝動的に食べる発作です。何かしらのきっかけによって精神が不安定になり、気持ちを落ち着かせるために過食を行います。短時間で大量の食事をした後に、嘔吐→下剤を飲む→長時間の絶食をする→再び大量の食事をするという、悪循環に陥りがちです。

1-3.どんな人がなりやすい?

過食になりやすい人は、男性よりも女性に多い傾向があります。拒食症と同じで、ダイエットや美容に敏感な若い女性に起きやすいといえるでしょう。特に、「太るのが怖い」と感じている方が、過食をしやすいといわれています。過食をした後に罪悪感を覚え、その代償行為として意図的に吐こうとするのです。これを、過食嘔吐といいます。

1-4.どのくらいの人が悩んでいる?

過食は、10~20代の女性に多いといわれており、無茶なダイエットや友人・恋人からの何気ない一言で摂食障害を引き起こしてしまう人もいます。過食症で悩んでいる人は、青年期~若年成人期における女性割合が全体の1~3%です。生涯で1度でも過食症の診断基準を満たした人は、なんと女性の12%におよぶといわれています。

1-5.最近の傾向

ドラマの題材やニュースでも、過食症・拒食症という摂食障害を取り上げることが増えました。注目されている病気であることは間違いありません。また、研究によると、過食症を患っている人の親が、過食症・抑うつなどの精神障害・アルコール依存症などを患っている確率が高いと判明したのです。親からの圧力や暴言・暴行が、過食を引き起こすきっかけにもなっています。

過食は摂食障害の1つなんですね。
短時間に大量の食べものを衝動的に食べる発作で、何かしらのきっかけによって精神が不安定になり、気持ちを落ち着かせるために過食を行います。

2.過食の原因について

体が食べものを求めているから過食する……というわけではありません。過食症などの摂食障害は、「心」が大きく関係しています。たとえば、人から体型についてけなされ、無理なダイエットをする→衝動的に過食してしまう→空しさと後悔を伴い再びダイエットをする、という悪い流れができるのです。つまり、太ることへの過剰な恐怖から、食欲がコントロールできなくなります。

体が食べものを求めているから過食するというわけではないんですね。
過食症などの摂食障害は、心が大きく関係しています。太ることへの過剰な恐怖から、食欲がコントロールできない状態となってしまうのです。

3.過食のセルフチェック

過食を改善するためには、自分自身の心と向き合うことが大切です。セルフチェックをしてみましょう。

3-1.診断チェック項目

以下の項目にいくつ当てはまるのか、ぜひチェックしてみてください。

  • いやなときやつらいときに、たくさん食べてしまう
  • 食事をまったく摂らない日がある
  • 毎日ストレスを感じている
  • 食べ始めたら止められず、お腹が痛くなるほど無茶食いをしたことがある
  • 食べもののことで頭がいっぱいになる
  • 食べる量をコントロールできないのではないかと不安になる
  • 食べすぎた後、必ず後悔する
  • 周囲にいる人から「痩せている」といわれる
  • 常に、体重が増えすぎたのではないかと心配になる
  • 下剤を使っている
  • 食後、嘔吐したい衝動にかられる
  • 過食をした後は、空しくみじめな気持ちになる

以上の項目に当てはまる数が多い人ほど、摂食障害を起こしている可能性があります。

3-2.注意点

摂食障害は、なかなか自覚ができない特徴があります。セルフチェックが多数あてはまっても「大丈夫」と思っている方は要注意です。自分自身では食欲のコントロールができない状態なので、専門家と相談しながら改善していかなければなりません。

自分自身の心と向き合うためにセルフチェックが必要なんですね。
摂食障害は、なかなか自覚ができない特徴があります。セルフチェックが多数あてはまった場合は、専門家と相談しながら改善していかなければなりません。

4.過食をやめるには?

では、過食をやめるためには、一体どのようにしたら良いのでしょうか。ポイントや注意点について説明します。

4-1.どうすればやめられる?

過食のメカニズムは、「食べたい」という過食衝動から始まります。衝動が起きると過食してしまい、むくみや糖尿などの合併症が現れるのです。過食を止めるには、過食衝動をなくさなければなりません。まずは、なぜ過食衝動が起こるのか、衝動が発生したときの状態・様子・気持ちを自分で把握してください。ただし、衝動を我慢することはとても困難なことです。自分で抑えられない場合は、信頼できる人に相談してください。誰かに相談することで、自分の奥底にある抑圧を見抜くことができるでしょう。

4-2.ポイント

過食衝動の根本に隠れているのは、自分に対するコンプレックスがほとんどです。何かから逃げたいという気持ちや、密かに抱いている罪悪感のはけ口として過食衝動をくり返しています。そのため、過食衝動を止めるためには、その奥にあるものから目を背けないことが大切です。自分自身と向き合おうとする姿勢が重要なポイントとなります。

4-3.注意点

過食を止める=我慢することと考えている方は多いですが、それは違います。過食衝動を我慢することは、あくまで表面に現れた症状を消しただけです。根本的な原因と向き合っているわけではありませんので、再び過食する可能性があります。また、我慢した反動で食事の量が2~3倍以上になる恐れもあるでしょう。

まず過食衝動をなくさないといけないんですね。
過食衝動を止めるためには、その奥にあるものから目を背けないことが大切で、自分自身と向き合おうとする姿勢が重要なポイントとなります。

5.過食症について

過食をくり返すことで、過食症という病気に発展する恐れがあります。過食症とはどのような病気でどんな症状が起きるのか、詳しくチェックしておきましょう。

5-1.どんな病気か

過食症は、食欲がコントロールできずに異常な過食をくり返す病気です。異常なほどの大量に食べては嘔吐をくり返すケースと、過食だけをくり返すケースの2つがあります。過食症は、別名・神経性大食症とも呼ばれており、過食によって精神障害を引き起こすこともある、やっかいな病気です。異常な量を無心で食べ続けることが特徴で、食べている最中は、食べすぎていることに気づきません。過食をした後に、大きな罪悪感を覚えます。

5-2.主な症状

気分が落ちこんだとき、友人や恋人・家族から拒絶されたと感じたときに、過食衝動が発生します。食べものを詰めこむことで、満足感を得るのです。よって、落ちこんだときに過食をするという習慣ができてしまいます。さらに、食べた後は後悔が押し寄せて、嘔吐・下剤を飲むという行動を起こしやすい傾向があるのです。過食→嘔吐・下剤を飲む→過食という流れができてしまいます。

5-3.どんな種類がある?

過食をしては吐き、また過食をする……このような行為をくり返すことを「過食嘔吐」といいます。食べたものを吐き出すため、見た目はやせ型の人が多く、気づきにくいのが特徴です。「食べても後から吐けば大丈夫」という安心感があるので、過食がエスカレートしやすい傾向があります。
また、嘔吐せずに過食をくり返す過食症のことを「むちゃ食い障害」といい、心身ともにストレスがかかるタイプです。嘔吐をしないため、カロリーの過剰摂取で肥満になるケースがあります。

食欲がコントロールできずに異常な過食をくり返すのが過食症なんですね。
気分が落ちこんだとき、過食衝動が発生し、食べものを詰めこむことで、満足感を得るようになります。

6.過食症の診断・治療について

過食症の診断・受診すべき症状・診療科・治療法・薬について説明します。

6-1.診断方法

過食症の診断は、診断基準となる項目を満たすかどうかがポイントとなります。診断基準は、世界保健機関(WHO)が公表している「ICD-10」と、アメリカ精神医学会(APA)が公表している「DSM-5」の2種類が使われているのです。たとえば、DSM-5の診断基準では、以下の項目があります。

A.反復する過食エピソード。過食エピソードは以下の両方によって特徴づけられる

  • ほかとハッキリ区別される時間帯に、ほとんどの人が同様の状況で同様の時間内に食べる量よりも明らかに多い食物を食べる
  • そのエピソードの間は、食べることを抑制できないという感覚

B.体重の増加を防ぐために反復する不適切な代償行動
C.過食と不適切な代償行動がともに平均して3か月間にわたって少なくとも1回は起こっている
D.自己評価が体型および体重の影響を過度に受けている傾向
E.その障害は、神経性や拒食症のエピソード期間だけ起こるものではない

以上の項目を満たした場合、過食症の判断が下されます。病院では分かりやすく説明してくれるため、医師の質問に答えることになるでしょう。

6-2.受診すべき症状

短期間で大幅に体重が増えた・口内炎や肌荒れが悪化した・自分に激しい嫌悪感を抱くなどの精神症状が起きた場合は、病院を受診したほうが良いでしょう。特に、精神不安や抑うつの状態から、過食症を引き起こしやすいといわれているので要注意です。

6-3.何科を受診すればいい?

摂食障害の治療は、内科・心療内科・精神科で行っています。体に症状が現れているのなら、内科を受診すると良いでしょう。身体症状がない場合は、心療内科を受診してください。15歳以下の子どもの場合は、小児科を受診してみると良いと思います。「病院に行くほどではない」と感じている方は、現在住んでいる地域の精神保健福祉センター、または保健所などの窓口で相談すると良いでしょう。

6-4.治療法の種類

過食症の治療法は、認知行動療法・対人関係治療法・内観治療が代表的です。それぞれの特徴を以下にピックアップしてみました。

  • 認知行動療法:物事の捉え方や考え方を修正しながら食行動の訓練を行う方法
  • 対人関係治療法:現在の対人関係に焦点を当てた短期精神療法
  • 内観治療:静かな場所で自分自身の行動や態度を見つめる治療法

ほかにも、心と体を同時にケアする「直観治療」もあります。「アタナハクリニック」では女性のための直観治療を行っているので、ぜひ1度ご相談ください。

6-5.どんな薬が用いられる?

過食症を患っている方は、精神的に不安定という共通点を持っています。基本的に、カウンセリングで心のサポートをしていきますが、うつ状態がひどい場合は抗うつ薬・精神安定剤が処方されることもあるでしょう。服用する際は、きちんと医師の指示に従わなければなりません。
また、体に症状が現れている場合は、ホルモン剤・ビタミン剤・カリウム剤・胃腸薬などを服用する可能性もあるでしょう。

6-6.注意点

症状や体の状態は、人によって異なります。自分で判断せずに、きちんと医療施設で検査をしてから正しい治療を受けてください。市販薬を使うのはとても危険なので、病院から処方された薬を正しく使いましょう。

過食症には診断基準があるんですね。
世界保健機関が公表している「ICD-10」と、アメリカ精神医学会が公表している「DSM-5」の2種類が使われています。摂食障害の治療は、内科・心療内科・精神科で行っているほか、地域の精神保健福祉センター、または保健所などの窓口があるので気になることがある場合は、相談すると良いでしょう。

7.過食に関するよくある質問

過食に関してよくある質問を5つピックアップしてみました。

Q.過食症は完全に治るのか?
A.適切な治療を受けていけば、過食症は治ります。ただし、薬を飲んですぐに治せる病気ではありません。克服するためには、治療を受けながら日常生活を変える努力が必要となります。たとえば、気持ちを楽にしてストレスをためない生活を送る・食事は複数で楽しむなどです。

Q.入院が必要なケースとは?
A.基本的に、過食症は通院治療で十分です。しかし、自分で食欲がまったくコントロールできない・嘔吐や下剤乱用がひどい・うつ状態が悪化している場合などは入院治療が必要となります。

Q.女性特有の症状とは?
A.過食症になると、生理不順が目立ち、無月経になる可能性があります。無月経が長期間続くと、子宮や卵巣が萎縮し、自力で月経再開ができなくなるでしょう。不妊症の原因になる恐れもあるので要注意です。

Q.過食症になりやすい人の性格傾向とは?
A.過食症になりやすい人は、自分に自信が持てない共通点があります。「自分なんて……」「ダメな自分を受け入れられない」など、卑下(ひげ)してしまうのです。そのため、克服のためには自分に自信を持つことが大切となります。

Q.過食症から過食嘔吐に至りやすい理由とは?
A.ほとんどの人が、過食症から過食嘔吐に至ります。なぜなら、衝動的に過食をしても、太らないようにするからです。食べものを大量に詰めこんだとしても吐けば大丈夫という安心感から、過食嘔吐を引き起こします。

これで過食のことで知っておきたいことがよくわかりました。
ぜひ参考にして、過食に関する不安を解消するようにしてくださいね。

まとめ

いかがでしたか? 過食症・拒食症という摂食障害は、10~20代の若い女性に多い病気です。大量の食べものを詰めこんでは吐き出す「過食嘔吐」を引き起こしかねません。過食嘔吐をくり返していけば、精神面だけでなく身体面にも大きなダメージを受けることになります。過食症は早めに改善することが大切なので、1人で抱えこまずに相談してください。自分でコントロールができない分、サポートが必要です。病院で検査を受けて、適切な治療を続けていきましょう。

アタナハクリニック院長 矢崎 智子

監修者

矢崎 智子
アタナハクリニック院長
日本産科婦人科学会認定医/高濃度ビタミンC点滴療法学会理事/世界アンチエイジング学会認定医/日本内分泌学会・国際オーソモレキュラー医学会・病巣疾患研究会会員/日本線維筋痛症学会会員

1969年長野県生まれ。平成6年杏林大学医学部卒。産婦人科医としての経験を積んだあと、2005年11月、分子整合栄養医学に基づく栄養療法と東洋医学を中心とした統合医療をおこなうクリニックハイジーアを開設。関節リウマチや線維筋痛症、慢性疲労症候群、摂食障害など、通常治療困難とされる疾患や、不妊症などの婦人科疾患の治療において豊富な臨床経験を持つ。日本では数少ない機能性医療の専門家であり、最も経験豊富な一人。

平成24年、医療とヒーリングの統合を目指し、アタナハクリニックを開設。現在はキネシオロジー(筋肉反射テストを使ったセラピー)の一種であるインテグレートヒーリング(IH)を中心とした統合医療を行なっている。

著書
なぜあなたは食べすぎてしまうのか 低血糖症という病

雑誌掲載歴
2014年:『ゆほびか(6月号)』『スターピープル(vol49)』『スターピープル(Vol.48)』
2013年:『トリニティ(Vol.48)』
2011年:『日経ヘルス(1月号)』
2010年:『VoCE(12月号)』『AERA with BABY』『anan(1月20日号)』
2009年:『クロワッサン(6月10日号)』『クロワッサン(1月25日号)』