慢性疲労症候群

慢性疲労症候群とはどのような病気? 症状や診断基準・治療法は?

アタナハクリニック 院長 矢崎智子

記事監修
アタナハクリニック 院長 矢崎智子
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たっぷりと休んだはずなのに、疲れが取れない。常に体がだるく、ちょっと動いただけでもひどい疲れを感じる。このような症状に悩んでいる人はいませんか? 疲労感は誰もが覚えるものですが、十分な休息や睡眠を取っても疲労感が抜けないという場合や日常生活に支障が出るほど疲労感が強い場合は、慢性疲労症候群の可能性があります。では、通常の疲労と慢性疲労症候群の違いは何でしょうか?
今回は、慢性疲労症候群の診断基準を中心に、症状や治療方法などを解説します。

  1. 慢性疲労症候群の基礎知識
  2. 慢性疲労症候群の診断基準について
  3. 慢性疲労症候群の治療方法について
  4. 慢性疲労症候群に関するよくある質問

この記事を読めば、慢性疲労症候群の特徴や治療法まで詳しく分かるでしょう。興味がある人や、最近疲れやすいという自覚がある人は、ぜひ読んでみてくださいね。

1.慢性疲労症候群の基礎知識

慢性疲労症候群の基礎知識

はじめに、慢性疲労症候群の症状や原因、さらに発症しやすい人などを説明します。どのような病気なのでしょうか?

1-1.慢性疲労症候群の症状

慢性疲労症候群とは、生活に影響が出るほど強い疲労感・頭痛・微熱・筋肉痛などの症状が6か月以上続く病気です。特に、多くの患者さんは強い疲労感を覚え、寝たきりになる人もいます。

1-2.慢性疲労症候群の原因

慢性疲労症候群の原因は、現在のところはっきりと分かっていません。発症時に発熱・のどの痛み・リンパの腫れなどを訴える患者さんが多いことから、何らかの細菌感染が発症の引き金になるのではないかという仮説が立てられています。また、クラミジア・マイコプラズマ・トキソプラズマ・カンジダなどに感染したことをきっかけに慢性疲労症候群を発症したという例も報告されているのです。なお、このような例は、「感染後慢性疲労症候群」と呼ばれます。

1-3.慢性疲労症候群の特徴や問題点

慢性疲労症候群は、20~50代の人に発症しやすい病気で、患者さんの多くが女性です。ただし、男性が発症しないというわけではありません。また、少数ですが10代、50代以上の患者さんもいます。厚生労働省の調査によると、現在日本には推定30万人の患者がおり、そのうち30%が寝たきりの生活を送っているそうです。

また、慢性疲労症候群はレントゲン検査や血液検査・ホルモン検査・CT検査などを行っても、異常が見つかりません。そのため、仮病と疑われることも多く、精神的につらい毎日を送っている人もたくさんいます。現在は、筋痛性脳髄膜炎の会(旧名:慢性疲労症候群をともに考える会)も結成されており、ホームページから病気の情報等を得ることが可能です。

強い疲労感・頭痛・微熱・筋肉痛などの症状が6か月以上も続く病気が慢性疲労症候群なんですね。
原因は、現在のところはっきりと分かっていませんが、何らかの細菌感染が発症の引き金になるのではないかという仮説が立てられています。

2.慢性疲労症候群の診断基準について

慢性疲労症候群の診断基準

慢性疲労症候群は、厚生労働省が1991年に作成した診断基準を基に診断が下されます。前述のとおり、慢性疲労症候群はレントゲン検査や血液検査などでは異常が出ません。ですので、問診をして以下のような症状があるかどうかで、診断されます。

  1. 日常生活に支障が出るほどのだるさが、6か月以上くり返し発症している
  2. 検査の結果、ほかに病気がないことがはっきりとしてる
  3. 微熱・のどの痛み・リンパの腫れなどがある
  4. 筋肉痛・筋力低下などの症状が出ている
  5. 思考力の低下やうつ状態などの神経症状が出ている
  6. 関節痛がある
  7. 過眠・不眠などの睡眠障害がある
  8. 運動後にけん怠感が24時間以上続く

これらの診断項目のうち、1・2の症状を自覚し、3~8の症状のうち、4つ以上当てはまれば慢性疲労症候群と診断されます。

また、現在はPS値(パフォーマンスステータス)の数値も診断基準に用いられるようになりました。PS値とは、社会的な生活が送れるかどうか、身の回りのことがどの程度自分でできるかどうかを表わす数値です。0~9段階に分類されており、数字が大きくなるほど社会生活が困難になります。慢性疲労症候群と診断されるPS値は3以上です。

診断基準が決められているんですね。
問診をして、診断項目のうち、1・2の症状を自覚し、3~8の症状のうち、4つ以上当てはまれば慢性疲労症候群と診断されます。

3.慢性疲労症候群の治療方法について

慢性疲労症候群の治療方法

この項では、慢性疲労症候群の治療方法などについて解説します。ぜひ、参考にしてください。

3-1.病院を受診する基準

慢性疲労症候群の大きな特徴は、日常生活が困難なほどの疲労感が長期間続くことです。疲労感を覚えても休養すれば回復する場合は、慢性疲労症候群ではありません。また、疲労感・けん怠感が症状として現れる病気は多数あります。ですから、疲労感がなかなか消えない場合は、内科などで血液検査・ホルモンの検査などを行ってもらいましょう。異常がないにも関わらず、疲労感・けん怠感が全く消えない場合は、慢性疲労症候群の治療実績のある病院を受診してください。

3-2.診療科の選び方

慢性疲労症候群はまだ治療を行っている病院が少ないので、診療科を問わず、治療実績がある病院を受診しましょう。インターネットを検索すれば、病院が見つかります。

3-3.治療方法

慢性疲労症候群は、原因がはっきりと分かっていないため、治療法も確立されていません。患者さんによっては抗うつ剤などの薬剤が効果的なこともあります。また、認知行動療法や段階的運動プログラムは有効性が高い治療法として、多くの病院で実践中です。
認知行動療法とは、将来に対する前向きな展望を抱くような考えかたや、他人への適度な甘えかたなどを学んでいく療法のことで、頑張りすぎを防ぐために役立ちます。段階的運動プログラムは、医療専門家の綿密な監督のもとで有酸素運動を徐々に行っていく療法です。休養を取り過ぎても慢性疲労症候群は悪化する可能性があります。そこで、リハビリを兼ねて疲労感の改善や身体機能の回復を行うのです。

3-4.注意点

前述のとおり、慢性疲労症候群は原因も分からず、確実な治療方法も確立されていません。ですから、医師は患者の状態を確認しながら治療方法をいろいろと変えていくこともあります。慢性疲労症候群は、一朝一夕に治る病気ではありません。仕事をしている人は思い切って休職し、治療に専念するのもひとつの方法です。また、周囲の理解も大切になります。前項でご紹介した筋痛性脳髄膜炎の会では、病気の理解を深めるための活動をしているので、患者さんの家族はホームページなどをよく読んでみるのもよいでしょう。

治療法も確立されてはいないんですね。
まだ治療を行っている病院が少ないので、診療科を問わず、治療実績がある病院を受診しましょう。

4.慢性疲労症候群に関するよくある質問

慢性疲労症候群に関するよくある質問

Q.血液検査等で異常が見つかれば、慢性疲労症候群ではありませんか?
A.はい。別の病名がつきます。

Q.慢性疲労症候群はマイコプラズマなどに感染すれば発症するのですか?
A.確実ではありませんが、発症する人もいます。

Q.激しいけん怠感とは、どのようなものですか?
A.人によって症状は異なりますが、起きていることもつらいという人もいます。

Q.慢性疲労症候群は遺伝するのでしょうか?
A.血縁者に患者がいる場合は発症しやすい傾向にありますが、遺伝性はまだ確認されていません。

Q.慢性疲労症候群は難病指定されてますか?
A.いいえ。現在のところは難病指定されていません。

これで慢性疲労症候群で疑問に思っていたことがわかりました。
ぜひ参考にして、慢性疲労症候群の解消を目指してくださいね。

5.おわりに

慢性疲労症候群の診断基準

いかがでしたか? 今回は、慢性疲労症候群の診断基準を中心に解説しました。慢性疲労症候群はまだ理解が広まっておらず、うつ病などに誤診される可能性もあるほか、怠け病などと誤解されることもあります。しかし、6か月以上激しい疲労感やけん怠感が続く場合は、体に異常が起きている可能性が高いでしょう。必要ならばセカンドオピニオンを利用するなどして、徹底して体を検査してもらってください。また、慢性疲労症候群の治療は現在複数の治療方法があり、患者によってどの治療が効果的かは実際に行ってみなければ分かりません。ですので、焦らないことが大切です。

アタナハクリニック院長 矢崎 智子

監修者

矢崎 智子
アタナハクリニック院長
日本産科婦人科学会認定医/高濃度ビタミンC点滴療法学会理事/世界アンチエイジング学会認定医/日本内分泌学会・国際オーソモレキュラー医学会・病巣疾患研究会会員/日本線維筋痛症学会会員

1969年長野県生まれ。平成6年杏林大学医学部卒。産婦人科医としての経験を積んだあと、2005年11月、分子整合栄養医学に基づく栄養療法と東洋医学を中心とした統合医療をおこなうクリニックハイジーアを開設。関節リウマチや線維筋痛症、慢性疲労症候群、摂食障害など、通常治療困難とされる疾患や、不妊症などの婦人科疾患の治療において豊富な臨床経験を持つ。日本では数少ない機能性医療の専門家であり、最も経験豊富な一人。

平成24年、医療とヒーリングの統合を目指し、アタナハクリニックを開設。現在はキネシオロジー(筋肉反射テストを使ったセラピー)の一種であるインテグレートヒーリング(IH)を中心とした統合医療を行なっている。

著書
なぜあなたは食べすぎてしまうのか 低血糖症という病

雑誌掲載歴
2014年:『ゆほびか(6月号)』『スターピープル(vol49)』『スターピープル(Vol.48)』
2013年:『トリニティ(Vol.48)』
2011年:『日経ヘルス(1月号)』
2010年:『VoCE(12月号)』『AERA with BABY』『anan(1月20日号)』
2009年:『クロワッサン(6月10日号)』『クロワッサン(1月25日号)』