無月経の症状・原因

生理がこないのは無月経? 症状・原因・治療法など徹底解析

アタナハクリニック 院長 矢崎智子

記事監修
アタナハクリニック 院長 矢崎智子
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「生理がなかなか来ない……」と感じている方は、無月経になっている可能性があります。無月経とは、妊娠してもいない・閉経を迎える年齢でもないのに生理が来ない状況のことです。生理は妊娠するために必要なので、無月経の状態が長く続くのはよくありません。また、無月経を放置するほど、治療にかかる時間も長くなるので早期治療が必要です。本記事では、無月経の基礎知識・症状・原因・治療法について説明します。

  1. 無月経の基礎知識
  2. 無月経の症状
  3. 無月経の原因
  4. 無月経の治療法
  5. 無月経に関してよくある質問

この記事を読むことで、無月経の基礎知識を身につけて適切な治療を始めることができます。悩んでいる方はぜひ参考にしてください。

1.無月経の基礎知識

無月経とは、どのような状態なのでしょうか。それでは、無月経について具体的に説明します。

1-1.定義

無月経の定義は「月経がない状態」です。そもそも、月経とは「通常、約1か月の間隔で起こる生理的な子宮出血」とされています。しかし、無月経は、毎月定期的にくる生理がこない状態です。妊娠・授乳中や閉経を迎える年齢になれば、自然と無月経になります。月経があるべき女性に無月経が起きる場合は、何かしらの原因が考えられるでしょう。

1-2.分類

無月経には、原発性無月経と続発性無月経の2種類があります。それぞれの特徴について、詳しくチェックしておきましょう。

1-2-1.原発性無月経

原発性無月経は、満18歳を迎えても初経がこない状態のことです。一般的に、初経が訪れるのは、平均10~15歳といわれています。もちろん、個人差はありますが、満18歳を過ぎても初経がこない場合は何かしらの原因が考えられるのです。不安な気持ちが大きいと思うので、1度検査することをおすすめします。

1-2-2.続発性無月経

続発性無月経は、今まで定期的に訪れていた月経が3か月以上停止している状態のことです。無月経の多くは、続発性無月経となります。また、続発性無月経は、その程度によって「第1度無月経」と「第2度無月経」に分かれるのです。第1度無月経はプロゲステロンの分泌が異常で、第2度無月経はエストロゲン・プロゲステロン両者の分泌に異常があります。第1度無月経のほうが、無月経の程度としては軽度です。

1-3.なりやすい人

無月経の原因はさまざまなので、一概に「こういう人がなりやすい」とはいえません。けれども、最近多いのが、ストレスと無理なダイエットによる無月経です。生理は、女性ホルモンの「エストロゲン」と「プロゲステロン」の分泌量が変化すると同時に起こります。エストロゲンは妊娠の準備をすすめ女性らしさをつくり、排卵前に分泌量が増加するホルモンです。一方、プロゲステロンは妊娠の継続をサポートし、生理前に分泌量が多くなります。ストレス・無理なダイエットはホルモンバランスが乱れる原因となり、通常の生理がこなくなるのです。

月経がない状態が無月経というんですね。
満18歳を迎えても初経がこない原発性無月経と、定期的に訪れていた月経が3か月以上停止する続発性無月経の2種類があります。

2.無月経の症状

無月経の主な症状と気になる併発症状について説明します。

2-1.主な症状

無月経の症状は、原発性無月経と続発性無月経で異なります。それぞれの症状を以下にピックアップしてみました。

原発性無月経

  • 生理周期ごとに下腹部痛がある
  • 乳房の発育など、女性特有の身体的変化がない

続発性無月経

  • 基礎体温が低い
  • 体のむくみ
  • 頭痛・発熱など原因不明の体調不良
  • 急激な体重減量などの体型変化
  • 甲状腺の腫(は)れ
  • ニキビ・吹き出もの・肌荒れなどの皮膚ダメージ
  • 不正出血

2-2.気になる併発症状について

続発性無月経の場合、生殖器・視床下部などによる機能異常が主な原因です。脳の視床下部に異常がある場合は、無排卵を併発し不妊症が発症するおそれがあります。妊娠したくても、なかなかできない状態になるのです。
また、元の体重から10~18%ほど急激に減少する「体重減少性無月経」という無月経があります。体重減少性無月経は拒食症が主な原因です。10~20歳前半の発症率が高く、食べては吐いてをくり返しながら無月経状態が続きます。

2-3.そのほか

ほかには、ホルモンバランスが崩れることで免疫細胞の働きが弱まり、風邪などのウイルスにかかりやすい傾向があります。今までどおりの月経がなく、原因不明の体調不良が長く続く場合は注意しなければなりません。また、イライラしやすい・過剰なストレスを感じるという精神的な症状も、無月経の症状です。

原発性無月経と続発性無月経では症状が違うんですね。
原発性無月経は、生理周期ごとに下腹部痛があり、女性特有の身体的変化がありません。続発性無月経は、基礎体温が低い・体のむくみ・不正出血などの症状が特徴です。

3.無月経の原因

無月経には、どのような原因があるのでしょうか。

3-1.主な原因

無月経の種類によって原因が異なります。現在の状態を見直しながら、当てはまる原因があるかどうか確認してください。

3-1-1.原発性無月経の場合

原発性無月経の原因は、染色体・卵巣や子宮を制御する性中枢・子宮・膣(ちつ)などの異常です。ほかにも、副腎・甲状腺の異常が考えられます。副腎で異常が起きた場合、男性ホルモンのアンドロゲンが過剰に生成され、女性の男性化が起こるのです。
また、処女膜閉鎖症・膣閉鎖が起きている場合、正常に生理が起きていても経血の流出路が閉鎖されているので体外に経血が出ません。そのため、「生理はないのに毎月下腹部痛がある」という症状が現れます。

3-1-2.続発性無月経の場合

続発性無月経の原因では、急激な体重減少・強い精神的ストレスなどです。生殖器の異常よりも、不規則な生活習慣による無月経が多いといえるでしょう。無理なダイエット・過剰なストレスなどによってホルモンバランスが乱れ、月経が急にこなくなります。

3-1-3.視床下部によるもの

女性ホルモン分泌の司令塔である「視床下部」の機能不全によって起こる無月経は、ほとんどが続発性無月経です。何らかの要因で視床下部の機能に障害が起こると、排卵を促す「性腺刺激ホルモン」に分泌異常が起き、無月経を発症します。視床下部の機能不全による無月経は、精神的ストレス・無理なダイエット・過食と拒食が原因で発症するケースがほとんどです。

3-1-4.そのほか

ほかには、幼少の頃から激しい運動をすることで初経がこない「運動性無月経」や、留学・引っ越しによる精神的ストレスなど、環境が影響していることもあります。無月経の原因はさまざまなので、自分の環境を見直すことも大切です。また、初経があったとしても、アスリートのような激しい運動をしている方や鍛えている方でも、無月経が起こりやすい傾向があります。

3-2.放置するとどうなるか

前述のとおり、無月経を放置するほど治療期間が長くなります。さらに、骨粗しょう症・子宮体がん・動脈硬化のリスクが上がるだけでなく、月経が回復しない・子宮の萎縮(いしゅく)など、将来赤ちゃんを産めない体になってしまうかもしれません。手遅れになる前に、治療を始める必要があります。

無月経は、病気が原因になっていることもあるんですね。
卵巣・子宮など性器関連の病気や糖尿病などの生活習慣病・腎臓病が考えられるでしょう。

4.無月経の治療法

無月経の治療には、どのような方法があるのでしょうか。治療を始める前に、知識をきちんと身につけることが大切です。

4-1.病院へ行くべき症状

「下腹部に痛みがある」「いつもどおり月経がこない」「18歳になっても初経がない」という方は、すぐに病院で検査したほうがよいでしょう。少しでも月経不順を感じた場合は、きちんと検査を受けなければなりません。脳から卵巣への働きがうまく伝わらない状態になっているため、何かしらの原因が考えられます。月経はナイーブな内容なので1人で抱え込む方が多いでしょう。しかし、不安を抱えたままでは何も解決できません。きちんと医療施設で検査を受けて、原因を突き止めることが大切です。

4-2.何科へ行けばいいのか?

無月経の症状が現れている場合は、産婦人科を受診してください。大きめの病院では、産婦人科と婦人科がセットになっているため、妊娠を考えている方でも相談にのってくれます。産婦人科で受診する際は、症状を具体的に伝えてください。

4-3.検査・診断方法

無月経の原因を突き止める検査を行います。代表的なのが、血液検査・ホルモン検査・ホルモン負荷試験などです。原発性無月経が考えられる場合は、子宮・膣の存在の有無、染色体検査による染色体異常の有無などの検査が行われます。続発性無月経の場合は、本人から症状・生活環境などを聴取して検査を行い診断することになるでしょう。

4-4.治療方法

治療法は、妊娠を希望するか、しないかで分かれることになります。妊娠を希望する場合は、排卵誘発剤を使用した治療になるでしょう。特に、視床下部性無月経は排卵を止めてしまうため、不妊症を併発するおそれがあります。よって、排卵を促す薬が処方されるのです。
ほかには、女性ホルモン製剤・漢方薬・高プロラクチン血症治療薬・手術・体調調節・カウンセリング・生活習慣の改善などがあります。原因・症状・本人の希望に応じて、さまざまな方法を組み合わせて治療することになるでしょう。

4-5.投薬について

薬を服用する際は、妊娠の意志があるかどうかが大きなポイントとなります。中には、妊娠を阻害する薬を使うこともあるため、妊娠したい方は薬を使用する前にきちんとその意志を伝えてください。薬物治療を行う場合は、主に、黄体ホルモン剤・排卵ホルモン剤・低用量ピルなどの女性ホルモン剤、排卵誘発剤があります。単独で使用することもあれば、漢方薬と併用することもあるのです。

4-6.注意点

無月経の状態が長く続くほど不安が大きくなり、無意識にストレスを感じてしまいます。しかし、そのストレスが無月経を引き起こすきっかけとなっているので、できるだけ感じないように注意しなければなりません。自分で感情がコントロールできないときは、「直観医療」をおすすめします。直観医療は、自分自身と向き合い、心と体を同時にケアする医療のことです。アタナハクリニックでは女性のための直観医療を行っているので、ぜひ1度相談してみてはいかがでしょうか。

少しでも月経不順を感じた場合は、きちんと検査を受けないといけないんですね。
無月経の症状が現れている場合は、産婦人科を受診してください。治療法は、妊娠を希望するか、しないかで分かれますが、原因・症状・本人の希望に応じて、さまざまな方法を組み合わせて治療することになるでしょう。

5.無月経に関してよくある質問

無月経に関してよくある質問を5つピックアップしてみました。

Q.無月経を引き起こす「高プロラクチン血症」とは?
A.高プロラクチン血症と呼ばれる症状も、無月経を引き起こす要因の1つです。プロラクチンは、授乳時期に母乳をつくり、同時に排卵が起こらないように抑制する働きを持っています。出産や授乳時期でもないのに、プロラクチンの値が高くなり無月経を引き起こすのです。

Q.早期閉経とは?
A.早期閉経とは、閉経期を迎える時期よりも早くに生理が終わることです。一般的に、閉経期の時期は50歳前後といわれています。そのため、43歳未満での閉経は、染色体異常・自己免疫疾患から無月経に至っている可能性があるのです。「閉経時期が近付いてきたから」と思わずに、産婦人科または婦人科で検査を受けたほうがよいでしょう。

Q.無月経に効果的な漢方薬とは?
A.当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)・桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)・温経湯(うんけいとう)が代表的です。漢方薬を用いるケースは、2か月未満の無月経・月経不順の場合が多いでしょう。自分の症状・体質に適した漢方薬を選ぶことが大切です。

Q.日々の生活で気をつけるべきこととは?
A.無月経の治療を受けているときは、日常生活にも気を配る必要があります。精神的ストレス・無理なダイエット・栄養不足が無月経の原因でもあるため、規則正しい生活習慣を心がけてください。ビタミン・ミネラル・アミノ酸など栄養バランスのよい食事を摂(と)り、睡眠を確保してストレスを感じない生活を送りましょう。

Q.生理に異常を感じたら、何をすべきか?
A.いつから無月経になっているのか、記録をしていきましょう。無月経の期間が長くない場合は、基礎体温の計測を数週間行ってください。そして、受診のときに計測記録を提示することが大切です。また、無月経は体重変化として現れることもあるため、できるだけ毎日体重の記録も取りましょう。

無月経について知りたかったことがわかって安心しました。
くれぐれも放置せずにしっかりと治療を受けるようにしてくださいね。

まとめ

いかがでしたか? 無月経は、生理がくるはずの女性にやってこない状態のことです。月経がやってこないのは、女性ホルモンの異常が起きている証(あかし)となります。何かしらの要因でホルモンバランスが乱れ、生殖器が正常に働いていません。無月経を放置すると治療期間が長くなり、将来赤ちゃんを授かることができない体になる可能性があります。「無月経かな?」と思ったときは、病院を受診して原因を突き止めてください。

アタナハクリニック院長 矢崎 智子

監修者

矢崎 智子
アタナハクリニック院長
日本産科婦人科学会認定医/高濃度ビタミンC点滴療法学会理事/世界アンチエイジング学会認定医/日本内分泌学会・国際オーソモレキュラー医学会・病巣疾患研究会会員/日本線維筋痛症学会会員

1969年長野県生まれ。平成6年杏林大学医学部卒。産婦人科医としての経験を積んだあと、2005年11月、分子整合栄養医学に基づく栄養療法と東洋医学を中心とした統合医療をおこなうクリニックハイジーアを開設。関節リウマチや線維筋痛症、慢性疲労症候群、摂食障害など、通常治療困難とされる疾患や、不妊症などの婦人科疾患の治療において豊富な臨床経験を持つ。日本では数少ない機能性医療の専門家であり、最も経験豊富な一人。

平成24年、医療とヒーリングの統合を目指し、アタナハクリニックを開設。現在はキネシオロジー(筋肉反射テストを使ったセラピー)の一種であるインテグレートヒーリング(IH)を中心とした統合医療を行なっている。

著書
なぜあなたは食べすぎてしまうのか 低血糖症という病

雑誌掲載歴
2014年:『ゆほびか(6月号)』『スターピープル(vol49)』『スターピープル(Vol.48)』
2013年:『トリニティ(Vol.48)』
2011年:『日経ヘルス(1月号)』
2010年:『VoCE(12月号)』『AERA with BABY』『anan(1月20日号)』
2009年:『クロワッサン(6月10日号)』『クロワッサン(1月25日号)』