シェーグレン症候群

シェーグレン症候群とはどのような病気? 予後や合併症についても解説

アタナハクリニック 院長 矢崎智子

記事監修
アタナハクリニック 院長 矢崎智子
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シェーグレン症候群とは、自己免疫疾患の1種で厚生労働省が定めた指定難病に指定されている病気です。命に別状はありませんが、目や口の粘膜が乾くという症状が表れるため、日常生活に深刻な影響が出る人もいるでしょう。現在、シェーグレン症候群を根本的に治す方法はありません。しかし、適切な治療を受けることができれば予後もよいですし、合併症も起こりにくくなるでしょう。
今回は、シェーグレン症候群の症状・原因・予後などのついて説明します。

  1. シェーグレン症候群の基礎知識
  2. シェーグレン症候群の合併症や予後について
  3. シェーグレン症候群のセルフチェック
  4. シェーグレン症候群の診断と治療法について
  5. ​シェーグレン症候群に関するよくある質問

この記事を読めば、シェーグレン症候群についてよく分かることでしょう。興味がある人はぜひ読んでみてくださいね。

1.シェーグレン症候群の基礎知識

はじめに、シェーグレン症候群とはどのような病気かを、解説します。どのような症状が出るのでしょうか?

1-1.シェーグレン症候群の概要

シェーグレン症候群とは、関節リウマチや全身性エリテマトーデスと同じ自己免疫性疾患(膠原病)の一種です。関節リウマチや全身性エリテマトーデスなどの膠原病の合併症として現れる二次性シェーグレン症候群と、合併症のない原発性シェーグレン症候群があります。発症するのは主に40代以降の女性で、患者の比率は男性1割に対して女性が9割です。厚生労働省の調査によると、年間1万~2万人の患者が病院で治療を受けていると言われていますが、潜在的な患者は10万~20万人ほどいるのではないか、と推測されています。

1-2.シェーグレン症候群の症状

シェーグレン症候群の代表的な症状は、目や口などの粘膜の乾燥です。ドライアイやドライマウスといった症状に悩まされ、病院を受診した結果、シェーグレン症候群と診断された人もいます。また、鼻の粘膜・皮膚の粘膜・関節・膣といった部位も乾燥による痛みや不快感が起こる人も珍しくありません。シェーグレン症候群は命に別状はありませんが、ドライアイ・ドライマウスなどの症状が強く出ると、見る・しゃべる・食べるという行為に支障が起きることもあります。さらに、関節炎や血管炎を併発する患者さんもおり、この場合は関節の痛みやだるさ、むくみ・頭痛などの症状が現れることもあるでしょう。特に、血管炎は脳・肺・腎臓などの主要臓器にダメージを与えることがあり、早急な治療が大切です。

1-3.シェーグレン症候群の原因

シェーグレン症候群の発症原因は、現在のところ特定されていません。女性の患者さんが多いことから、女性ホルモンが発症の引き金になるのではないかという意見もありますが、まだ仮定の段階です。このほか、ウイルスなどの環境要因・免疫異常・遺伝的要因などが複雑に絡み合って発症するのではないか、とも考えられています。なお、シェーグレン症候群は2%程度遺伝が認められていますが、血縁者に患者がいるからといって、必ず遺伝するわけではありません。

1-4.診断方法

シェーグレン症候群は、以下のような症状が出た場合に診断されます。

  • 口唇小唾液腺の生検組織でリンパ球浸潤がある
  • 唾液分泌量の低下がガムテストやサクソンテストをして、認められる
  • 涙の分泌低下がシャーマーテスト・ローズベンガル試験などをして、認められる
  • 抗SS‐A抗体か抗SS‐B抗体が陽性である

厚生労働省は1999年に診断基準を改訂しました。現在、上記したもののうち2項目以上が当てはまれば、シェーグレン症候群と診断されます。

2.シェーグレン症候群の合併症や予後について

シェーグレン症候群は、現在のところ根本的な治療方法はありません。現在は、全身の粘膜の乾燥症状を軽減させる治療を行いながら、病気の進行を止める治療が主流です。シェーグレン症候群は、それ自体を発症しても命に別状はありません。しかし、約50%の確率で諸臓器へのリンパ球湿潤・高γグロブリン血症といった合併症が現れることもあります。また、約5%の割合で、悪性リンパ腫や原発性マクログロブリン血症を発症する可能性もあるのです。その反面、約50%の患者さんが、投薬等の治療によって症状が改善し、健康な人と同じような生活をおくっています。ですから、シェーグレン症候群を発症したら適切な治療を受け、症状が改善しても定期的に病院を受診し、経過観察をすることが大切です。
なお、長期予後の対策として、骨粗しょう症・動脈硬化・高血圧・糖尿病・白内障・結核などの予防法がとられることもあります。

3.シェーグレン症候群のセルフチェック

  • ひどいドライアイの症状が出ている
  • 常に口の中が乾き、飲みもの無しでは食事ができない
  • 夜中に水を飲むために何度も起きる
  • 関節痛が起こる
  • 微熱・頭痛・皮膚湿疹が現れ、長い間続いている
  • 性交痛がある
  • 鼻の中が乾き、鼻血が出やすくなった
  • 関節リウマチや全身性エリテマトーデスを発症している
  • 40代以降で女性である
  • 血縁者にシェーグレン症候群の患者がいる

以上のような項目が当てはまる人は、シェーグレン症候群の可能性があります。また、少数ですが男性や10代のシェーグレン症候群の発症例もありますので、男性や若年者もこれらの項目に多く心あたりがある場合は、病院を受診しましょう。

4.シェーグレン症候群の診断と治療法について

この項では、シェーグレン症候群の診断を下せる診療科や治療方法について解説します。ぜひ、参考にしてください。

4-1.シェーグレン症候群の診療科

シェーグレン症候群を診断してくれる科は、リウマチ科・眼科・血液内科など数多くあります。一般的には膠原病を診断できるリウマチ科などで診断が下った後は、症状に合わせて眼科や歯科・婦人科などで治療を受けることが多いでしょう。3でご紹介したような症状が出た場合は、眼科やリウマチ科をまずは受診してみてください。すでに関節リウマチや全身性エリテマトーデスなどの膠原病を発症して治療を受けている場合、ドライアイやドライマウスの症状が出たら、すぐに主治医に相談しましょう。

4-2.治療方法

前述のとおり、シェーグレン症候群は根本的な治療はなく、ドライアイやドライマウスの症状を改善させる治療方法が取られます。また、血管炎・関節痛などの症状が現れた場合は、ステロイド剤などを服用することもあるでしょう。血管炎や関節痛は膠原病に共通する症状ではありますが、シェーグレン症候群の場合は症状が現れる人と現れない人がいます。

4-3.セルフケア方法

シェーグレン症候群は、投薬などに加えて、以下のようなことに気をつけて生活すれば、症状が悪化しにくいでしょう。

  • 規則正しい生活を送る
  • 暴飲暴食・夜更かし以外のストレス解消方法を身につける
  • 適度な運動をする
  • ウィルス感染に注意する
  • 乾燥した場所に長時間滞在しないように気をつける
  • 医師と治療方法をよく相談し、薬を処方されたら正しく服用する
  • 紫外線に長時間当たらないようにする

5.シェーグレン症候群に関するよくある質問

Q.通常のドライアイとシェーグレン症候群の区別はつきますか?
A.素人では難しいですが、眼科で治療を受けても症状が改善しないという場合は一度血液検査をしてみましょう。

Q.ドライアイになると、目がごろごろする、涙が出ないといった症状のほかは、どのような症状が出るのですか?
A.目の痛み・充血・視力の低下などが起こることもあります。

Q.シェーグレン症候群を専門に見る診療科はないでしょうか?
A.現在のところ、ありません。

Q.若くして発病した場合、妊娠や出産は可能ですか?
A.問題ないことがほとんどですが、医師と相談してください。

Q.60代以降になると発症率は減るのでしょうか?
A.その傾向にありますが、発症しなくなるということではありません。

6.おわりに

いかがでしたか? 今回はシェーグレン症候群について解説しました。ドライアイやドライマウスに悩んでいる人の中には、シェーグレン症候群を発症している人もいるでしょう。ドライアイやドライマウスに加えて、関節痛・微熱・頭痛などの症状が長く続いている場合は、一度リウマチ科などで血液検査を受けてみてください。根本的な治療法はまだ開発されていませんが、投薬治療によって症状が改善すれば、健康な人と同じ生活を送ることができます。また、治療が早いほど予後もよい傾向です。

アタナハクリニック院長 矢崎 智子

監修者

矢崎 智子
アタナハクリニック院長
日本産科婦人科学会認定医/高濃度ビタミンC点滴療法学会理事/世界アンチエイジング学会認定医/日本内分泌学会・国際オーソモレキュラー医学会・病巣疾患研究会会員/日本線維筋痛症学会会員

1969年長野県生まれ。平成6年杏林大学医学部卒。産婦人科医としての経験を積んだあと、2005年11月、分子整合栄養医学に基づく栄養療法と東洋医学を中心とした統合医療をおこなうクリニックハイジーアを開設。関節リウマチや線維筋痛症、慢性疲労症候群、摂食障害など、通常治療困難とされる疾患や、不妊症などの婦人科疾患の治療において豊富な臨床経験を持つ。日本では数少ない機能性医療の専門家であり、最も経験豊富な一人。

平成24年、医療とヒーリングの統合を目指し、アタナハクリニックを開設。現在はキネシオロジー(筋肉反射テストを使ったセラピー)の一種であるインテグレートヒーリング(IH)を中心とした統合医療を行なっている。

著書
なぜあなたは食べすぎてしまうのか 低血糖症という病

雑誌掲載歴
2014年:『ゆほびか(6月号)』『スターピープル(vol49)』『スターピープル(Vol.48)』
2013年:『トリニティ(Vol.48)』
2011年:『日経ヘルス(1月号)』
2010年:『VoCE(12月号)』『AERA with BABY』『anan(1月20日号)』
2009年:『クロワッサン(6月10日号)』『クロワッサン(1月25日号)』