副腎疲労の検査や治療方法

うつ病と似たその不調、副腎疲労では? 検査や治療方法を紹介します!

アタナハクリニック 院長 矢崎智子

記事監修
アタナハクリニック 院長 矢崎智子
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副腎疲労という病気をご存じでしょうか? この症状は、病院で検査を受けてもなかなか原因が分からない場合が多くなっています。「なんとなく落ち込みやすい」「イライラする」などの状態が続くと、うつ病を疑う人も多いでしょう。しかし、そういった状態は副腎疲労が招いている可能性もあります。この記事では、副腎疲労の原因や検査方法・治療方法などをまとめてご紹介しましょう。

  1. 副腎疲労の基礎知識
  2. 副腎疲労の原因について
  3. 副腎疲労をセルフチェックしよう
  4. 副腎疲労の検査について
  5. 副腎疲労の治療法
  6. 副腎疲労に関するよくある質問

この記事を読むことで、副腎疲労という状態について詳しく分かるはずです。ぜひ参考にして状態を改善してください。

1.副腎疲労の基礎知識

副腎疲労の基礎知識

まずは、副腎疲労の状態や主な症状などをご紹介しましょう。

1-1.どんな状態か?

副腎疲労は「万病のもと」といわれ、さまざまな体調不良の原因につながります。何らかの要因によって副腎の機能が低下し、疲労や倦怠(けんたい)感などの症状が現れるものです。症状がうつ病に似ているため精神科を受診する人も多くなっていますが、抗うつ剤などを飲んでも改善しません。また、健康診断などを受けても数値に異常はないため、どう対処すべきか悩んでいる人も多いでしょう。

1-2.副腎について

副腎とは、左右の腎臓の上に一つずつある小さな臓器のことです。副腎は、非常に重要な役割を持つホルモンを分泌しています。たとえば、ストレスを打ち消すホルモンである「コルチゾール」や、集中力を高める作用を持つ「ノルアドレナリン」などもその一つです。そのほかにも、抗炎症作用や免疫抑制作用・脂肪燃焼作用などを持つホルモンも副腎で作られています。

1-3.主な症状

副腎疲労の症状にはさまざまなものがあります。特に多いのが、睡眠障害や気分の低下などの精神的な症状です。「何をするのも面倒に感じる」「落ち込みやすい」など、一見するとうつ病のような症状が現れるため、精神科を受診する人も多くなっています。副腎疲労の場合、そのほかにも脂肪の増加や筋肉の減少・むくみ・背中や関節の痛みなどが症状として現れることがあるのです。精神的な症状のほかにこのような症状が現れたときは、副腎疲労を疑ってみましょう。

1-4.関連する病気

副腎疲労は、体に必要なホルモンを副腎で作ることができなくなった結果、さまざまな症状が現れます。原因が特定できていないものの、同時に複数の症状が発症するという意味で「副腎疲労症候群」と呼ばれることもあるでしょう。直接命にかかわる病気ではありませんが、放置しておくと更年期障害や甲状腺疾患などの病気を引き起こす可能性もあるため、注意が必要です。

1-5.なりやすい人や患者数、最近の傾向

副腎疲労になりやすい人には、以下のような特徴があります。

  • 完璧主義者である
  • 感情のはけ口がない
  • 人から依存されやすい
  • 人から頼まれると「嫌」といえない
  • 自分は「全部できる」と思い込んでいる

副腎疲労の症状に悩む人は、年々増加しています。しかし、その症状が副腎疲労によるものだと気づいていない人も多いため、正確な患者数を把握するのは難しいでしょう。最近の傾向としては、更年期障害と腎臓疲労を同時に抱える患者が増えてきているのが現状です。特に、40~50歳代の女性はより注意が必要でしょう。

副腎疲労はさまざまな体調不良の原因につながるんですね。
症状がうつ病に似ているため精神科を受診する人も多くなっていますが、抗うつ剤などを飲んでも改善しません。

2.副腎疲労の原因について

副腎疲労の原因について

副腎疲労の主な原因や放置した場合の影響などをまとめました。

2-1.主な原因

副腎疲労の主な原因はストレスです。普段からストレスを感じやすい人、ためこみやすい人などは注意が必要でしょう。対人関係や仕事・家庭などの精神的ストレスに加え、疲労や睡眠不足などの肉体的ストレスが重なると注意が必要です。さらに、栄養バランスの悪い食生活などが蓄積し、複合的な要素により副腎疲労を引き起こす場合が多くなっています。

2-2.ストレスとの関係

副腎疲労とストレスは、切り離すことができない関係にあります。人がストレスを受けたとき、副腎はそのストレスに反応して「コルチゾール」というホルモンを分泌するのです。コルチゾールが正常に分泌されていれば、多少のストレスを受けても脳や免疫の細胞が障害を受けることはありません。副腎が十分な量のコルチゾールを分泌できなくなると、「集中力が低下する」「朝起きられない」などの症状が現れてしまうようになるのです。ストレスに勝つためには、副腎の機能低下を防ぐ必要があるでしょう。

2-3.放置するとどうなるのか?

副腎疲労が悪化するほど、ストレスに対抗できなくなります。そして、ストレスを感じれば感じるほど、副腎疲労は悪化するのです。このような悪循環に陥ると、いずれうつ病を引き起こしてしまう可能性もあるでしょう。日常生活にも支障をきたすようになり、長期間にわたる治療が必要になってしまいます。

副腎疲労の主な原因はストレスなんですね。
副腎疲労が悪化するほど、ストレスに対抗できなくなり、ストレスを感じれば感じるほど、副腎疲労は悪化してしまいます。

3.副腎疲労をセルフチェックしよう

副腎疲労をセルフチェック

副腎の疲労度を自分でチェックするために、以下の項目でいくつ当てはまるものがあるか確認してみてください。当てはまる項目が多いほど注意が必要です。

  • 朝起きられない
  • 立ちくらみがする
  • 何をしても楽しいと感じない
  • 月経前症候群が強くなった
  • もの忘れがひどくなった
  • 忍耐力が低下した
  • とにかく疲れやすい
  • 性欲がない
  • 小さなことでイライラする
副腎の疲労度を自分でチェックすることができるんですね。
朝起きられない、立ちくらみがする、何をしても楽しいと感じない、月経前症候群が強くなった、など当てはまる項目が多いほど注意が必要です。

4.副腎疲労の検査について

副腎疲労の検査について

病院での副腎疲労の検査方法についてまとめました。

4-1.病院での検査方法

病院で副腎疲労の検査をする場合、まずは問診が行われます。どのような症状に悩んでいるのか正確に伝えることができるようにしておきましょう。診断の決め手となるのは、唾液中コルチゾール検査です。唾液を1日に4回摂取し、分泌量と分泌パターンから副腎疲労かどうかを判断します。

4-2.検査で分かることとは?

唾液中コルチゾール検査では、8時・12時・16時・24時に唾液を採取してコルチゾールの日内変動を調べます。正常な場合の基準値と比較して、コルチゾールの分泌量がどのように変動しているかを確認することで、副腎疲労かどうかを判断できるのです。この検査によって進行の度合いまで確認できるため、具体的な治療に結びつけることができるでしょう。

病院で副腎疲労の検査をする場合、まずは問診が行われるんですね。
診断の決め手となるのは、唾液中コルチゾール検査で、唾液を1日に4回摂取し、分泌量と分泌パターンから副腎疲労かどうかを判断します。

5.副腎疲労の治療法

副腎疲労の治療法

副腎疲労の治療法や薬についてご紹介します。

5-1.病院の選び方について

副腎疲労が疑われるときは、病院を受診して正確な診断を受けるべきです。通常、内分泌内科や内分泌代謝内科を受診することになります。病院によっては専門の科が設置されていないところもあるため、その場合は一般の内科で相談してみるとよいでしょう。唾液検査などを行ってくれるか確認した上で選ぶようにしてください。また、相談に対して丁寧に答えてくれるか、通いやすい場所にあるかなども、病院選びの重要なポイントになります。

5-2.主な治療法

副腎疲労と診断された場合、主にストレスコントロールと食事の改善指導による治療が行われます。何がストレスの原因になっているのかを考え、自分なりのストレス軽減方法を探っていくことになるでしょう。食事療法では、副腎疲労の改善に必要な栄養素や摂取すべきではない栄養素についての指導を受けることになります。そのほかにも、ホルモンバランスを整えるためのホルモン療法を行う場合もあるでしょう。

5-3.薬について

サプリメントを使って栄養バランスを整えることはありますが、基本的に副腎疲労の治療に薬を使用することはありません。副腎疲労の主な原因はストレスと栄養バランスの悪い食事です。ストレスを軽減し、栄養バランスのよい食事を心がけることで、副腎の機能を正常にすることは十分に可能でしょう。

5-4.注意点

副腎疲労を改善するために、頑張りすぎるのは禁物です。確かに食生活の改善や適度な運動は副腎の機能低下を防ぎますが、そのためにストレスを感じるようでは意味がありません。ストレスを感じない程度に、無理なくすすめていきましょう。

副腎疲労が疑われるときは、病院を受診して正確な診断を受けるべきなんですね。
内分泌内科や内分泌代謝内科を受診することになりますが、これらの科が設置されていない場合は一般の内科で相談してみるとよいでしょう。

6.副腎疲労に関するよくある質問

副腎疲労に関するよくある質問

「副腎疲労について知りたい」という人が感じる疑問とその回答をまとめました。

Q.なぜ副腎疲労によって睡眠障害になるのですか?
A.副腎が疲労するとセロトニンの分泌量も減少します。セロトニンは睡眠を促すメラトニンの原料となるため、不眠などの睡眠障害を引き起こす原因になるのです。

Q.副腎疲労の改善によいのはどのような栄養素でしょうか?
A.ビタミンCやビタミンB5・ナイアシン・DHEAなどがあります。緑黄色野菜や玄米・豚肉・卵・海藻類を積極的にとりましょう。

Q.副腎機能の低下を招く飲みものにはどのようなものがありますか?
A.カフェインやアルコールを含む飲みものを摂取しすぎないように注意してください。副腎に大きな負担を与えることになります。

Q.副腎疲労の治療にはどのくらいの時間がかかるのでしょうか?
A.症状の程度にもよりますが、治療の効果が出始めるまで2~6か月かかる場合がほとんどです。長い人だと1年以上治療を継続する必要があります。

Q.副腎疲労とうつ病を見分けるポイントを教えてください。
A.うつの薬が効かず、「夕方6時以降になると元気になる」「性欲が落ちた」「月経前症候群が悪化した」などの症状がうつ病とは異なります。この3つの症状がある場合は、副腎疲労を疑うべきでしょう。

なるほど!副腎疲労で疑問に思っていたことがわかってよかったです。
ぜひ副腎疲労を改善するために役立ててくださいね。

まとめ

副腎疲労のまとめ

いかがでしたか? 副腎疲労の原因や症状、治療法などをまとめてご紹介しました。副腎疲労を直接治すための薬はありません。症状を改善するには、生活習慣の見直しが最も大切になるのです。「うつ病なのではないか?」と不安に思う前に、まずは自分でできる生活習慣の改善方法を考えてみましょう。ぜひこの記事を参考にして、つらい症状を乗り越えてください。

アタナハクリニック院長 矢崎 智子

監修者

矢崎 智子
アタナハクリニック院長
日本産科婦人科学会認定医/高濃度ビタミンC点滴療法学会理事/世界アンチエイジング学会認定医/日本内分泌学会・国際オーソモレキュラー医学会・病巣疾患研究会会員/日本線維筋痛症学会会員

1969年長野県生まれ。平成6年杏林大学医学部卒。産婦人科医としての経験を積んだあと、2005年11月、分子整合栄養医学に基づく栄養療法と東洋医学を中心とした統合医療をおこなうクリニックハイジーアを開設。関節リウマチや線維筋痛症、慢性疲労症候群、摂食障害など、通常治療困難とされる疾患や、不妊症などの婦人科疾患の治療において豊富な臨床経験を持つ。日本では数少ない機能性医療の専門家であり、最も経験豊富な一人。

平成24年、医療とヒーリングの統合を目指し、アタナハクリニックを開設。現在はキネシオロジー(筋肉反射テストを使ったセラピー)の一種であるインテグレートヒーリング(IH)を中心とした統合医療を行なっている。

著書
なぜあなたは食べすぎてしまうのか 低血糖症という病

雑誌掲載歴
2014年:『ゆほびか(6月号)』『スターピープル(vol49)』『スターピープル(Vol.48)』
2013年:『トリニティ(Vol.48)』
2011年:『日経ヘルス(1月号)』
2010年:『VoCE(12月号)』『AERA with BABY』『anan(1月20日号)』
2009年:『クロワッサン(6月10日号)』『クロワッサン(1月25日号)』