初期症状で見るシェーグレン症候群! 目や口の渇きは発症のサイン!

アタナハクリニック 院長 矢崎智子

記事監修
アタナハクリニック 院長 矢崎智子
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「目が乾燥する」「涙が出ない」「口が渇く」など、目や口の渇きが続いていて気になっている人はいませんか? 「よくあること」と見過ごしていると、そこに「シェーグレン症候群」という難病が潜んでいることもあります。シェーグレン症候群は、根本治療の方法は確立されていません。しかし、早期発見して適切な治療を受けることで、生活の質(QOL)を保つことができます。この記事では、シェーグレン症候群の初期症状について解説しましょう。

  1. シェーグレン症候群の基礎知識
  2. シェーグレン症候群の初期症状について
  3. シェーグレン症候群の診断・治療について
  4. シェーグレン症候群に関するよくある質問

この記事を読むことで、シェーグレン症候群の初期症状について知ることができます。疑わしい場合には医療機関を受診しましょう。

1.シェーグレン症候群の基礎知識

まずはシェーグレン症候群について概要を知りましょう。

1-1.シェーグレン症候群とは

シェーグレン症候群は自己免疫疾患の一つで、慢性的に唾液腺や涙腺などが炎症を起こし、唾液や涙などの外分泌が低下する病気です。分泌液が減るので、ドライマウスやドライアイなどの乾燥症状となります。また、この病気は厚生労働省の指定難病の一つです。

1-2.シェーグレン症候群の原因とメカニズム

シェーグレン症候群の根本の原因はまだ明らかになっていません。自己免疫疾患としてのメカニズムは、自分を守ってくれるはずの免疫細胞が、自分の体の成分に対して反応して抗体を作ってしまうことで起こるものです。遺伝的要素は低いものの、女性に多いことから性ホルモンがかかわっているという意見もあります。

1-3.シェーグレン症候群の分類と関連する病気

シェーグレン症候群は、単独で発症する一次性のものと、関節リウマチなどほかの膠原病(こうげんびょう)に合併する二次性に分けられます。二次性で合併が起こるのは、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、強皮症、多発性菌炎などです。
さらに、一次性は、症状が唾液腺などの分泌腺に限られる腺型と、全身の臓器に及ぶ腺外形に分けられます。腺外形では、甲状腺腫・間質性肺炎・自己免疫性肝炎・消化管症状(胃炎)・悪性リンパ腫など、多様な症状が現れるのです。

1-4.発症しやすい人や患者数

シェーグレン症候群は、50代に最も多く発症する病気です。とりわけ女性に多く、男性1人に対し女性は14人の比率で起こります。また、関節リウマチの患者がこの病気になる率は約20%です。患者数は約66,000人と報告されていますが、診断を受けていない人も多くいることが推測されます。

2.シェーグレン症候群の初期症状について

ここでは、シェーグレン症候群の初期症状について見ていきましょう。

2-1.どんな初期症状があるか

2-1-1.乾燥症状

  • 目の乾燥(ドライアイ):涙が出ない・目がごろごろする・目が疲れやすい・充血する・目がかゆい・目ヤニが出る・まぶしい・目が痛いなど
  • 口の乾燥(ドライマウス):唾液が出ない・口が渇く・飲み物がないと食べ物が飲み込めない・味がよくわからない・口内が痛い・しゃべりにくい
  • 鼻の乾燥:鼻の中が渇く・鼻血が出る・鼻の中にかさぶたができる

2-1-2.腺破壊

涙腺・唾液腺・耳下腺などが炎症を起こし破壊されます。腫れ・痛み、発熱などの症状も出るでしょう。

2-1-3.そのほかの症状

関節痛・発熱・性交痛・疲労感・皮膚病変など全身に症状が広がります。

2-2.セルフチェック項目

以下はシェーグレン症候群の初期に起こる症状です。症状はある日突然起こることもあれば、徐々に強くなることがあるほか、よくなったり悪くなったりを繰り返すこともあります。心当たりがある場合は、医療機関を受診しましょう。

  • 悲しいときでも涙が出ない
  • 目が疲れやすくなった
  • 目がごろごろする
  • 目が開けにくい
  • 本が読みにくくなった
  • ドライアイの症状が続いている
  • 食べ物が飲み込みにくくなった
  • 虫歯になりやすくなった
  • 夜中に口が渇き何度も起きる
  • 口角炎や口内炎になりやすくなった
  • 複数の関節の腫れや痛みがある
  • 慢性的な疲れ・だるさがある

3.シェーグレン症候群の診断・治療について

シェーグレン症候群を疑った場合、どのように行動すればいいでしょう? ここでは診断や治療法について説明します。

3-1.病院へ行くべき症状

口が渇く・目が渇くなどの症状が3か月以上続いた場合は、一度病院で診てもらいましょう。これらの症状はシェーグレン症候群以外の病気にも当てはまるため、自己判断せずに医療機関で検査してもらうことが大切です。

3-2.何科を受診するか

初期症状の段階では、自覚症状に関連した診療科を受診しがちです。しかし、シェーグレン症候群が潜んでいるかを調べてもらうには、リウマチ膠原病を専門に扱っている内科を受診することをおすすめします。
そうはいっても、実際には自覚症状が口や目の渇きだけの場合、口腔外科や眼科を受診したり、性交痛を感じて婦人科を受診したりするケースも多いでしょう。これらの診療科でも、医師がシェーグレン症候群の可能性を疑った場合、検査をしたり専門的な科に紹介してくれたりします。
また、口の渇きから糖尿病を疑い、血液検査したところシェーグレン症候群が見つかることもあるのです。

3-3.病院の選び方

シェーグレン症候群の診断と治療ができる病院を選びましょう。診断ができるのは、リウマチ科・眼科・血液内科などです。また、リウマチ膠原病の専門科が設置された病院なら安心でしょう。

3-4.診断方法

シェーグレン症候群は目や口の乾燥をはじめ、さまざまな症状が現れるのが特徴です。そのため診断にはいくつか検査があり、診断基準が設けられています。検査内容は、唾液の量や涙の量を調べる検査、レントゲンやCT・MRIなど画像検査、血液検査などです。これら複数の検査結果により診断基準を満たした場合、シェーグレン症候群と診断されます。

3-5.治療方法

シェーグレン症候群は根本的な治療法は確立されていません。そのため、治療は乾燥症状などを改善する対症療法となります。

3-5-1.乾燥に対する治療

口の渇きに対しては、唾液の分泌を促す薬を用いたり人口唾液を噴霧するなどして、会話や食事をしやすくします。目の渇きに用いられるのは人口涙液の点眼薬です。涙の分泌を促すためにステロイド薬で炎症を抑えることもあります。

3-5-2.全身に対する治療

関節炎には非ステロイド系の消炎鎮痛剤が効果的です。甲状腺の機能低下には甲状腺ホルモンの補充を行います。ほかの膠原病を合併することもありますが、その場合には膠原病の治療が優先です。また、悪性リンパ腫を合併した場合には、化学療法が適応されます。

3-6.注意点

シェーグレン症候群は慢性的な疾患です。長期にわたる治療が必要なため、「病気と共存する」という意識が大切になります。また、この病気は良くなったり悪くなったりという波があるのも特徴です。日常生活では、規則正しい生活をする・過労を避ける・適度な運動をするなどを心がけ、穏やかな気持ちで過ごしましょう。

4.シェーグレン症候群に関するよくある質問

シェーグレン症候群に関するよくある質問と回答をまとめました。

Q.普通のドライアイとシェーグレン症候群は区別がつくでしょうか?
A.シェーグレン症候群は、涙腺そのものがダメージを受けているので、悲しいときでも涙が出ないという特徴があります。しかし、一般の人が見分けるのは難しいため、眼科を受診したほうがいいでしょう。

Q.高齢者でも発症しますか?
A.シェーグレン症候群は中年以降の女性に多い疾患です。しかし、子どもから80代以降の人まで、どの年齢でも発症する可能性があります。

Q.医療費の補助は受けられるでしょうか?
A.シェーグレン症候群は指定難病です。一定以上の重症度と認定された場合、「特定医療費支給」の助成が受けられます。認定には申請が必要です。はじめに専門医に診断書(臨床個人調査票)を書いてもらい、申請書類を最寄りの市町村の窓口に提出してください。

Q.唾液が出なくてのどが痛いです。食事がのどにつまりそうになります。
A.食事は水分を含んだ柔らかいものをよくかんで、飲み物と一緒に少しずつ飲み込むといいでしょう。お餅やいも類などは特に気をつけてください。

Q.日常生活で気をつけることはありますか?

A.肉体的・精神的ストレスを避け、規則正しい生活をしましょう。安静と十分な睡眠も大切です。処方された薬をきちんと服用し、定期的に診察・検査を受けましょう。

まとめ

シェーグレン症候群は、膠原病の中では軽い病だとみられがちですが、難病であることに変わりありません。その症状は本人にとっては大変つらいものです。疑わしい症状がある場合は、ためらうことなく医療機関を受診しましょう。難病と診断されるとショックを受けることもありますが、気長に治療を続けることが大切です。

アタナハクリニック院長 矢崎 智子

監修者

矢崎 智子
アタナハクリニック院長
日本産科婦人科学会認定医/高濃度ビタミンC点滴療法学会理事/世界アンチエイジング学会認定医/日本内分泌学会・国際オーソモレキュラー医学会・病巣疾患研究会会員/日本線維筋痛症学会会員

1969年長野県生まれ。平成6年杏林大学医学部卒。産婦人科医としての経験を積んだあと、2005年11月、分子整合栄養医学に基づく栄養療法と東洋医学を中心とした統合医療をおこなうクリニックハイジーアを開設。関節リウマチや線維筋痛症、慢性疲労症候群、摂食障害など、通常治療困難とされる疾患や、不妊症などの婦人科疾患の治療において豊富な臨床経験を持つ。日本では数少ない機能性医療の専門家であり、最も経験豊富な一人。

平成24年、医療とヒーリングの統合を目指し、アタナハクリニックを開設。現在はキネシオロジー(筋肉反射テストを使ったセラピー)の一種であるインテグレートヒーリング(IH)を中心とした統合医療を行なっている。

著書
なぜあなたは食べすぎてしまうのか 低血糖症という病

雑誌掲載歴
2014年:『ゆほびか(6月号)』『スターピープル(vol49)』『スターピープル(Vol.48)』
2013年:『トリニティ(Vol.48)』
2011年:『日経ヘルス(1月号)』
2010年:『VoCE(12月号)』『AERA with BABY』『anan(1月20日号)』
2009年:『クロワッサン(6月10日号)』『クロワッサン(1月25日号)』