多発性筋炎の症状や原因・治療方法を解説! 病院を受診する目安は?

アタナハクリニック 院長 矢崎智子

記事監修
アタナハクリニック 院長 矢崎智子
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急激に筋力が落ちる、体を動かすと筋肉が痛いなどの症状に悩まされている人はいませんか? それは、多発性筋炎が原因の可能性があります。多発性筋炎は、政府指定難病に指定されている病気で、適切な治療をしないと日常生活に重大な支障が出るほど、筋力が低下する可能性があるでしょう。

今回は、多発性筋炎の症状や原因・治療方法などを紹介します。

  1. 多発性筋炎の基礎知識
  2. 多発性筋炎の原因や発症しやすい人について
  3. 多発性筋炎の経過や治療について
  4. 多発性筋炎に関するよくある質問

この記事を読めば、病院を受診する目安も分かるでしょう。筋力の低下や筋肉の痛みに悩んでいる人は、ぜひ読んでみてくださいね。

1.多発性筋炎の基礎知識

はじめに、多発性筋炎の症状や症状などを紹介します。

1-1.多発性筋炎とはどのような病気?

多発性筋炎は筋肉が炎症を起こして破壊され、筋力の低下や痛みが発生する病気です。また、手指・ひじ・ひざ裏の関節に盛り上がった紅斑(こうはん)やがさがさした紅斑が現れたり、まぶたに腫れぼったい紅斑が現れたりすることもあるでしょう。そのため、皮膚筋炎と呼ばれることもあります。国の指定難病の1つです。

1-2.多発性筋炎の症状その1:筋肉に関する症状

多発性筋炎を発症すると、以下のような症状が出ます。

  • 体がだるい・疲れやすい
  • 階段の昇降や、高いところのものを取る・寝た状態から起き上がるなど、筋力を必要とする作業が大変になる
  • ものが飲みこみづらくなったりしゃべりにくくなったりする
  • 重症化すると呼吸もしづらくなる

1-3.多発性筋炎の症状その2:皮膚に関する症状

多発性筋炎を発症すると、皮膚にも以下のような症状が現れるケースもあります。

  • 上まぶたが赤や紫色に腫れる
  • 関節に紅斑が出て、かゆみや痛み、皮膚がガサガサになる
  • 赤い湿疹(しっしん)が出る
  • 皮膚の下に硬い塊ができる

なお、筋肉に関する症状があまり現れず、皮膚に上記のような症状がひどく出るケースもあります。

1-4.合併症について

多発性筋炎は、間質性肺炎やガンが併発することがあります。間質性肺炎を発症すると、しつこいせきや肺の痛みが症状として現れることもあるでしょう。また、多発性筋炎の治療にはステロイドが用いられるため、治療中は免疫力が低下して感染症にかかりやすくなります。多発性筋炎自体で命が危険になるケースは少ないのですが、間質性肺炎やガンが原因で亡くなる人もいるのです。

2.多発性筋炎の原因や発症しやすい人について

多発性筋炎は、何らかの原因で免疫細胞が自分の体を攻撃する自己免疫疾患の一種です。多発性筋炎は、同じ自己免疫疾患である関節リウマチや全身性エリテマトーデスに次いで患者数が多い病気で、全国に約2万人の患者がいるといわれています。多発性筋炎は、性別・年代にかかわらず発症しますが、男女比は1:3で女性のほうが発病しやすい傾向です。年代別では、30~50歳代に発症例が多くなっています。
なぜ、免疫細胞が自分の体を攻撃するようになるのか、その原因は現在のところはっきりとは分かっていません。なお、多発性筋炎自体は遺伝する病気ではありませんが、自己免疫疾患が発症しやすい体質が遺伝する可能性があります。

3.多発性筋炎の経過や治療について

この項では、多発性筋炎の症状の推移や治療方法について解説します。

3-1.多発性筋炎の症状の推移

多発性筋炎を発症すると、体がだるい・疲れやすいといった症状がまず現れます。次に、階段の昇降や寝た状態から起き上がるなど、筋力を必要とする動作が難しくなり、痛みが出ることもあるでしょう。人によっては皮膚筋炎の症状が出ることもあります。さらに症状が進むと、食べ物が飲みこみにくくなったり、合併症として間質性肺炎が発症したりすることもあるでしょう。重症化すると、人によっては寝たきりに近い状態になります。

3-2.病院へ行く目安や診療科

体がだるい、疲れやすいという症状は、多くの人が一度は経験したことのある体の不調です。しかし、この症状とともに以前は苦にならなかった動作ができにくくなった場合は、多発性筋炎の疑いがあります。筋力の低下を自覚したら、できるだけ早く病院を受診しましょう。診療科は、リウマチ科など自己免疫疾患を治療するところを受診してください。

3-3.検査や診断について

多発性筋炎が疑われる場合、筋力の検査・皮膚の状態の検査・血液検査などを行い、総合的に判断します。また、間質性肺炎やガンを併発していないかどうか、CT検査・レントゲン検査も行われるでしょう。なお、個人病院で診察を受け、多発性筋炎の可能性がある場合は、総合病院を紹介されることが一般的です。

3-4.治療方法について

多発性筋炎は、現在のところ完治させる治療方法が見つかっていません。そのため、入院して安静を保ちながらステロイド剤を投与し、炎症反応を鎮めていく治療を行います。また、筋力が低下している場合は症状を見て、リハビリが行われることもあるでしょう。現在のところ、薬を服用していれば症状が出なくなった時点で退院となることが多いため、長期的な通院や薬の服用が必要になります。
また、ガンや間質性肺炎を併発していた場合、そちらの治療も並行して進めていくことになるでしょう。

3-5.治療に関する注意点

多発性筋炎によって一度筋力が低下すると、リハビリをしても回復しないケースもあります。また、再発をくり返すこともあるでしょう。そのため、車いすやツエの利用、自宅のバリアフリーリフォームなど、筋力が低下しても暮らしやすい工夫をしていくことも大切です。また、症状が出なくなったからといって薬を服用しなくなると、再発しやすくなります。定期的に病院を受診するのを忘れないようにしましょう。

4.多発性筋炎に関するよくある質問

この項では、多発性筋炎に関するよくある質問を紹介します。

Q.多発性筋炎は、子どもでも発症するのですか?
A.はい。5~14歳に最も発症しやすく、小さなピークがあるといわれています。

Q.筋力を鍛えれば、多発性筋炎を予防できるでしょうか?
A.いいえ。多発性筋炎と筋力は関係ありません。鍛えている人でも発症します。

Q.多発性筋炎と加齢で筋力が低下した場合の区別はつくでしょうか?
A.はい。多発性筋炎の場合、急激に筋力が低下することもあり、体操などをしても筋力の低下が止まりません。加齢による筋力低下とは明らかに異なります。

Q.多発性筋炎で、呼吸機能がマヒしてしまったりすることはありませんか?
A.いいえ。筋ジストロフィーなどとは異なり、呼吸機能がマヒすることはありません。

Q.多発性筋炎を早期発見するには、どうしたらいいでしょうか?
A.筋肉の痛みや筋力の低下などを「年のせい」などと軽く見ないことです。おかしいと思ったら、できるだけ早く病院を受診してください。

Q.多発性筋炎の治療中に気をつけることはありますか?
A.服用している薬によっては、免疫力が低下するので感染症にかからないように、うがい・手洗い・マスク着用などを徹底しましょう。また、無理をしてはいけません。

5.まとめ

いかがでしたか? 今回は多発性筋炎の症状・原因・治療方法などを紹介しました。初期症状は疲労や風邪によく似ているので、症状が進行しないと気がつきにくい病気です。また、筋力低下を年のせいにしがちな人もいるでしょう。「おかしいな」と思ったら、念のために病院を受診することが大切です。

アタナハクリニック院長 矢崎 智子

監修者

矢崎 智子
アタナハクリニック院長
日本産科婦人科学会認定医/高濃度ビタミンC点滴療法学会理事/世界アンチエイジング学会認定医/日本内分泌学会・国際オーソモレキュラー医学会・病巣疾患研究会会員/日本線維筋痛症学会会員

1969年長野県生まれ。平成6年杏林大学医学部卒。産婦人科医としての経験を積んだあと、2005年11月、分子整合栄養医学に基づく栄養療法と東洋医学を中心とした統合医療をおこなうクリニックハイジーアを開設。関節リウマチや線維筋痛症、慢性疲労症候群、摂食障害など、通常治療困難とされる疾患や、不妊症などの婦人科疾患の治療において豊富な臨床経験を持つ。日本では数少ない機能性医療の専門家であり、最も経験豊富な一人。

平成24年、医療とヒーリングの統合を目指し、アタナハクリニックを開設。現在はキネシオロジー(筋肉反射テストを使ったセラピー)の一種であるインテグレートヒーリング(IH)を中心とした統合医療を行なっている。

著書
なぜあなたは食べすぎてしまうのか 低血糖症という病

雑誌掲載歴
2014年:『ゆほびか(6月号)』『スターピープル(vol49)』『スターピープル(Vol.48)』
2013年:『トリニティ(Vol.48)』
2011年:『日経ヘルス(1月号)』
2010年:『VoCE(12月号)』『AERA with BABY』『anan(1月20日号)』
2009年:『クロワッサン(6月10日号)』『クロワッサン(1月25日号)』