パニック障害を克服したい人が読むべき、対処法と病気との向き合い方

アタナハクリニック 院長 矢崎智子

記事監修
アタナハクリニック 院長 矢崎智子
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「パニック障害にはどう対処すればよいのか?」とお悩みではありませんか? パニック障害は、近年その存在が広く認められるようになった病気の1つです。自分自身や身近な人がパニック障害になったとき、どのように対処すればよいのでしょうか。この記事では、パニック障害が起こったときの対処法やセルフケア方法・病院での治療法などを詳しくご紹介します。

  1. パニック障害の基礎知識
  2. パニック障害が起こりやすい環境とは?
  3. パニック障害の対処法
  4. 周りでパニック障害が起こったときの対処法
  5. パニック障害のセルフケア方法
  6. パニック障害の治療について
  7. パニック障害に関するよくある質問

この記事を読むことで、パニック障害の症状や特徴・注意点などが分かるはずです。ぜひ参考にしてください。

1.パニック障害の基礎知識

まずは、パニック障害の特徴や症状・原因などをまとめました。

1-1.不安感や恐怖感と同時に、さまざまな身体的症状に襲われる病気

パニック障害とは、何の前触れもなく強い不安感や恐怖感に襲われ、それに伴ってめまいや動悸(どうき)・息切れ・発汗などの身体的症状が現れる病気です。このような症状を「パニック発作」と呼びます。また、発作を繰り返すうちに、「いつ発作が起こるのか」という強い不安に襲われるようになる「予期不安」も、症状の1つです。さらに、発作を起こしても逃げ出せない場所や、助けを呼べない場所などに行くことを避けるようになる「広場恐怖」に陥ることもあります。

1-2.原因は脳に関係している

パニック障害の原因は明確になっていませんが、脳内で神経伝達物質の活動が高まることに関係していることが分かっています。実際には危険なことが起きていないにも関わらず、恐怖心が自律神経に伝えられてしまうのです。その結果、交感神経が興奮状態となり、発作として現れるという説が有力でしょう。

1-3.恐怖心の強い人に多い

パニック障害は、幼少のころから過剰に怖がりだった人や、人見知りが強かった人などに多いといわれています。また、強いストレスによってパニック障害を引き起こす人が増えているのが最近の傾向です。

2.パニック障害が起こりやすい環境とは?

パニック障害が起こりやすい環境や精神的状態についてまとめました。

2-1.仕事が忙しいときや育児中

パニック障害は精神的に追い詰められているときに発症しやすくなります。「仕事が忙しくて休む時間がない」「育児中で息をつく暇もない」などの人は注意が必要です。

2-2.肉体的に疲れているとき

肉体的な疲れもパニック発作の誘因になります。「精神的につらくないので大丈夫」と油断していると危険です。重労働が続いているときなどは特に注意しましょう。

2-3.完璧に頑張ろうとしているとき

ある目標を達成するために、自分を犠牲にして頑張ろうとしてパニック障害を引き起こすケースも珍しくありません。「納得できるまでやらないと気が済まない」という人は強迫観念が強い傾向にあるため、注意が必要です。

3.パニック障害の対処法

パニック障害が起きてしまったときの対処法について、詳しくご説明します。

3-1.心臓発作との違いを理解する

初めてパニック発作が起こったとき、心臓発作と勘違いする人が多いでしょう。パニック発作と心臓発作には確かに似た部分があり、一瞬判断するのが難しい場合もあります。しかし、心臓発作の場合は胸部に強い圧迫感や痛みが起こり、その後、痛みが広がっていくのが特徴です。痛みがあってもすぐ消える場合はパニック発作である可能性が高いため、まずはそこを理解してから適切な対処をしましょう。

3-2.まず前かがみの姿勢をとる

発作が起きたら、まず前かがみの姿勢をとりましょう。可能な状況であればうつ伏せの状態で横になってください。そうすることで、自然と腹式呼吸になり、自律神経の状態が落ち着きます。

3-3.気を紛らわす

呼吸が少し落ち着いてきたら、できるだけ気を紛らわすことを考えましょう。周囲に人がいれば話しかけ、会話をすることで気を紛らわすのです。一人の場合は、家族や友人に電話をかけて話をするとよいでしょう。

3-4.不安や恐怖を意識しすぎないこと

発作が起こってるとき、「この苦しみがいつまで続くのだろう」などと考え、不安や恐怖を意識しすぎるのは危険です。考えすぎることがさらなるストレスになり、症状が悪化する原因になってしまうでしょう。発作中はできるだけ別のことを考えるようにし、心にも逃げ場を作ってあげなければなりません。

4.周りでパニック障害が起こったときの対処法

自分自身ではなく、一緒にいる人などがパニック障害を起こしたときの対処法についてご紹介します。

4-1.自分が発作を起こしたときと同じ対処をしてあげる

周りにいる人がパニック発作を起こしたときは、呼吸を整えやすくするために数を数えてあげる・「大丈夫。すぐに治まる」と声をかけてあげる・気が紛れるように関係のない話をする、などが効果的です。また、発作を起こした相手が車などを運転している場合は、すぐに運転を代わるか、車を止めるよう促してください。

4-2.「パニック障害なのか?」と聞くのはNG

一緒にいる相手がパニック発作を起こした場合、何が起こっているのか確認するのは大切なことです。しかし、直接的に「パニック障害なのか?」と聞くのはやめておきましょう。発作中にパニック障害であることを強く意識することは、大きなストレスになります。「なぜこのような症状が起こるのか」なども、聞かないようにしましょう。

5.パニック障害のセルフケア方法

パニック障害が起こってしまったときのセルフケア方法や予防法をご紹介しましょう。

5-1.自分でできるケア方法とは?

パニック発作を起こしたとき、自分でできるおすすめのケア方法には以下のようなものがあります。

  • 息を吸うことより吐くことを意識する
  • 首や体を温めて脳への血液循環を促す
  • リラックスできる音楽を聴く

5-2.普段からしておくべき予防法

パニック障害を予防するポイントは以下のとおりです。

  • 疲れをためない
  • お酒とたばこを控える
  • カフェインをとりすぎない
  • 有酸素運動をする
  • 規則正しい生活を心がける

6.パニック障害の治療について

パニック障害で受診するべき症状や検査・治療方法などをまとめました。

6-1.こんなときは受診を

発作が頻繁に起こる場合や、自分では抑えることができないほど強い不安があるときは、病院を受診して治療を受けることをおすすめします。受診することで症状の原因が分かり、ストレスが軽減する可能性もあるでしょう。治療が必要かどうかを確認するためにも、専門医に相談してみてください。

6-2.受診するのは精神科か心療内科

パニック障害が疑われるときは、精神科か心療内科を受診しましょう。ただし、パニック障害の治療実績が豊富な病院でないと、自律神経失調症や過呼吸などと間違えて診断されてしまう可能性もあるでしょう。パニック障害を多く診ている病院かどうか、事前に確認してから受診することをおすすめします。

6-3.パニック障害の診断基準とは?

パニック障害かを診断するには、2つの条件を満たしているかどうかで決まります。1つめが、何の前触れもなくパニック発作が起こり、繰り返されることです。もう1つは、発作後、最低でも1か月の間、予期不安があることが挙げられます。当然、診断の前に体の病気が原因ではないかをチェックする必要があるため、心電図や血液検査・CT・MRIなどの検査が行われることになるでしょう。

6-4.治療は主に薬物療法、または心理療法

パニック障害の治療法は、主に薬物療法と心理療法です。薬物療法では抗うつ薬や抗不安薬を使用して発作を抑えます。薬物療法と併用して「認知行動療法」や「心理教育」などの心理療法を行うことで、さらに効果が期待できるでしょう。「認知行動療法」とは、自分自身の考え方や行動を変えることで発作に対処できるようにする治療法です。一方の「心理教育」は、パニック障害という病気について正しい知識を得ることで、病気とどのように向き合っていくべきなのかを知るために行われます。

6-5.併発しやすい病気に注意

パニック障害には併発しやすい病気もあるため、注意しましょう。甲状腺機能亢進(こうしん)症や不整脈・過換気症候群などさまざまな病気が挙げられますが、特に起こりやすいのがうつ病です。パニック障害に悩む人の半数以上が、うつ病を経験するといわれているほど関係が深いということを覚えておきましょう。

7. パニック障害に関するよくある質問

「パニック障害について知りたい」という人が感じる疑問とその回答をまとめました。

Q.パニック障害は男性と女性ではどちらがなりやすいのでしょうか?
A.女性に多く、男性の約3倍といわれています。特に20~30代に多いのが特徴です。

Q.パニック障害で死亡する可能性もあるのでしょうか?
A.ありません。生死にかかわる病気ではないということを理解し、早めに適切な治療を受けることが大切です。

Q.パニック発作を起こす前兆となる症状はあるでしょうか?
A.個人差はありますが、「頭が重くなる」「気分が悪くなる」などの前兆症状が現れる場合もあります。発作を何度か繰り返しているうちに、自分の前兆症状が分かってくるようになるでしょう。

Q.パニック障害は遺伝しますか?
A.病気そのものが遺伝することはありませんが、「不安を持ちやすい性格」などは遺伝する可能性があるでしょう。

Q.パニック障害の治療にはどのくらい時間がかかりますか?
A.人によりますが、数か月で終わる場合もあれば、1~2年かけて治療が必要な場合もあるでしょう。

まとめ

いかがでしたか? パニック障害の症状や原因・対処法・治療法などを詳しくご紹介しました。ストレスが多い先進国で患者数が増え続けるパニック障害は、「現代病」ともいえる病気です。正しい知識を身につけ、発作に対する適切な対処法や予防法を知っておきましょう。ぜひこの記事を参考にして、パニック障害との向き合い方を考えてみてください。

アタナハクリニック院長 矢崎 智子

監修者

矢崎 智子
アタナハクリニック院長
日本産科婦人科学会認定医/高濃度ビタミンC点滴療法学会理事/世界アンチエイジング学会認定医/日本内分泌学会・国際オーソモレキュラー医学会・病巣疾患研究会会員/日本線維筋痛症学会会員

1969年長野県生まれ。平成6年杏林大学医学部卒。産婦人科医としての経験を積んだあと、2005年11月、分子整合栄養医学に基づく栄養療法と東洋医学を中心とした統合医療をおこなうクリニックハイジーアを開設。関節リウマチや線維筋痛症、慢性疲労症候群、摂食障害など、通常治療困難とされる疾患や、不妊症などの婦人科疾患の治療において豊富な臨床経験を持つ。日本では数少ない機能性医療の専門家であり、最も経験豊富な一人。

平成24年、医療とヒーリングの統合を目指し、アタナハクリニックを開設。現在はキネシオロジー(筋肉反射テストを使ったセラピー)の一種であるインテグレートヒーリング(IH)を中心とした統合医療を行なっている。

著書
なぜあなたは食べすぎてしまうのか 低血糖症という病

雑誌掲載歴
2014年:『ゆほびか(6月号)』『スターピープル(vol49)』『スターピープル(Vol.48)』
2013年:『トリニティ(Vol.48)』
2011年:『日経ヘルス(1月号)』
2010年:『VoCE(12月号)』『AERA with BABY』『anan(1月20日号)』
2009年:『クロワッサン(6月10日号)』『クロワッサン(1月25日号)』