副腎疲労とは? セルフチェック法・症状・原因・治療法などを解説

アタナハクリニック 院長 矢崎智子

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アタナハクリニック 院長 矢崎智子
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「しっかりと睡眠を取っているのに疲れがたまる」「朝がつらくて起きられない」という状態が続いている場合、副腎疲労の可能性があります。副腎疲労は慢性的な疲労感が代表的な症状で、ストレスが原因になっていることがほとんどです。

本記事では、そんな副腎疲労のメカニズムや治療方法などについて解説しましょう。

  1. 副腎疲労のセルフチェック
  2. 副腎疲労の症状・原因は?
  3. 副腎疲労のメカニズム
  4. 副腎疲労の治療方法
  5. 副腎疲労のセルフケアと予防策
  6. 副腎疲労に関してよくある質問

この記事を読むことで、副腎疲労のメカニズムを知り、回復へとつながるポイントが分かります。気になっている方はぜひチェックしてください。

1.副腎疲労のセルフチェック

まずは、副腎疲労になっているかどうか、セルフチェックで確認しましょう。

1-1.チェックリスト一覧

下記の項目で当てはまるものがいくつあるかチェックしてみてください。

  • 睡眠時間は十分なはずなのに疲れが取れない
  • 生理前に頭痛・下腹部の痛み・不安感・イライラ感がある
  • 朝がつらくて、なかなか起きられない
  • 無性に甘いものや塩からいものが食べたくなる
  • カフェインを摂(と)らないと仕事ができない
  • パートナーがいても性欲を感じない
  • 小さなことでイライラしやすい
  • 気持ちが落ち込みやすい・うつっぽい気がする
  • 風邪を引くとなかなか治らない
  • 思考力が働かず、頭がボーッとする
  • 15~16時ごろはぼんやりするが、夜になると元気になる
  • 慢性の便秘または下痢が頻繁に起きる
  • 気力・体力・集中力が衰えている

上記の項目で1つでも当てはまるものがあれば、副腎疲労の可能性があります。また、3~4つ該当する人は、副腎疲労度が高めなので早めにケアを始めたほうがいいでしょう。

1-2.アドレナル・ファティーグ自己診断テストを利用する

副腎の機能が低下すると、現代社会でよく見られる慢性疲労という症状が出てくるのです。副腎神経衰弱症・副腎無気力症・副腎疲労症候群など、多くの呼び名がありますが、これらを総称して「アドレナル・ファティーグ」と定義しています。そこで、ぜひチェックしてほしいのが、アドレナル・ファティーグ自己診断テストです。最後に体調がよかったときの自分と現在の自分、それぞれに当てはまるものを選択することで、自己診断ができます。こちらのページから、ぜひ試してみてください。

2.副腎疲労の症状・原因は?

ここでは、副腎疲労の主な症状と原因について解説します。

2-1.副腎疲労は病気ではなく症候群

副腎機能が大いに低下する副腎疲労は、病気ではなく症候群です。正式名称は、副腎疲労症候群といい、ストレスによって副腎が疲弊している状態を指しています。そもそも、副腎とは左右の腎臓の上に接している内分泌器官のことです。血圧・血糖・水分・塩分量など体内環境のバランスを一定に保つためのホルモンを作っています。つまり、副腎機能が低下するとホルモンの分泌量が減り、体内環境のバランスが崩れてしまうのです。

2-2.主な症状は慢性的な疲労感

副腎疲労の主な症状は、慢性的な疲労感です。前述したように、副腎が疲弊しホルモンの分泌が悪くなると、アルドステロン・コルチゾール・性ホルモン・DHEAなどのホルモン不足によるさまざまな症状が起こります。慢性的な疲労感のほかに、ホルモンごとの症状は以下のとおりです。

  • アルドステロン:低血圧・立ちくらみ
  • コルチゾール:低血糖・集中力低下
  • DHEA:抗酸化作用
  • 性ホルモン:生理不順・性欲低下など

2-3.主な原因はストレス

副腎疲労の主な原因は、ストレスと炎症です。副腎ケアにおいてストレス=炎症という認識があり、体に炎症をもたらすのはストレスだと考えられています。副腎はストレスによって生じた炎症を消すためのコルチゾールを分泌する器官ですが、その機能が働かなくなると炎症を消すことはできません。血糖値や血圧などもコントロールできなくなり、さらにストレスを感じやすくなるという悪循環に陥ります。

2-4.放置すると日常生活に悪影響をもたらす

「いつか症状が改善する」と思い込み放置するのはNGです。副腎疲労を放置すると、どんどん症状が悪化し、常に疲れを感じる毎日を送ることになってしまいます。集中力も低下するので、仕事のミスが増えたり、思いどおりに体が動かなかったり、不便さを感じるでしょう。日常生活を快適に送るためには、いち早く副腎ケアに努めることが大切です。

3.副腎疲労のメカニズム

副腎疲労のメカニズムについて、詳しく把握しておきましょう。

3-1.コルチゾールなどホルモンの分泌量が少なくなる

副腎はコルチゾールなど体内環境を整えるホルモンを分泌するための器官ですが、ストレスなどによる原因がきっかけで、過剰に分泌される状態が続きます。そして、副腎が疲れてしまい、ホルモンが必要なときに十分な量が分泌できなくなってしまうのです。その結果、ストレスと戦うことができなくなり炎症が治らなくなります。この状態が副腎疲労(アドレナル・ファティーグ)なのです。

3-2.3つのストレスが関係している

副腎疲労の原因となるストレスには、精神的ストレス・肉体的ストレス・環境的ストレスの3つがあります。それぞれの特徴は以下のとおりです。

  • 精神的ストレス:ショックな出来事・人間関係など
  • 肉体的ストレス:便秘・下痢など腸の粘膜に炎症が起きている状態
  • 環境的ストレス:カビ・ホコリ・エアコンのフィルター汚れなど

3-3.10~20代の副腎疲労が増えている

最近は、10~20代と若い世代が副腎疲労を発症している傾向があります。「慢性疲労がある」「ほかの病院で検査しても原因が分からなかった」など、慢性疲労で悩んでいる若年層が増加しているのは、社会背景が原因です。SNSなどインターネットの発達により情報が得やすくなり、さまざまな刺激を受けてはそれがストレスになっています。ストレス社会といわれている現代、あらゆるものに敏感な若者が増えているのです。

3-4.関連する病気はさまざま

副腎疲労と関連している病気は、うつ病・パニック障害・気分障害など精神的症状が多い傾向があります。副腎疲労と思っていた症状がうつ病だったというケースがあれば、その逆もあるのです。そのため、まずは病院で検査を行う必要があります。症状に当てはまる方は、病院で精密検査を受け、原因を突き止めましょう。

4.副腎疲労の治療方法

ここでは、副腎疲労の検査方法と治療方法などを解説します。

4-1.まずは一般の内科を受診しよう

副腎疲労の症状が見られた場合は、まず一般の内科を受診するといいでしょう。内科を受診し、具体的な状態や原因を踏まえた上で専門の診療科で検査することになります。内科的な病気なら内分泌内科または内分泌代謝内科、副腎腫瘍の疑いがある場合は外科・泌尿器科・内分泌外科が専門分野になるでしょう。自分では判断できないため、内科を受診し検査を受けてください。

4-2.一般的な検査では判断しづらい

副腎疲労は、採血やレントゲンなど一般的な検査では判断しづらい特徴があります。より正確な診断をするため、1日の副腎のリズムを診る必要があるのです。たとえば、1日の唾液中に含まれているホルモン変動を測定します。これらの情報から、ストレスマネージメント・薬物的ホルモン治療・食事や栄養療法などのさまざまな治療法から最善策を選択するというわけです。

4-3.いくつかの治療法を組み合わせる

副腎疲労の治療には、いくつかの方法を組み合わせるのが一般的です。ストレスを感じにくくするライフスタイルの改善指導や、副腎回復に必要なサプリメントなどを処方します。副腎疲労の状態が重症の場合は、薬物的ホルモン治療を行うことになりますが、ほとんどは食事・栄養療法です。副腎の機能を活性化させる食べものを積極的に摂取することで、少しずつ症状がやわらぎ始めるでしょう。

5.副腎疲労のセルフケアと予防策

副腎疲労にならないためのセルフケアと予防策について解説します。

5-1.ストレスのコントロール

副腎疲労症候群はストレスが主な原因となるため、なるべく自分がリラックスできる環境づくりを行いましょう。精神的ストレスが原因なら音楽を聴いたり、体を休めたり、リラックスできる時間を設けてください。肉体的ストレスを感じている場合は、休息期間を作り、体を休めることが大切です。環境的ストレスの場合は、なるべく部屋をキレイにしましょう。環境を改善することで、ストレスによる負担を減らすことができます。

5-2.副腎が活性化する栄養の摂取

副腎疲労になると、ビタミンB群が不足状態になります。ビタミンB群は副腎機能を活性化させる栄養源となるため、以下の食材を積極的に摂取してください。

  • ビタミンB1:豚肉・豆類・玄米
  • ビタミンB2:納豆・卵・葉物野菜
  • ビタミンB3:レバー・魚介類・肉類
  • ビタミンB5:サケ・イワシなどの魚介類
  • ビタミンB6:バナナ・肉類・魚介類
  • ビタミンB12:シジミ・アサリなどの貝類

そのほか、亜鉛・マグネシウム・カルシウムなどのミネラルも摂取しましょう。栄養源が偏る食事はNGなので、なるべくバランスのいい食事を心がけるために自炊をしてください。脂っこいもの・甘いもの・塩からいものを欲していても、食べすぎないように気をつけることが大切です。

5-3.0時までに寝る・昼寝をする

副腎疲労を改善するポイントは、睡眠にもあります。一般的に、「寝だめ」は意味がないといわれていますが、副腎疲労の人には効果的です。寝ている間はストレスをシャットダウンでき、副腎を休めることができます。お昼に眠くなったときは無理に起きず数分だけでも昼寝をすると、疲れが取れやすくなるのでおすすめです。また、体内の炎症を抑える成長ホルモンやメラトニンなどは夜に分泌されるため、なるべく0時までにはベッドに入るよう心がけましょう。

5-4.無理をするのはNG

嫌なことをしたり、ストレスを感じる環境に身を置いたりと、無理をするのはNGです。副腎疲労の症状があるにも関わらず、さらにストレスを感じる環境では逆効果になってしまいます。無理をしていると感じたときは、改めて自分の環境を見直すことが大切です。また、自分1人で何とかしようと無理をしてはいけません。副腎疲労の治療に長(た)けた病院で検査を受け、医師と相談しながら向き合うことも大切な要素となります。

5-5.ストレスフリーの規則正しい生活習慣が1番の予防

副腎疲労の予防として最も効果的なのは、ストレスフリーの規則正しい生活を送ることです。毎日決まった時間に起きて寝る・適度な運動をする・栄養バランスのいい食事を摂るという当たり前のことを気をつけて過ごしてみてください。規則正しい生活はストレスを感じにくくなるポイントでもあります。また、何事においても前向きに捉え、ポジティブな思考を保ち続けることも大切です。

6.副腎疲労に関してよくある質問

副腎疲労に関する質問を5つピックアップしてみました。

Q.日常で注意すべきことは?
A.洗濯で使う柔軟剤や、入浴で使用するシャンプーなど、毎日使うアイテムです。芳香剤・殺虫剤など、これらのアイテムには微量の毒素が溶け出す恐れがあります。その毒素がカビの原因となり、環境的ストレスを感じるようになるのです。プラスチックや発泡スチロール製品も電子レンジを使うと毒素が出てくるため、扱いに注意しなければなりません。

Q.3つのストレスの中でも注意しておきたいことは?
A.自分で気づきにくい環境的ストレスと肉体的ストレスです。この2つのストレスは、精神的ストレスよりも気づきにくいので、いつの間にかため込み、副腎が疲れてしまいます。早期に発見しケアをするためにも、自分の身のまわりや環境を見直してみてください。

Q.副腎疲労を悪化させる考え方は?
A.「自分は怠けている」「体力がない」「ほかの人よりも劣っている」と自己嫌悪することです。ネガティブな感情は精神的ストレスにつながり、副腎が疲弊してしまいます。また、完璧主義者の人ほど神経質になりがちで、副腎の機能が低下する傾向があるので気をつけてください。人は人、自分は自分と考え、自分の心と体の声を聞くところからケアを始めましょう。

Q.デトックス効果を高めるポイントは?
A.水分をこまめに摂取することです。水分を摂ることでデトックス効果が高まり、副腎ケアにつながります。なるべく、毎日1.5~2Lの水を摂取しましょう。粉末状のサプリメントを水に溶かしたり、ナトリウムやミネラルを含む岩塩を水に加えて飲むのも効果的です。

Q.病院選びのポイントは?
A.心のケアも行っているところを選びましょう。たとえば、病気の根本原因に働きかけるアタナハクリニックでは、体にやさしい治療を中心に行っています。自分自身の症状としっかり向き合うことで気持ちが楽になり、前向きにケアを進めることができるのです。

まとめ

副腎疲労は、慢性疲労が代表的な症状です。体を休めても疲れが取れない・眠っても疲労感だけが蓄積されるという方は、副腎と呼ばれる臓器がストレスによって疲れている可能性があります。精神的・肉体的・環境的ストレスなどさまざまな原因があるため、まずはストレスと向き合い、リラックスできる環境に身を置くことが大切です。物事を前向きに捉えるだけでも気持ちが楽になり、副腎の機能が活性化するようになるでしょう。

アタナハクリニック院長 矢崎 智子

監修者

矢崎 智子
アタナハクリニック院長
日本産科婦人科学会認定医/高濃度ビタミンC点滴療法学会理事/世界アンチエイジング学会認定医/日本内分泌学会・国際オーソモレキュラー医学会・病巣疾患研究会会員/日本線維筋痛症学会会員

1969年長野県生まれ。平成6年杏林大学医学部卒。産婦人科医としての経験を積んだあと、2005年11月、分子整合栄養医学に基づく栄養療法と東洋医学を中心とした統合医療をおこなうクリニックハイジーアを開設。関節リウマチや線維筋痛症、慢性疲労症候群、摂食障害など、通常治療困難とされる疾患や、不妊症などの婦人科疾患の治療において豊富な臨床経験を持つ。日本では数少ない機能性医療の専門家であり、最も経験豊富な一人。

平成24年、医療とヒーリングの統合を目指し、アタナハクリニックを開設。現在はキネシオロジー(筋肉反射テストを使ったセラピー)の一種であるインテグレートヒーリング(IH)を中心とした統合医療を行なっている。

著書
なぜあなたは食べすぎてしまうのか 低血糖症という病

雑誌掲載歴
2014年:『ゆほびか(6月号)』『スターピープル(vol49)』『スターピープル(Vol.48)』
2013年:『トリニティ(Vol.48)』
2011年:『日経ヘルス(1月号)』
2010年:『VoCE(12月号)』『AERA with BABY』『anan(1月20日号)』
2009年:『クロワッサン(6月10日号)』『クロワッサン(1月25日号)』