膠原病とは? 原因・メカニズムや治療法など気になる内容を解説

アタナハクリニック 院長 矢崎智子

記事監修
アタナハクリニック 院長 矢崎智子
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膠原病(こうげんびょう)は、関節や筋肉の痛みとこわばり・免疫の異常・細胞の結合組織に起こる炎症などが特徴です。ハッキリとした遺伝性がなく、抗生物質が効かない特徴も持っています。多くの疾患が含まれているため、全身にさまざまな症状が起きるでしょう。また、膠原病の原因は未だ不明なので、早期から治療を始めることが大事だといわれています。

本記事では、膠原病ついて解説しましょう。

  1. 膠原病はどんな病気?
  2. 膠原病の原因・メカニズムは?
  3. 膠原病の主な症状は?
  4. 膠原病の治療方法は?
  5. 膠原病に関してよくある質問

この記事を読むことで、膠原病の症状や治療方法なども分かります。悩んでいる方や気になっている方はぜひ参考にしてください。

1.膠原病はどんな病気?

まずは、膠原病がどのような病気なのか詳しく説明します。

1-1.いくつかの病気が集まったグループを指す言葉

膠原病は1つの病気を表しているのではなく、いくつかの病気が集まったグループを指す言葉です。真皮・靭帯・腱・骨・軟骨などの結合組織に障害・炎症を生じるさまざまな疾患の総称となります。いくつかの病気の中には、関節リウマチ・全身性強皮症・全身性エリテマトーデスなどが含まれており、あらゆる臓器に炎症を起こすのです。これらの病気には、発熱・関節炎・全身倦怠感などの全身症状が共通して起こります。

1-2.国の難病指定になっている病気も

膠原病の中には、難病指定になっている疾患があります。たとえば、悪性関節リウマチ・シェーグレン症候群・全身性エリテマトーデス・全身性強皮症などです。悪性関節リウマチは関節リウマチとは異なり、血管炎といわれる病態から起こるさまざまな合併症を伴うのが特徴となります。似た病名でもまったく異なる種類なので、その点は注意しておきましょう。

1-3.膠原病に含まれる病気一覧

膠原病に含まれる病気と、その特徴を以下にまとめたのでぜひ参考にしてください。

  • 全身性エリテマトーデス:免疫異常が原因で発病する炎症疾患
  • 強皮症:手指から腕・顔・胸部などにかけて皮膚の硬化が広がる病気
  • 皮膚筋炎・多発性筋炎:全身の横紋筋に炎症をもたらす病気
  • シェーグレン症候群(乾燥症候群):粘膜を出す組織に炎症が起こり、乾燥する病気
  • 混合性結合組織病:全身性エリテマトーデス・強皮症・多発性筋炎のうち2つ以上の病気が混在している状態
  • 結節性多発動脈炎:動脈の中でも中位から細い血管に炎症が生じる病気

上記であげた病気は、膠原病のほんの一部です。ほかにもさまざまな種類の病気が含まれています。

1-4.男性よりも女性の発症が多い!?

膠原病はたくさんの病気が含まれている総称なので、一概にどういう人が発症しやすいのかは断言できません。けれども、全体的に見ると、男性よりも女性の発症率が高い傾向にあります。たとえば、混合性結合組織病や大動脈円症候群などは20~30代の女性に多く発症する病気です。シェーグレン症候群も女性に多く見られ、40~60代がかかりやすいといわれています。正確な患者数は把握されていませんが、関節リウマチの70万人が最も多い患者数です。

2.膠原病の原因・メカニズムは?

では、なぜ膠原病になるのでしょうか。原因とメカニズムについてチェックしておきましょう。

2-1.多くの臓器に関わる慢性の炎症性疾患

膠原病は、多くの臓器に影響する慢性の炎症性疾患です。ほとんどの病変が結合組織に生じており、自分の体に対する免疫異常が大きな原因となっています。通常、免疫は自分の体の害になるものを察知し、その害を排除するのが役割です。膠原病の場合は、体内に害がなくても免疫機能が過剰に反応し、その結果、逆に炎症を起こしてしまいます。そのため、自己免疫疾患とも呼ばれているのです。

2-2.遺伝と環境要因が絡み合い発症する

膠原病の研究が進むにつれ、遺伝や環境など複数の原因が複雑に絡み合って発症すると考えられています。環境要因の中でも、大きな影響をもたらすのが「ストレス」です。ストレスによる負担が免疫機能を刺激し、防御機能が過剰に働きます。そのストレスに加え、紫外線・感染・遺伝要因などが複雑に絡み合うことで膠原病が発症するのです。原因は1つだけとは限りません。

2-3.人それぞれで原因が大きく異なる

膠原病の原因はハッキリしていません。前述したように、ストレスなどの環境要因・特定の物質に反応しやすい体質・感染症などが引き金になるなど、さまざまなケースがあります。何らかのきっかけによって、免疫系の抑制がうまくいかなくなり、自己免疫疾患を発症するのです。膠原病の原因は、人それぞれで大きく異なるということを理解しておく必要があります。環境要因が大きく関係しているため、自分の生活を見直すことも症状が緩和するポイントです。

3.膠原病の主な症状は?

では、膠原病の主な症状などをチェックしておきましょう。初期症状で治療を受けるためには、具体的な症状の特徴を知ることが大切です。

3-1.さまざまな症状が出てくる膠原病

複数の病気の総称である膠原病は、さまざまな症状が特徴です。一般的な症状としては、以下のようなものがあります。

  • 熱が出る
  • 疲れやすい
  • 皮膚に特徴的な発疹が出る
  • 髪が抜ける
  • 筋力が低下する
  • 皮膚が硬くなる
  • 寒いときに指が非常に白くなる
  • 空咳が出る
  • 涙が少なく、すぐに目が乾く
  • 日光に当たるとひどい日焼けをする

基本的に、全身の倦怠感やだるさが顕著に現れる傾向があります。しっかり休息を取っているのに疲れが取れず、上記のような症状がいくつか出ている場合は、膠原病の疑いがあるといえるでしょう。

3-2.初期症状では自覚しにくい

膠原病は、初期症状では自覚しにくい傾向があります。初期段階では、疲れやすい・全身の倦怠感などの「体のだるさ」が現れるでしょう。そして、少しずつ炎症が広がり、筋肉や目などに違和感を覚えるようになります。皮膚が硬くなったり、目が乾いたりなど、全身に異常が現れたときには中期に突入しているでしょう。最終的には、各種の内臓症状へと発展し、日常生活に支障が出てしまいます。

3-3.放置すると重症化する

膠原病を放置すると、どんどん症状が悪化し重症化します。最初は、関節の痛みや腫れ・皮膚に赤みなどが現れる初期症状ですが、少しずつ悪化し、呼吸困難など命に関わる状態にまで悪化することもあるため、早めの治療が必要です。中には、視力が落ちたり、体が思うように動かなくなったりと後遺症が出る可能性もあります。後悔しないためにも、早めに受診し適切な治療を受けましょう。

4.膠原病の治療方法は?

ここでは、膠原病の治療方法や日常で気をつけておきたいポイントなどを解説します。

4-1.少しでも異変があるなら病院へ

膠原病は治療が遅くなればなるほど、治療期間が長くなり、完治まで時間がかかります。治療後も良好な状態を維持し続けるためには、初期段階での治療が必要です。そのため、少しでも全身に異変を感じる場合は、1度受診しましょう。特に、「運動をしていないのに関節痛が続く」「風邪を引いていないのに咳が出る」など、原因が分からない場合は受診をおすすめします。

4-2.複数の関節痛があれば膠原病専門外来

もし、複数の関節痛や筋肉の腫れが起きている場合は、膠原病の疑いが高いので膠原病専門外来を受診してください。ただし、どの病院にも専門科があるとは限りません。近くの病院に専門科がない場合は内科を受診しましょう。1度、内科で検査を行い、そこから適切な診療科を案内するという形で進んでいきます。

4-3.症状の組み合わせや血液検査の結果で診断

膠原病は複数の病気の可能性が考えられるため、どのような症状が起きているのか医師に詳しく伝えることが大切です。ヒアリングを行った上で、血液検査を実施し、その結果とあわせて膠原病かどうか判断します。血液検査で、「リウマトイド因子」と「抗核抗体」の量が多いか調べることになるでしょう。これらの自己抗体は、量が多ければ自己免疫と関連した病気の疑いがあります。最近は、次々と新しい検査が登場しており、早期の関節リウマチ患者に有効な「抗CCP抗体」という検査を行うこともあるのです。

4-4.一般的な治療は「免疫抑制療法」

膠原病は、ほとんどが免疫システム異常から起きている炎症です。そのため、まずは自己免疫系を正常に戻すための免疫抑制療法を行うことになります。薬剤としてステロイドホルモン・メトトレキサート・シクロスポリン・エンドキサンなどを投与し、免疫機能を抑制・コントロールするのです。また、透析のような形で血液を浄化する血しょう交換を行ったり、免疫吸着療法を採用したりすることもあります。病気の状態や症状を踏まえ、免疫抑制療法で様子を見ながら調整する形になるでしょう。

4-5.日常生活の注意点は3つ

日常生活で気をつけてほしいのは、「安静と適度な運動」「適切な食事」「感染予防」の3つです。健康的な生活を送ることで、免疫機能も正常に戻る可能性があります。特に、十分な睡眠と適度な運動は、疲れをためないために大切なことです。関節リウマチで悩んでいる方は、手足の筋力低下・関節硬縮の予防にもつながります。

5.膠原病に関してよくある質問

膠原病に関する質問を5つピックアップしてみました。

Q.膠原病は完治できるの?
A.完全に治癒できたケースは少ないですが、早期治療によって症状をやわらげることができます。膠原病の治療は、高血圧や糖尿病と同じように病状をコントロールするのが目的です。病状が安定した状態のことを寛解(かんかい)といいますが、寛解の状態を保てるようにすることが大切なポイントとなります。寛解の状態を保つことができれば、膠原病の方でも普通の日常生活を送ることができるので安心してください。

Q.症状だけで病気を判別するのは難しい?
A.初期症状のほとんどが、風邪などのほかの病気と酷似しているため、病状だけで膠原病だと判断するのは困難です。逆に、膠原病の症状を風邪だと勘違いしてしまい、治療が遅れたというケースはたくさんあります。膠原病の完治は早期発見が大きなカギになるため、自分で判断せず病院で検査するのが1番有効です。

Q.膠原病は心のケアも必要?
A.患者が感じるストレスや不安な気持ちも、膠原病に大きく関係しているので心のケアも必要だといわれています。体にアプローチするケアだけでなく、自分の心と向き合うことも大切です。アタナハクリニックでは、病気の根本原因に働きかける体にやさしい治療を心がけています。体と心の状態を読み取るインテグレートヒーリング(IH)と呼ばれる手法で、心にもアプローチするのです。不安な気持ちを抱えている方や心理的ストレスから解放されたいと思っている方などは、ぜひ1度ご相談ください。

Q.血液検査以外の検査方法は?
A.尿検査・画像検査などがあります。血液検査では、臓器障害の有無を確認するために抗核抗体や疾患特異的なマーカーの測定も行う可能性があるでしょう。膠原病なのか、別の病気なのか見分けるための検査も行います。そのほか、関節のMRI検査など、さまざまな検査を総合的に判断して病気の有無や状態を判断するのです。

Q.感染予防のためにできることは?
A.手洗いうがいなど、基本的なことを丁寧に行ってください。特に、膠原病の治療中は感染症にかかりやすくなるため、こまめな感染予防が重要です。また、体に傷がつかないように気をつけましょう。体に傷ができてしまうと、そこから細菌が入り、症状が悪化する恐れがあります。そして、毎日規則正しい生活を送ることも大切です。なるべく、同じ時間に寝て起きるようにしましょう。体の体内時計が整い、ストレスを感じにくくなります。

まとめ

膠原病は、関節リウマチ・全身性エリテマトーデス・皮膚筋炎など全身のさまざまな症状が含まれる病気です。ハッキリとした遺伝性は確かではありませんが、遺伝的な要因・紫外線・感染・ストレスなどの環境的要因により免疫機能が、正常に働かなくなることが原因の1つといわれています。発症初期の症状を抑えることができれば、状態が安定するので初期症状のうちに治療を始めることが大切です。体に異変があり不安を感じている方は、膠原病の専門科か内科を受診してください。いくつか検査を受けたうえで、診断されるでしょう。

アタナハクリニック院長 矢崎 智子

監修者

矢崎 智子
アタナハクリニック院長
日本産科婦人科学会認定医/高濃度ビタミンC点滴療法学会理事/世界アンチエイジング学会認定医/日本内分泌学会・国際オーソモレキュラー医学会・病巣疾患研究会会員/日本線維筋痛症学会会員

1969年長野県生まれ。平成6年杏林大学医学部卒。産婦人科医としての経験を積んだあと、2005年11月、分子整合栄養医学に基づく栄養療法と東洋医学を中心とした統合医療をおこなうクリニックハイジーアを開設。関節リウマチや線維筋痛症、慢性疲労症候群、摂食障害など、通常治療困難とされる疾患や、不妊症などの婦人科疾患の治療において豊富な臨床経験を持つ。日本では数少ない機能性医療の専門家であり、最も経験豊富な一人。

平成24年、医療とヒーリングの統合を目指し、アタナハクリニックを開設。現在はキネシオロジー(筋肉反射テストを使ったセラピー)の一種であるインテグレートヒーリング(IH)を中心とした統合医療を行なっている。

著書
なぜあなたは食べすぎてしまうのか 低血糖症という病

雑誌掲載歴
2014年:『ゆほびか(6月号)』『スターピープル(vol49)』『スターピープル(Vol.48)』
2013年:『トリニティ(Vol.48)』
2011年:『日経ヘルス(1月号)』
2010年:『VoCE(12月号)』『AERA with BABY』『anan(1月20日号)』
2009年:『クロワッサン(6月10日号)』『クロワッサン(1月25日号)』