全身性エリテマトーデスの診断基準は? 検査方法などを徹底解説!

アタナハクリニック 院長 矢崎智子

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アタナハクリニック 院長 矢崎智子
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全身性エリテマトーデスに似た症状が出ていると、不安な気持ちになるでしょう。全身性エリテマトーデスは、自己免疫性疾患の1つです。自分の免疫システムが間違えて正常な細胞を攻撃してしまうことで、全身のさまざまな臓器に炎症や組織障害が生じます。日本では指定難病となっており、主に女性の発症率が高い傾向です。

では、全身性エリテマトーデスの診断基準はどのようになっているのでしょうか。本記事で詳しく解説します。

  1. 全身性エリテマトーデスとはどんな病気?
  2. 全身性エリテマトーデスの診断基準は?
  3. 全身性エリテマトーデスの治療に関する注意点
  4. 全身性エリテマトーデスに関してよくある質問

この記事を読むことで、全身性エリテマトーデスの具体的な診断基準や治療方法などが分かります。気になっている方はぜひチェックしてください。

1.全身性エリテマトーデスとはどんな病気?

まずは、全身性エリテマトーデスがどのような病気なのか、具体的な内容をチェックしていきましょう。

1-1.原因不明の全身性自己免疫疾患

全身性エリテマトーデスは、SLE(systemic-lupus erythematosus)と呼ばれている原因不明の全身性自己免疫疾患です。正常な免疫システムは、有害な細胞と正常な細胞を見分けますが、全身性エリテマトーデスを発症すると免疫システムが正常に働かなくなります。自分の正常な細胞を誤って攻撃してしまい、全身のさまざまな臓器に炎症が起きては組織障害が起こる病気です。主に、皮膚・関節・腎・神経・血液に異変が起きるなど、全身性の多様な症状が現れることになるでしょう。また、全身性エリテマトーデスは膠原病(こうげんびょう)の1つです。膠原病は、1つの病気を示しているのではなく、リマウチ性疾患などのように自己免疫性疾患に関わる病気を大きくまとめた言葉となります。

1-2.指定難病の1つになっている

全身性エリテマトーデスは、国の指定難病を受けています。人口10万人のうち20人前後が発症する可能性があり、日本全国の患者数は約6万~10万人です。症状が良くなったかと思えば、再び悪化するという寛解(かんかい)と増悪を繰り返す病気なので、長期の療養を必要とします。治療方法が確立しておらず、長期の療養を必要とすることで経済的負担が大きくなるため、医療費助制度の対象となっている難病が「指定難病」とみなされるのです。また、指定難病は難病のうち、以下の要件をすべて満たすものとします。

  • 患者数が本邦において一定の人数(人口の0.1%程度)に達しないこと
  • 客観的な診断基準(またはそれに準ずるもの)が確立していること

1-3.関節の痛み・皮疹など全身に症状が現れる

全身性エリテマトーデスの主な症状は、関節の痛み・皮疹・光線過敏・発熱・口腔内の欠損などがあります。特に、この中でも多く見られるのは皮疹です。ほおの両側に蝶が羽を開いたような赤い湿疹が出ることから、蝶形紅斑(ちょうけいこうはん)と呼ばれています。発疹赤色で皮膚が盛り上がり、発疹のない部分との境目がくっきりするでしょう。かゆみがないのも特徴です。ほかには、軽度の血尿や腎機能の低下なども発生します。

1-4.妊娠可能な女性に起こりやすい

全身エリテマトーデスの発祥男女率を見てみると、男1:女9と圧倒的に女性が多いことが分かります。特に、妊娠可能な女性に起こりやすい病気で、女性ホルモンが大きく関係しているのが主な理由です。原因は未だ明らかではありませんが、遺伝素因や環境要因など複数の原因が加わり発症すると言われています。

2.全身性エリテマトーデスの診断基準は?

ここでは、全身性エリテマトーデスの診断基準を詳しく解説します。

2-1.診断基準は指定難病に必要なこと

前述したように、全身性エリテマトーデスは国の指定難病なので、その病気を患っているという診断基準を満たしていなければなりません。指定難病とされている病気は、現在331疾患が指定されていますが、それぞれ診断基準が定められています。診断基準を満たしているかで疾患を患っていると判断され、SLEDAIスコアが4点以上が重症だとみなされるのです。診断基準は指定難病に必要なことなので、まずは病院で検査を受ける必要があります。

2-2.11の診断基準

全身性エリテマトーデスの診断基準は、全部で以下の11項目あります。11項目のうち4項目以上当てはまる場合のみ、全身性エリテマトーデスと認定されることになるのです。

  1. 頬部紅斑:頬骨隆起部上の平坦あるいは隆起性の固定した紅斑
  2. 円柱状紅斑:付着する角化性落屑および毛嚢栓塞を伴う隆起性紅班、陳旧性病変では萎縮性瘢痕形成がみられることがある
  3. 光線過敏症:患者の病歴あるいは医師の観察による日光に対する異常な反応の結果生じた皮疹
  4. 口腔内潰瘍:医師の観察による口腔もしくは鼻咽頭潰瘍。通常は無痛性である
  5. 関節炎:圧痛,腫脹あるいは関節液貯留により特徴づけられ、2つ以上の末梢関節をおかす非びらん性関節炎
  6. 漿膜炎(しょうまくえん)
  7. 腎障害
  8. 神経障害
  9. 血液学的異常
  10. 免疫学的異常
  11. 抗核抗体:免疫螢光抗体法もしくはそれと等価の方法で、経過中のどの時点にでも異常高値を示す抗核抗体を検出すること

また、6~10の項目に関しては、さらに細かい項目に分かれており、いずれかに当てはまれば認められることになります。

漿膜炎

  • 胸膜炎-信頼し得る胸膜炎による疼痛、医師による摩擦音の聴取、もしくは胸水の所見
  • 心膜炎-心電図・摩擦音、もしくは心嚢水の所見により証明されたもの

腎障害

  • 0.5g/日以上、もしくは3+以上の持続性蛋白尿
  • 細胞性円柱-赤血球・ヘモグロビン・顆粒、尿細管性円柱あるいはそれらの混合

神経障害

  • 痙攣-有害な薬物もしくは尿毒症、ケトアシドーシスあるいは電解質不均衡など既知の代謝異常が存在しないこと
  • 精神障害-有毒な薬物あるいは尿毒症・ケトアシドーシス、もしくは電解質不均衡など既知の代謝異常が存在しないこと

血液学的異常

  • 溶血性貧血-網状赤血球増多を伴うもの
  • 白血球減少症-2回以上の測定時に白血球数が4,000/μl未満
  • リンパ球減少症-2回以上の測定時に1,500/μl未満
  • 血小板減少症-有害な薬物の投与なしに10万/μl未満

免疫学的異常

  • 抗DNA抗体:天然のnativeDNAに対する抗体の異常高値
  • 抗Sm抗体:Sm核抗原に対する抗体の存在
  • IgGあるいはIgM抗カルジオリピン抗体陽性・ループス抗凝固因子陽性、もしくは血清梅毒反応の生物学的偽陽性(少なくとも6か月間陽性)

2-3.重症度分類はSLEDAIスコアが4点以上

重症度分類は、痙攣・精神症状・器質的脳障害などの項目によって点数が決まり、その合計が4点以上の場合は重症とみなされることになります。それぞれの点数は以下のとおりです。

  • 痙攣(8点):最近発症。代謝性・感染症・薬剤性は除外
  • 精神症状(8点):現実認識の重度障害に夜正常な機能の変化
  • 器質的脳障害(8点):知能機能障害による認知機能の変化など
  • 視力障害(8点):SLEによる網膜の変化
  • 脳神経障害(8点):脳神経領域における感覚あるいは運動神経障害の新出
  • ループス頭痛(8点):高度の持続性頭痛・偏頭痛、麻薬性鎮痛薬に反応しない
  • 脳血管障害(8点):脳血管障害の新出、動脈硬化性は除外
  • 血管炎(8点):手指の圧痛を伴う結節・線状出血など
  • 関節炎(4点):2関節以上の関節痛あるいは炎症所見
  • 節炎(4点):筋力低下・節電図変化などにおける節炎所見
  • 尿円柱(4点):顆粒円柱あるいは赤血球円柱
  • 血尿(4点):>5赤血球/HPF。感染性・そのほかの原因は除外
  • 蛋白尿(4点):>0.5g/24時間。新規発症あるいは最近の0.5g/24時間以上の増加
  • 膿尿(4点):>5白血球/HPF。感染症は除外
  • 新たな皮疹(2点):炎症性皮疹の新規発症あるいは再発
  • 脱毛(2点):限局性あるいはびまん性の異常な脱毛の新規発症あるいは再発
  • 粘膜潰瘍(2点):口腔あるいは鼻腔潰瘍の新規発症あるいは再発
  • 胸膜炎(2点):胸膜摩擦あるいは胸水・胸膜肥厚による胸部痛
  • 心膜炎(2点):心膜摩擦・心嚢水・あるいは心電図・心エコーでの証明
  • 低補体血症(2点):CH50、C3、C4正常下限以下の低下
  • 抗DNA抗体上昇(2点):Farr assayで>25%の結合、あるいは正常上限以上
  • 発熱(1点):>38℃、感染症は除外
  • 血小板減少(1点):<100,000血小板/mm3
  • 白血球減少(1点):<3,000白血球/mm3、薬剤性は除外

3.全身性エリテマトーデスの治療に関する注意点

ここでは、全身性エリテマトーデスの治療方法と注意点を解説します。

3-1.病気と長く付き合うことが大事

前述したように、全身性エリテマトーデスは長期間、病気と付き合っていくことになります。今すぐに病気を根治したい気持ちがあるかと思いますが、症状をやわらげることが目的です。そして、症状をやわらげるためには長期間の治療の前に、正確に診断をつけなければなりません。全身性エリテマトーデスは膠原病の中でも多彩な臓器病変を持っているため、どのような異変が起きているのか確認することが大切です。

3-2.自己判断での服薬はNG

全身性エリテマトーデスの主な治療方法は、副腎皮質ステロイド薬やサイクロフォスファマイドという免疫抑制薬が中心となります。ただし、服薬する期間が長くなり服用量が多くなるほど、感染症・糖尿病・高血圧・肥満・骨粗しょう症などの副作用が発する可能性があるのです。副作用を避けるために自己判断での服薬は絶対にやめましょう。医師の指示通りに服用しないことで症状が悪化し、それにより強い治療を行わざるを得なくなります。

3-3.ストレスフリーの規則正しい生活を送ること

全身性エリテマトーデスの原因は複合的な要因が関係していますが、その中にはストレスや不規則な生活も関係しています。そのため、精神的・身体的なストレスがかからないように、規則正しい生活を送ることも大切です。日常生活が乱れている方は、この機会に見直し改善しましょう。その上で、病気が悪化する原因を探ってください。

3-4.早期発見・治療が予後の改善につながる

寛解と増悪を繰り返すのが全身性エリテマトーデスの特徴ですが、これはすでに慢性化している可能性が高い傾向があります。早期発見・治療が可能な場合は、予後が著しく改善し、5年生存率が約95%以上と非常に高いのです。症状が気になっている方や悩んでいる方は、早めに受診しましょう。

3-5.膠原病・リウマチ内科を受診する

全身性エリテマトーデスの可能性があると自分で感じた場合は、近くの膠原病・リウマチ内科を受診してください。専門の診療科がない場合は、内科でも構いません。診療を受ける際は、具体的にどんな症状がいつから出ているのか医師に伝えましょう。

4.全身性エリテマトーデスに関してよくある質問

全身性エリテマトーデスに関する質問を5つピックアップしてみました。

Q.ループス腎炎とは?
A.全身性エリテマトーデスの中でも重要な症状の1つが、腎臓に炎症が起きるループス腎炎です。ループス腎炎を発症すると、タンパク尿・血尿・ネフローゼ症候群などのさまざまな症状が起きやすくなります。以前は、生命にも関わる重要な症状でしたが、現在は進行を抑え改善させることができるようになりました。

Q.精神・神経症状を緩和する方法は?
A.規則正しい生活を送るだけでなく、自分自身と向き合うことも大切です。たとえば、ヒーリングと医療を融合させたアタナハクリニックでは、インテグレートヒーリングと呼ばれる方法を使い、検査では分からない原因を探り、最高最善の治療法を導き出します。悩んでいる方は、ぜひ1度お問い合わせください。

Q.日々の生活で注意しておきたいことは?
A.皮膚症状を悪化させることになる紫外線には注意してください。できるだけ日光を浴びないように、紫外線が強い日中は外出を控えましょう。また、長袖・帽子・日傘などを活用し日光を避けてください。人によって病態が異なるため、まずは医師に相談することが大切です。

Q.治療開始後の重症度分類は?
A.重症度分類は治療前だけでなく、経過を見ながら判断します。適切な医学的管理の下で治療が行われることを前提に、直近6か月間で最も悪い状態を医師が判断することになるでしょう。症状がやわらぐほど、重症度も低くなります。

Q.妊娠中に治療を受ける注意点は?
A.処方する薬が胎児に悪影響を与える恐れがあるため、事前に医師に相談してください。妊娠中は病気が悪化しやすく、妊娠高血圧症候群など合併症も発症しやすいと言われています。低体重出生児を出産する可能性もあるため、医療機関での妊婦健診と共に治療の様子を見ることが大切です。

まとめ

全身性エリテマトーデスの診断基準は、血液検査が大きなポイントとなります。白血球や血小板の減少・貧血が認められると、全身性エリテマトーデスを患っている証拠と言えるでしょう。また、抗核抗体の陽性も判断基準の1つです。特に、抗DNA抗体・抗Sm抗体・抗カルジオリピン抗体など特徴的な自己抗体の有無を確認します。ほかにも画像検査や、場合によっては病理検査を行うこともあるのです。さまざまな検査を行った上で、判断することになるでしょう。

アタナハクリニック院長 矢崎 智子

監修者

矢崎 智子
アタナハクリニック院長
日本産科婦人科学会認定医/高濃度ビタミンC点滴療法学会理事/世界アンチエイジング学会認定医/日本内分泌学会・国際オーソモレキュラー医学会・病巣疾患研究会会員/日本線維筋痛症学会会員

1969年長野県生まれ。平成6年杏林大学医学部卒。産婦人科医としての経験を積んだあと、2005年11月、分子整合栄養医学に基づく栄養療法と東洋医学を中心とした統合医療をおこなうクリニックハイジーアを開設。関節リウマチや線維筋痛症、慢性疲労症候群、摂食障害など、通常治療困難とされる疾患や、不妊症などの婦人科疾患の治療において豊富な臨床経験を持つ。日本では数少ない機能性医療の専門家であり、最も経験豊富な一人。

平成24年、医療とヒーリングの統合を目指し、アタナハクリニックを開設。現在はキネシオロジー(筋肉反射テストを使ったセラピー)の一種であるインテグレートヒーリング(IH)を中心とした統合医療を行なっている。

著書
なぜあなたは食べすぎてしまうのか 低血糖症という病

雑誌掲載歴
2014年:『ゆほびか(6月号)』『スターピープル(vol49)』『スターピープル(Vol.48)』
2013年:『トリニティ(Vol.48)』
2011年:『日経ヘルス(1月号)』
2010年:『VoCE(12月号)』『AERA with BABY』『anan(1月20日号)』
2009年:『クロワッサン(6月10日号)』『クロワッサン(1月25日号)』