線維筋痛症の特徴的な症状は? 治療のポイントや注意点なども

アタナハクリニック 院長 矢崎智子

記事監修
アタナハクリニック 院長 矢崎智子
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関節・筋肉・腱(けん)など全身に生じる痛みが長く続く場合、線維筋痛症の恐れがあります。線維筋痛症は、全身の筋肉や関節に激しい痛みが特徴です。症状の具合は人それぞれで、遺伝的な原因・感染症・ストレス・身体的なトラウマなどさまざまな原因が考えられます。けれども、症状や進行具合にあわせて適切な治療を行えば、症状は少しずつ和らぎ始めるので安心してください。大切なのは、症状にあった適切な治療を行うことです。

そこで、本記事では、線維筋痛症の主な症状や改善方法などについて解説します。

  1. 線維筋痛症のメカニズムを解説!
  2. 線維筋痛症の主な症状は?
  3. 線維筋痛症の特徴と診断方法
  4. 線維筋痛症の治療方法
  5. 線維筋痛症に関してよくある質問

この記事を読むことで、線維筋痛症の特徴的な症状や改善のポイントなどが分かります。気になっている方は、ぜひ参考にしてください。

1.線維筋痛症のメカニズムを解説!

まずは、線維筋痛症のメカニズムを把握しておきましょう。

1-1.関節・筋肉・腱などに慢性的な痛みが生じる病気

繊維筋痛症は、関節・筋肉・腱など全身に激しい痛みが生じる病気のことを指しています。通称、FMと呼ばれており、一時的な痛みである筋肉痛に対して、慢性的な痛みを生じ、痛みとこわばりが主な症状です。以前は、非関節性リウマチや軟部組織性リウマチなどの名称で呼ばれていました。けれども、1990年にアメリカリウマチ学会より病気の概念と定義・分類・基準が提案され、今の病名になったのです。日本では、医療関係者の間でもあまり認知されていない病気でしたが、最近は患者数が増えてきたこともあり、認知度も高まりつつあります。

1-2.線維筋痛症は全身的慢性疼痛疾患

私たちが感じる痛みは、突然のケガや病気などによって起こる急性疼痛と、原因の治療を行っても数か月にわたって痛みを感じる慢性疼痛の2種類があります。線維筋痛症は、後者の慢性疼痛の1つです。慢性疼痛は、原因が治りにくいため痛み続けたり、痛みの原因がなくなっても痛み続けたりします。急性疼痛よりも長く続くのがやっかいなのです。また、神経組織そのものに障害が起きる・体の組織が損傷を受ける・痛みの原因が見つからないという3つの要素が重なると全身的慢性疼痛疾患になると言われています。

1-3.圧倒的に女性の発症率が高い

関節リウマチと同じく、線維筋痛症は圧倒的に女性の発症率が高めです。日本では、男性1:女性5の割合で発症しています。発症者の年齢は幼い11歳から高齢の80台まで幅広いのですが、ピークを迎えるのは55~65歳代の中年層です。小児は全体の約4%で、約10%を65歳の高齢者が占めています。高齢者に多いのは、加齢による組織機能の低下が関係しているのでしょう。

1-4.原因は複雑に絡み合っている

線維筋痛症の原因は未だ不明ですが、いくつもの原因が複雑に絡み合った上で発症していると考えられています。たとえば、免疫機能が弱っているとき無理に体を動かしたり、つらい状況下でも精神的なストレスを強く感じたり、不自然な姿勢を維持したりとさまざまです。体と心への負担が同時にやってくることで、中枢神経の痛みが敏感になり増幅させます。複雑に絡み合う原因が引き金となって、線維筋痛症を発症させるのです。

線維筋痛症は女性に発症しやすい疾患なんですね。
はい。慢性的に痛みが出るつらい病気です。

2.線維筋痛症の主な症状は?

では、線維筋痛症の主な症状をいくつか紹介します。今、自分自身に起きている症状とぜひ照らし合わせてみてください。

2-1.代表的な症状は全身における慢性疼痛

前述したように、線維筋痛症の代表的な症状は、全身の広範な慢性疼痛です。関節・筋肉・腱などが慢性的に痛むので普通の筋肉痛とはまったく異なります。また、痛みの程度は強いケースが多く、風に当たったり髪の毛が触れたりした程度でも激しい痛みを伴うことが多いのです。全身における慢性疼痛がほとんどですが、中には一部の部位だけに激しい痛みが出てくるケースもあります。人によって痛みの度合いも異なり、治ったかと思えばすぐに痛む場合もあるようです。

2-2.関節リウマチとは異なる関節のこわばり

関節のこわばりを感じるのも、線維筋痛症の特徴です。これは関節リウマチと似ていますが、リウマチで見られる関節の腫れや変形などはありません。ここが、関節リウマチと線維筋痛症の大きな違いと言える部分でしょう。また、関節のこわばりは少しずつ動かすと良くなる傾向があります。

2-3.疲労感や倦怠感

個人差がありますが、線維筋痛症は疲労感や倦怠感が出てくる可能性があります。日常生活に支障をきたさない程度の場合もあれば、困難になるほど体がだるくなる場合などさまざまです。症状がひどいときには、起き上がれなくなることもあります。中には、動いた後、しばらく休まなければならない人もいるのです。

2-4.眠りが浅くなるなどの睡眠障害

慢性疼痛によって、横になっても眠れなくなり、睡眠障害が起きる可能性があります。常に寝不足な状態が続くため、日中は集中力が低下したり、仕事での凡ミスが多くなったりするでしょう。睡眠障害はもちろん、朝起きたときには激しいこわばりと痛みを感じることもあります。

2-5.ほかにもさまざまな症状が見られる

不安感・抑うつ状態・しびれ・感覚異常・自律神経失調症・慢性的な頭痛・記憶障害・耳鳴り・ドライアイなど、ほかにもさまざまな症状が現れます。中には、足がムズムズするレストレスレッグス症候群を引き起こすこともあるのです。まずは、自分にどのような症状が起きているのか確認するといいでしょう。

痛みが慢性的に続くことで、日常生活に支障が出ることもあるんですね。
はい。関節リウマチと間違われることもあります。

3.線維筋痛症の特徴と診断方法

さらに病気の理解を深めるため、線維筋痛症の特徴と診断方法をチェックしておきましょう。

3-1.痛みを抑える刺激が調整できない

私たちが感じる痛みは、皮膚などの末梢神経にある需要期で感知し、そのシグナルは脊髄後角と呼ばれる部分に伝えられます。そして、さらに脳に向かう脊髄視床路と呼ばれる神経に伝えられ、最終的に脳に届いてから痛みを感じる仕組みです。脳が痛みを感知すると、痛みを抑えようと下行性疼痛抑制系神経が働きますが、線維筋痛症になるとこの機能が低下します。その結果、痛みを起こす刺激と痛みを抑える刺激が調整できず、痛みを起こす刺激が強くなってしまうのです。よって、線維筋痛症は、脳の異常も原因の1つではないかと考えられています。

3-2.診断はさまざまな検査を行った総合結果

原因が明らかになっていない病気なので、決め手となる診断方法はありません。一般的に、血液検査・CT検査・MRI検査などさまざまな検査を行った上で、総合的に判断し診断することになります。それでも分からない場合は、3か月異常痛みが続くか、左右対称の広範囲の痛みがあるか、痛み以外の自覚症状の有無などで診断を下すでしょう。線維筋痛症の診断は、これまで治療したことのある経験豊富な医師でないと難しい傾向があります。

複数の検査を受けて診断が下るんですね。
はい。そのため、時間がかかることもあります。

4.線維筋痛症の治療方法

それでは、どうすれば線維筋痛症が改善できるのか、主な治療方法とポイントを解説します。

4-1.何よりも早期発見・早期治療が大事

原因が判明していない線維筋痛症だからこそ、早期発見・早期治療が何よりも大切なポイントとなります。慢性的な痛みは放置するほどひどくなり、さらに激しい痛みを伴うようになるでしょう。最悪な場合、寝たきり状態になる恐れがあるため、今以上ひどくならないように検査をきちんと行い、適切な方法で治療を受けることが大切です。早く治療を始めれば、症状がひどくならないうちに抑えることができます。

4-2.症状に応じた対症療法が基本

線維筋痛症の基本的な治療法は、症状に応じた対症療法です。人それぞれ進行具合や症状が異なるため、検査で状態を把握してから治療方針を定めます。自分に合った治療を見つけるため、まずは薬物療法を試すことになるでしょう。非ステロイド性抗炎症薬・向精神薬などを数週間から数か月ごとに使用して様子を見ます。そのほか、鍼灸療法やマッサージ・リラクゼーションなどを含めた代替療法や補完医療も並行して行われるでしょう。

4-3.認知行動療法と有酸素運動療法

代替療法と補完医療の中で科学的に有効性が確認されているのは、認知行動療法と有酸素運動療法です。認知行動療法とは、物事の受け取り方や考え方に働きかける方法で、気持ちを楽にする心理療法となります。有酸素運動療法は、息を止めずに長時間続けられる軽めの運動で、筋肉の緊張を取り除き、痛みを和らげる方法です。「筋肉を使わないほうがいいのでは?」と思われるかもしれませんが、薬物療法に加え、認知行動療法と運動療法をうまく組み合わせたほうが症状をより穏やかにすることができます。

4-4.ストレスフリーの生活を送ることも大切

線維筋痛症は神経の刺激が大きく関係しており、それはストレスによる刺激も含まれています。ストレスを感じると交感神経が発達し、体が緊張状態になってしまうのです。なるべく、リラックス状態になる副交感神経を発達させるためにも、ストレスフリーの生活を心がけてください。自分自身と向き合う時間も、症状を和らげる大切な要素となります。

4-5.病院選びのポイント

繊維筋痛症の症状と原因は人それぞれですが、精神的な原因から発症するケースが多いので、心の病に関する知識や治療を行っている病院を選ぶといいでしょう。たとえば、アタナハクリニックでは、原因が分からない病気でも根本的な問題に働きかける心と体のケアを中心に行っています。

早期治療が大切なんですね。
はい。我慢せずに、痛みが続いたらすぐに病院を受診しましょう。

5.線維筋痛症に関してよくある質問

線維筋痛症に関する質問を5つピックアップしてみました。

Q.線維筋痛症を引き起こすことがある基礎疾患は?
A.関節リウマチ・変形性関節症・全身性エリテマトーデス・シェーグレン症候群・強直性脊椎炎などがあります。この中でも関節リウマチは非常に酷似している症状が多く、判断を誤ってしまいがちです。自分で判断するのではなく、専門施設できちんと検査を受けてから、正しい治療を受けましょう。

Q.分類基準はどうなっているの?
A.線維筋痛症の分類基準は以下のようになっています。

  1. 「広範囲の疼痛」の既住がある
  2. 触診で18か所の圧痛点のうち11か所異常に圧痛を認める

上記の両方の基準を満たすとき慢性疼痛(線維筋痛症)と診断できます。なお「広範囲な疼痛」は少なくとも3か月持続する点が重要です。詳細は、米国リウマチ学会診断基準(1990年)をご覧ください。

Q.間違いやすい、似ている疾患は?
A.慢性疲労症候群(CFS)です。日常生活に支障をきたすほど、疲労感や倦怠感に悩まされる病気で、膠原病や自律神経失調症など、線維筋痛症と関係する病気もたくさんあります。慢性疲労症候群も原因が明らかになっていないため、対症療法が基本の治療です。線維筋痛症と併発するケースもありますが、その原因はハッキリと改名されていません。

Q.線維筋痛症は遺伝するの?
A.欧米の調査では、線維筋痛症が家族内で発症することが古くから知られています。一親等の場合、約50%の確率で線維筋痛症に似た症状が出現しているのです。ただし、直接的な遺伝的関係は明らかになっていないので確かな情報とは言えません。遺伝よりも環境的な問題が重要ではないかと考えられています。

Q.線維筋痛症の予後は?
A.基本的に、命に関わるような事態にはならないので安心してください。原因が明らかになっていない病気なため、根治療法はありませんが、時間をかけながら治療を行うことで症状がやわらぎます。ただし、長く病気と付き合っていかなければならないので、線維筋痛症の場合、自殺率が増加傾向にある点が欧米で問題視されているのです。特に、小児のケースで自殺率が高まっているため、心のケアも必要となります。

まとめ

線維筋痛症は、全身の筋肉や関節に激しい痛みを伴うのが特徴です。強烈な痛みは一定でなく、1日中続いたりすぐに止んだりと日によって差があります。いつまで続くのか分からない痛みに悩まされるよりも、きちんと原因を突き止めて治療を行い、症状を和らげるほうが安心です。遺伝的な要因・感染症・ストレス・身体的なトラウマなどが考えられ、これだという原因は判明していません。けれども、きちんと治療を行えば痛みを和らげることができるので、症状と向き合うことが大切です。

アタナハクリニック院長 矢崎 智子

監修者

矢崎 智子
アタナハクリニック院長
日本産科婦人科学会認定医/高濃度ビタミンC点滴療法学会理事/世界アンチエイジング学会認定医/日本内分泌学会・国際オーソモレキュラー医学会・病巣疾患研究会会員/日本線維筋痛症学会会員

1969年長野県生まれ。平成6年杏林大学医学部卒。産婦人科医としての経験を積んだあと、2005年11月、分子整合栄養医学に基づく栄養療法と東洋医学を中心とした統合医療をおこなうクリニックハイジーアを開設。関節リウマチや線維筋痛症、慢性疲労症候群、摂食障害など、通常治療困難とされる疾患や、不妊症などの婦人科疾患の治療において豊富な臨床経験を持つ。日本では数少ない機能性医療の専門家であり、最も経験豊富な一人。

平成24年、医療とヒーリングの統合を目指し、アタナハクリニックを開設。現在はキネシオロジー(筋肉反射テストを使ったセラピー)の一種であるインテグレートヒーリング(IH)を中心とした統合医療を行なっている。

著書
なぜあなたは食べすぎてしまうのか 低血糖症という病

雑誌掲載歴
2014年:『ゆほびか(6月号)』『スターピープル(vol49)』『スターピープル(Vol.48)』
2013年:『トリニティ(Vol.48)』
2011年:『日経ヘルス(1月号)』
2010年:『VoCE(12月号)』『AERA with BABY』『anan(1月20日号)』
2009年:『クロワッサン(6月10日号)』『クロワッサン(1月25日号)』