摂食障害の特徴的な症状は? 治療法やセルフケアのポイントを解説

アタナハクリニック 院長 矢崎智子

記事監修
アタナハクリニック 院長 矢崎智子
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「太るのが怖くて食べられない」「むちゃ食いしては吐いてしまう」などの症状に悩んでいる方は、摂食障害の可能性が高いでしょう。摂食障害は、食行動を中心にいろいろな問題が生じる病気のことで、男女問わずすべての年代で誰でも発症する可能性があります。原因は1つだけでなく、社会・文化的要因、心理的要因、生物学的要因など複雑に絡み合っているのが特徴です。体重に対する過剰なこだわりが特徴的で、自分で意識的に嘔吐したり、下剤を使ったりするなどの症状が見られます。

本記事では、そんな摂食障害の具体的な症状のほか、原因や治療方法について解説しましょう。

  1. 摂食障害の症状やサインは?
  2. 摂食障害のセルフチェック法
  3. 摂食障害の特徴と危険性
  4. 摂食障害の原因をチェック!
  5. 摂食障害の治療法とセルフケアのポイント
  6. 摂食障害に関してよくある質問

この記事を読むことで、摂食障害の具体的な症状や原因・治療法などが分かります。気になっている方はぜひチェックしてください。

1.摂食障害の症状やサインは?

無自覚のまま症状が進行する摂食障害ですが、症状やサインが出ています。一体どのような症状が見られるのでしょうか。

1-1.栄養不足による身体症状

摂食障害の人は、とにかく痩せることに執着する傾向があるため、栄養不足による身体症状があちこちに現れます。代表的な身体症状は以下のとおりです。

  • 動いていないのに疲れやすい
  • 身長が伸びない
  • 筋力や心拍数の低下
  • 低血圧でふらふらする
  • 常に低体温で寒がり、冷え性
  • 月経がなかなか来ない
  • 横になっても眠れない日が続く

上記の中でも、特に注意しておきたい症状が低血圧・筋力と心拍数の低下・低体温です。これらの症状が見られたときは、摂食障害が重症化している可能性があります。また、ほかにも食欲がない・満腹感がない・髪の毛が抜ける・皮膚が乾燥するなどの症状も出るでしょう。

1-2.心理的症状にも要注意

分かりやすいのは体の異変ですが、心理的症状にも摂食障害のサインが隠れています。たとえば、栄養不足による集中力の低下などです。主な心理的症状を以下にまとめたので、当てはまるか確認してください。

  • こだわりが強くなる
  • 人との交流を避けがち
  • 性的興味がなくなる
  • イライラしやすくなった
  • 抑うつや不安な気持ちが強い

1-3.拒食症と過食症による障害

摂食障害は、拒食症と過食症の2つの症状が特徴です。拒食症は痩せがひどく、月経もなくなってしまっている状態を指しています。過食症は標準またはそれ以上の体重で過食がありますが、拒食と過食をくり返す方もいるので経過は人によってバラバラです。痩せたいという気持ちから食事制限から始まり、体重が減っていても「太るのが怖い」「食べるのが怖い」と拒食が続きます。かと思えば、ストレスで過食の時期に突入し、食べたものを無理に吐き出そうとするのです。

1-4.痩せているのに太っていると言い切る

摂食障害の人でありがちなのが、体型は痩せているのに「太っている」と言い切ることです。鏡を見ても太っている・肉がついていると言い張り、まわりが言ってもいうことを聞きません。痩せているのにも関わらずダイエットを続けるのが、摂食障害のサインでもあるのです。

摂食障害の人は自分の見た目や体重に固執していることが多いんですね。
はい。また、拒食だけでなく、過食が症状として出ることもあります。

2.摂食障害のセルフチェック法

自分で簡単にできる摂食障害のセルフチェック法を紹介します。

2-1.摂食障害の患者によく見られる特徴をチェック!

以下の項目にいくつ自分が当てはまるのか、ぜひチェックしてみてください。

  • 太るのが怖い
  • 自分は痩せていると思う
  • 体重や体型への関心が高い
  • 食事の量を減らすことがある
  • 自分でコントロールできず、1度にたくさん食べてしまうことがある
  • たくさん食べた後に吐いたり、食事を抜いたり、たくさん運動したりする
  • 周囲から痩せていると言われるが、自分はそうは思わない
  • カロリーや体重のことで頭がいっぱいになる
  • 手足が冷えやすい
  • 生理が来ない、前よりも不順になった

上記の項目に当てはまる人ほど、摂食障害の可能性が高いと言えるでしょう。摂食障害の中でも神経性過食症の方は、体重・体型・食事に強いこだわりを持つ傾向があります。こだわりを持ちつつも、自分で食べ物の量をコントロールできない過食をくり返すケースもあるのです。

2-2.正確な診断を受けるなら病院へ

セルフチェックはあくまで自分で判断するものなので、正確な診断を受けるなら病院で専門的な検査を受けましょう。「自分は病気じゃない」と思っていても、念のための診察が必要です。摂食障害に陥っている方は無自覚のケースがほとんどなので、今抱えている不安や悩みを聞いてもらう軽い気持ちで受診しましょう。

当てはまるものが多いほど、早めに病院を受診したほうがいいんですね。
はい。摂食障害は自分で回復することが難しい病気です。早めに対処しましょう。

3.摂食障害の特徴と危険性

摂食障害のことについて詳しく知るため、どんな病気なのか特徴をチェックしておきましょう。また、放置することの危険性も説明します。

3-1.摂食障害は食行動を中心にさまざまな問題が起こる病気

摂食障害は、主に、神経性やせ症・神経性過食症・過食性障害・神経性食欲不信症などを指しています。食行動を中心にさまざまな問題が起こる病気で、心理的要因が根底に存在しているのです。自分に自信がなかったり、自己評価が体重や体型に影響を与えたりと、「見た目」に過剰なこだわりを持っています。食行動が中心の問題ですが、食事だけが問題ではありません。患者に対し無理に食べさせようとしても改善するわけではなく、逆に悪化させてしまう恐れがあります。摂食障害は病気の本質を見ることが大切です。

3-2.年々増え続けている患者

摂食障害は年々増え続けています。2014~2015年における厚労省の発表によると、1年間の病院受診患者数の推計値は約25,000人でした。そのうち、最も患者数の割合が多い年代は10~20代の若い世代です。若い人ほど外見にこだわりを持ちやすく、痩せている=キレイになるという認識が強くなります。「痩せなければ」というプレッシャーが摂食障害を加速させているのです。

3-3.日常生活が困難になる可能性も

摂食障害は通常の食事が取れなくなり、自分でコントロールできない心理的な部分も関係しています。症状やサインにもあるように、集中力の低下や仕事の効率ダウンにもつながり、日常生活が思うように送れなくなるでしょう。外見はどんどん痩せていき、顔色も悪くなります。自分にとってはキレイになっていると思っていても、他の人から見るとどんどん病的な雰囲気を醸し出しているように感じてしまうほどです。

3-4.放置すると命の危険にまで及ぶ

摂食障害を引き金に命を失った人もいます。放置しておくと治療がとても困難になり、改善するまで時間がかかるでしょう。適切な治療を受けないままうつ病など心の病を持ってしまい、入院することになるケースが増えているのです。放置するほど命に関わる恐れが出てくるからこそ、早期発見・早期治療が大切なポイントとなります。

摂食障害が進行すると日常生活に支障が出ることもあるんですね。
はい。また、発症する年代によっては妊娠や出産に影響が出ることもあるでしょう。

4.摂食障害の原因をチェック!

なぜ摂食障害を引き起こすのか、原因をチェックしておきましょう。

4-1.摂食障害はさまざまな原因が重なって起こる多因子疾患

摂食障害は、何か1つだけの原因で引き起こすものではありません。心理的要因・生物学的要因・社会や文化的要因など複数の原因が重なってから発症する障害です。摂食障害がなぜ起こるのかは、未だハッキリとした理由は明らかになっていません。だからこそ、さまざまな原因を考慮しながら治療を進めることが大切なのです。

4-2.ストレスや自信を失うことがきっかけで発症するケースが増加中

さまざまな原因が考えられる摂食障害ですが、近年はストレスや自信をなくすような状況が続くと摂食障害を発症するケースが増えています。ストレスは無意識のうちに感じることが多く、家庭環境の問題や性的被害などもきっかけの1つです。人間関係や心理的なストレスが、摂食障害に大きな影響を与えると言われています。

4-3.心に負った深い傷

心理的要因が大きいと言われる中、摂食障害で悩まされている多くの女性は心に深い傷を負っていました。たとえば、子どもの頃に周囲から体重や体型のことで悪く言われたり、親から蔑まされたりしたことです。過去に負った心の傷は、時間が解決してくれることもありますが、何らかのきっかけで再び表に現れることがあります。過去の経験も摂食障害の引き金になるのです。

摂食障害の原因は1つではないんですね。
はい。複数の原因が絡まり合っていることが多いでしょう。

5.摂食障害の治療法とセルフケアのポイント

摂食障害を改善するための治療法とセルフケアのポイントを解説します。

5-1.摂食障害のサインが現れたときに受診しよう

前述したように、摂食障害は早期発見・早期治療が大切なポイントとなります。気分の浮き沈みが激しい・イライラしやすくなった・食後に頻繁にトイレに行くようなサインが出始めたら受診したほうがいいでしょう。ただ、摂食障害を起こしている本人は自覚症状がありません。ほおやアゴの不自然な腫れや手背のたこ、歯の変色などがある場合は嘔吐している恐れがあるので迷わず受診してください。

5-2.メンタルケアも行っている病院を選ぼう

摂食障害を疑ったときは、心療内科や精神科を受診します。身体的な症状が現れていても、結局は心の病が関係しているケースが多いからです。そのため、摂食障害などメンタルケアが必要な病気の扱いに慣れている病院を選んでください。たとえば、病気の根本と向き合うことを目的としているアタナハクリニックでは、インテグレートヒーリングという治療法で心と体にアプローチします。自分自身に負担をかけず、病気と向き合う力を強めるのです。

5-3.外来治療が基本

身体管理を要する緊急性以外の場合、摂食障害の治療は外来治療が基本となります。1日3食を規則的な時間に摂取させたり、コントロールできるようにサポートしたりと、少量から少しずつ普通の食事に戻していく方法です。外来治療をスムーズに進めるためには、家族といった身近な存在や周囲の支えが必要となります。

5-4.セルフケアとメンタルケア

摂食障害で悩んでいる本人が、症状のメカニズムやその背景にある心理を理解し向き合う必要があります。正しい知識や情報を家族・医師と共有しながら、不安な気持ちをなくし前向きに捉えるのがセルフケアの第一歩です。外見や体型に対する自信を持つことも、改善につながります。ただし、患者だけではなかなかうまくいかないので、セルフケアやメンタルケアを有効にするためには周囲のサポートが必要不可欠です。

摂食障害の治療を受ける場合は、治療実績ある病院を受診するのがおすすめなんですね。
はい。焦らずゆっくり治療していきましょう。

6.摂食障害に関してよくある質問

摂食障害に関する質問を5つピックアップしてみました。

Q.治療の経過で気をつけておきたいことは?
A.良くなってきたかと思えば、些細なことがきっかけで再び悪循環に陥ってしまうというケースが多々あります。摂食障害から抜け出すためには、長期間、病気と向き合おうとする姿勢が必要です。家族のサポートはもちろんのこと、食事・親子関係・メンタルケアなどさまざまな面で配慮するよう心がけましょう。

Q.摂食障害の主な合併症は?
A.脳萎縮・意識障害・心不全・不整脈・肺炎・逆流性食道炎・便秘・下痢・胃機能障害・腎不全など、さまざまな合併症を引き起こす可能性があります。合併症の中には、早期に治療しなければ命の危険を伴う病気もあるので注意が必要です。

Q.治療に入院は必要なの?
A.重症化している場合は、入院治療が必要です。たとえば、著しい低体重や意識障害・衰弱が激しい場合は、入院し常に様子を見なければなりません。また、検査で著しい異常が見られる・行動制限が必要・家族の協力が得られないなどの場合も入院となります。

Q.摂食障害の検査・診断方法は?
A.摂食障害を断定できる検査はありません。さまざまな原因が考えられるため、まずは生活歴や養育歴などヒアリングを本人や家族から行います。体重と身長から計算する体重・体格指標(BMI)も判断基準の1つです。

Q.家族が摂食障害の疑いがあるときにできることは?
A.まずは、本人に病気の可能性があることを伝えましょう。その際は、摂食障害はきちんと治療すれば治る病気であることも一緒に伝えることが大切です。本人は病気の自覚がなくても症状に悩まされています。「困った症状があるなら楽になるために病院に相談しよう」とやさしく説得しましょう。強要するのはNGです。

まとめ

摂食障害で悩んでいる人の多くは、自分がそんな障害になっているとは思っていません。自覚症状がなく、体重に異常なまでのこだわりを持っているのが特徴です。代表的な症状としては、食べた後に自分で吐き出そうとしたり、食べては吐いてをくり返したりと自分でコントロールできない状態となっています。うつ症状を伴うことが多いように、心理的な要因が強いため、自分自身や障害と向き合う姿勢が必要です。しっかりと向き合っていけば、摂食障害から抜け出すことができるので安心してください。

アタナハクリニック院長 矢崎 智子

監修者

矢崎 智子
アタナハクリニック院長
日本産科婦人科学会認定医/高濃度ビタミンC点滴療法学会理事/世界アンチエイジング学会認定医/日本内分泌学会・国際オーソモレキュラー医学会・病巣疾患研究会会員/日本線維筋痛症学会会員

1969年長野県生まれ。平成6年杏林大学医学部卒。産婦人科医としての経験を積んだあと、2005年11月、分子整合栄養医学に基づく栄養療法と東洋医学を中心とした統合医療をおこなうクリニックハイジーアを開設。関節リウマチや線維筋痛症、慢性疲労症候群、摂食障害など、通常治療困難とされる疾患や、不妊症などの婦人科疾患の治療において豊富な臨床経験を持つ。日本では数少ない機能性医療の専門家であり、最も経験豊富な一人。

平成24年、医療とヒーリングの統合を目指し、アタナハクリニックを開設。現在はキネシオロジー(筋肉反射テストを使ったセラピー)の一種であるインテグレートヒーリング(IH)を中心とした統合医療を行なっている。

著書
なぜあなたは食べすぎてしまうのか 低血糖症という病

雑誌掲載歴
2014年:『ゆほびか(6月号)』『スターピープル(vol49)』『スターピープル(Vol.48)』
2013年:『トリニティ(Vol.48)』
2011年:『日経ヘルス(1月号)』
2010年:『VoCE(12月号)』『AERA with BABY』『anan(1月20日号)』
2009年:『クロワッサン(6月10日号)』『クロワッサン(1月25日号)』