ヒトパピローマウイルスについて知りたい! 感染症の種類や治療法は?

アタナハクリニック 院長 矢崎智子

記事監修
アタナハクリニック 院長 矢崎智子
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ヒトパピローマウイルスとは、性交渉の経験がある女性ならば、誰でも感染する可能性のあるウイルスです。その一方で、子宮頸(しきゅうけい)ガンなどの病気の原因となる危険なウイルスでもあります。厚生労働省などが行うPRにより、ヒトパピローマウイルスの認知度は上がってきましたが、子宮頸ガンをはじめ、病気の予防や治療法については、まだ分からないことが多い人も多いことでしょう。

そこで、今回はヒトパピローマウイルスやウイルスが原因となって発症する病気、その治療方法について解説します。

  1. ヒトパピローマウイルスの基礎知識
  2. ヒトパピローマウイルスの検査方法
  3. ヒトパピローマウイルス感染症の治療方法
  4. ヒトパピローマウイルスに関するよくある質問

この記事を読めば、子宮頸ガンも予防接種や治療方法、検診の受け方などもよく分かることでしょう。20歳以上の女性はぜひ読んでみてくださいね。

1.ヒトパピローマウイルスの基礎知識

はじめに、ヒトパピローマウイルスがどのようなウイルスかということや、ウイルスが原因で発症する病気を紹介します。

1-1.ヒトパピローマウイルスとは?

ヒトパピローマウイルス(HPV)とは皮膚や粘膜につくウイルスのことで、150種類以上が確認されています。膣(ちつ)の粘膜につくヒトパピローマウイルスば、性交渉の経験がある女性ならば50歳までに約80%が感染すると言われる、ありふれたものです。ヒトパピローマウイルスに感染しても、ほとんどの場合は自己免疫力によってウイルスは消失します。しかし、何らかの理由で感染が持続してしまえば、子宮頸ガンをはじめとする各種病気の原因となるウイルスです。

1-2.ヒトパピローマウイルスが原因の病気

ヒトパピローマウイルスが原因の病気には、子宮頸ガンや尖圭(せんけい)コンジローマがあります。また、膣ガンや肛門ガン・男性の前立腺ガンもヒトパピローマウイルスが原因ではないかという説もあるのです。尖圭コンジローマは治療法が確立されていますが、発見が遅れた場合は、命にかかわります。特に、子宮頸ガンは毎年1万人以上が発症し、そのうち3千人が命を落としている怖い病気です。

1-3.ヒトパピローマウイルスの感染経路

ヒトパピローマウイルスウイルスの感染経路は、主に性交渉です。しかし、性交渉をしなくても感染する可能性はあります。前述したように、ヒトパピローマウイルスは150種以上あるありふれたウイルスです。たとえば、親子同士の軽いキスなどで、子どもや赤ちゃんでも感染している例があります。

ヒトパピローマウイルス自体は、決して珍しいものではないんですね。
はい。しかし、子宮頸ガン等の原因になるウィルスでもあります。

2.ヒトパピローマウイルスの検査方法

この項では、ヒトパピローマウイルスに感染しているかどうか検査をする方法や、ガン化を防ぐ予防方法を紹介します。

2-1.ガン化の危険があるウイルスについて

前述したように、ヒトパピローマウイルスにはたくさんの種類があります。その中で、子宮頸ガンの原因となる危険性が高いのが、HPV16型とHPV18型です。この型のウイルスに感染しているかどうかは、HPV検査で確かめることができます。現在は、自分で膣の粘膜を採取し、郵送で検査を依頼する方法もあるので、利用してみるのもいいですね。

2-2.子宮頸ガンを予防するワクチンについて

子宮頸ガンは、ヒトパピローマウイルスの感染を予防する子宮頸ガン予防ワクチン(HPVワクチン)を摂取することで、発症を防ぐことができます。現在摂取できるワクチンは、ガンの前段階である病変への罹患リスクを90%以上減らせるという結果も報告されているため、摂取を推進している国も豊富です。日本では、性交渉の低年齢化により摂取が導入されました。

2-3.子宮頸ガンワクチンの副反応について

日本では、2013年頃から痛みやしびれといった子宮頸ガンワクチンの重篤な副反応が問題になりました。副反応を訴える人の中には日常生活が困難になっているケースもあります。そのような情報が広まったため、子宮頸ガンワクチンの接種をためらう人も珍しくありません。子宮頸ガンワクチンの副反応が現れる確率や、治療方法はまだ不明です。厚生労働省も、現在は低年齢の子どもがワクチンを接種することを積極的に呼びかけるのを控えています。現在、子宮頸ガンワクチンを接種する前には、医師から詳しい説明を受けることが可能です。説明を聞き、摂取するかどうかを判断してください。

今はヒトパピローマウィルスを検査する方法があるんですね。
はい。再び子宮頸ガンのワクチン接種も推奨されるようになりました。

3.ヒトパピローマウイルス感染症の治療方法

この項では、ヒトパピローマウイルスが原因で発症した病気の治療方法について解説します。

3-1.尖圭コンジローマの治療方法

尖圭コンジローマとは、性器周辺にイボができる病気です。無自覚なこともありますが、かゆみや痛みといった症状が出ることも多いでしょう。男女どちらにも発症し、性交渉で移ることが多い病気です。発症しても20~30%はイボが自然消滅します。しかし、重症の場合は液体窒素で凍結させてからイボを切除したり、電気メスで焼灼(しょうしゃく)する治療が一般的です。近年、軟膏タイプの治療薬も使われるようになりました。

3-2.子宮頸ガンの治療方法

子宮頸ガンは、子宮の入り口にできるガンです。ガンは放置しておくと細胞の奥深くへ入りこみ、やがてほかの臓器へ転移していきます。子宮頸ガンの場合は、直腸周辺に転移することが多いでしょう。早期発見できれば、ガン細胞周辺を手術で切除する治療や、抗ガン剤による治療で寛かいすることができます。病状が進行してしまった場合は、子宮の摘出をすすめられることが多いでしょう。

3-3.子宮頸ガンを早期発見するために

子宮頸ガンは若い年代に発症しやすく、進行が遅いガンです。また、初期のころは自覚症状がほとんどありません。子宮頸ガンを発症しても、早期ならば子宮を守ることができます。ですから、20歳を超えたら産婦人科で定期的に子宮ガン検診を受けましょう。自治体によっては、無料で検診をしてくれるところもあります。検査は、子宮頚の細胞を綿棒でこすり取って検査するもので、痛みはほとんどありません。

子宮頸ガンを早期発見するには定期的な検査が必要なんですね。
はい。できたら20代の頃から年に1度検査をするように習慣づけるのが理想です。

4.ヒトパピローマウイルスに関するよくある質問

Q.男性がヒトパピローマウイルスに感染した場合、どんな感染症を発症しますか?
A.現在のところ、男性は感染しても発症する感染症は尖圭コンジローマだけです。しかし、関連が疑われる病気はあります。

Q.子宮頸ガン予防ワクチンは何歳から受けることができるでしょうか?
A.中学1年生から受けることが可能です。

Q.子宮頸ガンと子宮体ガンの違いは何でしょうか?
A.子宮頸ガンが子宮の入り口にできるガンに対し、子宮体ガンは子宮の奥にでき、40歳以降から増えてきます。

Q.性交渉がなく、子宮頸ガン検査を受けるのが不安です。
A.今はスタッフ全員女性の産婦人科も多く、検査も丁寧ですから痛みを感じることはほとんどありません。

Q.子宮頸ガンは何歳くらいからかかりやすくなるでしょうか?
A.日本では、30代の患者さんが多く40代以下でガンの死亡原因1位となっています。

おわりに

今回はヒトパピローマウイルスが原因で発症する病気や予防方法について解説しました。子宮頸ガンはワクチンで発症が予防できる唯一のガンです。医師の説明をよく聞いて、自分の意思でワクチンを接種してもいいでしょう。また、体の状態を確かめるためにも、定期的に子宮頸ガンの検査を受けてください。ほかの病気が早期発見される可能性もあります。

アタナハクリニック院長 矢崎 智子

監修者

矢崎 智子
アタナハクリニック院長
日本産科婦人科学会認定医/高濃度ビタミンC点滴療法学会理事/世界アンチエイジング学会認定医/日本内分泌学会・国際オーソモレキュラー医学会・病巣疾患研究会会員/日本線維筋痛症学会会員

1969年長野県生まれ。平成6年杏林大学医学部卒。産婦人科医としての経験を積んだあと、2005年11月、分子整合栄養医学に基づく栄養療法と東洋医学を中心とした統合医療をおこなうクリニックハイジーアを開設。関節リウマチや線維筋痛症、慢性疲労症候群、摂食障害など、通常治療困難とされる疾患や、不妊症などの婦人科疾患の治療において豊富な臨床経験を持つ。日本では数少ない機能性医療の専門家であり、最も経験豊富な一人。

平成24年、医療とヒーリングの統合を目指し、アタナハクリニックを開設。現在はキネシオロジー(筋肉反射テストを使ったセラピー)の一種であるインテグレートヒーリング(IH)を中心とした統合医療を行なっている。

著書
なぜあなたは食べすぎてしまうのか 低血糖症という病

雑誌掲載歴
2014年:『ゆほびか(6月号)』『スターピープル(vol49)』『スターピープル(Vol.48)』
2013年:『トリニティ(Vol.48)』
2011年:『日経ヘルス(1月号)』
2010年:『VoCE(12月号)』『AERA with BABY』『anan(1月20日号)』
2009年:『クロワッサン(6月10日号)』『クロワッサン(1月25日号)』